最後で章 23 あるはずの無い再会
死神の満腹度
負の感情を食料とする死神。しかし現在の力を維持するには相当の負の感情が必要な模様。力に見合った莫大な負の感情が必要なようで、少しでも気を抜けばすぐにでも枯渇していくようだ。
最後で章 23 あるはずの無い再会
『絶対悪』渦巻き、それを抑え込むようにして魔王の『闇』が広がる世界、ガイアス
数十年以上前、小さな島で起こった戦乱はその島に住む全ての人々を巻きこんでいった。一部の者達の欲や利権のために誰もが戦い続けなければならないそんな日々に終止符を打ちヒトクイが統一されたのは今から二十数年前の事である。
それからのヒトクイの発展は著しく、気付けば大陸にある大国とも渡り合える国へと変貌を遂げていた。
そんなヒトクイの変化を一番に見てきた者、先代の王の影としてヒラキを支えそしてヒラキの亡き後、その意思を継ぎヒトクイの王になった現ヒトクイの王にして夜歩者でもあり『闇』と『聖』を司る神精霊でもあるレーニは、伝説の武器の所有者であるスプリングの前に現れた男女、特に女性の方に信じられないと言うような驚きの表情を浮かべていた。
女性のその容姿は、妖艶な美しさを持つ夜歩者の中でも一番と言われているレーニに匹敵していた。しかしレーニはその女性の美しさに驚いていた訳では無い。その女性の顔に見覚えがあったからだった。
長い年月を生きる事ができる長寿の力を持つ夜歩者であったレーニ。人間にとっての数年が刹那のように感じるレーニにとって、刹那でありながらも一番大切思い出が詰まったその刹那な日々を一緒に過ごした人物、その人物が突然その場に現れたからであった。
しかしそれはありえない事であった。なぜならば、その人物はもうこの世にはいなはずであったからだ。たがその女性が今レーニの視線の先にいる。その事実がレーニを混乱させる。更に混乱を増幅させるようにその女性は旧友と言ってもいいはずのレーニに対し鋭い眼光を向け殺気を放っていたからだ。その眼光の意味が分からずレーニはただただ困惑するしかなかった。
そして女性の隣に立つ男の姿もレーニには見覚えがあった。その男は女性の夫であり、そして自分がガウルドから追放した男であったからだ。
女性の横に立つ男は、女性とは対照的に、凛々しい顔つきを崩し突然目の前に現れた男児よの姿にレーニ同様困惑するスプリングに柔らかい表情を向けていた。
その男女を前にしてスプリングとレーニの心の中では全く同じ考えが渦巻いていた。
((なんで、ここに……))
「驚きましたか……彼女達が現れた事に……」
まるでおとぎ話や絵本から抜け出してきたようなその姿はまさに死神、生命を狩りとる死の神の姿をした『絶対悪』であり、『闇』の精霊でありそして死神と呼ばれる存在は、その姿から考えられないほど陽気な声で驚きのあまり声が出ないスプリングとレーニに驚いたかと話しかけた。
「……二人とも……あの方達と知り合いですか?」
一人状況が呑み込めないサイデリーの王ブリザラは、真紅に染まるその目でスプリングの前に立つ男女を見つめながらレーニに知り合いかと尋ねるが、それに対しての反応が返ってこない。レーニは驚きのあまりブリザラの声など耳に入って来ず、ただ男女を見つめ硬直していた。
「……あの二人から漂う力……」
動揺がはっきりとみて分かる今のレーニにの様子にブリザラは、男女との関係を聞く事は難しいと悟り、自分の目で情報を手に入れようと真紅に染まった目を凝らし男女を見つめた。すると男女から発せられる力が驚くほどに高い事に気付いた。
女性の体内に内包されている魔力量は、普通の人間の数十倍という量でありもはや魔力量だけで言えば人間という枠を超えていた。
逆に男の方は高い魔力量は感じられず見た目もそこまで強いようには見えないが、ブリザラの持つ真紅に染まった目にははっきりと男の実力が高い事を感じ取った。
