最後で章 11 立ちはだかる脅威
気付けば150話を超えておりました! ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。もう少し続きますので引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします。
ガイアスの世界
木の魔物
ユウラギにのみ生息する木の姿をした魔物。枝を触手とすることで、狙った獲物を捕獲したり獲物の体を貫いたりする。捕獲した場合も貫いた場合もその後は獲物の体液を吸って自分の養分とする。
動く事は可能だがそれほど早くは無く、逃げるのはたやすい。しかし数が多く集まる事で森へと擬態するため逃げるのはほぼ不可能である。
最後で章 11 立ちはだかる脅威
闇の力渦巻く世界、ガイアス
ガイルズが率いる志願兵達が深い森に入りサイデリーの王ブリザラが率いる盾士達達が通常の倍以上の大きさのある古代人形と対峙している頃、沿岸では海から現れた魔物によって未だ足止めを喰らっているヒトクイの兵達の姿があった。
足元の悪い不慣れな地形と倒しても倒して湧き出てくる海の魔物にヒトクイの兵達は苦戦を強いられていた。そんな中、足元が悪い事など全く問題ないというように、水場を駆け巡り次々と迫ってくる海の魔物をひときはど派手な水柱を立てながら吹き飛ばしていく男、ヒトクイの将軍、ガルワンドの姿があった。
しかしそれほどの動きを見せながらもその視線と意識は自分に襲いかかってくる魔物に一切向けられる事はなく、ガルワンドは沿岸より先、気味悪く蠢く森に向けられていた。
ガルワンドが視線を向ける蠢く森からは次々と森に生えていた木々が次々と吹き飛んで行く。それが魔物であるなど沿岸で戦うガルワンド達には知る由も無いが、その蠢く森から頭一つ二つ抜きんでた巨大な人影、通常の物よりも二倍以上はある大きい謎の古代人形が姿を現した事からそこで戦闘が起こっている事は明白だとガルワンドは考えていた。
「あ……あっちのほうが楽しそうだな……」
思わず本音が口から出るガルワンドは、炎を纏わせた剣で目の前に現れた巨大ダコと巨大イカを両断し突き刺すと、いい色に焼かれ香ばしい匂いを漂わせるイカとタコのゲソを口に頬張った。
「モグモグ……うーん、歯ごたえは抜群だがやっぱ塩味だけじゃ物足りないな」
ヒトクイにある調味料を思い浮かべどれが合うかを考えながら歯ごたえのあるイカとタコのゲソを咀嚼するガルワンド。
「将軍……何をなさっているのですか?」
ヒトクイの王直属の『闇』に対抗するために組織された部隊、聖撃隊の副隊長マシューは魚に手足の生えた魔物を切り捨てながらガルワンドの行動に顔を引きつらせた。
「何って……食事?」
イカかタコのゲソを次々に頬張るガルワンドの表情に先程のような鬼のような形相は無く、いつもの少し頼りない表情がそこにはあった。
「いや……食事って……それ魔物ですよ?」
「うん……うまいよマシュー君もどう?」
まるで海水浴に来ているような口調で魔物達の攻撃を避けながら自分の剣に刺さりこんがりと焼けたイカとタコのゲソをマシューに向ける。
「将軍、今は食事の時間ではありません……まさかとは思いますが……飽きたりしてませんよね?」
「ん……? ああ、そんな事ないよ……うん」
全く感情の籠っていない口調でマシューにそう言うガルワンド。
「いや、それ飽きていますよね、完全に飽きていますよね!」
どうみてもやっつけ作業のように魔物を倒していく覇気の無い表情のガルワンドの姿に、完全に飽きていると思うマシュー。
「将軍! 将軍がそんな態度では下の者に示しがつきません、フリでもいいのでもっと真剣にやってください!」
真面目にやれといっても絶対に聞いてはくれないと思ったマシューはせめてフリだけはしてくださいとガルワンドに言うが、それでもガルワンドは全くやる気を見せることは無い。
