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エピローグで章 2 ただいま おかえり

 ガイアスの世界


ヒトクイ、サイデリー、ムウラガの関係


小さな島国であるヒトクイとサイデリーの関係は、良好を保ち続ける。ヒトクイの王となったユウトとサイデリーの王であるブリザラは、良き関係にあったようで、その次の代の王達の関係も良好のまま続いていくことになる。


 エピローグで章 2 ただいま、おかえり



永遠を失い滅びへと向かい始めた正常な世界、ガイアス




 ガイアスの中で何処よりも早く冬を迎える大陸フルード。酷い時は一年中雪や氷に包まれたその大地は、生物が生きるには厳しい環境であった。だが人間はそんな厳しい環境の中、知恵を使い厳しい環境の中を生き抜き、フルード大陸の半分以上は今では人間達が生活する国の領土となっていた。

 生物が生きるには厳しい環境であるフルードになぜ人間が足を踏み入れたのか、その理由は今ではもう定かでは無いが、最初にフルードに足を踏み入れた先祖達の努力によって今があるという事は、現在フルード大陸で生きる者ならば誰もが理解していることであった。その信仰は今でも揺らぐ事は無く、先祖達の血を色濃く継いでいるサイデリーの歴代の王達に人々は尊敬と感謝の意を持っていた。

 勿論、現サイデリー王ブリザラ=デイルの中にもその先祖達の血は色濃く引き継がれている。それに加え歴代の王達以上に人々に対しての交流が強いブリザラは、その血筋とは関係無く人々に愛された存在であった。

 そんなブリザラが魔王との戦いによって負傷したという情報は、王の帰還と共にフルードに存在する全ての国に広まる事となった。それ以降しばらくの間ブリザラに関しての情報が伝わる事も、公の場に姿を現す事も無く日が立つ程に人々の不安は膨れ上がり王が住まう氷の宮殿には、毎日のようにブリザラの状態を心配した人々で膨れ上がっていた。

 そんな状態が続いて二カ月がたった頃、氷の宮殿に集まる人々の前にブリザラは姿を現した。その瞬間、ブリザラに対して割れんばかりの拍手と歓声が起こる。しかし次の瞬間には、その拍手がその歓声が戸惑いに変わる。

 今まで人々に優しくも無邪気な眼差しを向けていたブリザラの顔はベールに隠され表情が伺えなくなっていたからだ。その場に集まった者達はブリザラの元気な笑顔を望んでいた。しかしその笑顔はベールによって隠されそこに立つ者がブリザラなのかも分からない。人々の心に疑念と不安が生まれ始めていた。

 歓声から一転、重々しい空気に包まれる氷の宮殿前広場。だがそんな空気の中でベールで顔を覆ったブリザラは以外な一言を口にする。


「ただいま~」


それはサイデリーの王としてでは無く一人のブリザラという女性としての言葉。ブリザラらしい一言であった。まるで気の抜けたような声で自分がサイデリーに帰ってきた事を報告するブリザラの言葉に、氷の宮殿前広場に集まった人々の時が一瞬とまる。するとジワリジワリと人々から笑い声が漏れ始めた。ジワリジワリと広がっていく笑い声は次第に大きな渦となり氷の宮殿前は笑いの渦に包まれていく。

 ブリザラの口にした一言、そのたった一言で人々はその場に立つ者がブリザラであると理解し再び笑い声の混じった歓声がブリザラへと向けられていく。

 歓声の中にはそれでこそサイデリーの王だとブリザラに向かって叫ぶ者もいた。そんな事を軽々しく言える間柄、それがサイデリーにおいての人々と王の距離感であった。

 初代サイデリー王から現在のブリザラに至るまでサイデリーの王と人々の距離感は近いものであった。王だからといって怠ける事も威張ることもせずサイデリーやその周辺国の為に努力を怠らない王。それはフルード大陸へ初めて足を踏み入れた先祖の血を色濃く受け継いでいる証拠といってもよかった。そんな王に人々はいつも心動かされそして王自身も影響を受けている。それはフルード以外の大陸にある国々からしてみれば有り得ない距離感なのかもしれない。だがフルードという厳しい環境の大地で生きる者達にとって、ただ王座でふんぞり返っているだけの王など必要としていないのだ。厳しい環境の中同じ目線で同じ状況で物事を一緒に考えられる者、それがサイデリーが必要としている王という存在なのである。

