スパルタ的なあれ2
???日目。
瀕死の状態になることで自己治癒力を最大に、その瞬間回復魔法を掛ける事で元通り以上の体格、筋肉、神経、骨格になる。
という理論の元、俺はボロ雑巾のようになりながら攻撃を食らっている。
ただ、勘違いしてほしくないことが一つある。それは「攻撃を食らえる程にまでは頑丈になっている」と言うことだ。
頭部は消失から粉砕、陥没、とレベルアップしてきて今となっては瀕死で済むようになっているし、
攻撃だってクリーンヒットさえしなければ4~5発は耐えれる程になっている。
神経伝達速度や思考速度も龍の謎理論で元とは比べものにならない程に上がっている。直近の目標はあの龍を一歩でも退かせる事だ。
…あっ、今「寝るときに動くじゃん」とか揚げ足取ろうと思っただろ。
……寝てないよ?
もう一度言うけど、……寝てないよ?
今のところ不眠不休で毎日毎時毎分毎秒毎瞬、謎理論回復と攻撃を繰り返しているからな?
今の段階は本気の蹴りと弱気な殴打の混合だ。そして俺は未だに一発もあの龍へ攻撃を当てれてない。
一応砕かれる前提での迎撃はしているが、その次が続かない。砕かせてるんだから一瞬くらい止まってほしいもんだ。
その一瞬があれば拳の一つでも当てられる筈なんだがなぁ。
そんなことを思いつつトライアンドエラー。もう数えるのも嫌になるほどの回復と瀕死。寝なさ過ぎて昼と夜の概念が暗いか明るいかの違い程にしか感じなくなってきたある日。
ある一つの結論にたどり着いんだ。
「いらない情報は切り捨てよう」
まず一つ目、嗅覚。
そして二つ目、味覚
さらに三つ目、聴覚
重ねて四つ目、触覚
最後に五つ目、色覚。
今俺の見ている景色は奥行きのあるモノクロ動画みたいなものだ。その代わり、筋肉の微細な動きを見て取れるようになった。
「これが答えか!」
「10点」
俺は視界の外から股間を蹴られて意識を手放した。