「なに……この人達……」
圧倒的な魔力、そして実力を持つ男女に驚くブリザラ。だがそれ以上にブリザラには男の顔がどこかアキに似ているようにも感じられ、言いしれない胸騒ぎを感じはじめた。
『……王よ……あの者達とスプリングやレーニ王を対峙させてはならない!』
しばらく男女を見つめ観察していたブリザラに突然警告を発する伝説の盾キング。
「そうは行きません!」
しかしそうはさせないと死神が二人とブリザラの間に壁のように立ちはだかる。
「どうやら、伝説の盾キングさんは、私がこれから彼女達に何をさせようとしているのか理解したようですね、ですが邪魔はさせませんよ、神の力を持ち、負の感情を抑える規格外にして要注意なサイデリーの王を行かせる訳がない……しばらくの間、私と大人しくこの状況を傍観していてください」
ここから先には行かせない、陽気な声とは裏腹に威圧的な雰囲気を放つ死神は、ブリザラとブリザラが持つキングを見つめる。
「なっ……!」
死神がブリザラの目の前に立ちはだかった瞬間、ブリザラの体は一瞬で凍り着くように身動きが取れなくなり目が回りはじめた。
『王どうした?』
「駄目……キング……私動けない……」
何が起こったのかとブリザラに声をかけるキング。それに対してブリザラは、歯を噛みしめながらこの場から動けないとキングに訴えた。
「見えすぎるというのも大変ですね……神の力……不完全であってくれて助かりましたよ」
突如ブリザラの体に起こった異変、それは死神がこれまで喰らってきた幾百幾万幾億にも及ぶ負の感情、怒りや憎しみ怨念や悲しみなどが及ぼす影響であった。ブリザラの持つ真紅に染まった目は死神の中にある負の感情の渦をより明白に映したことによって、本来ならば見えない深い場所にある負の感情にまでブリザラが触れてしまったことによって深く暗く重い負の感情がブリザラの体に纏わりつき影響をおよぼしていたのであった。
例えその目の力が神の力であってもそれを扱うブリザラは人間である。死神が見せる負の感情の嵐に人間の精神が耐えられるはずもない。見えすぎる故に深く暗く重い負の感情にあてられたブリザラの体は、異様な寒さと気持ち悪さに襲われていた。
「だ、駄目……これ以上直視できない……」
動けなくなった体を無理矢理動かし視線から死神を外すブリザラ。
『大丈夫か王!』
ブリザラの体に起こった状況を理解できないキングは焦りながらブリザラの体を気遣う。
「……ふふふ、例え神の目を持っていても所詮肉体は人間、耐えられるはずがありません、それほどに人の負の感情が持つ力は底が知れない……これであなた達は封じました……邪魔はさせませんよ」
笑う死神であったが、その笑いにはどこか余裕が無い。死神は自分の中に起こった変化に気付いていた。
(どうやら、ガイアス中に広がった幻術が解かれ私に負の感情が供給されなくなったようですね……こんな事ができるのは……全く真面目に自分の職務を全うすればいいものを)
髑髏の顔に表情は現れない。しかし内心ではどこか小さな焦りを感じ始める死神は、スプリングに瞳の無い暗い視線を向けた。
「……感動の再会、そして復讐の再会、準備は整いました、私に最高の負の感情を見せてくださいスプリング=イライヤ!」
そう死神が叫んだ瞬間、体の制御が出来なくなりつつあるのか突然体のいたる箇所が波を打つように暴れ出す死神。
「さあ……早く負の感情を垂れ流すのです!」
最初に口を開いたのはレーニであった。
「……バラライカさん……なぜあなたがここに……」
「ッ!」
レーニはヒトクイ統一を成し遂げた先代の王ヒラキを戦乱渦巻く時代から支えた者の名を口にした。そのレーニの言葉に体をビクリと強張らせるスプリング。
「……お前に語る口は無い、この裏切り者め」
