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兎に角真面目で章 11 八カ月ぶりの再会はご都合主義

ガイアスの世界


ユウラギからやってきた魔物。


 それは虫のような魔物であったり四足歩行の魔物であったり二足歩行の魔物であったり多種多様で、驚きなのが海の渡りかたであった。

 ユウラギからムウラガに渡ってきた時は、ただがむしゃらに海を渡っていたユウラギの魔物達。その所為で海で溺れ死んでしまう魔物も少なくは無かった。

 しかしムウラガからフルードに向かう頃には水の中を泳ぐ事が得意な魔物や、魚型の魔物の上にまたがって海を渡るという術を身に着けていた。それによって海に溺れ死んでいく魔物の数は各段に下がっていた。

 どうやらユウラギの魔物は他の大陸にくらべどの魔物達も知恵があるようだ。



 兎に角真面目で章 11 八カ月ぶりの再会はご都合主義



闇の力渦巻く世界、ガイアス



 かれこれ二時間が経過したフルード大陸沿岸ではユウラギから襲来した魔物達の勢いが一向に衰えず、次々とフルードへ上陸しようと盾士達の守る沿岸へと動きを止めない。それに比べ先頭の入れ替わりはあるものの、二時間もの間魔物の攻撃を防ぎ続けている盾士達の表情には明らかに疲れが見え始めていた。圧倒的な数の差を持って攻め込んでくるユウラギからやってきた魔物達の力は想像よりも弱かったが、その数に防戦一方というのが現在の盾士の状況であった。

 入れ替わり立ち代わりで何とか自分達の疲弊を誤魔化しながら魔物達の侵攻を阻むための壁に徹する盾士達は、終わりの見えない戦いに心身ともに限界が迫っていた。だがそれでも盾士達が必至にこの状況を維持し続け踏ん張る。自分達が生きる大陸を好き勝手にされないため、盾士一人一人が心の中で守りたいと思う人の事、そしてこのフルードにある全ての国を守る事を考えその想いを原動力に必至に魔物達の攻撃に喰ら突いていた。

 しかしそんな盾士達の想いを嘲笑うかのように、足元に積まれていく魔物の死骸からは悪臭が漂い始めていた。それはまるで死んでも尚、盾士達の足を引っ張ろうとするように盾士達の集中力を削いでいく。

 魔物達が消し炭になったことによって放たれる悪臭、しかしそれだけでは無く消し炭になり切らなかった魔物の部位が腐り始めたことによって腐臭を放ち始めているようであった。だが異臭だ腐臭だと臭いの種類を気にする者などその場には居らず、その場にいる誰もがその臭いに心をイラつかせそして集中力を削がれているという状況であった。

 

『奴は一体何がしたいんだ……このまま盾士達の体力を削るのが目的なのか……王よ盾士達の事を考えるならそろそろ五国の者達を動かすべきではないか』


 目の前で蠢く魔物達を指揮しているであろう存在の考えが理解できず、疲労が限界を超えている盾士達の事を考え自分達の後方で力を温存させている五国の兵達を前に出すべきではないのかと所有者であるブリザラに進言する伝説の盾キング。

 盾士達やブリザラの後ろに控えている五国の兵達はこの二時間というものただ盾士達が苦しむ様を見つめることしかできずその表情は我慢の限界に達しようとしていた。

 なぜ五国の兵達は攻撃に参加しないのか、その理由は今盾士達と戦っている魔物が本体では無く第二波がやってくるとブリザラが考えていたからであった。その第二波が一体どういう物なのか分からない以上ブリザラは、今このタイミングで五国の兵達を動かすことができなかったからだ。

 しかし二時間が経過したというのに全く減る素振りの無いユウラギの魔物達にただ悪戯に盾士達の体力が削られるのを見ているだけの五国の兵達は我慢の限界を迎えていた。


「王、我々に攻撃命令を!」


二時間もの間、変化が見られない状況と、自分の部下達の苛立ちを察した五国のまとめ役であるビリヤットはブリザラに攻撃命令の催促を口にする。しかしブリザラはただ魔物達が蠢く海の一点を見つめるだけで何も口にしない。

 全く変化の無い状況。しかしブリザラだけはその瞬間をとらえていた。


「来ます!」


ブリザラは自分と盾士の間にある雪原を見つめる。するとまるでガラスにヒビが入るように突如として雪原のある場所の空間に亀裂が走った。


「な、何が起こった!」


盾士達は自分達とブリザラを分断するように空間にできた亀裂に驚きの声を上げる。しかも足元に転がる魔物達の死骸から黒い霧が立ち上りはじめその黒い霧は空間に出来た亀裂に吸い込まれていく。そしてそこから新たな魔物が姿を現し始めた。その姿は黒い鱗を持つ蜥蜴の魔物。這って空間から出てきた黒い蜥蜴達は舌をチロチロと出しながら周囲を見渡す。


「挟み込まれた!」


盾士達は自分達の後方に突如として現れた黒い蜥蜴の魔物達の気配を感じながら目の前から攻め込んでくる魔物達の対処で身動きが取れない状況になってしまう。


絶対防御パーフェクトディフェンス展開!」


ブリザラの声とともに持つ沿岸を包み込むようにして巨大な球体型の結界が展開される。その大きさは沿岸に隙間なく展開していた盾士達全員をカバーできるほど巨大な物であった。展開された絶対防御パーフェクトディフェンスは海から攻め込んでいる魔物達を押し出すようにして弾き返した。