「全く……なぜやる気が無いのにあそこまで凄い動きができるのだ」
ガルワンドの動きは全くやる気が無いというのにも関わらず、真面目に戦っているマシューよりも遥かに早く的確でなぜそんな動きができるのかとマシューは不思議でならなかった。
「余所見なんかしてよく…… ん?」
全く別の方向を見ながらイカやタコの魔物達の何十本もの触手を掻い潜るガルワンドをチラチラと見つめるマシューはガルワンドが単に余所見をしている訳では無い事に気付いた。
「……何かを気にしている?」
ガルワンドの視線を追うようにしてマシューも視線をガルワンドが向けている方向へと向ける。そこには先程突如として蠢く森に姿を現した巨大な古代人形の姿があった。マシューはガルワンドが何を考えているのか大体の事を察した。
「……なあマシュー君、ちょっと相談があるのだが……」
「相談……とても聞きたくない相談ですね」
底の知れない笑顔を浮かべるガルワンドの言葉に即答で否定するマシュー。今までで一番優しく逆にその優しい口調のガルワンドの声に嫌な予感がしてならないマシューは顔を引きつらせていた。
「そんな酷いなまだ何も言ってないじゃない」
見なくても分かるガルワンドのニタニタした表情。鬼の形相の時のガルワンドの時も正直怖いが、今のガルワンドの表情も別の意味で怖いと思うマシュー。
「……いやね、だいぶこの場の状況も安定してきたと私は思うんだよ」
即答でガルワンドの言葉を否定したはずにも関わらずガルワンドは話を始める。その内容はヒトクイの兵達がこの場の状況に大分慣れてきたという話であった。
ガルワンドの言う通り慣れない地形とサイデリーの王の結界を抜け、魔物達の海からまさかの奇襲によって襲撃してきた海の魔物にヒトクイの兵達は混乱していた。しかしそれは最初だけであり時間が経つにつれ自分達の置かれた状況を理解しはじめたヒトクイの兵達はそれぞれで工夫をし異常といえるほどの粘りと順応を見せ、どうにか海の魔物達と渡り合えるほどには状況を盛り返していた。
どんな苦難が待ち構えていたとしても決してヒトクイの者達は諦めない。ヒトクイの兵達が持つ粘りと順応、それは統一される前まで内乱が日常であったヒトクイの地で彼らが自然に身に着けていった生き様、生き延びるための能力のようなものでありその生き様は、ヒトクイが統一した後に生まれた者達にもしっかりと引き継がれているようであった。
「……」
まだ押される部分はあるにせよ、決して一対一で戦う事をせず、イカやタコ、魚に手足の生えた魔物を数人で撃破していくヒトクイの兵達を見て確かにとガルワンドの言葉に納得しかけるマシューは慌てるように首を横に振った。
「だから私がここから離れてもいいかな……なんて?」
小首を傾げながら少年のように下をだすガルワンド。
「……駄目ですよ絶対! 今この場から将軍が離れたらせっかく盛り返した兵達の士気が下がってそれこそ大混乱ですよ!」
将軍がこの場から離れ勝手をするなど言語道断だとガルワンドの願いを完全否定するマシュー。
「そうかな……きっと大丈夫だと思うけどな……」
しかしそれでも食い下がらないガルワンドはチラッチラッとマシューの顔色を伺いつつ、ソワソワした様子で蠢く森に立つ巨大な古代人形に目を輝かせていた。
「……将軍……それ本気で……」
ガルワンドの言動に我慢の限界だとマシューが一言いってろうと口を開いた瞬間、今まで子供のようにソワソワしていたガルワンドの様子が変わる。少し遅れるようにしてマシューも口を閉じた。
「……うん……どうやら……あちらに行く必要は無くなったようだな……」
「……!」
ガルワンドの言葉を合図にするかのように沿岸が揺れる。しかしそれが地震では無い事は、マシューにも理解できた。
「……来る」