 だからこそ、ブリザラの一言はサイデリーの人々を安堵させた。同じ目線で家族のようなサイデリーの人々に『ただいま』と口にしたブリザラを。


「みなさんには多大なご心配をおかけしました、そして私の留守の中、サイデリーを守って頂きありがとうございます」


和やかな空気に包まれる氷の宮殿前広場。しかし気分を切り替えるように気の抜けたような声から、凛とした一国の王としての声に変え人々に謝罪と感謝を口にしたブリザラは深々と頭を下げた。


「……あの戦いによって目を負傷してしまい皆さんの顔を見られなくなってしまいました」


自分の顔に覆われたベールの理由を説明するブリザラはそ目を失明した事を明かす。ブリザラの言葉に再び氷の宮殿前広場は静寂に包まれる。魔王との戦いでブリザラが傷ついた事に心を痛める人々。


「大丈夫だ! 俺達が王の目になってやる!」


「そうだよ! 見えなくても私達がいるさ!」


 静寂に包まれた氷の宮殿に響き渡る声。


「おじさん……おばさん……」


響き渡った声がまだブリザラが子供であった頃、よく町へ遊びに出かけていた時に色々と親切にしてくれたおじさんとおばさんだのものである事に気付くブリザラは、誰にも聞こえない程の声で呟いた。

 その声に後押しされるように再び氷の宮殿前広場は歓声に包まれていく。


「ありがとうございます」


人々の温かい言葉を受けながらブリザラはもう一度深く頭を下げ氷の宮殿に集まっている人々へ感謝を現すのであった。頭を下げるブリザラの顔は涙を流しながらほっこりと笑みを浮かべていた。


「……さあ王、お体に障ります、中へ」


体調が回復したとはいえ、まだ病み上がりであるブリザラの体を心配し、最上級盾士の一人であるガリデウスは、外に立つブリザラの背に手を添えると室内へとブリザラを誘導していく。去るブリザラの背には人々の温かい言葉が次々と投げかけられていた。


「……」


「お疲れさまでした王、今日はもうお体をお休めください」


人々の止まない励ましと歓声を背にほっとした表情でガリデウスはブリザラを室内へと誘導していく。


「お疲れさまでした、王」


ガリデウスに誘導され室内へと入ったブリザラに、黒を基調としたロングスカート型のメイド服を着た女性が声をかけながら近づいてくる。


「ピーランさん」


自分の世話係兼護衛役であるピーランの声に安堵したような声をあげたブリザラは、そのまま倒れ込むようにしてピーランの体に身を預けた。


「王!」


ピーランに寄りかかるブリザラの姿に焦りだすガリデウス。


「大丈夫ですガリデウス殿、王はお疲れになっただけです」


焦るガリデウスをなだめるピーラン。


「お部屋までお運びしますね」


そうなる事を理解していたようにピーランはブリザラの体を支えながらそう言った。


「ごめんなさい、ピーランさん……」


サイデリーの人々の前では愛らしくそして凛々しい姿を見せていたブリザラであったが、その容体は立っている事がやっとという状態であった。そんな自分が許せないのかブリザラは自分の体を支えてくれているピーランに謝った。


「ご立派でしたよ王」


ブリザラが本当は立っているもやっとである事をピーランは知っていた。知っていた上でピーランはブリザラを止める事はしなかった。それは自分が苦しくても人々に目を向け答える、それがブリザラであるという事をピーランが理解していたからだ。それ故にブリザラの中にある心の傷もはっきりと理解しているピーランは、弱々しく自分の体に捕まりながら謝るブリザラを見て切ない表情を浮かべる。


