102話
土日中にまた本編関係ないの書けたらいいなって思ってます。
昼一話。夜一話です。
「・・・本当に使うの?」
「クゥ!」
「ん~。でもさ、この間のはコロちゃんだってダメだっただろ?」
「クゥ!」
「それに、使っても変わんないかもしれないよ?」
「クゥ!!」
「ん~。決意固めだな」
そんなに使いたいかね、『妖怪化』・・・
まぁ使いたがっている理由は簡単だ。最近、トレント相手以外だと大して戦力になれてないのを気にしてるのだ。
確かに、最近はそうかもしれないが、いまだに火力面ではトップクラス。足手まといとは程遠いんだけど。
まぁふーちゃん自身の決意は固いみたいで、さっきから「使うの!」しか言ってこない。
ニホリに確認はとってるし、フミにも聞いたからこれが純粋な強化になるかはわからないって言われてる分、俺個人としては嫌なんだけどな。
この場合は、ふーちゃんの意思を尊重すべきなのか・・・
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・ハァ」
こんなにかたくななふーちゃんは初めてだ。よほど気にしていたんだろう。
それに、最近はバトちゃんが一皮むけて活躍してるのもあるのかもしれない。コロちゃん曰く、悩んでるのはこの子たち二匹らしいし。
「わかった。使おう」
「クゥ!」
「でも、フミの前でな。何かあったじゃダメなんだ」
「クゥ?」
「もうおるけど?」
「おお!?」
俺の部屋で誰もいないのは確認してたんだけど!?
「ほら、前にバレたやん?ちょっと変えてみたんよ」
「なんの努力!」
「クゥ?」
「ほれほれ、はよ使ってあげなあかんで?」
「・・・もはや何も言うまい」
ふーちゃんが加えてたスキルスクロールを受け取る。手をかざして、使用確認が頭に流れる。
ポーン
『スキルスクロールの使用を確認しました。自分かテイムモンスター、テイムアニマルのいずれかが習得できます』
もちろんふーちゃんに使う。
なんかアナウンスの文変わってる気がするけど、なんかいろいろあったんだろう。前もモンスターと動物のテイムも俺のツッコミで変わったし。
スキルを使用を念じたので、『妖怪化』はふーちゃんに付与された・・・はず。
「・・・どう?」
「・・・」
「・・・」
「・・・クゥ?」
「ちゃんと変わっとるやん」
「え」
「クゥ?」
「しっぽ。よう見てみ」
「んん?」
「クゥ?」
ふーちゃんも自分のしっぽを見ている。
・・・どう見ても普通のしっぽだけど?
そう思ってたら、変化は起きていた。何か透けているのだ。
「ふぽ!?」
「クゥ!?」
「変化するんは、うちも初めて見るわぁ」
「これしっぽなくなるの!?」
死活問題なんだが!?
