99話
なんか仕事が速く進み、普通に投稿できる感じになりました。
そんなわけで夜分一話です。
「うわぁ、本当にあったよ」
「クゥ?」
「遺跡ってやつだな。誰が建てたんだか」
森のいたるところにそれっぽい物はあった。例えば、石でできた意味深な塔とか。
だから、もっと大きい物もあるのではと探してみようと思い、ダンジョンに来てみたらドンピシャよ。
「ありがとうな。コロちゃん。バトちゃん」
「ワン!」
「きき~」
コロちゃんは匂いで、木以外の物を、バトちゃんは上空から探してくれた。
木が邪魔で空からだと見えなさそうなものだが、遺跡が本当にあるのなら、上から見ても違和感の残る部分があるはずと思ったのだ。
その結果は正解、遺跡のある部分は、違和感どころか、そもそも木が生えていなかった。後はコロちゃんの嗅覚で道中に何もないか確認してここまで来たのだ。
「中は・・・大丈夫か?」
「ぴ?」
「いや、罠とかさ。ここの階層にはあったわけだし」
今までのこっちの動きを阻害するような物なんてなかったのにな。
あのリンゴ擬きを取ると槍で止められるように、中にも何かあると思ってもいいだろう。
中に入らないで状況がわかるのがベストだけど、そんな方法ないしな・・・
「硬質化」使いながら無理やり入るか?
「る!」
「ん?」
「るるー!」
「にゃん」
「ああ、ふーりんちゃんならそうか」
悩んでたところにふーりんちゃんに行かせようと提案が。ふーりんちゃん自体も乗り気のようだ。
だしかに物理無効だし、俺より安全か?
「でも魔法系の罠があったら?」
「にゃー・・・・」(スゥー
「あ、そっか。即死しない限り無敵みたいなものか」
ふーりんちゃんはスキルで呼ばれている関係上、ピッちゃんの元にならすぐにでも戻れる。
そんなわけで、ふーりんちゃんは捕まっても死なない限りはいくらでもピッちゃんの元に戻れる。一回召喚解除してしまえば俺のところにでも来れる。この場合は魔力をそのたびに消費するけど。
「よし頼んだ」
「にー」(ピュー
「・・・そういや。あの子ってずっと飛んでるな」
「うー!」
「るる!」
「精霊だからか・・・」
猫の勉強したのになんでだって思ったけど、あれは精霊の特性なのね。
「さて、じゃあ戻ってくるまで少しまt「にゃ?」速い!?」
「るる?」
「にゃ」
「るー・・・るる!」
「ああ、そういうね」
中入ったらすぐにボスの扉があったそうだ。だからすぐに戻ってきたのか・・・
え、じゃあ何。この遺跡は見せかけなの?こんなにそれっぽく作られてるのに?むっちゃ無駄じゃん。
「う!」
「そやねぇ」
「・・・よし、無視しよう」
なんか考えてもいい答えでなさそうだし、やめよう。ニホリがちゃんと意味あるよーとか言ってるけどスルーしよう。
「まずはボス優先で」
「ワン!」
「ちゅちゅ!」
「乗り気だねー」
なんか今回嫌にみんなやる気満々な感じが・・・まぁいいか。
扉の先は、一気に環境が変わっていた。
広がるのは一面の砂漠。植物が一本も生えていない不毛の大地だ。強烈な日照りのせいか、急に気温が上がったみたいだ。
「砂漠・・・初めてだな。足を取られるなよ」
「クゥ・・・」
「ワフ・・・」
「歩きづらいか」
コロちゃんとふーちゃんは歩きづらそうな。地面は熱くないのか、その点は大丈夫のようだ。
だけど、砂のせいで踏ん張りにくいようだ。この調子だと、コロちゃんの高機動は期待できないかもしれない。
脚がないすらっぴは暑くてすでに嫌そうにしてるし、バトちゃんは日差しがきついせいできついらしい。ねっさんもコロちゃん達と同じみたいだ。分身たちがちゃんと動けていない。
ちゃんと動けるのは俺とピッちゃん、ふーりんちゃんにしーちゃんだけだ。
すると、ボスが来たようだ。
地面に潜っているようだ。サメのひれらしきものが見える。
速度はなかなかに早い。通常時の俺よりは速いな。
「地面の中を泳ぐサメ・・・厄介そうだなおい」
とりあえず、バトちゃんの問題は解決しておこう。
「これで大丈夫?」
「きき!」
簡単な話、魔法で屋根を作ってあげればいいだけだ。そうすることで日差しは遮れる。ついでにすらっぴも下にいれば外より涼しいだろう。
問題は、俺の方で新しいマズイことが分かったことだ。
「ごめん、俺今回普通にしか魔法使えないかも」
「きき!?」
屋根を作る際に砂に干渉したんだが、明らかに普通の地面の時より動かすのにかかる時間と魔力が多くかかったのだ。
感覚的に、魔力は倍以上の消費があった。非戦闘時に何かする分にはいいけど、戦闘状態で時間をかけて何かするのは厳しいだろう。
砂な分、固めるのにも時間がかかりそうだし。
「・・・てかしーちゃんの魔法もダメなんじゃね?」
「・・・めぇ」
サメは砂を泳いでいる。要するに地面の下だ。
それだと、雷が地面に流れてサメ本体に届かない。
「むっちゃ不利じゃんか」
「手ぇ貸したろか?」
「・・・いや、まだいい」
それでも、やりようはある。完全に手札が殺されたわけじゃないんだ。
ただちょっと限定的になっただけだ。
「来るぞ!」
戦闘開始
「やりにくーい」
「クゥゥン」
周囲にサメが泳いでいる。気分はさながら沖合の岩礁の上にいる気分。映画でありがちなやーつ。
さっきはまだ大丈夫と言ったな、あれは嘘だ。
一匹なら何とかできたんだけど、なんか三匹いた。複数でのボス戦とか9層以来なんじゃないか?
