11話
「恭輔、頼みがあるんだがいいか?」
「内容と報酬による」
結局、あのオークからドロップを確認してからはダンジョンには行かなかった。
昼飯食べた後、よく考えると忙しくなるかもしれないならまず宿題じゃね?と気が付いたので宿題を片付けてた。
まだあと半分くらいあるけど、後は問題集関係しかないから楽勝だ。答え見ながらやればいい。
それで今はあのドロップ記念日から三日たった。落ちた物は全部親父に押し付けた。結果はそろそろでるらしい。
それで二日ぶりに帰ってきた親父からいきなり話を振られたわけだ。母さんは毎日帰ってきてたけど。
「ダンジョンの事なんだが」
「それは想定してたけど?」
「そうだな。頼みなんだが、いくつかあってな」
「ほうほう」
「まずは新宿にできたダンジョンに俺と他数名と入ってほしい」
「はぁ?護衛ってことか?自衛隊の人たちが潜ってるんじゃないのかよ」
「潜ってはいるんだが、思いのほか進まないんだ」
「なんで」
「簡単に言うと金がかかって仕方ない。銃弾を使うにも予算は有限だ」
「そんなに使うか?あの程度で」
「もちろん浅い階層ではそんなことはない。ただどうしても狭いダンジョン内で複数の敵に遭遇すると安全のために使ってしまうんだ」
「死人が出るよりはいいわな」
「その通りだ、その通りなんだが・・・」
どうも自衛隊の探索チームは四階層のフロアボスまでは倒したそうだ。それ以降は進んでないらしい。
「おっそ!」
「どうもゴブリンやコボルト相手に銃弾の効きが悪いそうでな。そこからは全く進んでいない」
「あ~。まぁ正解かも。五階層のオーガは微妙かも」
どれくらい効かないのか知らないけど。
あと、自衛隊の探索チームではそこまで身体能力が上がった実感がないそうだ。理由はわからない。いろいろ考えられるが。
「俺は銃で倒すとだめなのではと考えている」
「あん?でも経験値は入ってレベルは上がってるんだろ?」
「そうだ。ただ銃で倒すのが経験かと言われるとな。努力値だったか。どのゲームかは知らんが、それが稼げないと意味がないという意見もある」
「苦労した分強くなると」
「そうなるな」
それは確かにそうかもしれない。俺も最初のうちのコロちゃん任せの時より、自分もある程度戦える今のほうが強さの変化を実感できている。魔法でもあれは自分の中の力を消費している分、自分の経験値として帰ってくるが、銃は引き金を引くだけだしな。
でも効きが悪いってのはなんだ?
「ナイフで切った時の感覚では確実に効くはずの銃で倒せなかったそうだ。ゴブリンの話だが」
そうなってんのか。俺も殴ったり切ったりしてるけど、今なんかもう簡単に切っちゃうからわからんな。
「まぁ。ダンジョン行くのはいいよ。ほかのは」
「ハァ、すまんな。それでもう一つなんだが」
「もう一つは?」
「スキルスクロールの譲渡だ」
「・・・マジで言ってる?」
「マジだ」
「マジかぁ」
一層ボスで確実に取れなくなってるから俺も今持ってないんだけどな。それを他のところで取るとか猶更難しい気がするぞおい。
「自衛隊でも一つ手に入れてな。それを使った所、スキルは無事手に入ったようでな。
銃の代わりになると期待されている。戦力強化を目指してスクロールを欲しがっているんだ」
「それはわかるけど、譲渡?」
「正確には一つ100万で譲ってくれとのことだった」
「100万?高いのか安いのか・・・」
「銃の代わりになると考えてるのなら安いな。もっと有用なのが認められれば報酬も上がると思うんだが」
「うーん。どっちにしろ今持ってないしなぁ」
「それも今度一緒に潜るときにで構わないそうだ」
「・・・一ついい?」
「なんだ?」
「どうして親父に、というより俺にそんな話が来てるんだ」
「先日のドロップが関係してくるんだが、オークの肉を調べたところちゃんと食べられることがわかった」
「朗報じゃん」
「朗報なのが問題なんだ。そのせいでダンジョン内には様々な資源が眠っているとどっかの政治家が言い出してな。
早く探せだのと騒がしくなってきた」
「へぇー」
「そもそも獲ってきたのはお前なんだがな」
「ぶっちゃけ他人事だし」
「俺だってそんなことは他人事なんだがな。まぁ、そんなわけでオークの肉を取ってこれる人物と繋がっている、もしくは本人じゃないかと言われてな?」
