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新たなる能力

 短距離間の移動しかできないのだろう。

 もし、長距離移動ができるなら、ここから逃亡しない理由がない。


 そう言った意味では最悪の事態は免れた。

 だが、ここまで短いスパンでかつ、体勢まで調整できる転移は明確な脅威である

 騎士たちはこれにどう対応するかで頭を痛めた。

 一方でシアノだけが、

「これは一体どういうことでしょう」

 この現象のカラクリに迫っていた。



 エリスの足が鞭のようにしなる。

 低い姿勢から軸足を狙う。

 常人では骨ごと持って行ったであろう一撃。


 それを、シアノは耐えきった。

 魔力放出の恩恵だろうか。

 骨も折れていない。


 しかし、表情が苦痛一色に染まる。


 すかさず、化物は足をバネのように縮めた。アッパーカットを繰り出すつもりなのだろう。

 後一瞬。

 攻撃を繰り出す、まさにその時だ。


 化物は大きく下がった。


 先ほど彼女を拘束した網が放たれたのだ。


『私を拘束する際の予備だったのだろう』

 彼女は、魔法が発動する際、詠唱が必要なことを知っている。

 あの一瞬の戦闘時にあって、準備できたとは思えない。

 ならば、事前に準備していたのだろうとあたりを付けた。



 その在庫処理を冷静に避け、次の瞬間には後悔した。


「ともに拘束され、とどめを刺し、その後拘束から向けだすのが正解であったな」


 網の標的はシアノだった。

 魔法を発動した人物がグイッと引っ張ると、危険地帯から勢いよく離れていく。


『動きは早くない。今から追えば間に合うであろうか』


 逃がした魚は大きい。

 たとえ小さくとも、あと一歩で仕留められたのだ。

 その後悔は語るまでもないだろう。


「俺を忘れてもらっちゃ困るってもんだ」


 だが、それを追う余裕はない。

 目の前には猛獣が牙を研いでいるのだから。


 それでも諦め切れなかったのだろうか? 

 エリスは一瞬シアノを追うものの、すぐに反転。

 アインに向かい合う。


「嬢ちゃん、それは悪手ってもんだぜ」


 今のエリスの立ち位置は、アインと騎士団に挟まれている。


 アインの攻撃には先ほど見せた豪快さは見えない。

 それだけを考えるならば、エリスは一気に不利となったといえるだろう。

 だが、

「やはりそうですか」

 この状況を予想していた人物が一人いた。


『後はそう、最初の時、ライプニット様をどうやって殺したのかの謎が解ければ、こいつの能力の全貌が把握できますね』


 問題は、どうやって確かめるかだ。

 そんな状況下にあっても、戦いは続いていく。


  空間転移を警戒しているのだろう。

 アインの剣筋に、いつものような豪快さがなかった。

ほんの少しでも隙ができれば、そのまま食われる。

それが分かっているからこそ踏み出せない。


 それほどまでに、彼女の空間転移は近距離戦で厄介だった。

 

 されど、アインには焦りはない。

 後方で魔法詠唱を行っている部下が見えたからだ。

 流石に、攻撃魔法をぶっ放すことはないだろうが、敵の死角から援護射撃が行われるのだ。

 楽観の一つぐらいは持つ。


 かすかな光が当たりに漏れ出し、シックは彼女の能力の全貌をようやく把握した。


『まさか、こんなに単純な手品だったとはね』


アイン率いる騎士団が光の縄をはじめとした補助魔法を使用しなかったのは、この時代の戦いがかなり儀式的でそういった魔法が卑怯とされていたからでごまかされないかな。

作者も設定に苦心しています。

後々、この時代の戦争で補足説明を入れようと思います。

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