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『神の代柱』  作者: リンリ
前奏
1/5

だから仔獅子は手を差し出す

よろしくお願いします

 太古の時代。


 『光神』、『雷神』と呼ばれる剣神ユフィリウス率いる陽軍と、『闇神』、『地神』と称された剣神ガレリアに連なる陰軍による『聖魔戦争』が勃発。かつては子を為す程に仲睦まじかった二柱は相容れぬ主張を持って争い、世界をも巻き込んで抗戦が開示した。


 結果あらゆる概念が“存在しない”『レイオスの川』内にて主たる神々は相討ちとなり、両軍は共倒れとなった…………かに思われた。


 神々の戦により疲弊した現世に神が下ったのだ。

 それは、『審判の神』と称される、天秤と長槍を携えた凛々しき神であった。

 それは、見える物全てを見通す天空の目と、見えぬ物全てを見通す大地の目を持っていた。

 それは全てを創造する銀の小手と、全てを破壊する金の小手を身につけていた。

 それは原初の二柱の持ち物であった聖剣、魔剣を自在に操り、彼らを父母神と呼んだ。

 それは漆黒と純白の入り乱れた豊かな髪を結い神々しい美しさを湛える、見た目の年齢すらも掴めぬ柱であった。


 神の名は『エリュウデシア』。

 彼の神は人々に祝福を与えた。


 審判の神が自らの骨で作られたその天秤で父母の心臓を図り罪の重さを問うと、それは僅かにながら母たるガレリアへと傾いた。

 僅かであろうと罪は罪。

 新たな人々のには母神の説いた『全てに等しく地の底にて安楽の死と輪廻転生』を根本とする教えではなく、『選ばれた物達での天高くによる永遠の停滞』を望む父神の教えが広められた。

 また彼の神は父母に追従し死んだ陰陽の主神ら十四柱を、同じく世の陰陽の英雄十四名へと封印した。

 以後それぞれの英雄が起こした国々では王とは別に、神の代理人として『代柱』が立てられるようになる。


 エリュウデシアは全ての民を平等に扱った。陰へ罪を問わなかった。

 とは言え罪は陰にある。

 むしろ“神が罰を下さなかったから”こそ、陰の人々は迫害されたのだ。


 であるならば戦犯であり『邪神』である陰の神々らの代理人である『代柱』に罰を与えて何が悪いのだ。


 例えそれが生まれたばかりの幼い少年でも。

 例えその父母らが、命を賭してまで少年に封印を施したのだとしても。

 少年が陰の神『代柱』として生まれたのだから、仕方あるまいに。


 


 ………陰の一柱、『智謀』を司る弓神『ダルティナ』の『代柱』である。

 たったそれだけが、俺が逃げるようにここに辿り着いた大凡の理由である。 


 それなのに。

 俺なんかより、彼女はずっと恵まれている筈なのに。

 俺なんかより、彼女はずっと幸せな筈なのに。

 どうして。


  お前はどうして、ここにいるの?


  お前はどうして、そんな顔で笑うの?


  ねぇ、俺に教えてよ。天の聖姫サマ

                  」


 



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