重い想いに
ふうちゃんが帰った後、君の口座にお金を振り込まなきゃいけないのを思い出して、銀行に向かった。
こんなことを言うのはいけないのだろうけど、言わせてほしい。
ふうちゃんのことは好きだけど、もしふうちゃんが九十九になったら僕はきっと容赦なく、躊躇なく殺すことが出来てしまうような人間だ。頭のネジが外れていると言っても過言はない。
別にそれを否定しようとも思わないし、否定する理由も見当たらない。
高校生の恋愛なんてそんなもんじゃないのかな?
「本気だから」
「結婚したい」
「愛してる」
馬鹿言っちゃいけない。
僕はそんな事を平気で言える高校生の気が知れない。そんな事を言っちゃってる高校生に言いたい。
君達どうせ1、2年後には別れてるよ。
それも大したことのない理由でさ。
口だけなんだよ、結局。
本気で好きなんじゃなく、本気で恋愛したいだけなんだよきっと。相手は誰だっていい。
恋に恋しちゃってるのさ。
僕はふうちゃんにそこまで強い気持ちはない。
ふうちゃんもそうだろう。
あの状況だから、心中なんて言葉が出たけど、お互いが本気じゃないと理解してる。
確かにふうちゃんのことを、可愛いと思うし、好きだけど本気かと訊かれたら、そうじゃない。
頭のどこかで分かってる。
いつかふうちゃんとも別れることくらい。
そんなに悲しいとは思わない。寂しいとは思わない。誰だって経験することなのだから。
だからもし、ふうちゃんが九十九になったなら、それこそ彼氏として僕が殺そう。
その後僕が死ぬかは別として。
それが僕のふうちゃんに対する最低限の愛であり、好意を示す行為だから。
ふうちゃんがそれを望んだのだから。
九十九になったら、ちゃんとふうちゃんを殺そう。
「まあまあ私も僕君も九十九にならないことが、一番なんだけどね~」
さっき、ふうちゃんが帰る前に言った言葉。
僕は答えた。
「でもふうちゃん空気読めないからな、なっちゃうかもだね」
「そんな事言ったら僕君だって空気読めないじゃん、クラスでも仲のいい友達いないって聞いたよ」
「どこでそれを!?僕の噂なんて流れないほど、関わってないはずなのに…」
「それを聞いてふうちゃんは、余計心配になりました…ダメだよ~、友達は作らなきゃ」
「ふうちゃんは僕のお母さんですか…」
「ママは気になって気になって、夜も眠れないのですよ」
「こんな時だけ乗ってこないで…ホントに悲しくなってくるから…」
と。おやおや。
そろそろ銀行に着く。
取り分として、5割でいいだろ?
別に僕はそこまでお金が欲しい訳じゃないからね。僕の方が確実に働いているけれど、君に半分をあげよう。
優しいなぁ、僕は。
え?九十九を殺したから、この物語は終わりだって?全く…誰だいそんなことを言ったのは…
まだまだ終わらないよ。
その意味はすぐ分かる。
具体的には、次の日だね。
もうちょっとお付き合い頂こう。
これからもっと愉快で、醜い争いが始まるよ。
九十九を殺したあとはどこでもこういう争いが絶えないらしい。まあ僕も九十九を殺したのはこれで3回目(3人目)だから、らしいとしか言えないけどさ。
君も少しは覚悟した方がいいかもね。
前のときは、散々だったから。
僕は九十九より、その後の争いの方が恐ろしいと思ったよ。冗談じゃなく、本気で。
言葉で表すなら僕はこう表す。
人間は九十九より九十九らしい、と。
短いです。ごめんなさい。
九十九って名前も本当は裏設定があるんですけど、本編では出てこなさそう…
このホラーは、人間の怖さを書くつもりなので、ホラーって程でもないかも。