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174話

昼一話夜一話です。今日は寝ぼけてない。


ただ最近運動不足で体がむずむずする・・・

恭輔は、吹き飛ばされてからニホリに引っ張られるまで意識がなかった。

壁に叩きつけられたのだ。それも、受け身をとることもできなかった。


目を覚まして、一番最初に視界に入ったのはニホリの泣きそうな顔。

そして、フミがあの人型に何かされそうになっているその光景。



それを見た瞬間、恭輔の中で何かが変わった。














「カハッ!!」



人型は、小柄な人間と言った感じの姿をしている。

だが、その戦闘力は、一瞬でフミを無力化し、他の全員の攻撃を受けてなお無傷なところを見ればわかるだろう。

事実、現時点の能力では、どうしたってダメージを与えられない。


だが、恭輔の攻撃は、確実に相手に届いた。



「・・・恭輔?」


「おう、無茶すんな」


「だ、大丈夫なんか?」


「ああ、むしろ軽いくらいだな」



実際、体が今までで一番軽いのだ。

何か自分の中が変わったかのように。なにより・・・



「これかな・・・」


「それって」


「スクロール。持ってきてなかったはずなんだけど」



恭輔に追従するように、それは空中に浮いていた。

空欄のスキルスクロール。空欄の部分には、何か書いてある。



「・・・何?」


「はっは。あれでダメージ無しか」


「否定。驚異的な攻撃だった」


「そうかいそうかい。・・・じゃあもう一発食らっとけよ」


「ご!?」



相手の人型は、ワープしているかのように動く。

対して恭輔は間違いなく走ってる。だが、どんでもなく速いわけじゃない。

速いのは、魔法の発動速度。チャージの素振りがないのだ。発動のタイミングもだ。、全く魔力を感知できない。

目の前で魔法は発動しているのが見えているにも関わらず、一切魔力がない。

全身で魔法を感知できるすらっぴも、はるかに格上のはずのフミも、誰も分からなかった。



「・・・・なんなんやあれ」


「ぴー・・・」


「・・・ワン?」



人型が、面白いように跳ばされている。恭輔が常に魔法で攻撃し続けている。

その魔法の形状は槍ではない。ありとあらゆる武器の形をしているのだ。

しかし、その魔法は土の色をしていない。茶色ではなく、銀色をしている。



「それは・・・クッ」


「おもしろいよなぁ。これがくれたものだろう」


「・・・その通り」



撃ちだしていた剣が砕かれる。やっぱりか。



「ずいぶん驚いたみたいだな」


「肯定。見えていなかったと言っていた」


「嘘はついてないぜ?そもそもこれは持ってきてなかったんだけど。お前?」


「肯定」


「ああ、やっぱり」


「それでも、状態になるのは不可能。足りない」


「時間も能力も足りんってか。まぁそらそうだろうな」



今の俺の状態は、ここに入るまでの俺の凡そ10倍以上。

スクロール一つでここまで来るのかと驚いているのは俺も同じだ。

だけど、それ以上に俺はキレている。



「まぁどうでもいいか・・・」


「・・・」


「あ、でもまだ足りないから・・・」


「・・・何が」


「まだヤラセロ」


「変わった!!?」



魔法ではなく、次は間違いなく殴った。

恭輔も、瞬間移動のような動きをした。



「くっ」


「おぉらぁ!!!」



拳に纏わせた銀が人型に突き刺さる。

人型が吹き飛んだ後の拳は、先端が飛び出ている。当たった瞬間に銀が突き出てきたのだ。

それはパイルバンカーのような形状をしていた。


吹き飛ばされた人型を恭輔は追撃するが。



「調子に」


「ああ?」


「乗るな!」


「舐めんな!!」



おそらく無属性魔法と思われる透明な衝撃波。魔力でしか感知することのできないそれを恭輔は

魔力を纏った足を振り回すことで相殺する。



「隙あり」


「そっちもやな」


「な!?」



足を大きく振ることで出来た隙をつかれるが、その隙はフミにより潰される。



「さっきのお返しや!!」



攻撃しようとした瞬間の隙は、第三者から見たら大きい。

フミは、拘束を抜け出した後に、即座にあるスキルを発動。

そのスキルは、今まで格上を相手取るうえで間違いなく切り札になっていたスキルだ。



「ぶっとべや!」


「ンぐ!!」


「ァァァァァァ・・・ワォォォォォォン!!!」



フミに吹き飛ばされて、姿勢整えられる前にコロちゃんのの攻撃が届く。

全身に大きく展開された魔刃が、音の速さを超えて空間すら切り裂いていく。

その刃は人型を切り裂いた。



「・・・ワン!!」


「よーやった!!」


「ワフー」


「ってそうや、恭輔!大丈夫!!」


「・・・下がってろ」


「え?」


「ワン?」


「スゲー手加減・・・てか、そもそも本体じゃなかったか」


「肯定」


「んな!?」



吹き飛ばし、切り裂いたはずの人型が恭輔の後ろにいた。

殴った感触も、切り裂いた感覚も、間違いないなかったはずなのだ。



「んで?いきなり殴りかかってきたのは。何がしたかったんだ?」


「試験。合格」


「これを使うことが?」


「肯定」


「ふーん」



だからって、もうちょいなんかなかったんかい。



「いきなりやられると、最悪死ぬんだけど」


「手加減してた」


「そーですかい」


「・・・いや、ちょい待ち」


「質問なら受け付ける」


「ああああああ。調子狂う」


「そう?」


「不明」


「・・・ワン?」


「いや、二回目」


「親しくはない」


「なんやこの空気感はぁぁ」



ようするに、コロちゃんとフミは俺とこいつが息が合っていると。

なるほど?



「俺はいきなり殴りかからないし」


「何回も殴らない」


「・・・あん?」


「事実」



こいつ、なんか変になってないか?多弁になってるっていうか。



「ああ!!じゃあ!!質問!なんで恭輔を攻撃したんや!!」


「ぴー!」


「あ、追いついた」



戦闘で飛ばしすぎたせいでコロちゃんとフミ以外は置いて行ってしまっていたのか。

まぁ周りにいないなって時点で気がついていたけど。



「使わせるため」


「何をや」


「それ」


「これだって」


「・・・なんでまだ浮いとるんや」



恭輔が戦闘に参加してからずっと浮き続けているスキルスクロール君(文字一杯)

これを使わせようとして俺に殴りかかって、俺をぶっ飛ばしてくれたと。



「なんのスキルなんやこれ」


「昇華」


「・・・はい?」


「昇華」


「いや、聞こえてないわけやないわ」


「・・・何故」


「ううん伝わらんこのもやもや。えっと、なんでこのスキルで恭輔があんなになんねん!」


「効果」


「ううううううううんんんん!!!!」


「どうどう。落ち着け落ち着け」



フミをなだめながら、俺はこのスキルを覚えた時を思い出す。

まぁ正確には覚えさせられたって形になるんだけど

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― 新着の感想 ―
[一言] あっちの狂戦士みたいになってる・・・www
2023/07/25 23:21 しばらく読み専
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