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異世界で美容整形医はじめました  作者: ハツセノアキラ
こうして僕は国王に認められた
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2-070-1 情報共有は大事なようで①


 サラに温泉へ移動してもらうことも完了し、キシラとも仲良く出来そうなことが分かって安心したところで、僕は次の作業に掛かった。

 魔法武具の入った自在倉庫は、温泉の倉庫に降ろしたので完了。

 後、王都に戻るまでにしておかないといけないのは、王子親子の仮の住まいだ。

 仮とはいえ相手は王族、粗末なところに泊まってもらうのも気が引ける。

 この機会に庶民の暮らしを知ると良いよ、なんてそんな環境変化を体感してもらいたいわけでもない。


 ということで、特別室の近く、更に山側に宿泊施設を建てようと思う。

 温泉建てた時は、エルフ師匠(へんたい)の来訪や街道の修理で、結局宿泊施設を建てられなかった。

 でも、その時建てていたら、きっと王族が泊まれるような施設にはしなかっただろうから、結果的に良かったのかもしれない。

 魔法のお陰で、建て直すのも簡単なんだけどね。


 僕は、引き続きクタレとスヴェトラーナを連れて、建設予定地に来ていた。

 ナーヴフェルマーサ号の内装は、陛下にもレバンテ様にもクタレにも受けが良かったので、同系統のデザインで建てたいと思う。

 特別室や受付との雰囲気差もそれほどなく、落ち着いたデザインだし旅館にぴったりだと思う。


 となると、自分の発想で設備を建てるより、コンセプトのハッキリした魔法で一元製作した方が、まとまりがあって良いと思う。

 造るのは楽しいので、決して面倒くさいからではないよ。

 ただ、陛下と村長(おとうさん)の話が終わるまで、という時間制限があるので、楽しんで作って時間を忘れてしまっては困るのも確かだから。

 ナーヴフェルマーサ号を作った魔法と似たようなデザインってなると……魔法登録者で検索だね。

 しっかりデザインされた船だったと思ったら、魔法登録者がデザイナー集団らしかった。

 これは登録者買いしてしまう魔法だわー


 このデザイナー集団が登録した魔法は、個人向けの様々な設備を作れるものが揃っているようだ。

 船だったり、車だったり、家だったり、庭だったり……城だったり、都市デザインならぬ村デザインだったり……小惑星デザインだったり……?

 どうやら、個人というのは「自分一人が好きに出来る範囲」という意味合いであって、星をひとつ所有していたら、星まるごと改造することも個人使用らしい。

 後半は見なかったことにして、今回は家を建てる魔法が使いやすそうだ。


 外観も内装もこだわった、水道や外部エネルギーも不要でメンテナンスフリーのお屋敷が、わずか数秒で貴方のものに!

 という謳い文句らしく、デザイン一覧から好きなのを選んだら、風呂敷を拡げるようにお屋敷が展開された……

 いや、船の時もそうだったけど……うん、簡単なのは良いことだね、前向きに考えよう。

 これって、もうそのまま王子親子の住まいにしても良いんじゃない?

 ここに宿泊してもらって、良し悪しや使い勝手を聞いてから、最適な屋敷を別に造るのがいいのではないだろうか。そうに違いない。


 クタレとスヴェトラーナの反応は、ナーヴフェルマーサ号の時とほぼ同じだった。

 念のために、後で陛下とレバンテ様に見てもらおうかな……

 設備としては、オプション選択時に必要なものはとりあえず揃えたから、寝具もアメニティーも揃っているのですぐに宿泊できるようになっている。

 元々、旅館は建てようと思ってたし、試すには丁度良いかな。

 後は食べ物だけ……いや、実は、ボタンを押せば食べ物が出てくるような設備もあったんだけど……あとはロボット掃除機とか……でもそれらはやめておいて、キッチンや掃除道具の方を選んだ。

 侍女さん達の仕事がなくなってしまっては、立場とか困るだろうからね。

 僕自身の別荘とか建てるときには積極的に採用を検討しよう。


 順調に仕事が終わったので、個人的な用事をもう一つだけ終わらせて、僕たちは特別室へ戻った。


◇◆◇◆◇◆◇


 僕が戻る頃には侍女さんたちも戻っていて、すでに部屋の前で待機していた。

 一人足りないのは、扉番をしていた人が交代で温泉に行ったから、かな?

 やっぱり、陛下の話がいつ終わるか分からない状態では、ゆっくり温泉に浸かることは出来ないか……

 せめてクタレを預かった分だけ、負担が減ったと思いたい。


 でも、この感じだと、まだ陛下から声が掛かっていない状態なのだろう。

 大丈夫なのかな……?

 侍女さん達が不安そうにしているということは、普段より長い時間声が掛かっていないのだろう。

 これは一度様子を見た方が良さそうだ。


 とりあえず、部屋には入らず音の確認から。

 魔法で部屋の中の音を拾うようにすると、まだ元気に喋る陛下の声が聞こえてきた。

 声の内容には触れないようにして、今度は赤外線探知の魔法を使って、陛下の居場所を探してみた。

 すると、大きな浴槽がある場所ではなく、もっと特別室の入口側から聞こえてきていた。

 そして、異様に周りの温度が低い。

 頭の中で間取りを思い出して……ああ、そこは水風呂だ。

 風呂場にウォーターサーバーも用意してあるし、水分不足になるようなことも無い。

 ウォーターサーバーの水はミネラルも入っているので、塩分不足もそうそうならず、エンドレス入浴が可能になっている。

 そりゃ、話が尽きない限り声が掛からないよ。

 うん、入浴を楽しんでいるようで何よりだね。

 でもそろそろ帰らないと、王子親子を連れてくるのが遅くなっちゃう。

 あまり夜遅くに王子や王妃が移動すると、変な噂が立ちそう。

 日が沈むまでに、レバンテ様のお屋敷に集合した方が良いのでは?

 因みに、日照時間の短いシエナ村は、既に日没感が出始めている。

 仕方ない……

 声を掛けて帰り支度を始めてもらうようにしよう。


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