133話
個人的どう出したもんか悩んだで賞を上げたいキャラ登場
お昼ご飯も済ませ。観光に向かうことになった。
「どこか行きたいところってある?」
「わからんからなぁ」
「うー」
「私も・・・」
まぁそうだよね。
そんなわけで、俺が勝手に決めて回ることに。
神社仏閣を中心に、名産品など見て回るありきたりな感じに。
だが、伏見稲荷大社でちょっとした問題が。
「・・・なぁフミさんや」
「なんやぁ?」
「この建物の中からひしひしと感じる魔力はいったい・・・」
「そら・・・あれや。歴史の重みや」
いやそんな重みがあってたまるか。
ニホリも魔力を感じているのか、若干引け気味だ。
コロちゃんもふーちゃんも若干戦闘モードに切り替わりつつある。ふーちゃんのしっぽが一本から増え始めてる。
一応周りに人が多いので隠してるのに、出そう。
魔力を感知できない雪ちゃんは特に変化なし。大丈夫そうなんだけど・・・
「明らかにこれ、呼ばれてるよね?」
「明らかにこっちに気がついとるな」
「雪ちゃんいるし。帰りたいんだけど」
そう言った途端に魔力の上下が激しくなる。かまってちゃんかなんかか。
「・・・どっちにしろ入れないしな」
「そうなん?」
「そらな。本殿は入れないよ。周りの見学で終わりよ」
「あら。じゃあ意味ないやんかこれ」
魔力が、え、そうなの?って感じに反応する。器用なことできるんだな。
俺もできるんだろうか。
「できるで。まぁ練習はいるやろうけど」
「フミは出来るのか?」
「意味ないから出来へん」
ああ、意味ない発言で魔力がぐにょんぐにょんになってる。なんだこれ。
・・・感情的には泣いてる?
「・・・・わかるんか?」
「ああ、なんだろう。なんか前にもこんな感じのあった気が・・・」
「恭輔さーん!!」
「う~・・・」
「雪ちゃん?」
「これ買いましょう!」
「・・・恋愛成就」
「お揃いで!!」
「・・・まぁそれくらいはいいか」
もっといいのあるよ~と言わんばかりに魔力が動いている。うっとしいぞこれ。
一発魔法撃ち込みたくなってきた。ていうか、なんで呼ばれてるんだこれ。
「・・はぁ。しょうがない」
「???どうしたんですか?」
「いや。もっといい物を貰いに行こうかと」
「え!!なにかあるんですか!!」
「らしいよ。いい加減うるさいし」
「・・・うるさい?」
「う?」
「そう。行ってみるかと」
「う~」
「まぁこれくらいならうちがいれば問題ないやろ」
「うー?」
「余裕やって。所詮地上の者。負ける理由はあらへんわ」
あいつはあいつで偉い自信だなおい。
さて、この魔力の持ち主にあいに行くのはいいんだけど。どっから行くんだ?
中には入れないし、そこら辺の関係者の人に言えばいいのか?
