127話
本日分一話です。
おまけ分を先頭にまとめようかと思う今日この頃でございます。
「あれ、珍しくもう返信きた」
「お、例の雪ちゃん?」
「そうそう」
姉ちゃん帰宅三日目。昨日のうちに留守番組との戦闘での確認事項は埋めたのでそっちは大丈夫だろう。
時々三崎さん達も一緒にいてくれるみたいだから大丈夫でしょう。あとはニホリがぬか漬けの準備を整えて姉ちゃんに教え込んで終了だ。
そんなわけで、若干暇してた日に例の病弱少女事雪ちゃんからお手紙が届いた。
返信してから一月で返信が来たが、これはかなり短い時間で返ってきたな。普段ならもっと長くかかるんだけど。
「なんで時間かかるかは知らない」
「手紙なんて書かないからね」
「俺もこれで初めて書いたよ」
いや、小学生の時に未来の自分宛てに書いたからそれが初めて・・・?
ノーカンでいいや。
「見ーせて!」
「・・・まぁいいけど」
「え、何その反応」
見りゃわかるよ・・・
「・・・普通の手紙じゃない」
「え」
「だから何その反応」
あのフミですら若干引いた内容じゃないだと?
「ちょい見せて」
「ほい」
「・・・普通だ」
いたって普通の手紙の内容だった。
この日は何をしましたとか、初めてどこかに行きましたとかそんな感じの近況報告のみだ。
特に俺に関する記述は・・・ないわけじゃないけど。それも変な内容じゃない。恭輔はさんはどうなさってますかーくらいだ。
「・・・これはフミに報告だ!」
「え」
「フミー!!」
「・・・・・なんやぁ!!」
「雪ちゃんの手紙が普通だ!!」
「なんやて!?」
「いやはっや」
お前一階で洗濯物してなかったか?
「速攻で終わらせた」
「残像も残らん洗濯か・・・」
「みんな手伝ってくれたからなぁ」
「何してんのあいつら」
ていうか俺たちも全く手伝わずに何してんの。
いや、アクセサリーの確認で姉ちゃんにある性能のやつ探してたんですけど。
「どれどれ~・・・・・・普通やな」
「だよな」
「私はフミさんがギャグマンガみたいに部屋に入ってきたのが気になる」
キキーって音させながらブレーキかけてたしな。飛び込んで来たし。
「ん?これ最後まで読んだ?」
「いや、ちゃんとは読んでないけど・・・」
「ほれ、ここ」
「おん?」
「うん?」
近い内に、お会いすることはできるでしょうか。
「・・・マジか」
「???別にええやん」
「そうよ。子供なんでしょこの子」
「・・・苦手なんだよぉ」
「はぁ?」
もちろん雪ちゃん自体が苦手とか、子供が苦手とかそういうわけじゃない。
ていうか、子供苦手ならニホリもダメになっちゃうし。
ダメなのは、あの子の目だ。
「目がダメ?」
「憧れの眼差しというか、こう、異常にきらきらした感じの目が・・・」
「ああ、よくわからない罪悪感に襲われると」
「そのとおりです」
いやだって。あの子からしたら俺が命を救った人間になるのはわかるんだわ。
だけどよく考えてみよう。別に俺は助けようと思ってダンジョン潜ってないし。ポーションを手に入れてのもたまたまだ。
それなのにも関わらず、ああも助けてくださった騎士様~みたいな感じで見られると心がヤバい。
ダンジョン潜ってるのだって趣味だし。
「そんなわけで会いづらいです」
「会ってこい」
「会った方がええやろ」
「だよなぁ・・・」
「別に見られるだけならいいじゃない」
「そうやそうや。小さい子の憧れは守らなあかんやろ」
「そうよ~。朝のヒーローだって子供の夢を守ってるのよ」
「そこまで崇高な思想で戦ってないから困ってるんだよ
むしろヒーローくらいかっこいい考えで戦ってるのならガンガン胸張って会いに行くわ。
「ほら、あんた出張もあるんだから。さっさと予定決めるよ!」
「うーん。手紙やと連絡するのに時間かかるんちゃいます?」
「大丈夫よ。研究所経由なら電話できるし」
「そこまでするか・・・」
「逃げようとするでしょ?」
「その通りだ!」
「胸張って言うな」
逃げたところでフミに捕まるけどな。物理的に。
「私連絡してきまーす」
「うぇーい」
外堀が埋められてくね。
三日後
「いや、予定つくの早すぎでは?」
「ええやないの。どうせ暇なんやから」
「暇じゃないです~ダンジョン行く気でした~」
「砂漠に行けへんのに?」
「本当にそれな」
早く装備できないかなぁ。
お膝の上にはフミとふーちゃん。後ろの席にはすらっぴバトちゃんコロちゃんピッちゃんねっさん。
ふーりんちゃんは召喚されていない。大きい子チームお留守番だ。いつもどおり、親父の車じゃ入らないしな。
あと姉ちゃんは車にはいない。チームの方で研究所集合するらしく、別の方法で行っている。
「まぁ、会うのは結局研究所なんだが」
「仕方ないさ。病院に行くわけにもいかんしな」
「うーん。不便な体になったもんだ」
病院に行けない理由として、ユニちゃんに俺の魔力が影響を与えたことが発端になっている。
赤ちゃんくらいの時に強い魔力持ちが近くにいて、その魔力が抑えられていなかった場合。なにかしら影響を与えてしまうのでは、という懸念があるのだ。
そんなわけで、小児科があるような病院には行けない。
雪ちゃんのいる病院はかなり大きい所なのでもちろん小児科が存在する。
だから、研究所で会うことになったのだ。
まぁ俺は魔力調整できるんだけどさ。念には念を入れてだ。
「今なら俺よりフミの方がヤバいかな」
「うちも抑えるくらいはできるわ」
「ええ~初対面の時むっちゃ威圧されたぞ~」
「あれは最悪戦う気やったし」
「お前本当に俺の事好きなのかわからなくなるんだけど」
「めっちゃ好きやもん!」
「・・・クゥ」
「あ、ごめんな」
寝てたふーちゃんに怒られたよ。
「お前ら最初そんなんだったのか」
「あれ、話したことなかったっけ」
「なんだかんだ聞いてないんじゃないか?」
「そうだったか。まぁ最初はお互いに戦う気ではあった」
ぶっちゃけ。理由は未だにわかってないけど、フミが俺を怖がってたのは確かだ。
俺が普通の人間と違うと言うのだが、何が違うのかは教えてくれないし。
「今は教えてくれたり」
「ダメや」
「・・・この話になると本気になるんだもなぁ」
それだけ知られたくないことなんだろうけど。
うーん、俺が気がついていないことなんだろうけど・・・
「考えんのもやめてぇや」(ギュ
「・・・はぁ。わかったよ」
でも、気になるのは気になるなぁ・・・




