エピローグ 雨あがり
「欠けた前歯、治さないといけませんね。
住人さんは貧乏人ですし、家賃が滞ってますから、今月は家計が苦しいですが」
「しばらく、このままでいいわ。この顔でニパッて笑うとウケるのよ」
ほら! とおどけてみせる、その笑顔がすごくきれいで私は赤面する。
「雨があがったね!」
お姉ちゃんが窓を開ける。
窓枠に手を突いて外へ身をのり出した。
庭木の緑がこのところの暑さから回復し生き生きしている。
懸かっている蜘蛛の巣が虹の珠を宿してきらめいていた。
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楽屋
「ふうぃー、気持ちいい」
夜。縁側から庭がみえる。
「お姉ちゃん、はしたないですよ」
「だって、パンツまで、ぐっちょりなんだもん」
裾めくって扇風機の風をあてる。
「ふう、生きかえった」
「あぐらはやめてください」
妹がたしなめる。
「あ、夕ちゃん、蛍がいっぱい」
伸び上がって指さす。
※この物語の前ふりになる話を投稿しました。
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“人魚は眠り、人形は歌う”シリーズからもいけるようにします。