何か強い力が自分達に向かって近づいてきている。マシューとガルワンドは同時に自分達が進んできたユウラギの海に視線を向けた。次の瞬間、ひときは強い揺れが沿岸にいた者達を襲う。それと同時にマシューとガルワンドは自分の目を疑った。二人の視線の先には真っ二つに割れた海があったからだ。
「う、海が割れた」
「こりゃど派手だな」
あまりにもおかしな光景に茫然とするマシューとガルワンド。
「に、逃げろ!」
「飲み込まれるぞ!」
次まの瞬間海の近くにいたヒトクイの兵達はそう叫びながらユウラギの陸地へに向かって走り始めていた。
「ま、不味い、津波か! 巻き込まれるぞ! 皆陸地へ走れ!」
海が突然真っ二つに割れるという得体の知れない状況に一瞬反応が遅れたマシューは、割れた海から迫りくる津波への対処に遅れてしまった。間に合わないと分かって尚、ヒトクイの兵達に声を張り上げユウラギへ走れと指示を出すマシューもまた津波から逃げるようにしてユウラギの陸地へと走り出した。
真っ二つに割れた海から発生した津波は次々とヒトクイの兵達を飲み込み割れた海の間に引きずり込んでいく。
「うおおおおおお!」
ユウラギの陸地へと走りながら真っ二つに割れた海に飲み込まれていくヒトクイの兵達に何もしてやれないマシューは自分の無力さを痛感する。しかしそんなマシューの気持ちなとお構いなく津波はその場にいた魔物ごとヒトクイの兵達を次々と飲み込んでいく。
「こりゃ無理だな……」
「くぅ……追いつかれる!」
津波の速度は想像以上に早くマシューとガルワンドもヒトクイの兵達と同じように飲み込まれていくのであった。
― ユウラギ内、魔物の森 ―
蠢く森、その正体は木の姿をした魔物達が集まる事で作られた森であった。そんな蠢く森は先程まで不気味な声が響き渡っていたというのに今は水を打ったように静まり返っていた。
「あ……あああ……」
突如として姿を現した巨大な獣、上位聖狼による拘束遠吠の影響で木の魔物達と志願兵達は全く身動きが取れなくなっており、その影響は声にまで影響していた。全く動けず声も出せない志願兵達は困惑しているという意思表示もできずそのばで固まり喉から振り絞り出したような声を上げていた。
しかし声を発生出来ないのは上位聖狼が放った拘束遠吠の影響だけという訳では無く上位聖狼の前に姿を現した者達に驚いていたからでもあった。
一瞬にして絶対強者であると分かる上位聖狼太い前足の攻撃を軽々と弾き返した者達の姿に志願兵達は幼い頃に聞かされたガイアスに残る伝説やおとぎ話に出てくる登場人物と重ね合わせていた。
一人は土から顔を出し立派な髭を蓄えた小さな老人。一人は人の肩に乗れるほどの大きさしかないが、半透明な羽を生やした小さな少年。一人は全身に荒々しい炎を纏っているというのにため息が出てしまうほどに美しい女性。
上位聖狼の前に立つ三人を実際に会った事は無いが志願兵達の誰もがは知っていたのだ。
「……さて、わし達はこれからどうすればいいかの?」
「八つ裂きでいいんじゃないのか?」
「本当に好戦的だね」
自分達が伝説やおとぎ話の登場人物になっている事など知る由もない三人は志願兵達の視線など気にする事無く、目の前の大きな獣を見ながら次にどうするかの相談を始める。
「皆待って!」
そんな中いつの間にか三人の中心にいた少女は上位聖狼の攻撃によってボロボロになり地面に倒れていたウルディネに駆け寄っていく。
「行っちゃダメだよ!」
「コラ、テイチ!」
「行くな!」
三人の輪から抜け出した少女テイチを引き留めようとする三人。その中でいち早く動いた半透明な羽を生やした妖精のような少年はテイチの肩へと素早く着地する。
「まってテイチ、ここは危険だよ」
「ウルディネ? 大丈夫?」
妖精のような少年の言葉を無視してテイチはボロボロになったウルディネに駆け寄り言葉をかける。その表情は今にも泣きそうであった。