静かに現ヒトクイの王レーニに言葉を発したバラライカと呼ばれた女性は、巨大な火球を一切の詠唱無しに何の前触れも無く頭上に呼び出すとレーニに向けて放った。巨大な火球は触れるもの全てを消し炭にしてレーニに向かって行く。
その巨大な火球に合わせるようにしてバラライカの隣に立っていた男は柔らかく微笑みを浮かべていた表情をかき消しレーニに向かい飛び出した。
「父さん!」
一瞬にして最高速度に達した男を目で追いながらスプリングが、その男を父さんと叫んだ瞬間、男の姿はスプリングのすぐ隣をかすめるように抜けると、鞘から一息で抜いた剣をレーニへと向け襲いかかる。
「リューさん!」
スプリングに父さん、レーニにリューと呼ばれた男は目にも止まらぬ速さでレーニの懐に潜り込むと手に持つ剣でレーニの首を狙い横に薙ぐ。しかしレーニは男の攻撃を間一髪で避けると、迫りくる巨大な火球を捻じ曲げるようにして空間の彼方に追いやった。一撃目が不発に終わったと分かると男はレーニから距離をとるようにして後退する。
「……スプリング、大きくなったな」
一呼吸でレーニに剣が届く距離まで後退した男はレーニに剣を向け、父親の表情で背を向けたまま柔らかい口調でスプリングに声をかけた。
「ええ、本当に……」
そしてレーニに巨大な火球を放った女性も先程レーニに向けていた鋭い殺気など嘘であったように優しい表情、柔らかい口調で男の言葉に頷く。
「……リュー=イライヤ……バラライカ=イライヤ……」
自分に攻撃を仕掛けてきたという事実に困惑しながらレーニは男女二人のフルネームを口にする。
イライヤという名を持つ一族は、ヒトクイ統一前、先代ヒラキ王の下でその自慢の剣技を振るったと言われる一族であった。しかし現在、その名を持ち生存している者は一人しかいない。いないはずであった。
「父さん……母さん」
イライヤという名を持つ最後の一人となったスプリングは、最後の別れを果たした時よりも若い姿のリューとバラライカを信じられないという表情で見つめた。
「スプリングさんのご両親……」
思いもよらぬ両親との再会、そして友人との再会を果たしたスプリングとレーニを、体に残る異様な寒さと気持ち悪さに耐えながら見守るブリザラ。
『……お前は死者すら幻術にかけ愚弄するクズなのだな』
そして死神の行いに対して静かに怒りを滾らせるキング。
「ああ、アヒィ ……残念です、その私に向けられた、アヒィ……怒りが届けばどれほど私が幸せか」
痙攣するように体の至る所が波打つ死神は、キングが向ける怒りをとり込む事が出来ず残念がる死神。
≪……奴の様子がおかしい……≫
呂律が回らなくなり、しゃっくりのように時たま上げる奇声。そして波打つ体、死神の様子が明らかにおかしい事に気付くキング。
≪王よ……死神の中で何か異変が起こっているようだ、これから何が起こるか分からない、出来るだけ体の調子を戻し警戒するんだ≫
今度は死神に悟られないようブリザラにだけ聞こえる声で話しかけるキング。
「……」
何も言わず微かに頭をうなずかせると、体の調子を取り戻そうと目を閉じるブリザラ。
(スプリングさんのご両親という事は……アキさんのご両親でもあるという事……アキさん今あなたは何処で何をしているのですか)
心を落ち着かせようとするがそうすればするほどスプリングの両親が現れたという衝撃が心を強く揺さぶり、アキへの想いへと向かってしまうブリザラは体の回復への集中力をたもてなくなるのであった。
しかし心を揺さぶられ集中力が保てなくなっているのはブリザラだけでは無い。殺されたはずの両親が目の前にしかも若い姿で現れたという状況にスプリングの精神は滅茶苦茶になっていた。
「な、何で……どういうことだよ……」
『主殿、気持ちをしっかりと持つのだ』
『ポーンの言う通りですスプリング、あれはきっと死神の幻術の一つ、惑わされてはいけません』
