牙を剥く世界
小部屋を出るとそこには真っ直ぐ伸びる通路があった。
「マスター。通路の右側に医療品等のアイテムがございますのでお持ちください」
ノアの声に促され右側を見やるとそこには青色の液体が入った小瓶が4本と金色に光る小瓶が2本、棚に飾られていた。
「身体が鎧の俺に薬なんているのか?」
もっともな質問をノアにぶつける
「ここにあるお薬は、ギルド等に売ればそれだけでちょっとした財産になります。マスター自身が使わずとも薬とゆう物には使い道があるのです」
成る程…何かあった時に自分以外の人を助ける手段にもなり得るのか。
納得したところで小瓶を手に取る。
「そういえば袋とか何もねぇな…」
盲点である。鎧とは袋と違い何かを収納する機能が存在しない。
「俺の中に入れるのも気がひけるしなぁ…」
そんなぼやきにノアが助言をくれる。
「ご心配には及びませんマスター。お持ちのアイテムを私に押し当ててください」
押し当てる?いや…疑問は残るがまずは言う通りにしておこう。
左手の甲にある宝石に小瓶を押し当てる。
すると、小瓶は宝石の中に抵抗も無くするりと入っていく。
「うぉっ!入った!」
「私の機能の一つとして私の制御下にある空間にアイテムや魔物の存在、武器等を収納することができます。取り出す際には取り出したい物を思い浮かべて頂ければあとは私が取り出しますので」
「成る程な…了解したよ」
原理など気になる事は多々あるが聞いたところでどうせ分からんので聞かないことにする。
青色の小瓶を入れ終わり今度は金色の小瓶に手を掛けると、小瓶の中には金色の粉末が確認する事ができる。
「青色の液体が解毒等に使える解毒剤で、金色の粉末が秘薬と呼ばれる希少な薬剤のようです」
秘薬!!聞き慣れた単語に胸がときめく。HPバーがMAXになっちまうぜ
「身体の欠損部位すら直すことが可能な薬品のようで水に溶かし使うようですね」
効果を確認しながら宝石に道具を入れ終わる。
「出来れば武器も欲しいんだけどな…」
贅沢を言っているのは分かっているが無いと心許ないものだ…
「ご安心くださいマスター。マスターは武器等無くとも無敵です」
こんな時ノアの優しさが身に染みる。
そんなやりとりも終わりいよいよ外に向かって足を進める
特に敵なんかも出て来無いのですぐに明かりが見えてくる。
「久しぶりの外だな…」
洞窟の暗闇から抜けこの世界で初めて陽の光を浴びる…
暫く外の空気を堪能していると先程まで雲一つない晴空だったのに陰りがさす。
雨雲でも来るのかと後ろを振り返り空を見やると洞窟の上には巨大な岩があった…
時々「ブフー」などと鼻息らしきものが聞こえるがきっと気のせいだ…
そう…気のせいなのだ…
こんな冒険初心者のまえにザナ○カンドにいて倒しかけにメテオ落とすような奴が居るわけが無い…
「ウォォォーーーーーー!!!」
吠える獣
目は血走り大きく開いた口からは大量の涎が飛び散っている。
その瞬間俺は自分でも驚く位の速度で洞窟の中に飛び込んでいた
「勝てるか!こんなモーーン!」
まさかの逃亡
そろそろ戦いたいかな〜
次回「予想外の一撃」です
よろしくお願いします