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12話

「初めまして、陸上自衛隊、ダンジョン対策本部所属。丸藤(まるふじ) 史門(しもん)です。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」



テレビで見たことある人だな。


丸藤さんの階級は・・・陸将?だったはず。細かいのは知らん。ダンジョン関係でよくテレビで見る人だな。アナウンサーとかの人を案内してることが多い印象。人の良いおじさんって感じか。

あ、あと姉ちゃんは部屋にはいない。身内だけど一応ね、いろいろあるらしい。



「本日はご足労、ありがとうございます。こちらから迎えを出せればよかったのですが」


「いえいえ、大丈夫ですよ。それにそこまで時間もかかりませんし」


「あと、そこまで人もいないでしょうし」


「こら、恭輔!」


「ハハハ、実際その通りですから。各地にできたダンジョンのせいで。こちらも混乱していますよ」


日本には、わかっているだけだと24か所のダンジョンがあるらしい。人が入りにくい山の中などは探せてないし。うちみたいに隠してる場合もあるだろうし。

後は、建造物のせいで気づけてないパターンか。全部が全部、地上に入り口があるわけじゃないだろうし。



「それで、本日こちらに来ていただいた件なのですが」


「はい、私が提出していた物はすべて、こちらの恭輔があのダンジョンより手に入れたものです」


「なるほど、恭輔君が・・・」



若いのは想像してたが、息子なのは想定外かな?



いや、でも。あの人の息子さんだし、とか思われてる可能性も微レ存・・・?



「恭輔君は、いったいどこのダンジョンでこれを?」


「それは「地元の山の中ですよ。地主の爺さんが腰をやられたって時に、代わりに入ってその時見つけました」!?」


「やはり個人所有の山などは探さなければいけないか」


「なんとなくわかってました?」


「勘のようなものだけどね。日本全国を探しきれたわけではないから。想像もしないところにあったなんて言われるかも、とは考えてたよ」



親父は、俺の言葉に驚いていたようだ。まぁ、親父には伝えてないし。実際に存在してるから何も問題はないけど。


山の所有者の爺さんは、俺がもっと小さい時から、なんなら姉ちゃんのちび時代からのご近所さん。

俺とは顔見知りだし、よく顔を出しに行く。腰をやったのも本当だし、代わりに薪を取りに行ったのもマジ。嘘は、俺が潜ってるダンジョンの場所だけなので、バレることはないだろう。嘘をつくときは、本当のことを織り交ぜるのがいいっていうだろう。



「今はいいでしょう。後でそのダンジョンは調べますが」


「爺さんですから、なるべく早めにお願いしますね」



なんでそんな場所の事を早く通報なりなんなりしなかったのかは聞かれないか。どうしてか。俺が隠しごとしてる前提で探らないと決めてきたか。全部わかっているのか。



「それでは、今回の探索チームに恭輔君が同行する件ですが、内容は既に?」


「はい、私から説明しました」


「ではそこは省略で。今回の大きな目的ですが」


「あ、その辺も省略で」


「はい?」


「ああ、いえ。大事なのはわかるんですが、俺はとりあえず、皆さんをダンジョンの下の階層に連れて行けばいいんですよね?」


「え、ええ。そうです」


「なら、俺はそこら辺の事は知らなくていいですよ。興味ないですし」


「興味がない・・・?」


「目下、俺の興味はあのダンジョンの下に行くこと、何ができるようになるか、どこまで強くなるのかそんなところですので」


「・・・はぁ。聞いてた通りの少年なようで」


「聞いてた?」


「俺が先に伝えたんだよ。知らない状態だったら話が拗れるだろうが」


「拗れたら拗れたでいいんだけど?」


「こいつ」


「はっはっは。お前そっくりじゃないか宗助!」


「俺でもここまでじゃなかっただろ・・・」



なんだなんだ、知り合いか?



「高校時代の友人だよ」


「実は君にもあったことがあるんだがな」


「全く覚えてないっす」


「まだ赤ん坊だったからなぁ」



一応気を使ってたんだけど、知り合いならいいか?



「いいわけないだろ、ちゃんと座っとけ」


「へいへい」


「まさに大門って感じだな」


「本当にすまん」


















とりあえず、親父と、陸将の人が友人という事が判明してから一時間。いろいろ話す中、結構世界の情勢がわかってきた。


世界中に出現したダンジョンは、日を追うごとに数を増している。出現し続けてるわけじゃない。発見されてるだけなのだが。

その日々見つかるダンジョンに、各国は手が回らず、放置が続く国もあるようだ。放置されたダンジョンは、何か起きるわけではないが、現地の住人が勝手に入って出てこないパターンがほとんどだそうだ。

そして、今回のドロップの発生。そのせいで、同じような問題が増えているらしい。中を調べようにも、ダンジョン内は複雑な迷路状。深く行けば行くほど、敵は強くなる。数を投入すればいいが、予算は無限ではない。どこの国も手詰まりになっているそうだ。


予算は、アメリカとかは大丈夫そうだが、明らかに銃の効きが悪くなっている関係上、無駄な予算は使いたくないのだろう。


そこで、目をつけられたのが俺。俺の成果次第では、少数精鋭でのダンジョン探索に切り替わり、初めから探索しなおすそうだ。

賢明だな。能力が上がっていない。スキルも持ってないなら、オーガに殺される。下手したら、コボルトでも危険だ。





「それにしたって、今日いきなり潜るとは」


「文句言わないの。私なんて、弟だからって強制的にチーム入りよ?」


「それはドンマイ」


「あなたのせいでしょ?」


「わかったから頭を腕で固定するな、絞めるなぁぁぁ」



そういうのを、惚れた男にやさしくできないからモテないって…力を強めるな!!



