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本日二作目。
後、文才がほしい
少女の精神は悲劇に耐えることができなかった。
故に、陰と陽。
といっては両方が闇に属する存在なので微妙だが、二つに分かたれた。
いくつもの失陥を抱えながらであるが。
「えっ! えっ⁉」
朝起きたら死体に囲まれていました。
あなたならどう思うかしら?
普通? 最近のドッキリって手の込んだことするねだろうか。
仮とはいえ芸能界に属するもの。
これしきの事態に動じてはいけない。
とりあえず、微睡んでいるように見せかけて時間を稼ごう。
カメラがどこにあるか分からないでしょ。
お化け屋敷の機材を使用したドッキリ?
視聴者が望むのは、きっと恐怖に震える可愛らしい女の子。
うわぁ~、自分で言ったけどレベルが高い。
「えっと、ここどこよ」
ひとまず、混乱してますアピール。
「あの、誰かいないのかしら。朝起きたら見知らぬ、って、えっ、えっ、えっ‼ なにこれ、骸骨、死体‼
キャアアアァァァ―――」
とりあえずはこんなものだろう。
ひとしきり騒いでみたのよ。そろそろプレカードを持ったスタッフが来るだろうと思って、なのに来ない。
引っ張り過ぎだ。
私は少女。
冷めているという自覚はあるが、多感な時期でありトラウマにでもなったら訴訟物だ。
何か変だね。
う~ん、舞台裏で何かあった?
疑問はあるけど演技は続けないとね。
よし、泣いてみよう。
私はよく訓練された女優だ。
悲しくなくとも涙を流せる。
さあ来い。
さあ来い、そろそろ来るぞと、待ち構えるも人の気配は皆無。
即興でこれ以上のリアクションは厳しいわ。
とりあえず泣き続けてみるが迎えは一向に来なかった。
「すいません。本当にもう無理、もう、無理ですからね」
カメラの存在を考慮せずに白旗を上げる。が、返事は帰ってこなかった。
不安に駆られ、若干取り乱していた私を、暗く不気味な音がつつむ。
とっさに悲鳴を上げ、自分自身を抱きしめた。
直ぐに、自分の叫びが木霊したのだと気が付いたが、失態は失態だ。
「あれ、私って今裸」
寝る時、私は基本全裸だ。
だから、不自然さを感じなかった。
事務所の先輩が何人もAV業界に身をやつしていったことは知っている。
芸能活動が学力低下を呼び起こし、卒業選択の自由をせばめる。
その頭のねじが緩いあっぱらぱーを骨の髄までしゃぶりつくす芸能事務所。
ウウッ、頭が……。
でも、私は未成年だ。
ベットの上でプロレスごっこなぞしようものならお巡りさんがやってくる。
訳も分からない今の状況よりも遥かに深い闇を背負い込んでいる気がしないでもないが、……きっと気のせいだね。
この瞬間疑惑は確信に変わった。
恐怖から気が付いたら走っていた。
作り物だろう骨が折れる音が妙に耳に残る。
しばらく走り抜けた先には
―――光だ。光がある。
―――きっと、この先には、温かい日常が。
そう信じ、飛び出した私を不可視の劫火が焼いた。
「ギヤアアアァァァぁぁぁ~~~~!!!???」
何が起こった!
みっともなく地面を転がりまわり、どうにか安全地帯へ。
体を確認すると。見るも無残な火傷が全身に刻まれ、それが見る見るうちに消えていく。
おかげで事態が私の思っているよりもはるかに悪いことが分かった。
明らかにファンタジー世界に紛れ込んだわね。
これは夢かと、お約束通り頬をつねって確認しようと思ったが、ついさっき痛い目を見たばかりなのでやめた。
これ以上の異変はないかと確認すると、
「どうして、私縮ん出るのよ‼」
こんな目に見える異変にどうして気が付かなかったのだろう。
自分自身に間抜けの称号を贈りたいぐらいよ。
無論面倒なのでやらないが。
とりあえず一言。
なんでさ!