「実際は親父じゃないから俺だと」
「お前とバレたわけじゃないんだが」
ようするに隠し切れなくなったわけだ。まぁ、自衛隊でも行けてない階層の物であると推測される物を持って行ったならそりゃバレるわ。
「てか、隠しながら調べるんじゃないのかよ」
「今いる研究チームは国の肝いりでな。自衛隊もそうだがいろんなところの人間が入ってきている。
もっと隠せると思ってたんだが、身内の馬鹿が酔った勢いで漏らしたらしくてな」
「馬鹿はいるもんだねぇ」
「全くだ。そのせいでちょっと不味い状況でな」
「不味い?」
どうもダンジョンの物を隠してたせいで違う国に情報を売り渡してる売国奴だとか色々言われてるそうだ。これは酷いものだが。
隠してた理由も俺と家にあるダンジョンの存在を隠すためだからな。そもそも隠す理由を答えられない。答えたら俺はともかく、ダンジョンは国に取り上げられる可能性もある。
「それは困るな」
「だろ?そこでお前だ」
「スケープゴートかい」
「有体に言うと・・・」
「俺の自由を保障してくれればなんでもいいけど」
「そこなんだが、実際お前はどれくらい強いんだ?」
「どれくらい」
「ああ、場合によっては条件をもっと吹っ掛けられる」
説明するの難しいな。俺、もしくはテイムした仲間を全員含めるとかなりの物になるとは思う。俺個人も自衛隊が苦戦するゴブリンやコボルト何かは素手で潰せるし。剣があればもっと楽だ。魔法ありなら10体いても瞬殺できる。
「ゴブリンをか?」
「コボルトを、ゴブリンなら・・・やったことないけど20体くらい来ても大丈夫だと思う」
「一人でか?」
「一人で」
「そこまでか・・・」
「いっとくけどコロちゃんもっと強いけど」
「え?」
コロちゃん一匹だと今なら・・・オーガが複数いても余裕か?10体以上でも時間かければ安全に無傷でいけるはずだし。てか、何気にコロちゃん、今まで一度も被弾がないんだよな。あんなに近接戦してるのに。
「てか状況にもよるけど戦車とかでも俺勝てるぞ」
なんせ戦車ごと魔法で地面をひっくり返せばいいからな。
「・・・・・・」
「呆然としてるとこ悪いけど全員いるならもっとひどいことになるぞ」
「そんなに強くなってたのかお前たち?」
「まぁあれだけいればこうもなるわな」
実質一日中いた時もあるし、魔法の研究とか言ってオーガの乱獲とか。その分強くなるわ。
「ま、まぁそれなら問題ないだろう」
「あ、じゃあ。俺が協力する時の条件つける時俺も行くわ」
「ハァ!?」
「ぶっちゃけバレても問題ないし。俺を強制的に捕まえるのは無理だよ?」
なんせ手錠だろうがなんだろうが引きちぎれるし。魔法もあるから閉じ込められてもどうにかできる。
「・・・うん、もう任せる」
「任された」
「今、時間が飛んだ気が・・・」
「どうしたんだ?」
「何でもない」
現在朝10時
昨日の話の次の日、今は新宿ダンジョンの前にあるビルの中にある臨時本部に来ている。ダンジョンができてから店が閉店したため自衛隊が空いたスペースを使ってるそうだ。
「それにしてもでっかい入口だこと」
「それはそうよ、国にできたもんだと一番大きいサイズだそうだもの」
「あら、姉ちゃん。久しぶり」
「恭輔も久しぶり」
大門 翔子
うちの姉ちゃん。自衛隊員。階級は知らない。俺とは7つ年に差がある。身長170なので女性としてみるなら高い身長だ。親父のDNAか、筋力は高い。ムキムキじゃないのに握力たかい。筋肉が表に出ないだけなんだろうけど。
とりあえず行動力の塊。集団行動をとる自衛隊では合わないのではとか思ってが、その表情を見るに問題なさそうだ。
「元気そうでなにより」
「それ、私に言う?」
「なんだかんだ言って二年振りだし」
「ウッ。帰らなかったのは悪かったわよ」
「胸でけぇのにモテないのはそういうところだよ」
「余計なお世話よ!!」
セクハラだろうが何だろうがこの姉に俺は遠慮しない。てか遠慮する必要がない。あっちもしないし。
「ほら、二人とも。そろそろ着くから」
「「はーい」」
てか姉ちゃんは何しに来たんだ?案内にしても結局親父がすいすいと来てるし。
「お前が案内なんだから案内してくれよ・・・」
「ゴメンナサイ」
「相変わらずでなにより」
この半分抜けてる感じが実に親父と母さんの半分な感じがして安心する。




