独白、旗
そこからの説明はしなくてもなんとなく分かってくれるだろう?
だから今、僕のクラスメイトは九十九探しを必死になってやっているんだ。
話は逸れるけれど、『必死』という漢字はとても面白い形をしている様に僕は思う。必ず死ぬ、って書いて『必死』。皮肉か何かなのかな?ともあれ、漢字っていうのは少し紐解くだけで面白くなるんだ。
この、『面白い』だって面が白いって書いて『面白い』。どういう意図でこの漢字にしたのかが気になるんだよ、僕なんかは。
おっと、話を逸らし過ぎたかな。
じゃあ戻そう。
必死になって九十九を探している、面白い現状に。
今に。
そして、これからに。
と、言ったものの、九十九探しの話を省いていいかな?省略してしまって構わないかな?
正直、面倒だしそれになにより、前の聞き込みと似たようなものなのだから話しても大して面白味がないということなんだ。
マンネリ化、という訳でもないけれど新鮮味があるかと問われれば、無いとしか答えられないのだから。
やはり、物語には面白味と新鮮味とオチがなくっちゃあいけないと思う。
そういう物語でもないけどさ、これは。
この物語のオチは僕でも分からない。
まだ終わっていないのだから当然なのだけど、やはり少し落ち着かない。オチがつかない。
ここはひとつ、予想をしてみようじゃないか。
ほら、君も参加して。
例えば、九十九は僕のクラスに何人いるのか。
九十九とは何なのか。
僕はどうなるのか。
考えてみると、鑑みてみると、なかなかどうして型にはまってしまうんだよ。
従来、誰かが書いた物語のようなオチがこの話にもついちゃうんじゃないかと、僕は心配なんだ。
やはり、面白いと思われるには型にはまってはいけないのだ。かと言って、読者を、この場合は君をおいてけぼりにするような話し方も、書き方もきっと良くないだろうね。
良くないし、面白くなくなっちゃうし、売れないだろうね。まぁ売るつもりはないんだけど。
そこら辺含めて、考えてみるとこの話のオチはなんとなく見えてくるんだろう。
君も予想しておいて。
僕は敢えてこう言うよ。
その予想、絶対裏切ってやる。
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さて、二人目の九十九だけど僕は誰よりも先に見つけた。当たり前だけどね。今までの経験が差を生むのだよ。ふっふっふ。…うん、君が無口なのは知ってるから僕のボケに突っ込まないのも知ってる。
さっきも言ったように、見つけた方法は省略する。カットだね。割愛、と言い換えておいてもいい。
D君としようか、その九十九を。
D君もやっぱり、自身が九十九になったことに全くと言っていいほど気付いていなかった。
なんなら、D君も九十九を探していた。
滑稽だが、それも仕方ないだろう。僕だって自分が九十九になっても気付かないかもしれないし。もしかしたら、もう僕も九十九なのかもしれないし。
それはそれで別にいいけど。バレなければ殺されないのだから、隠し通せばいいだけだ。
ちなみにまだD君は生きている。
殺してはいない。
九十九を見つけたことを君に言うことの方が大事かな~って思ってさ。どうせ、他の人達はD君には辿り着けないんだから。
あ、でもちゃんと動向は追ってるよ。これでも一応何人も殺してきてるからね、抜かりはないよ。
どうする?今回は君が殺してみる?
僕のクラスに二人目が出るなんて予想外だから、何の準備もないけど。
二人目が出たってことは、三人目も出るかもしれない。その為の準備も今回のうちにやっておきたいし…。
ん?二度あることは三度あるって言うじゃん。念のためだよ、念のため。
で、どうするのさ?
ま、最初は誰だって怖いよ。
僕だって未だに怖い。
僕が殺したのが本当に九十九か分からないってのは、気持ち悪さも相まって吐き気がする。
もしかしたら僕は殺人を犯しているんじゃないかって。でも、そんなこと言ってたら始まらないんだよね。誰かが殺らなきゃいけないんだ。それを僕達が背負う。
ただ、それだけ。
ああ、そう。
じゃあ、今回も僕が殺す。
その代わり三人目が出た場合の準備を君に任すからよろしく頼むよ。
いいかい、これだけは覚えておいて。
僕達のやっているのは、善じゃない。
偽善だ。
悪より酷い。悪より質が悪い。
誇れることでも、自慢できることでもない。
出来れば誰もしたくないことを、お金を貰ってやっているだけなんだ。殺っているだけなんだよ。
だから何?って話だけどさ。
つまりそういうこと。
冬休みに入ったらしっかりと腰を据えて書きたいと思います。どの作品も。