「その必要ないみたいやで」
「おん?」
「ほれ、お迎えや」
「おおん?」
「カァー」
「・・・カラス?」
「恭輔さーん。買ってきますええ!?」
「お、ちょうどいい所に」
「恭輔さん!?頭の上に乗ってますよ!?」
「はは。いつも通りだろ」
これが案内か。なかなかわかってらっしゃる。
カラスと言えば八咫烏。日本の神でもあるカラス様だ。まぁ稲荷神社的には関係ないんだろうけど、お使いとしてはなかなかいいチョイスだ。
あと、この子。むっちゃイケメンなカラスだ。女の子みたいだけど。
「・・・」(ツンツン
「はいはい。どっちだ?」
「カァ」
「オッケー。みんな行くぞ」
「はいなー」
「うー」
「ワン!」
「クゥ・・・クゥ?」
「・・・カァ」
「え、えええええ!?」
雪ちゃん、俺関係で驚きっぱなしだな。フミと言い、ニホリと言い。
俺に会う関係上、この先も同じこといっぱい起きるだろうけど。
あと、ふーちゃん。頭の居心地を聞くんじゃないよ。あとカラスちゃんもかなりいいって何。俺の頭どうなってんの。
案内された場所は大社から離れた場所だ。観光するような場所から遠のいた場所のせいで、人もいない。
むしろ、建物もない。山の中に入ってきている。
「これ・・・どこに向かってるんですか?」
「さぁ」
「さぁって」
「まぁ悪い所じゃないだろうな」
「なんでわかるんですか?」
「ほれ」
「フミさん?」
「ふんふふ~ん」
フミが超上機嫌だ。スキップまでしてる。
観光地から離れていくほどに機嫌がよくなっている。普段なら人ごみ嫌いなんだなぁって思うだろうが。今は案内されてる最中だ。
恐らく、案内先を知っている。または、魔力の持ち主を知っているのだろう。まぁ大体の想像はつく。
「楽しそうですけど」
「でしょ?なんかおもしろいことが起きるんだよ」
「へぇ~」
山に入った段階でかなり不安そうにしてた雪ちゃんだが、フミの様子を見て元気を取り戻したようだ。
ニホリは先に気がついていたのか、なんか若干あきれ気味だ。コロちゃん達はそもそもそこまで心配してる様子がない。
魔力反応でわかる情報は俺より多いのかもしれないな。
「ん、そろそろだな」
「え?なにもないですけど」
「うう~・・・」
「おお。ドン引きや!!」
カラスちゃんも俺から離れた。
そこはぱっと見はなにもない。ただの山の中で木が生えてるだけ。
だけど、俺たちの感覚ではこれはおかしいのだ。明らかに、フミに匹敵するほどの魔力があるのに何もないなんてありえないのだ。
それに、何かを隠しているのだろう。大きなサイズで反応があるせいで逆に目立っている。
しかし、近づくまでわからなかった。そう考えると、隠蔽能力はかなり高い。それに、見た感じわざとてきとうにやったのだろう。魔力が変に漏れている。
本来はこれもないのだろう。その場合、近づいても分からん可能性はある。
「にっしっし。恭輔わかる~?」
「何かあるのはわかるよ。だけど、入り口がわからん」
「せやろぁ」
「(スンスン)・・・ワフ」(フルフル
「クゥ」
「コロちゃんとふーちゃんもだめか。こりゃ俺じゃ無理だわ。ニホリは?」
「う~・・・」
「時間かかるのか。しょうがない。雪ちゃん」
「え、はい!」
「これから見ることは。絶対に秘密ね」
「え、えっとなにが」
「お父さんにも、千爺にも秘密だ。わかるね」
「は。はい!」
「よろしい。フミ頼む」
「よっしゃキター!!!」
フミの本気。俺も見たことはないが。戦闘モードになると隠してたしっぽが出てくる。
計9本。これでも全部じゃないそうで。そもそもしっぽの本数は関係ないらしいんだけど。
フミの手に魔力が圧縮されていく。本来目に見えないはずの魔力が見えるほどに凝縮されているせいで、雪ちゃんも気がついたようだ。
「な、なんですかあれ!?」
「あれが魔力だよ、雪ちゃん。ダンジョンに関係するやつだ」
「魔力・・・」
「ぶちかますで~!!」
魔力が溜まったらしい。黄金に輝く魔力の球がフミの手にある。
魔力の量的に、俺のチーム全員が全力で抵抗しても簡単に消し飛ばされるくらいの魔力だ。
・・・え、貯めすぎじゃね。
「フミ、それやりすぎじゃ」
「いっきまーす!!」
「待てや!!」
フミが腕を振りかぶり、勢いよく降ろす・・・瞬間に止められた。
「お姉さま!?さすがに死んじゃいますから!!」
「お、よーやっと出てきよった」
金髪のロングの美女だ。犬のしっぽが生えている。
あれが・・・フミの妹か。