「……それではガリデウス殿、後を頼みます」


「……ああ」


少し間の空いたガリデウスの返事に自分の想いが顔に現れていると即座に気付いたピーランは、表情を真顔に戻すとブリザラを軽々と抱え上げる。


「……」


元々軽かったブリザラの体重が更に軽くなった事を痛感したピーラン。体は順調に回復しているのだが、ブリザラの心は傷を負ったままでありその影響かあまり食事をとっていない。自分にはブリザラの心を癒す事は出来ないのかと顔が悔しさに滲む。しかしその表情その想いをブリザラやガリデウスに悟られまいと再び真顔に戻したピーランは、ガリデウスに頭を下げると部屋から去って行った。




 お姫様を抱くように優しくブリザラを抱えるピーランは、氷の宮殿内にある長い廊下を進む。


「……ピーラン……」


ピーランの首に両腕を回していたブリザラはピーランに小さな声で話しかけた。


「なん……」


ブリザラを抱きかかえているピーランからではベールに包まれたブリザラの表情を伺うことは出来ない。だがブリザラの声が弱々しい事に気付いたピーランは、言いかけた言葉を飲み込み周囲に視線を向ける。 氷の宮殿内部の長い廊下には二人以外誰もいない事を確認するとピーランは再びブリザラに顔を向けた。


「……どうしたのブリザラ?」


今まで堅い言葉を使用していたピーランは、ブリザラに対して友達と接するような砕けた言葉を口にした。それは二人きりの時は王と世話係兼護衛役という関係では無く友達として接するというブリザラとピーランの間で交された約束であった。

 本来ならば誰が見ているか分からない氷の宮殿の廊下ですら例え二人きりだとしてもブリザラに対して砕けた言葉を使わないピーラン。だが自分の体に伝わるブリザラの体の震えと弱々しい声にピーランは己が課した約束を破りブリザラに世話係兼護衛役としてでは無く友達として接した。


「……ううん……何でも無い……」


「……そう……」


何かを言いたげであったブリザラは首をゆっくりと横に振った。ブリザラが自分に対して何を言いたかったのかピーランには分からない。だがきっとあの人の事であろうとピーランはある男の事を思い浮かべながらブリザラの言葉に頷くと真っ直ぐブリザラの寝室へと向かった。


「王、お部屋につきました」


長い氷の宮殿の廊下を抜け、ブリザラの寝室である王の部屋の前にたどりついた二人。ピーランはゆっくりとブリザラを下ろすと、部屋の扉をあけブリザラを部屋へと誘導する。


「ありがとうピーランさん」


「いえ……それでは何かありましたら及び下さい」


再び堅い口調に戻ったピーランは目の見えないブリザラに深く頭を下げるとブリザラの寝室を後にする。

 ゆっくりとブリザラの寝室を閉めて廊下に出たピーランは重々しい表情を浮かべる。


「……どうしたらいい……どうしたら前のように王は……ブリザラは無邪気な笑顔で笑えるようになる……やはり……ブリザラを笑顔に出来るのは……」


周囲の事など気にせずボソリとブリザラの事を呟き始めるピーラン。


「……そういう事は心の中で口にしなきゃね、ピーラン」


「ッ! お……お前!」


突然横から聞こえた声に、全く気配を感じなかったと驚きながらもすぐさま警戒体勢にはいるピーラン。しかし次の瞬間、ピーランは王の部屋の扉横に立っていた者が敵では無い事に気付くと警戒体勢を少しだけ緩める。


「……何用だ……ランギューニュ」


王の部屋の扉横に立っていたのは、元最上級盾士であり今は無名の二つ名を持つ剣聖、ランギューニュであった。

 敵では無いはずのランギューニュに対して警戒体勢を解かないピーラン。それは以前ピーランがランギューニュから辱めを受けた過去がありそれ以来、ランギューニュに対しては常に警戒するよう心掛けていたからであった。