ってそこじゃない。問題は、こっちの攻撃が全部回避されることだ。
相手の攻撃は突撃から噛みつきオンリーな分こちらも回避は出来る。
だけど、こっちが攻撃しても砂に潜られて避けられちゃう。
砂を無視して攻撃できればいいんだけど、今のところ全部砂に阻まれている。
おのれ砂め
「普段なら俺が地面毎ひっくり返せるのにな」
「ぴ~」
「ああ、また干からびかけてる」
ていうか、俺もいい加減熱くなってきた。上着とかも来てたが、全部脱いじゃったし。
現状シャツ一枚だぞ。このままは本気でまずいな。敵自体より、環境が厄介すぎる。
「・・・き?」
「はい?軽いか?そら砂だからな。でも大量にやるとなると同じだぞ」
「きき!」
任せてと言い、屋根の下から出て一気に硬度を上げる。
サメは攻撃範囲から外れたバトちゃんは気にもしていない。何をする気だ?
すぐに、答えはわかった。
バトちゃんの周囲の魔力が一気に上がった。大きな魔法を使うようだ。
「・・・それやばくないか!?」
「ほえ?」
「フミもニホリもこっち来い!!」
皆に近くに寄ってもらって、地面に干渉する。魔力を食うが四の五の言ってられない。
サメも大きく上がったバトちゃんの魔力に気がついたようで、顔を出して見上げている。
ちょうど干渉が終わり、俺たちを囲うように壁を作ったところでバトちゃんの魔法が発動した。
「最悪、手伝って!」
「ほほー。なるほど。やるもんやねぇ」
「呑気か!」
いやフミにとっては大したことないのかもしれないけど、俺たちにとっては最悪これで死ぬぞ。
バトちゃんは、今までにないくらいの巨大な魔法で、砂自体を一気に巻き上げる気なのだ。
砂嵐のような形で、砂ごとサメをどうにかしようというのだ。
問題は、俺たちが普通に巻き込まれることで。
周囲を覆ったことで、外の様子は見えないが、轟轟と強烈な暴風の音が聞こえる。
さながら台風のような音だ。
「ふーりんちゃん。外見える?」
「なーご」
壁をすり抜けて出ていくふーりんちゃん。物理無効だと、砂自体の影響は受けないから、少し顔を出すだけなら問題ない。
「にゃん」
「ここ以外の地形がえぐれてる?バトちゃん、ずいぶん本気でやったな」
文字通りの全力を出したようだ。どれだけの砂を巻き上げたのか。
「すまんフミ。バトちゃんの回収だけ頼めるか」
「はいなぁ」
そう言って、すぅーっと体が透けていく。頼んでおいてあれだけど、何でもありかあいつ。
それにすぐに戻ってきたし。
「ほれ。魔力はからっから見たいやけどなぁ」
「き・・・」
「よくやったよ。お疲れ様」
「ぴぴ!!」
「きー・・・」
「あ、上にある砂だけは払っといたで」
何か結構力貸して貰っちゃてるけど、今はいい。後でお礼はするさ。
今は、バトちゃんの頑張りにこたえなければ。
「砂にもう一回潜られたら終わりだ。一気に終わらすぞ」
「ぴぃぃぃぃ!!!」
すらっぴも、バトちゃんの頑張りを見て張り切っている。
「行くぞ!!」
「ぴぴ!」
壁を解除しようとしたその時。
「ん?敵はもうおらんで?」
「・・・・ん?」
「・・・・ぴ?」
「バトちゃんが空中でバラバラにしとったからなぁ」
「きき・・・!」
「・・・」
「・・・」
・・・・・・・・・え
え!?