「ちゃうちゃう。ほれ、終わるで」
そういわれたのでもう一回見てみると、透けているんじゃなくて、ぼやけているのがわかる。
暫くすると、増えたかのように見える。さらに時間が経つと、実体がしっかりして、しっぽが三本に増えた。
「・・・」
「・・・」
「もふもふやなぁ」
「・・・クゥ?」
「・・・・」(サワ
「クゥ!?」
「・・・すばらしい」
元々のふーちゃんのしっぽが三本に、つまり魅力も三倍に・・・
「使ってよかった・・・」
「泣くほどかいな」
「クゥ・・・」(ドンビキ
「逃がさん」
「クフ」
抱きしめる。優しく抱きしめる。しっぽが三倍でモフモフも三倍で気持ちよさも三倍で可愛さも三倍だ。
なんかもう悩んでたことはどうでもよくなった。今日は一日このままでいよう。
「はいしゅうりょー」
「おっふ」
「クゥ!!・・・クゥン」
「ふーちゃん大変やなぁ」
フミのしっぽにからめとられてふーちゃんを取り上げられてしまった・・・
あとそんなしみじみと大変だって言わなくても。
「戦力強化のために使ったんやから、そこ確かめなあかんやろ」
「・・・明日じゃダメ?」
「それでまた明日は、今度でとかいうんやろ」
その通りだよ。
「もう。進まんから言うで?」
「おねげーしやす」(スス
「クゥ~」(スタ
「・・・もうそれでええわ」
地べたに胡坐で座ったところで、足の間にふーちゃんも着席。
「妖怪化言うんわ、文字通り妖怪になるスキルや」
「それはニホリから聞いたな」
妖怪になるだけで、スキルはその時点で消えてしまうらしい。
「『悪魔化』も持ってるよ」
「ほ?それも持っとるんか。結構あたりひいとるんやな」
「やっぱ当たりなのか」
「精霊系のスキルより上やで?貴重って意味でやけど」
使える物かどうかは物によると、まぁありがちだな。それは想定してた。
「まぁそのレア枠の中でも『妖怪化』と『悪魔化』は結構シンプルや。なんせ自分のスペックの変化がメインになるからな」
「ほう?」
「使用者にもよるんやけど、ふーちゃんの場合はどっち使っても魔力は強化されるで」
「俺の場合は・・・両方が均等にか?」
「その通りや」
なるほど、使用した時点でのステータスに影響を受けているんだな。ていうか、俺ってやっぱり均等になってるのか。
そういう風になれるように戦ってたけど、最近魔法多くてどうかと思っていたが。
てか、フミ、もしかしてステータスわかる?・・・後で聞くか。
「あ、そやそや。カード見てみ。ふーちゃんのスキルのところな?」
「・・・どこ仕舞ったか」
「クゥ」
「ああ、あそこか」
「なんで忘れ取るんや・・・」
全く見ないからだよ。この間お前のレベルを見てから机の中に放置してたわ。
そんなわけで、カードを見てみる。
ふーちゃん『豪炎魔法』『幻術』『変化』
「おお!大当たりや!!」
「・・・なにこれ」
「妖怪になった時に魔力が上がると、スキルがいくつか変化したり、増えたりするんや」
「はぁ」
「二つも変化あるんわ大当たりやでぇ。基本的に一個やし、確率的には変化なしもあるわけやから」
「いや、それより『豪炎魔法』って」
「火魔法の強化やで?」
「強化あるのか」
「普通はスクロールで習得したときに上書きされるやっちゃな。持ってたらやけど」
「ふーちゃんは持ってたから上書きされたと」
「そういうことや。別のやったら、純粋に『豪炎魔法』が増えたか、別の魔法が強化されるか、はたまた何もないか」
「まぁラッキーだったってことでいいのか」
「もうびっくりするほどラッキーやで。ニホリちゃんに『幸運』つこうてもらっとる?」
「んなわけないじゃん」
そもそもそんな運要素あるの知らなかったし。知ってたら頼んだかもしれないけど。
「クゥ?」
「あ。火力馬鹿上がりしとるからやめとき」
「クゥ!?」
「今使おうとしたのか!?」
室内なんでやめてください。
「まぁ、試すんわダンジョンでやな。ほな行くで~」
「え、今から?」
他の子たちいないか遊んでるか寝てるんだけど。
「あ、せっかくやしユニちゃんも連れてこうや」
「ええー」
「ユニちゃん、仲間外れで寂しがってたで?」
「グウ」
「グウの音が出とるで」
まぁ寂しい言われたら・・・なんも言えないわな。
事実、結構一匹の時間が長いのは確かなのだ。俺もできるだけ一緒にいるようにはしているんだけど・・・そっかぁ
「・・・護衛は任せていいんだよな?」
「もっちろんやで!」
「んん~。なら・・・行くかぁ」
「よっしゃ!約束守れたで!」
「約束?」
「ユニちゃんも一緒につれてったるって言うてもうたからなぁ」
「ああ、そういう」
仲いいようで何よりだけど、そういうのは一回俺と相談しよ?こういう唐突にじゃなくて。