「……はぁ……そんなに警戒されると傷つくな……」


言葉とは裏腹に笑みを浮かべながらランギューニュは、ピーランに怪しさ満点で近づいていく。一歩ランギューニュが近づけば一歩ピーランが下がる、これ以上近づくなと言うピーランの意思表示であった。


「ここは部外者立ち入り禁止だ、さっさと出ていかないと兵を呼ぶぞ」


「そんな怖い顔しないでよ、愛を囁いた中じゃないか」


「馬鹿をいうな! 卑猥な言葉を並べ続け私を辱めた事の何処が愛だ!」


ピーランが受けた辱めとは、氷の宮殿地下にある牢獄で数十分にわたってランギューニュが卑猥な言葉を耳元で囁き続けられたというものでありピーランにっとっては思いだしたくない過去であった。


「そんなに怒鳴り散らしたら王に聞こえちゃうよ」


「ぐぅ……お前の目的はなんだ?」


ランギューニュに指摘され声を潜めるピーラン。このままランギューニュのペースに引きずり込まれる訳にはいかないというように話を切り切り替えるピーラン。

 負傷したブリザラと共に帰還したサイデリー盾士達の中に、ランギューニュの姿は無かった。ヒトクイや志願兵の中にもランギューニュの姿は無くなぜランギューニュがサイデリーに帰還していないのか、疑問に思ったガリデウス達他の最上級盾士達は事情を最後にランギュー二ュと行動を共にしていた盾士達に問いただした。するとランギューニュと一緒に行動していた盾士達は、戸惑った表情を浮かべながら、ランギューニュが最上級盾士の任を下りた事をガリデウス達に報告した。

 それから数日後、魔王との戦いによって負傷していたブリザラが意識を取り戻し、ガリデウス達がブリザラの居る寝室に集合すると、ブリザラはランギューニュの最上級盾士の任を解いた理由、そして自分達が戦った者が何者であったのかを語った。

 ブリザラ達が相手にした者、『絶対悪』死神の存在は衝撃的でありガリデウス達は言葉を失っていた。その『絶対悪』からの攻撃に対する為に、ランギューニュの真の力を発揮する為には最上級盾士としての任を解かなればならなかった事を説明するブリザラ。

 その場にいたピーランも勿論ブリザラの話は聞いており、ランギューニュの行動が正しい判断であり、本来ならばすぐにでも最上級盾士として戻ってくるべきだと思っていた。しかしそれは個人としての意見であった。

 サイデリーという国に関わる者として見てみれば、それはどんな理由があろうと許されない。盾士という職業はサイデリーの顔である。その顔である盾士が盾を捨て武器を持ったという事実は、例えそれがどんな事態であっても他国に攻め入らないというサイデリーの理念に反し、他の国々に示しがつかず信頼を得られなくなるからだ。それがサイデリーで盾の扱いに最も優れた最上級盾士ならばなおさらである。

 だからこそここでランギューニュに対して甘い態度をとる事は出来ない。ランギューニュを簡単に宮殿内に入れる訳にはいかなかった。


「目的? ああ、そうだな……届け物をちょっとね」


「……届け物? ……なんだ配達屋でも始めたのか?」


「あっはははは!」


ピーランの言葉に笑うランギューニュ。しかし笑顔であったランギューニュの表情は直ぐに真面目なものに変わる。


「……」


ピーランは今までに見たことの無いランギューニュの真剣な表情にどうしていいのか分からず困惑した。


「俺にとって大事な人への届け物を届けにきたんだ……だけど勘違いはしないでくれよ送り主は俺じゃない、俺以上にその人の事を想い、命までかけたある男からの最後の届け物さ」


「……」


ランギーニュのある男という言葉に反応するピーラン。


「送り先は……君にとっても大事な人……だと思うけどな、まあ悪い事にはならないさ、それじゃ夜にまた来る」


「……私にとっても大事な人……ランギューニュ!」


答えに行きついたというように顔をあげるピーラン。しかしそこにランギューニュの姿は無かった。


「……まずい……今の状態のブリザラには酷過ぎる」


完全とは言えないがブリザラの体調は回復しつつある。しかし体の傷は癒えても心の傷は早々癒えるものでは無い。あの戦いでブリザラは自分の目以上に大事なものを失った事をピーランは知っている。


