夏が終わる
おととしは先輩と、いっしょに花火大会みたっけ。
人が多いからって、手をとってくれた。
去年の夏が来ないうち、別れちゃったな。
いまこんなに人がいっぱいなのに、昼子はひとりだ。
大きな花火が上がる。あたしは金魚の入った袋を下げてる。
花火が咲いてから音がした。
涙が浮かんだ。心が沈む。
「すべてのものには終わりがある。終わらぬものなどありはしない。
われらはみな、死なねばならぬ。だからいまはたのしもうじゃないか」
「お姉ちゃんは、あの人とつきあってるんですか。
感心しませんね、あいつはお姉ちゃんの気持ち、もてあそんでるだけです。
もし、わたしが……」
「先輩は夕とあってるんですか?」
「ああ、それがどうかしたかね。君の妹の才能はすばらしいよ、僕は彼女に脚本を書かせてみたいんだ」
「あの娘のこむずかしくて暗い話なんて、うけるわけないじゃないですか」
「おや、姉の君が、それをいうのかい?」
「!!」
「夕なんか死んじゃえ、
死んじゃえ、死んじゃえ、
死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、
死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃ…」
「あたしはおとうさんが、昔、話してくれたような本物の女優さんになりたい。
なのにおとうさんは、どうしてわかってくれないのよ」
「君にはむりだからさ。君は偽物にしかなれない。自分でもわかってるんだろう?」
「おとうさんが倒れた?!」
「癌の末期だそうです…」
「あれ? めのまえがくらくな……。なんか体がさむい」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん! しっかりしてください!!」
「先輩、さよならです。妹にも、もうあわないでください」
「さあ、それはどうかな? 約束はしないよ」
昼: わー、先輩が
すごいわるものみたい
夕: 事実でしょう。
昼: まあ、そうなんだけどね
でも、夕のことだけは大切にしてたよ
女の子をみんなお手つきにしてたのに
あたし達にだけ手を出さなかったのは
夕との関係をこわしたくなかったからでしょ
夕: 恋愛感情じゃないでしょう。
それにかいかぶりすぎですよ。
あいつは紙一重の天才かもしれませんが、
わたしはただの異常者です。
昼: あれからあってる?
夕: あってませんよ。
わたしはひきこもりなんです。
ときたまおもいだしたように、
連絡は来ますがね。
夕: へー、どんな?
どうでもいいようなことです。
昼: 返事した?
夕: 2回くらい。
昼: ふう~んん
夕: それだけです (///∇//)
※こっそりみた妹のメール
「どうでもいいです」
「しりませんよ」
「死んでください」
、、、ほんとに
これだけなのね
σ(^_^;)