困惑する自分達の所有者スプリングの精神をどうにか立て直そうとする伝説の武器ポーンと伝説の防具クイーン。しかしその声は届かずフラフラと歩き出すスプリング。その先には父と母であるリューとバラライカがいた。
更に後方へと退避したリューはバラライカと合流して自分の息子であるスプリングを見つめていた。
「かわいそうな子……あんなに心を痛めて……」
「ああ、すぐにでもスプリングの下に駆け寄りたいが……」
今は出来ないとレーニに視線を向けるリュー。
「なぜ! 私が裏切り者なのですかバラライカさん!」
自分に刃を向けたという事実が信じられないレーニは、自分の事を裏切り者だと言い切ったバラライカにその言葉の真意を問いただす。
「お前は私達を騙した……ヒラキを殺しヒラキに化け、今の今までヒトクイという国を支配していたお前が裏切り者では無いと口にするか!」
逆鱗に触れたか如く、バラライカの怒りは動揺するレーニに怒りの言葉を吐かせる。
「違う、それは違います、私はヒラキを殺していない!」
ヒラキを殺したのは自分では無いと否定するレーニ。
「ならなぜお前はヒラキの姿に化けてヒトクイの王をやっている!」
「そ、それは……」
ヒラキが名も無き反乱軍の一人に首を跳ねられ死んだという事実は絶対に知られてはいけない事であった。反乱軍にヒラキが殺されたという事実が広まれば折角統一されたヒトクイが再び戦乱に包まれると考えていたレーニ。それ故の苦渋の選択であった。
しかし今のバラライカから見ればそんな事はどうでもよく言った所で信じてもらえないと思ったレーニは言葉を詰まらせることしかできなかった。
「ほら、言い訳も言えないだろう……お前は最初からヒトクイという国を欲してヒラキや私に近づいてきたのだ!」
「それは違う!」
決してヒトクイという国を欲してヒラキやバラライカに近づいた訳では無い。それは心に誓って言える事であった。
「ふん……夜歩者など初めから信じるべきでは無かった!」
「そ、そんな……」
まだレーニがただの夜歩者であった頃、一番親しくしてくれたバラライカ。どんな時も自分の心配をして優しく話しかけてくれたバラライカの口から出た言葉はレーニの胸に突き刺さった。
「……それだけでは飽き足らず私達のスプリングを惑わせ、自分の力にしようなどと考えているなんて許せない……お前は私のこの手で殺す!」
「な、何を言っているバラライカさん!」
スプリングの力を利用しよう惑わせようなんて考えた事も無いレーニは、どうにも話が噛み合っていない事に気付いた。しかしそんな事を考えている暇も無く、再び巨大な火球を頭上に作り出すバラライカ。だが今度は一つでは無く空を隠すほどの数の巨大な火球がバラライカの頭上に現れた。
「リュー!」
「分かったバラライカ!」
夫婦ならではの阿吽の呼吸なのか、バラライカが意図した事をすぐに察知したリューは、その場から飛び出すとフラフラと歩くスプリングの下へと向かい体を担ぎ上げるとその場から離れるように退避する。
「さあ、炎に焼かれて罪を償い死ね夜歩者!」
バラライカが手を振り下ろすと同時に上空に浮遊していた巨大な火球の群れはレーニに向かって動き出した。
「この数……」
レーニに向かって迫る巨大な火球。その数は言うまでも無くその一帯を焼土と化すほどのものであった。
「はぁああああああ!」
しかしそれを黙って見ているほどレーニも馬鹿では無い。次々に向かって来る巨大な火球を神精霊の力とは別の力、空間を操る力で捻じ曲げかき消していく。
「くぅ……まだまだ!」
巨大な火球が次々と空間にねじ切られ、かき消されていくのを見たバラライカは地面に手を当てる。するとバラライカの手を起点にして地面が凍りついていく。凍った地面からは次々と鋭い凍り柱が生えて行く。
「相反同時無詠唱……!」