「……」


ランギューニュが届けるという届け物、それが何であるのかはピーランには分からない、その贈り物によってはブリザラに最悪な事態が起こる可能性もある。自分はどうしたらいいのかと深く考え込むピーラン。


「……ランギューニュを信じるしか……ないのか……」


夜にまた来ると言い残したランギュー二ュの言葉に不安を抱きつつ信じてみるしかないとピーランは、廊下から見える日が落ち始めたサイデリーを見つめるのであった。



― 氷の宮殿 夜 王の部屋 ―


 早々に冬を迎えたフルード大陸にあるサイデリー王国。夜ともなればその気温は全ての物を凍りつかせるかのように寒さが増していく。そんな夜のサイデリーの町並を氷の宮殿にある自分の寝室、王の部屋の窓から見えなくなった目で見渡すブリザラ。


「……」


きっちりと窓は閉め切られている。しかし夜の冷気はきっちりと閉められた窓の隙間から漏れ冷気を部屋の中へと送り込んでくる。しかしブリザラは寒さなど関係無いというように見る事が出来ないサイデリーの町並を見続けている。それはまるで誰かを待っているようでもあった。

 するとブリザラの様子を伺っていたように突然窓がコンコンと叩かれる。


「……」


しかしブリザラはその音に動じる事無く手で探りながら音のする窓へと手をかけ、ゆっくりと窓を開いた。一気に流れこんでくるフルードの冷気を纏った風はブリザラの体を抜け、部屋の蝋燭の火を全て消して行く。凍える程の冷気が体中に纏わりついているというのにブリザラは、全く動じることなく窓に現れた者を見えない目で見つめた。


「……久しぶりだな」


真っ暗になった部屋に響く男の声。その声はブリザラが待ちわびていた男の声であった。


「……おかえり……」


男の声に対してブリザラは、涙を流しながら柔らかく笑みを浮かべるのであった。


 数カ月後、お祭り騒ぎとなるサイデリー。その理由は、サイデリー王がご懐妊それたという情報が発表されたからであった。


 ガイアスの世界


ブリザラのその後 テイチのその後


 ご懐妊発表から数カ月後、ブリザラは元気な男の子を産む。目元はブリザラにソックリの可愛らしい男のである。

 しかしご懐妊発表直後から、ブリザラ王の相手は誰なんだという噂で持ち切りとなる。女たらしの元最上級盾士が父親なのではという噂もたったが、それについてブリザラは一切の発言をすることは無かった。

 父親が誰であるのかそれは永遠の謎である。


テイチのその後


 『絶対悪』死神との戦いの後、盾士達に助け出されたテイチは、それから二年間深い眠りについていた。その間サイデリーの氷の宮殿で目覚めるのを見守られていたようだ。

 テイチは目を覚ました瞬間、大きな喪失感を感じる事になる。ガイアスから精霊の気配が感じられなくなっていたからだ。

 ブリザラの励ましの言葉から何とか立ち直ったテイチは、世界を巡り精霊についての研究に没頭する。そしてそこから得られた結論が、これから緩やからに魔法が失われていくというものであった。テイチの研究結果はガイアス中の人々に衝撃を走らせた。

 しかしすぐでは無くこれから数百年単位の話であるという事に魔法を扱う者達は安堵し日常を取り戻していくことになる。

 その後テイチはブリザラからの願いによって自分の故郷であるムウラガに戻り国を誕生させる計画を進めていく。サイデリーに移住していた人々に技術を学んでもらい、その技術を何もないムウラガに持ち帰り発揮してもらう。計画は順調に進み十年足らずでムウラガには国が誕生することになった。その国の名は(エレメンタルヘイム)と名付けられ、その国の初代王になったのは、ムウラガの人々を纏め上げたテイチであった。

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