「うぅぅ……」
「はぁ! よかった……」
苦悶に歪むウルディネの口から小さいうめきが声が聞こえた事にテイチは泣きそうだった表情を綻ばせほっと胸をなで下ろした。
テイチの様子をジッと見つめていた上位聖狼は四足で行動する動物や魔物と同じように休憩と言わんばかりに腰を下ろした。
《戦いを止めに入るとはいい度胸だなガキ……それなりの理由があっての事なのだろうな?》
威嚇するように言葉を発する上位聖狼は実際に自分の攻撃を止めた三人にでは無く大声で止めてと叫んだテイチに対して戦いを止めた理由を聞いた。それはテイチが自分の攻撃を止めた三人を従えている事を直観的に感じ取ったからであった。
「ガキだと……! 獣……お前などにテイチが理由をくれてやる道理はない!」
炎を纏った美しい女性は顔を怒りで引きつらせながらテイチを守るようにして前に立つと炎で作った剣を上位聖狼に向けた。
「……これより指一本でも動かせば消し炭にするぞ……毛玉!」
炎を纏った女性は、怒りを隠すこともせず目の前の上位聖狼に対してその顔からは想像も出来ないほど荒い言葉を発した。
「……『聖』の力を纏った獣……なるほど面白い……しかし所詮は人とエルフによって作られし力、わし達神精霊三人を相手にするには少々実力不足じゃの」
その場から動く事なく立派な髭を蓄えた小さな老人は静かに自分達と目の前の上位聖狼の力を分析し実力不足だと言い切った。
《やはり……お前達は神精霊だったようだな》
しかし上位聖狼は神精霊と名乗った者達に驚く事も無く嬉しそうに自分の考えは正しかったと裂けた口を吊り上げると。下ろしていた腰を上げ白銀に輝く大きな尻尾を揺らした。
テイチと共にユウラギの森に姿を現した三人の正体、それはガイアスに散らばる伝説やおとぎ話に出てくる登場人物にもなっている神精霊であった。実際には出会う事は困難であり生涯で一回でも出会えたならばそれは運命てあるとさえ言われる存在でしかもそんな存在が同じ場所に集まっているとなれば志願兵達が声が出なくなるほど驚くのも無理は無い話である。
「あれ? 僕達を前にして喜んでいるよこのワンちゃん」
テイチの肩の上に乗る風を司る神精霊、シルフェリアは上位聖狼をまるでペットのワンちゃんとでも言うように、尻尾を揺らす上位聖狼に満面の笑みを浮かべる。
「なんだ、遊んでほしいのか駄犬?」
シルフェリアの言葉に続くようにして炎の剣を上位聖狼向ける火を司る神精霊、インフェリーは挑発するように笑みを浮かべる。
「やめろ二人とも……挑発するな」
土から顔を覗かせる立派な髭を蓄えた老人、土を司る神精霊ノームットはあからさまに上位聖狼を挑発するシルフェリアとインフェリーを咎めた。
《ふん……神精霊なんて仰々しい呼び方してるから、もっととっつきにくいのかと思えば……あんたら人間とそう変わらんようだな……躾がなっとらんのじゃないかガキよ》
挑発には挑発でという要領で上位聖狼は特にインフェリーが乗るであろう挑発を仕返した。
「お前ッ……よほど私達の力を味わいたいと見える……黒焦げになるのが望みか?」
「あ~あ、スイッチ入っちゃったよ、僕は知らないよ」
完全に怒りの表情となったインフェリーに対して少し引いた所からもう知らないよと忠告するシルフェリア。そんな今にも戦いが始まりそうな雰囲気の中、弱々しい息をするウルディネの顔を一瞥したテイチはその場で立ち上がった。
「インフェリー止めて!」
テイチは上位聖狼に対して敵意をむき出しにするインフェリーを止める。
「しかし……」
そういいながらも黙り込むインフェリー。
「……狼さん……、ウルディネをいじめないで」
その言葉に上位聖狼は一瞬目を丸くする。
《ふふ……あっはははは、いじめないでときたかガキ……お前は理解しているか? そいつがどんな存在か?》
