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異世界銃ストーム!  作者: さかさき
2/3

時空間転送装置

「いたっ!あそこだ!!」

敵の怒号が飛び交う。と同時に、こちらに向かって走ってくる。

どうしてこうなったんだと内心思いながら、俺は逃げる。

泣き言をいっても始まらない。こういうときは一旦距離をとるのが得策だ。


話は数時間前にさかのぼる。

「君に秘密結社からあるものを奪ってもらいたい」

とある組織の長、フルー・ロールが話し始めた。

「その秘密結社の名はスクエア。科学者、Dr.スクエアがボスを務めている」

Dr.スクエア。話に聞いたことがある。

彼自身は天才で、危険な機械を生み出す、まさにマッドサイエンティストだ。

フルーは話を続ける。

「Dr.スクエアから時空間転送装置を盗んでもらいたい」

なんだって?時空間転送装置だと?

俺は内心焦りながらフルーに質問する。

「すなわち、タイムマシンということですか。」

「そういうことだ。これを悪用すれば、世界を征服することも可能だろう」

さすがはDr.スクエア。不謹慎だが、誉めざるをえない。

「なるべく内密にな、頼んだぞ」

「わかりました」

そういうわけで俺はDr.スクエアの本拠地に単身乗り込むことになった。


Dr.スクエアの基地は孤島の上にある。

俺は水中から気づかれぬよう基地に近づき、吸盤を使って外壁を登った。

壁の途中にある排気口をバーナーで焼き切り、配管を進む。

監視カメラがなくて音のしない部屋を見つけ出し、配管から抜け出す。

これで侵入は成功だ。しかし、問題はこれからだ。

この部屋の外には見張りがいるだろう。

しかし、こちらには対策がある。おなじみ、魔法弾だ。

今回はハンドガンに雷属性の魔法弾を装填し、中距離から弾を当てる。

いわば、中距離型スタンガンというわけだ。これで見張りを気絶させられる。

本当のスパイなら躊躇なく敵を殺すのだろうが、今回の任務では殺しは許されていない。

なぜなら、依頼人のフルーはなるべく穏便かつ内密にことを済ませたいからだ。

そういうわけで、今回は雷弾や粘着弾、閃光弾といった非殺戮的な弾しか持ってきていない。

まあ、なんとかなるだろう。

そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれることになる。


扉を少し開き、部屋の外の様子を窺ってみた。

外には見張りが3人。

距離はハンドガンが届く距離。

おそらく、一人に弾を撃った時点で、こちらの存在に気づかれるだろう。

それならば、先に閃光弾を放っておき、即座に3人に雷弾を撃つのが正解だろう。

そうすれば、この場はなんとかなるはずだ。

よし、行くか。

全員がこちらから視線を外したら撃つ。

よし、今だ。

俺は閃光弾を撃った。

ピカーっと強い光が放たれる。

「何だ!?」

目を抑えながら、見張りがうろたえる。

その隙に雷弾を3発撃つ。

―――3人は気絶したようだ。

ふぅ、と息をついたのも束の間、俺はあることに気が付いた。

というか、失念していた。

部屋の外にある監視カメラがこちらを向いていた。


というわけで今の状況に至る。

俺は走りながら物陰に隠れ、敵兵の攻撃から身を隠す。

攻撃の手が緩んだ隙に、雷弾を連続で撃つ。

弾をリロードし、すぐにまた雷弾を撃つ。

これを繰り返す。

鳴り響く銃声。最後の一人に弾が当たる。

敵兵を全員気絶させることに成功した。

一息ついたところで、敵の腰に情報端末があることに気が付いた。

俺は情報端末を奪い、操作してみる。

ありがたいことに、この基地のマップを示す機能が備わっている。

これで、時空間転送装置の場所もわかる。

俺は先を急ぐために、走り出した。


時空間転送装置のある部屋は、セキュリティが厳しかった。

どうやら、Dr.スクエアが認めた者しか入れないようになっているようだ。

俺は四角い物体を取り出す。

これは情報収集装置。機械に当てるとその機械の情報を読み取ることができる装置だ。

この装置は科学に加え、魔法の力も加えてあるため、大抵のセキュリティは突破することができる。

俺はさっそく、この装置を使ってセキュリティを突破しようとした。

思ったよりも時間がかかる。そう思っていたら、

ぷしゅぅう――――

大きな音を立てて、装置が壊れた。

しかし、セキュリティは何とか突破できたようで、扉が開く。

高かったんだぞ、これ・・・。

そう思いながらも、俺は扉の中に入っていった。


鍵がかかっているから、扉の中は誰もいないだろう。

そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれた。

