本日何度目かもわからない失敗
改めて、外の様子を思い出した。
これからどうするのか判断するために。
燃料は、およそ100体の死体。
何時間くらい燃えるのかしら?
私が葬儀屋だったら答えられただろうが、生憎私は子役だ。
分からなかった。
残念。
あれ?
マジで耐久勝負!!
ないわ~。
マジでないわ~。
何か、何かできることはないかしら。
改めて考えてみた。
隠れ家。
そう、隠れ家よ。
直接見たわけではないが、どこかに敵がいるはずだ。
炎が収まったら攻め込んでくるかもしれないわね。
それをやり過ごすために、身を隠せる場所が必要だ。
作るとしたら、……地下だね。
それ以外作れる場所ないし。
私は地面に突きを放つ。
むろん、スキル付きだ。
こちらのほうが楽に掘れるでしょう。そう思っての行動だったが、現実はそんなに甘くなかった。
指の骨が折れた。
普通の地面だと思っていた床は金属みたいに堅かった。
追撃に、またも音響攻撃が発生し、私は痛みにのた打ち回った。
体の各所をいろんな所にぶつけ、最後には足がドームに触れてしまった。
すると、肉が焼ける匂いがドーム内に満ちた。
グスン!!
私は体を丸めて防御態勢を取った。
もう動くもんかと、意気地になったのだ。
数分間、そのままの体勢でいたのだが、体の節々が痛みだしたのでやめた。
「危ない、ここ危なくなくて」
どうやら、私は自分で思っているよりもテンパっているようだ。
一度、二度と深呼吸を繰り返すと心臓の動きが緩やかになり、それに反比例するかのように思考が高速で動き出す。
「床にも仕掛けがあるようだね」
ノックしてみると、まるで金属のようだ。
ドームと似たような仕掛けだろう。
「ドームも床と同じように人を傷つけない設定でよくなくて。
そうだったら私も痛い思いをしなくてよかったのにね」
ん?
おかしいわね。
黒いローブをドームに貼り付けた。
やっぱり。
ローブに変化は見られない。
のたうちまわっていた時、あちこちに体をぶつけていたのに、何ともなかったのはこのローブのおかげのようだ。
「最低限の安全策のようだね」
でも、どうして骸骨が安全策を?
この骸骨には秘密があるのだろうが、手持ちの判断材料では答えが出ないわね。
ならば、放置だ。
「力を使うと思っていたよりも疲れるのね」
感覚としては睡魔に近いわね。
意識がぼんやりとし、集中力が削がれる。
「それでも、隠れ家を作るぐらいなら余裕だね」
後から思えば、私は油断していた。
だから、こんな凡ミスをした。
床に力を使うと、
―――空気が震えた。
恐らく、鼓膜が破けたのだろう。
全身を強力な振動がつつむが、音がしなかった。
失敗の原因は明らか。
湾曲の角度。
床の力を地中で接触させてしまったのだ。
今日何度目の失敗よこれ。
後悔の念とともに、再び私は意識を失った。
目を開けると、私は土に埋もれていた。
急に眼を開けたものだから、目蓋の上にのっかていた土が目に入ったり、髪に土が絡み付いたりして、気分は最悪だ。
冗談抜きで。
けれど、プラス面もあった。
床に魔方陣が刻まれているせいで、見えずらいが、床には中くらいの穴が開いていた。
爆発の影響だね。
後に一度か二度爆発を起こせば、完成するだろうが、流石にそれはね。
最悪死ぬ。
それくらいの衝撃があった。
本気で穴掘りをやめたいが、後のことを考えると……。
よし頑張ろう。
今度は慎・重に、慎・重に力場を真下へと調整した。
それでも、恐れていた爆発が起こってしまう。
けれど、先ほどよりも小規模だ。
というか、自動的に土が押しのけられているわね。
楽。
最初はものすごい苦労を予想していたけど、隠れ家はあっさりと出来上がった。
何というか、拍子抜けだ。
「さて、どうしたものかしら」
完成したら、完成したで迷いがあった。
それは!!
私はこの隠れ家に潜伏すべきなのかしら?
ごめんね、ほんとごめん、爆発落ちでしか落ちを作れない作者で。