正午からの挑戦
「取り敢えず、ここが食堂だよ」
わたしが考え込んでいるうちに、着いていた。
見た感じ、広い食堂。
イスとテーブルがいくつもあり厨房の方では忙しそうに働いている人がいた。
「私のオススメはサバの味噌煮定食だよ」
詩織さんが嬉しそうに紹介してくれた。
「お姉ちゃんは、いつもデラックス丼だもんね!」
「………」
その言葉に何か言いたそうにしているところをよそに
「いいじゃあない!いずれ大食いキャラだってバレるんだから」
「それは、わかってるけど……」
恥ずかしそうに頬を赤くし、顔を逸らした。
「って、そういえば、もうそろそろお昼になるね」
時計を見ると長い針が10を指していた。
「じゃあ私が頼んでくるね」
その一言を言うと私の手を掴んで注文口に進んでいった。
「凛ちゃんは、何にする?」
まだ決まっていないが、一つ目に付いたものがあったのでそれを頼んだ。
「チャレンジャーだねぇ」
その言葉に疑問を持ちつつ料理ができるのを待っていると
「今日の定食のお客様ー」
私はその大きさに驚愕した……
「凛ちゃん……、食べきれる?」
無言で頷きながら黙々と食べ続けたが5分も経たないうちに限界がきてしまっていた。
「詩織さんたちはいつもここで食べているんですか?」
「毎日ってわけじゃないけど週一ぐらいかな」
「仕事が休みの日には、家事をしてくれるし本当に出来た妹だと思ってるよ」
その時、私の中で蘭さんの印象が斜め下に下がった。
かなり遠くに来ていた。
その後、開発課、訓練所、街にも行った。
「最後になっちゃったけど、ここがお気に入りの場所だよ」
そこには、真っ赤に広がる夕日が輝いて見えた。
ゆっくりながらも一秒、また一秒、波の音とともに消えていった。
「凛ちゃん、どうだった!とっても綺麗だったでしょ」
凄い勢いで詰め寄ってくる詩織さんに、私は少し間を置いてから返事をした。