火の属性を持つ巨大火球を放ちながら、水の属性である氷柱を放つという全く属性の違う魔法を同時に詠唱させた事に驚くレーニ。夜歩者やエルフなどの魔法に特化した存在や、精霊の力を借りる召喚士ならば別々の属性を同時に放つ事は可能であるが、人間にそれを行う事は無理と言われている。しかしバラライカはそれをやってのけた。しかも無詠唱で。それを夜歩者であってもエルフであっても精霊の力を借りた召喚士であってもやってのけた者は今までいない。
レーニの足元へと迫る氷柱。だがレーニは足元に迫ってくる氷柱もその己が持つ力でかき消していく。
「これならどうだ!」
永遠と続くのではないかと思われるほど次々に生み出される巨大な火球と氷柱。それに加え、今度は目にも止まらぬ速さで数えきれないほどの雷槍がレーニを襲う。
「くぅ間に合わない」
今まで空間を捻じ曲げる事によって自分に降りかかる火球や足元を襲う氷柱をかき消していたレーニ。しかしそれに加え目にも止まらぬ速さで向かって来る雷槍を捌ききるのはレーニであっても無理であった。それでも向かって来る雷槍に手を向けるレーニ。しかしレーニの反応は僅かに遅く雷槍はレーニの肩を穿った。
「がぁっ!」
その瞬間、体を這いずりまわるように電撃がレーニの体を襲う。雷槍の電撃によって体の動きが一瞬止まるレーニ。しかしそれが決定打となった。体の動きが一瞬でも止まった事によって、次々とレーニの体打ち込まれる雷槍。それだけでは無く地面から突き出た雪柱によってレーニの体は跳ね上げられ、そして空からふり注ぐ巨大な火球にその体を焼かれ飲み込まれ地面に着弾する。すると巨大な火球は一瞬にしてその場を吹き飛ばしていくのであった。
次々と誘爆していく火球の轟音が響き渡る。
「……はぁはぁ……お母さんやったよ、スプリング」
相反無詠唱は切り札であったのか、全ての力を使い果たしたというように肩で息をしながら爆発の光景を見つめるバラライカは、今頃リューと共に遠くに逃げているだろう息子に伝えるように敵を倒したという報告を呟くのであった。
「スプリング、大丈夫か?」
頭に乗せられた手は、子供の時ほど大きく感じられないが、それでもやはり昔と変わらない優しさと温かさを感じると思うスプリング。
「父さん……」
久しぶりに会う息子の感触を確かめるように頭の上に乗せた手をゆっくりと動かすリュー。
「今までよくがんばったな……」
ニコリと笑みを浮かべるリュー。その笑みにつられるようにぎこちない笑みを浮かべるスプリング。
≪主殿、騙されるな……これは奴の幻術だ≫
≪スプリングさん!≫
目の前のリューに聞こえないよう呼びかけるポーンとクイーン。
「あの爆発はお母さんの魔法だ、どうやら決着はついたみたいだぞ」
凄まじい轟音と共に周囲を照らす爆発の光を指差しリューはバラライカがレーニを倒した事をスプリングに告げる。
「レーニさんが……」
≪なんてことだ≫ ≪そんな……≫
驚きの声を上げるポーンとクイーン。茫然と爆発の光を見つめるスプリング。
「これでお前にかけられた幻術も解ける……あの忌々しい夜歩者の呪縛も解ける」
「呪縛……? なんのことだ?」
リューが何を言っているのか分からない。そんな表情でスプリングは同年代の姿をした父親の姿を見上げるのであった。
ガイアスの世界
相反詠唱 相反無詠唱 相反同時無詠唱
相反詠唱
相反する属性を持つ魔法を詠唱し交互に瞬時に放つ方法。
相反無詠唱
詠唱することなく、相反する属性を持つ魔法を交互に瞬時に放つ方法。無詠唱の為、発動が早い。
相反同時無詠唱
詠唱することなく、相反する属性を持つ魔法を同時に放つ方法。バラライカがレーニに向け、火、水、雷の魔法を放ったのが相反同時無詠唱である。
この事からも分かる通り、バラライカの魔術の才能は人間以上のものを持っている。だがそれでも上位精霊などと比べるとまだまだという所であろうか。