扉の中で、黒い白衣(矛盾しているようだが)を着たいかつい顔の中年の男性と、20代と見られる女性が佇んでいた。

おそらくこの男性がDr.スクエアだろう。

それを示すようにDr.スクエアは話し出す。

「よく来たな。俺がDr.スクエアだ」

低い声が部屋の中に響く。

「さしずめ、フルー・ロールにこの時空間転送装置を盗むよう頼まれたってとこだな?」

こちらの行動が読まれている。ここから先は隠密にはいけないだろう。

まあ、すでにそんな状況ではないが・・・。

Dr.スクエアは話を続ける。

「今からお前と戦うこいつはこの組織の中で最も強い」

こいつというのは女性のことだろう。

「コードネームはダイヤ。お前ではこいつに勝つことは無理だ」

俺は挑発を無視し、即座にハンドガンを構える。

戦闘開始だ。

ダイヤと呼ばれたその女性は手に火をまとった。

こいつ、魔法使いだ。

そう思うのと同時に、ダイヤは手から火を放ってきた。

俺は火をかわしながら、雷弾を撃つ。

しかし、彼女は今度は手に電気をまとい、俺の雷弾を防御した。

「フハハハハハ。これでもお前は勝てる気でいるのかな?」

Dr.スクエアの言う通り、このままでは俺に勝ち目はない。

ではどうするか。簡単なことだ。装置を盗んで逃げるだけだ。

幸い、俺の目の届くところに時空間転送装置は置いてあった。

台座の上に装置はあった。形は水晶よりも一回り大きい球である。

彼らの後ろに台座があるから盗むのは難しいが、このままやりあうよりずっと可能性がある。

俺は閃光弾を銃に仕込み、遮光眼鏡をかける。

彼女の攻撃と攻撃の間のタイムラグに閃光弾を撃つ。

パァーーーーーっと光が部屋中に広がる。

今の内だ。俺はフックと縄のついた銃を取り出し、天井に向かって撃つ。

見事、フックは天井に突き刺さり、俺はターザンのように装置のある場所へ渡った。

そして、時空間転送装置をカバンに詰め、また縄で扉の前に渡った。

ここで、閃光弾の光が切れた。Dr.スクエアは即座に装置が盗まれたことに気づき、叫んだ。

「そいつを捕まえろ!」

ダイヤは今度は手から水を発射した。俺は扉から出ようとしていたため、その水をかわしきれなかった。

とはいえ、水は水だ。当たったところで致命傷にはならない。

そんなことを考えていると、ダイヤは水に電気を流してきた。

しまったと思ったのも束の間、俺は電気を浴びせられて動けなくなる。

彼女は無言で近づいてきて、地属性の攻撃を手にまとい、その手を振り下ろそうとする。

俺は攻撃をくらってしまった。

「これでおしまいだな」

Dr.スクエアが低い声で言い放つ。ダイヤはもう一発攻撃をしようとしていた。

俺はなんとか腕が動くようになった。

そこで、至近距離から風属性の魔法弾を彼女に当てた。

彼女は吹っ飛び、壁にぶつかった。これでしばらくは動けないだろう。

今が逃げるチャンスだ。

俺はなんとか動けるようになった体で一目散に扉に向かって走った。

今度はDr.スクエアが俺の行く手を阻む。

「魔法の銃が使えるのはお前だけではない」

そう言うや否や、Dr.スクエアはハンドガンを取り出す。

「お前は今後の研究材料のために生かしといてやる」

そういって、彼は雷弾を撃ってきた。

なんとかかわした俺は、脱出する方法を考える。

持ち物すべてを使ってでもここから逃げ出す。

今俺が持っているものは、雷弾、風弾、閃光弾、粘着弾、壊れた情報収集装置、それに・・・

そうか!時空間転送装置だ!これで空間を移動すればいいのか!

俺はおもむろに時空間転送装置を取り出し、ボタンを押す。

目標はフルーの基地でいいな。

「何をするつもりだ!」

そういうと、Dr.スクエアは俺に向かって雷弾を撃ってきた。

俺の目の前に雷弾が迫りくる――――

間一髪で俺は装置を使って瞬間移動をした。


フルーの基地に着いた俺は、装置をフルー渡し、治療を受けた。

なんとも手ごわい相手だった。

Dr.スクエア。彼の存在は今後脅威になるだろう。

それにダイヤと呼ばれていたあの女性。

並みの魔法使いではないようだ。

そんなことを考えながら、俺は治療室のベッドで眠りについた。


Dr.スクエアの基地。

「Dr.スクエア、あの装置が奪われて良かったのですか?」

ダイヤは尋ねる。

「あの装置は一部の力しか使えない。完全な力が使える装置はまだこちらの手の中にある」

Dr.スクエアは答える。

「その装置は今、海を渡っている頃だ。計画はまだ破綻していない」

彼は不気味な笑みをうかべる。

「全世界を支配する!」

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