「ゴホン」


「あ、失礼しました!」


「おぉぉぉ。あのバカ力め・・・」


「ワン?」



あ、ちゃんとコロちゃんは一緒に来てるぞ?何があってもいいように連れてきてよかったよかった。



「一応、一層の入り口近くとは言え、あまりふざけすぎないでね。大門准陸尉?」


「あ、失礼いたしました。藤岡一等陸尉!」


「一等陸尉?」



見た目、姉ちゃんと変わらないけど、そんなに上の人?



「私の先輩よ。毎回推薦をもらってるエリートなの!」


「へぇ~」


「すいません。本当にすいません!」


「気にしてませんよ。若い子はこれくらいがいいじゃないですか」


「だってさ( ・´ー・`)」


「むかつく!!」


「ところで他の人は?」


「なら私から右から」



丸山さん、三崎さんの二名。丸山さんは男性。三崎さんは女性だ。



「お二人はお付き合いされているでOK?」


「へ?」


「い、いや。その」


「あってるわよ」



基本、藤岡さんのほうが緩いというか、俺と似たノリなんだな。あ、藤岡さんも女性だ。姉ちゃんより少し胸が小さい。


俺とコロちゃんと姉ちゃん含めて五人と一匹。



「皆さんは、ダンジョンで戦いました?」


「はい!我々は全員、ダンジョンで近接戦闘をおこなった者になっています!」


「ああ、そこか」


「何があるかわからないため、突入チームは厳選されてるメンバーよ」


「ふーん」



よくもまぁ。大して信用もない俺に、そんなメンバーつけたな。死んでも問題ないって判断された捨て駒、って考えもできるんだが。まぁ、奥の手もあるしいけるでしょ。



「自衛隊の最終到達層って四層までだっけ?」


「そうよ、銃が効きにくくなったから、その先にはいかなかったの」


「正解だね。下手したら死んでたよ」


「え?」


「じゃあさっさと行こうか。道中の敵は俺がやるから」


「え、ちょ。恭輔!」


「コロちゃん、露払いと道案内よろしこ」


「ワン!」





























一気に駆け抜けてみたZE。



「急ぎすぎよ!」


「全員ついてこれてるんだからいいだろ?ほら、ドア発見」


「「ハァハァハァ」」


「情けないなぁ」


「いや、あんた。普段からそんなスピードで走ってるの?」


「はい?そんなわけないじゃん。ちゃんと手加減はしたって。普段はもっと速いよ」



大体、コロちゃんはいいとして、ほかの子たち全員を持った状態で、走り回ることだってあるんだぞ俺は。今日は荷物少ない分余裕だわ。



「うそでしょ・・・」


「恭輔君。自衛隊に興味はないかしら?」


「先輩!?」


「今のところないっすねー」



てか姉ちゃん。普段は先輩呼びしてるのか。まぁ、普段から階級呼びじゃ堅苦しくってしょうがないだろうけど。



「じゃ、とりあえず入りますか」


「もう!ちょっとはこっちの事も考えてよ!!」


「まぁまぁ、いいじゃない大門さん。今回は彼の力の確認なんだし、二人も行けるね?」


「「はい、大丈夫です!!」」


「意気込んでるところ悪いけど、一瞬で終わるから」


「ちょっと・・」


「コロちゃん、手ぇだすなよ」


「ウ?ワンワン!」


「ここは譲れって、次はいいからさ」


「・・・コロちゃんの言葉、わかるの?」


「?前からこれくらい出来たけど・・・」


「もういいわ・・・」


「面白い子だね。恭輔君」


「恐縮です」


「あんたが言うな!!!」


「!!みなさん!ネズミが来ました!」



いつも通りの感じで、ネズミの大群が。全部で30体。変わらないかな。これくらいなら魔法で一網打尽ってな。



「そぉら、食らっとけ」



俺がよく使う魔法は、土を硬く固めた物を槍状にして打ち出す魔法だ。土の英語はsoil、ソイルだが、アースでも通じるのでアースランスと呼んでいる。

土の強度はかなり硬い。なんせ廃車を貫通してかけることのない硬度だ。


しかし、今回使う魔法は別のものだ。そもそも、小さく数の多い敵に使う魔法じゃない。そういうのは、バトちゃんのが得意だ。かと言って、俺も負けるわけにはいかないので、開発した新魔法。

その名も



「スプレッドアースガン!!」


敵の上に、30cmほどの土の塊を出現させる。

その土が、拳銃で撃てるサイズの銃弾と同じサイズに、土の塊として高速で飛び散る魔法。


クラスター爆弾のようなものだ。数と威力は比較にならないほどこちらが高い。

バズーカみたいのも考えたが、どちらにせよ殲滅用ではないからな。


ネズミの上に、突如として出現した土の塊に、俺とコロちゃん以外の全員が固まる。

その瞬間、土は激しく爆ぜ、銃弾の形になった無数の土の弾が、ネズミを細切れにしていく。

抵抗などできるわけもなく、ネズミはそれだけで全滅した。



俺たちの方に飛ばないように設定してあるので、こちらは無傷。弾は、はじかれて来ないように、地面に当たったら消滅する。



姉ちゃんたちは・・・


まぁ、そんな顔になるよな。なんせ、藤岡さんが使う魔法とは全く違うんだから。これだけで終わると思われてもあれだけどな!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 自衛隊に同行することを了解していますが、対価はどうなっているのかと思いました。無償なんて、あり得ないし、どうして初めに報酬について決めていないのかと不思議です。
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