130話
外出自粛とのことで自分も予定を全部キャンセル。その分これ書いていこうと思うので今日明日は投稿話数を増やそうかと。
昼二話。夜二話です。
俺の考えはこうだ。
俺の本来の目的は、フミの妹を探すこと。そのために日本中を探したいってのが最初の話だ。
だけど、俺が仕事でもないのに長期間ダンジョンに潜らないのは流石にできない。強制的にやろうと思えばやれるけどその場合いろいろ大変になるので最初からその作戦はなし。
そこで、仕事ならいろんな所行けんじゃねってことで出張をもぎ取ってきた。ここまでが前提となる。
しかし、これには一つ穴がある。
出張なので、行ける所には限界があるのだ。休みもそんなに多く取れないだろうし、どうしても移動できる範囲が狭くなる。それでもやらんよりはと思ってたんだけど、ここで雪ちゃんが来た。
雪ちゃんは、俺と一緒に旅行に行きたいのだそうだ。幸いなことに、雪ちゃんはスポンサーである千爺の孫らしい。その孫たってのご希望とあらば断れないだろう。そもそも親父もからんでるっぽいし。
そこで思った。雪ちゃんの旅行にかこつけていろんな所に行っちゃえばよくね?と。
「そんなわけでマジで旅行にしていい?」
「いいぞー」
許可取れたわ。
「いや、なんでやねん」
「うー」
フミもニホリもなんでそんな簡単に許可取れてんだおいって感じだ。
ニホリなんか元々ニホリが希望したことなのにそういうレベル。まぁ実際にあの会話で許可取れたから俺も一瞬固まったけど。
「まぁもちろん裏はあるぞ」
「お、やっぱりなんかあるんやな」
「うーうー」
なんでむしろ嬉しそうなんだ。
・・・まぁいいか。
「簡単に言うと、俺が日本全国回りたがってたのはバレてた」
「・・・ほう?」
「もちろん、なんで回りたがっているかはバレてないぞ?」
要するに、何かにかこつけて制限なく歩き回りたいって俺の希望をくみ取ってくれたわけらしい。
親父とか千爺が雪ちゃんにいろいろ教えたのも、そういう風にした方が問題なく話を進められるからとのこと。
「最初っから、俺の為の話だったってわけだ」
下に恐ろしくは親の勘ってわけだ。かなり気を使って隠してたと思うんだけどな。
「なーるほどなぁ」
「うーうー」(ウンウン
「ま、今回はご厚意に甘えておくとしようや」
「うちは構へんで。いろんな所行けるならなんでもええし」
「うー!」
「ニホリはやっぱりうれしいか」
「うーうー!」
「まぁ、よく考えてみると、ニホリが自分と同じような年の女の子見るのって初めてだったか」
「・・・年はちゃう気がするけど」
似たような身長の子って方がいいか?
「どっちでもええわ」
「うっううー♪」
「小躍りしっちゃてるよ」
「ニホリからしたら、初めてのお友達やもしれへんしな」
「ああ~だからか」
嫌に一緒に行きたがるじゃんっと思ったらそういうことね。言われてみれば、友達は初めてなのか。
「上で見てた時から友達になりたいって思ってたのか?」
「う!」
「あ、そっか。お前も手紙は読んでたもんな」
雪ちゃんの手紙、俺に関することがヒートアップしなければ普通の手紙だしな。
・・・そういや、今日は普通だったな。
「うん。だったらまぁよかったかな?」
「ええことずくめやんか」
「まぁ流石に何もないところが探せないけどな」
「なんでや?」
「旅行なんだから、観光スポットしか行けないぞ」
「????」
「う???」
「いや、お前の妹さ。街中に潜むか普通?」
「・・・あ!!」
「う!!」
ダンジョンから来たモンスターが、人間の中に完璧に紛れてるとは考えにくい。ちょくちょく人のいる所には顔を出すだろうけど、普段いるような場所はおそらく人のいる街から離れたところだろう。そういった場所は観光スポットもないのでいけません。何故なら旅行だから。
「あちゃー。そうやったわ。あの子『変化』持っとらんしなぁ」
「むしろ良く出てこうと思ったな」
「一応他のスキルは持っとるしな。隠れることは余裕や」
まぁ、雪ちゃん抜きならそういう人のいないところも行けるだろうけど、時間的に大して調べられないだろうし。
いい事もあるが、悪い所もあるってのが落としどころだろう。
「それ抜きでも、ニホリに友達が出来るのはいい事だな」
「う!」
「はは!。そうかそうか」
ニホリも喜んでる。これだけでも十分な結果だ。
それに、雪ちゃんも喜んでたしな。満面の笑みだった。
「う。うーうー」
「え、携帯?ほら」
「うー」(ポチポチ
「・・使いこなしとるな」
「まぁ俺より携帯触ってるだろうし」
ほとんど動画見てるだけなんだけどな。
なにしてんだ?
「・・・メール?」
「う!」
「雪ちゃん!?」
「うー!」
「アドレス貰った!?」
本当に仲良くなったわね君たち。お兄さんびっくり。
そっか雪ちゃんが俺の文通してた理由って確か、その方が気持ちがこもるからとかだったな。友達とならメールでいいわな。てかその方が手軽に連絡できるし。
「・・・ニホリ用の携帯を買う時が来たか?」
「う!」
「ああー。確かに。恭輔の携帯やもんなぁそれ」
「俺が使いたい時にニホリが使ってたらまずいしな。明日買いに行くか」
「う?」
「ん?俺名義で買えば問題ないぞ。・・・あ、俺まだ18じゃないから保護者の証明書とかいるかも」
まだ17だもんな俺。今年で18だけど。
まぁ姉ちゃんでも親父でも誰でもいいか。どうせ明日休みだし。
「まぁ母さんに言ったら仕事休んでついてきそうだけど」
「甘々やからなぁ」
「う?」
「言っとくけど、お前にも母さんは甘いぞ」
「え?」
母さんの中では未だにフミは俺のお嫁さん候補だからな。そら甘くもなる。
「候補取ってもええで!」
「18になったらな」
「ああ~んいけ・・・うん?」
「さてっと。そろそ夕飯だな。コロちゃん達洗いに行かなきゃ」
「うー!」
「ちょ、今のもう一回!もう一回!」
恥ずかしいので言いません。
「るる~」
「にゃー」
「・・・そういえば、ふーりんちゃんってお風呂入るんだな」
「るる?」
「うん。俺初めてだぞ」
女の子と一緒にお風呂なんてダメですってピッちゃんとも入ったことなかったのに。まぁフミが来てから許可出たけど。
許可出したのは母さんだ。
・・・俺にロリコン疑惑って持ってたのって母さんもか?
それにしたってピッちゃんクラスの小ささだとまずそういう対象じゃないと思うんだけど・・・いや、世界は広いしな。
「でもお前専用の風呂桶まであるとは」
「るる~♪」
「浸かるならちゃんと浸かれ」
俺の上に乗っかるんじゃないよ。あったまらないと風邪ひくぞ。
「ふーりんちゃんを見習いなさいよ。さっきから微動だにしてないぞ」
「にゃん?」
「るーる!」
「熱い?ああ、お前熱いのダメだったな。悪い悪い」
どうも普段の湯加減と違ったらしい。それはすまんことをした。
水たして・・・これでどうだ。
「・・・る~♪」
「大丈夫そうだな。よし、じゃあ100まで数えるぞ。いーち」
「る~る」
「にゃーん」
数字じゃなかったけど。ちゃんと100まで数えました。




