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閑話 恋愛模様

この閑話しばらく続きます。

設定のつじつま合わせ程度だったのが、妙に長くなってしまったというのが実情です。

話が進まない、テンポが悪い、話が重くなりすぎるの三重苦を背負うこの閑話。

番外編にして投稿しようかなと思ったのですが、まぁいいかの精神でここに投稿することに。

別に飛ばして読んでくれてもかまいません。(読む前の注意事項)

後、前話を11月9日に編集しました。

「ねぇ、空はどうしてこんなにも青いのかしら」


 だれもが一度はこの問いを誰かに投げかけたことだろう。

 相手は自分自身か、家族、はたまた友人かもしれない。


「気の利いた、それでいて美しい表現を期待しているわ」と、エリンが犬が期待で尻尾をぶんぶん振っているのと同じくらいわかりやすい期待の目線を幼馴染の少年たちに向ける。


「そうだね。太陽に合わせてるんじゃないかな! 太陽は赤って感じだろ、だからみんなをもっと照らせるように青いんだよ」


 大人がいれば失笑していただろうが、シアノの答えはエリンの美意識をうならせた。

 事実を知っているシックは『こいつら何を言っているんだろう』と言いたげな顔だ。


「空が青いのは、海の色を映しているからなんだ」


「何よそれ、詩的でもないし美しくないわね」


 良薬口に苦し。

 端的な事実はエリンとっては退屈なものだった。


「でも、事実なんだよね」


 それでも続くダメ押しに「ア~、ア~、ア~」と、耳を塞いで聞かないようにする。

 幼馴染の二人があきれているのにすら気が付かずに。


『僕が妥協した方がいいかな』

 シックがあまりのうっとうしさに白旗を掲げる。


「そうだね。僕が間違っていた。空が青いのはきっと海のようにすべてを包み込むためなんだ」


 とっさに、作り話を語った。

 即興だったので出来は良くないが、当座はしのげるだろう。という考えは、すぐさま打ち砕かれた。


「何を言っているのシック。空が青いのは海の色が反射しているからじゃない。常識でしょ」


 シックはとびかかった。

 だが、シアノに押さえつけられてしまう。


「待て、待ってくれシック。気持ちは分かる、分かるけど落ち着いてくれ」


 あまりの理不尽さに、唸り声をあげ、か弱い女の子(エリン)に殴りかかろうとするシックをシアノが羽交い絞めで抑え込む。


 エリンもここまで怒り狂うとは思っていなかったらしい。『えっ、えっ‼ これ私が悪いの。謝った方がいい』

 その思いを目線だけでシアノに伝えると『そうしろ』と強く頷かれた。

 まだ、オロオロとしているエリンに『そろそろ、抑え込むの限界だからさっさと謝れよ』

 今度は催促する。

『でもでも、今回の件は私のせいじゃないし、このていどのことでおこるなんてシックの方が悪いじゃないの。だから、謝るの手伝って』

 ここまでくると、阿吽の呼吸で通じ合っていたシアノもめんどくさくなった。

 具体的に言うと、怒れる猛獣を解き放ったのだ。




「ごめんなさい。わたくし目が悪うございました。今度からはこのような事は致しません」


 頬に真っ赤な紅葉を咲かせたエリンはロボットのような平坦な口調で謝罪を口にした。


「シック、エリンも反省したみたいだしもういいだろ」


 もしシアノが巻き込まれないように数歩離れていなければ、エリンは彼を救世主と崇め奉っただろう。

 今のエリンにできるのはシアノを怨念を込めた視線を送るだけ。


「ごめんなさい。でも、どうしてもこういう理屈っぽい話は苦手でね」


 エリンの父親は、引退しているとはいえこの国で最も高名な魔導士の一人。

 そんな父親のことを誇りに思っているのだが、会話が理屈っぽく幼い少女には拷問にも等しい苦行となっている。

 そう言った事情からエリンは理屈っぽい話を好まず、感覚的もしくは直感的な感性を尊んでいる。


「青い空のおかげで、真っ赤なお日様がピカーンって輝けると思えば、凄いじゃない」


 もっとも、常人には意味不明なのだが。


「それでエリン、今日は何をして遊ぶんだ」


 当然、常人である二人の少年は会話の内容を理解できない。

 しかし、腐っても幼馴染だ。

 不思議空間から抜け出す方法は熟知している。


「鬼ごっこ‼」


 その提案に、体育会系のシアノの瞳が輝き、インドア派のシックの瞳が濁る。


「というのは、シアノ君の一人勝ちにしかならないから、かくれんぼがいいな」


 今度は目のハイライトが逆になった。

 このナチュラルなドS発言に二人の将来、尻に敷かれてこき使われている姿が幻視出できる。

 

「見つけるの遅そうだし、さんざん探し回っても見つからなくてあたふたしている姿見たいからシック鬼ね」


 にっこり。

 花が咲くような笑顔で念を押された。


『さっきまでの謝罪はどこに行った』シアノはそう思わないでもないが、それよりも大事な提案があった。


「「じゃんけんでいいだろうか(かな)」


 でも、認められない。


 速攻で却下するエリンだが、最終的には根負け。

 じゃんけんで鬼を決めるのだが、結果は何も変わらなかったそうだ。

 

 いつも明るく元気。みんなを引っ張るエリン。

 内気で不幸属性なシック。

 体を動かすのが好きな体育会系のシアノ。

 この三人で集まって遊ぶことこそが彼らの日常だった。


 しかし時計の針とは進み続けるもの。

 時が進むにつれ彼らは様々なことに興味を持ち始める。


 芸術家気質なエリンは絵やピアノ

 体を動かすのが好きだったシアノは剣術を

 本が好きなシックはエリンの父親に研究を。

 常にともにいた彼らは異なる道を進み始めた。


 

 そして、彼らが14になったとき、シアノがエリンを呼び寄せた。

 何かを思い悩んでいたシアノが何かを決心したかのような表情で愛しい女性を待っていた。

 


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