120話
夜分一話です。
「さて・・・ニホリは明日気をつけろよ」
「う?」
「多分、明日は爺様たちにお年玉攻撃を食らうだろうから・・・」
年末のお年寄りは元気ですよ。近所の爺様たちは常に元気だけど。
あの孫に何か持たせたがる現象は一体何なんだろうか・・・
「あけましておめでとうございます」
「うー」
「今年もよろしく」
「ううーうう」
年越しそばは食ったし、昨日も日付が変わるまで皆起きてたから一回言ったんだけど。まぁこういうのは形式美的な物もあるよな。
「さて、降りるか」
「うー」
ただいま11時。むっちゃ寝坊しました。
「おはよう」
「ううー」
「おはよう二人とも」
「おはよう。お寝坊さんやったな」
「おせち準備出来てるわよ~」
ちなみにうちにおせちは一部手作り。栗きんとんと黒豆はうちで作ってる。
まぁ他のも一式買ってるから大体あるよ。伊達巻多めだけど。親父が好きなんだ。
「今回は二人にも手伝ってもらったから会心の出来よ~」
「ちなみに何を?」
「栗きんとんとかまぼこ~」
「かまぼこ自作!?」
そんなことできたのか・・・
「普段は間に合わないからやってなかっただけよ?」
「うー」(ドヤ
「うちらが手伝った」(ドヤ
「ああーそういうことだったのね」
母さんの料理スキルもどこまでできるのかわからんよなぁ・・・
俺も姉ちゃんも料理そこまで得意じゃないけど。いや、俺はあんまりやらないだけだから・・・
「そういや姉ちゃんは」
「そろそろ来る頃よ~」
「お昼頃って言ってたしな」
「ほほ~」
まぁ去年まで帰ってこなかったのがうちの姉なわけだが。
自衛隊だったしな・・・いや、話に聞くと三崎さんたちは帰ってたらしいからあれはただ忘れてたかめんどくさがったか。
ん?この気配は
家の前に何個か気配がある。
一つは姉ちゃんだ。残りは・・・人間じゃない。
これはバン君たち?
「ついたっぽいから迎えてくるわ」
「おねがーい」
「ねっさんころちゃん。皿とか増やして。4つな」
「ワン!」
「ちゅ!」
「うん?」
コロちゃんとねっさんは気配ですでにわかっていたようだ。俺が言い切る前には動いていた。
親父はそもそも気配で何かをわかるってことができないからわからんでもしょうがないな。現に俺の指示の意味もわからんだろう。
それはともかく玄関玄関。
インターホンを鳴らされれる前に。
「ドアドーン!」
「あ、ただいまー」
「おかえりー」
「くる!」
「「「キュウ!!!」」」
バン君とモグ三兄弟がいた。当たってたか。
でもなんで三崎さんがいないんだ?
「そらいないわよ。年明けよ?」
「そうだけど別に・・・あ」
「そういうことよ。バン君はカーバンクル。モンスターだしね」
「くるる」
「モグちゃん達はモグラだけど、いきなりモグラ連れて帰るのもねー」
「まぁ普通はそうだわ」
うちがおかしいから何の疑問も持たなかったけど。普通いきなり動物連れて帰らないよな。
うちならいきなりでもある程度対応できるけど。なんならふーちゃんはいきなりだったけど。
「そんなわけで、今私が面倒見てるのよ」
「見れるのか」
「見れるわよ。まぁメモ頼りだけど」
「だろうと思ったわ。ちゃんとご飯貰ってるか?」
「失礼な」
「くるる!」
元気そうだな。会うのもちょっと久しぶりだから気になってたけど、この様子なら三崎さんともうまくやれてるだろう。
姉ちゃん?なんだかんだ言っても大門の人だからなんとかなるでしょ。本気で心配はしてないよ。
「ところで聞いてよい?」
「何?」
「かさばらんの?」
「かさばるけど重くないから!」
でも計4匹を大き目とは言えバッグに入れるのは無理やりだと思うんだ。
狭いでしょ。ほら、一匹次郎ちゃん外出てるし。
「狭いってさ」
「キュウ!」
「ごめんって~これ以外なくってさー」
「三崎さんは・・・そもそも移動は車か」
三崎さん・・・ていうか、自衛隊チームはそれぞれ移動手段として車をチームで支給されてたんだったな。
もっぱら使うのは三崎さんだけみたいだけど。移動するのにみんな連れてくし。
話もそこそこに、家に入る。
コロちゃん達も用意が終わってるだろう。
「ただいまー!」
「おかえりー」
「うーうー」
「ああ、なるほど。そういうことだったか」
「くる~!」
「ああ、バン君は一昨日振りか」
「「「キュウ!」」」
「お前らも元気だったか」
「親父はみんなとよく会うのか?」
「ああ、健康診断とか、経過観察とかでな」
「ふーん・・・」
「言っとくが、予定日は教えないぞ」
「・・・毎日行けば会えるな」
「やめろ」
あんまりバン君たちに会わないし・・・。
あれ、そういやフミ・・・いたわ。
「あれ。新しい子?」
「フミちゃんって言うのよ~」
「へぇ~。よろしくね」
「きゅ、きゅう~」
なんで狸モードなんだ?
と、不思議がってたらニホリから伝言。いきなり出てくると驚かせちゃうから最初は狸の方がいいかもってことらしい。
どっちにしろ驚くんじゃないかって思うけどまぁ本人がいいならいいか。
鳴き声とかぎこちないけど。
「フミおいで~」
「!!」(ダッ
「あいかわらず人気なのね」
「フミちゃんは恭輔の事大好きだからね~」
「???みんなそうじゃない」
「うふふふふ~」
「???」
母さんが楽しそうだ・・・
そしてフミはなんか緊張してるらしい。ぼろが出ないか心配なのか。
安心しろ、微妙にアウトだ。三崎さんなら気がつくぞ。
「いや、あんまり知らん義姉さんやから・・・」
「そこか・・・ん?」
なんか微妙に字が違った気がするがいいか。
それで、いつ戻るんだ?いつまでも抱えてられないんだけど。
「恭輔から言ってくれへん?」
「まぁいいけどさ」
じゃあ今から言うか。
「ちょ」
「姉ちゃん」
「なにー」
「重大発表」
「うん?」
「これ」
「・・・フミちゃん?」
「これ、人間になれます」
「・・・はい?」
ボンっとした音と共に人間モードに。
「あ、あはははは。どうも~」
「・・・・」
「ほれ、驚いてる」
「せやろな!?」
「・・・恭輔がついに動物をお嫁さんに」
「なんてひどい風評h・・・あれ、あんまり間違ってない?」
今になって思うと、モンスターがこうなってるって考えると間違ってない気が・・・というより、仕方ないのでは。あれ?
てかなんで。うちの女性陣はフミを見ると皆そう言うのだろうか。
そんなに俺が女の人を連れてくるのがおかしいのか。
「ちなみにお嫁さんじゃありません」
「・・・まだ的な?」
「マジでその反応なんなの」
「・・・恭輔だからなぁ」
おまえもか親父