スッと笑いを止める上位聖狼は自分の体格からすれば豆粒のように小さいテイチをギロリと鋭い眼光で見つめると横たわるウルディネが今どんな存在になってしまっているのかを質問した。
「友達……友達です!」
《友達? ……『闇』に堕ちたそいつを友達というのか?》
意図したものとは違ったテイチにの答えに少々戸惑う上位聖狼は背後で弱々しく息をする水を司るが今は闇堕ちした神精霊、ウルディネに視線を向けながら上位聖狼はテイチに『闇』に堕ちたウルディネが友達なのかと質問を重ねた。
「はい!」
《即答かよ!》
一切の迷いの無いテイチの晴れ晴れするような答えに思わず素が出てしまった上位聖狼はツッコミを入れてしまった。
「私はウルディネの友達です! だからウルディネをいじめないで!」
幼くも小さな体から吐き出されるテイチの思いは叫びとなり周囲に響き渡る。
《……はぁ……何か馬鹿らしくなってきたな》
それがテイチを見て自分の行動を馬鹿らしく思ったのか、それとも仰々しく喋っていた自分を馬鹿らしいと思ったのか分からないが、自分を見上げるテイチの必至な思いの叫びに上位聖狼は一つため息を吐く。
《ああ、もういいや何かやる気がそがれた》
威厳も何もない口調でそういう上位聖狼は再び腰を下ろそうとした。
その瞬間。
「えっ?」 《なぁ?》
驚きの声を上げる上位聖狼とテイチ。拘束遠吠の影響で、ユウラギの森一帯に漂っていた『闇』の気配は吹き飛んでいたはずだったのだが、一瞬にしてそれが膨れ上がった事に上位聖狼とテイチは感じ取っていた。
《チィ! おい、精霊! このガキを守れ!》
素早く腰を上げる上位聖狼はテイチの襟を銜えるとインフェリーに向けて放り投げた。インフェリーは放り投げられたテイチをキャッチするとすぐに上位聖狼の意図を汲んでその場を離れる。
次の瞬間テイチ達が今まで立っていた地面からは黒い火柱が幾つも上がり上位聖狼と地面に横たわるウルディネを飲み込んでいく。
「ウルディネぇええええ!」
黒い火柱に取り残されたウルディネに手を伸ばすテイチ。しかしテイチの行動を遮るようにしてインフェリーはテイチの身を守るためその場から更に距離をとった。
「インフェリー! ウルディネが! ウルディネが!」
「大丈夫、大丈夫だよテイチ!」
テイチの肩にしがみついていたシルフェリアは興奮するテイチをなだめようとするが、テイチには一切その声は聞こえておらず黒い火柱に飲み込まれていくウルディネに向かって叫び続ける。
「……私達の不意を突くなんて!」
自分の腕から逃れ今にも黒い火柱の中にいるウルディネに向かおうとするテイチを軽く抑え込みながら、インフェリーは不意を突かれた事に苛立っていた。
「……この黒い火柱……そして『闇』の気配……まさか!」
「はーいその通りですよ!」
周囲の状況にそぐわない調子のその声に表情を一瞬にしてしかめる神精霊の面々。
「いや~懐かしいお顔ばかりで!」
まるで旧友に久々の再会でもしたかのように喜ぶその声の主は、黒い火柱の上がるその場所から姿を現した。
「やはりお前だったか、『闇』の精霊……」
「ふふふ、その呼び名で呼ばれるのもいつぶりですかね……最近は私……」
上から下までを大きな黒いローブで身に纏い、フードから覗くその顔は髑髏。その姿を目の当たりにした者達はその者をこう呼ぶ。
「死神と呼ばれる事が多くて……」
死を告げる神、死神がテイチ達の前に姿を現したのであった。
ガイアスの世界
海の魔物
ユウラギ海域に生息する魔物。そのどれもが他の大陸の海域で見かける魔物に酷似してはいるのだが、巨大であったり本来ならば無い手足が生えていたりする。
当然の如く強さは他の海域に住む魔物よりも強くそして数も多い。
余談ではあるが海の魔物は味付けをしっかりおこなえばそれなりにうまいらしい(某とある国の将軍談)




