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二人目

 僕のクラスは荒れている。

 それはもう止められないくらいに。


 九十九探しに躍起になっている。

 殺せないくせにお金が欲しいクラスメイトが、九十九を探し回っている。

 僕のクラスはもう手遅れのようだね。要約すると、馬鹿ばっかだよ。本当に。あ、今の駄洒落じゃないから。偶然だから。そこら辺理解しておくれ。


 そうだね、順を追って説明しておこうか。

 確認の意味も含めてさ。


 まず始めに、C君が九十九になったというのは周知の事実だね。クラスメイトからすれば、九十九だった。という、過去形になるかもだけれど、それは割愛だよ。面倒くさいのもあるし、ここで語ってもなんら意味は無いのだから。僕と君が真実を知っていれば問題ないってのが大きいかな、まあ。


 そして、それを殺したのは僕。

 あぁ、ごめん。それ、なんて物を指すような言葉遣いだったよね。一応、九十九だって生物なんだから、それなんて言い方は良くないね。

 その九十九を殺したのは僕。

 うん、この方が伝わるし、感じ悪くない。

 これでいこう。

 もう少し正確に表現するなら、C君を九十九だと調べたのも僕だし、C君をおびきだしたのも僕だ。つまり君は口を出しただけで、なにもやっていないね。いやまあ、これは僕が決めたことなんだから文句は言わないけどさ。

 君は僕を知っているだけでいいよ。


 そして、クラスで言い争いになる。

 なっていた、かな?

 誰が九十九を殺したかを言い争っていた。

 みんなそれぞれお金が欲しいんだね。いや、分かるけど嘘は良くないと僕は思う。

 僕みたいに実行しないと、ね。

 それこそ君は傍観者だったね、そういえば。

 僕はA君のせいで何回か発言したけれど、君は本当の本当に一言も喋らなかったよね。

 無口なのは良いけれど、僕を庇ってくれても良かったんだよ?


 この後からかな?

 まだ語っていないのは。

 語っていないし、語っていないということは物語にすらなっていないということなんだよ。

 そろそろ物語にするべき時が来たようだね。

 …なんてカッコつけてみたけれど、別に大した話じゃないから、それこそ話し半分に聞いておくれ。


 それとも、僕の昔話から語るかい?

 どっちからでも構わないよ。


 ああ、そうだね。僕の昔話はもう少し後にしよう。今はクラスの事を少しずつ語ろう。

 僕の昔話なんてのは、いつでも語れるからね。時が来たらにしておこうか。その時までのお楽しみって事で。

 まあまあ、僕の昔話も聞き流してくれて構わないさ。僕が一方的に語りたいだけなんだよ。あまり語りたくないとは言ったけれど、やっぱり語りたくなってしまうのはそれは僕が語り部だからだろうね。

 僕が語っているからだろうね。

 語っているから、語りたくないことまで物語る。それはそれで面白いし、ある種の必然かもしれない。

 …なんて、どうでもいいことだったかな?ごめんごめん。さ、話を戻して、語ろう。


 C君を殺したその後を。

 言い争ったその後を。

 僕がクラスに呆れたその後を。


*************


 あの言い争いの後は何事もなく、学校は終わり放課後を迎えた。何事もなかったかのように。

 そしてやはり、何事もなく次の日がやって来た。


 僕は重たい体を無理やり起こし、学校へと向かう。今のところ僕は学校を休んでいないので、皆勤賞が狙えるのだ。そんな簡単には休むまい。

 皆勤賞を取ったところで、別に何かが変わるわけでもないのだけど、それでも僕は学校を休まない。

 特に理由はない。

 あるとするなら、皆勤賞を取ってふうちゃんに自慢するくらいだ。君に自慢しても仕方ないし…だって君、反応薄いし。無口だし。


 ともあれ、何事もなく学校へ着いた。

 あったとするなら、あれかな?

 道中、黒猫が前を横切ったことくらいかな。

 しかし、前を横切るって面白い表現だよね。前を横切るって、前なのか横なのかどっちに行くんだよ!?みたいな。

 …横に行くに決まってるよね。ごめん、今日はボケの調子が悪いみたいだ。


 本当に、なんとなく。

 なんとなくだけれど、その黒猫は少し不吉に見えた。

 事実、その予感は当たったのかもしれないし、僕にとってそれは吉報だったのかもしれない。

 どちらとも言えないし、言ってしまうと僕は人間じゃなくなってしまうかもしれないから、一概にどっちとは言わないけどさ。


 まあ、端的に言うと。

 僕のクラスでまた一人。


 原因不明の死人が出た。


 だから、僕を含めクラスメイト皆が気付く。


 C君以外にも九十九が出た、と。


 また一人、また一人と。


 僕のクラスメイトが死んでいく。

まだまだ続きます。

過去編も書きたいけどまだ我慢!

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