 魔物達が弾き出されたことによって盾に加わっていた圧力が無くなった盾士達は前に倒れそうになりながら巨大な結界を放ったブリザラの姿を見つめた。その姿は女神のように神々しくそしてその力は圧倒的であった。

 数千人という規模の盾士達が抑え込んでいた魔物達の侵攻をたった一人で押し返してしまったのだから。その事実に驚く者、興奮する者、様々な表情がその場にはあった。ブリザラの力のお蔭で若干元気を取り戻す盾士達。

 

「五国前へ!」


しかしそれで終わりでは無いというように、絶対防御パーフェクトディフェンスを展開したまま、五国に攻撃命令下すブリザラ。

 

「目指すは、空間から姿を現した黒い蜥蜴の魔物!」


 ようやく攻撃命令を指示された五国の兵達は待っていましたと言わんばかりの表情でブリザラを追いこし空間に出来た亀裂から出現した蜥蜴の魔物達に突進していく。

 絶対防御パーフェクシディフェンスによって海から攻めてくる魔物は居なくなったものの、後方から出現した蜥蜴の魔物達に対して防御体勢をとる盾士達。


「おらああああああ! まだ音を上げる時間じゃないぞ!」


 疲労困憊、盾を上げるのも苦しいそんな状況の盾士達は自分達に向かって来る魔物達に

残った気合を引き絞り再び防御の構えをとる。


「おらあああああああ! ここからは俺達の番だ!」


亀裂から出現した蜥蜴の魔物達が盾士の下へ到達するよりも先に血走った目で突っこんでくる五国の兵達のほうが早く魔物の背を捕らえ次々と切りさき突き刺し射抜いていく。その先頭に立つのはビリヤットであった。両手に沿った湾剣を二刀持ちまるで舞うかのように自分に背を向ける蜥蜴の魔物達をバッタバッタと切り裂いていた。

 普段冷静で策略家な一面を持つビリヤットであったが、若いころは湾剣のビリヤットという二つ名が出回り恐れられるほどの戦闘狂であった。今でこそ冷静に物事を運ぶという事を覚えたが、やはりその本性は抑えきれないのか国の王としてでは無く一兵士として戦闘に出ることができるという喜びがビリヤットに若かりし頃の感覚を思いださせていた。

 突如として空間に出来た亀裂から出現した蜥蜴の魔物達の奇襲はブリザラの的確な指示と五国の兵士達の奮闘によって失敗に終わる。蜥蜴の魔物達を殲滅していく五国の兵達。頼もしい五国の兵達の姿に盾士達は疲労と安堵のため息を吐いた。


≪ギシャアアア!≫


 空間に出来た亀裂から出現した蜥蜴の魔物は決して弱い訳では無い。ガイアスのとの地域に存在する蜥蜴の魔物よりも強いはずだ。しかし五国の兵達の力とブリザラの的確な判断の前ではそこらの蜥蜴の魔物と変わらなくなっていた。

 

「……蜥蜴……」


しかし有利な状況になりつつあるというのにブリザラの表情に余裕は見られない。


『王よ見事だ、まさかこうなる事を予期していたとは……』


「……黒い霧……」


『どうした王よ?』


 返事をしないブリザラに再度声をかけるキング。


「……これで終わりじゃない……今すぐに皆を後退させて!」


『……終わりじゃない……どういうことだ?』


「話している暇が無いわ、すぐに皆を……」


叫ぶブリザラ。しかしすでにその判断は遅かった。

 肉塊と成り果てた蜥蜴の魔物達。そこから漂う黒い霧と悪臭そして腐臭が先程と同じように再び空間に出来た亀裂へと吸い込まれていく。すると亀裂は先程よりも大きくなった。


≪ギィヤアアアアア!≫


耳を劈く鳴き声が空間から漏れだし、亀裂に巨大な爪を持つ手が掛かる。大きな爪を持つ手は亀裂を割るようにして大きく開き、そこから長い首をヌラっと抜き出した。


≪ゴギャアアアア!≫



「ドラゴンか!」



空間の亀裂を広げその姿を現したのは黒い鱗を持つドラゴンであった。


≪ギシャアアア!≫


黒いドラゴンは大きく翼を広げ周囲にいる者達を威圧するように吠えた。その場にいた全員が亀裂から這い出てくる黒いドラゴンを見つめる。

 しかし黒いドラゴンを見て臆する者は誰一人といない。それはその場にいた者の殆どがドラゴン討伐経験者であったからだ。

 ガイアスの世界においてドラゴンは、蜥蜴に翼が生えたもの、もしくは巨体な蜥蜴という認識で、さほど脅威を感じる存在では無い。しかし人類が単独で倒すには中々の強さを持っており、基本的にドラゴンに対峙した時は複数で討伐することが戦闘職の常識となっていた。

 そして戦闘職の者達はドラゴンを倒すことができれば、一人前になったと言われることが多く、ある程度の強さに達した戦闘職の者達は己に箔をつけるため数十人でパーティーを組みドラゴンを討伐に出かけ旅に出ていくのが通過儀礼になっていた。

 すでにこの場にいる五国の兵達はドラゴンを数十匹と討伐しており熟練した戦闘職の技術を持っていた。今更ドラゴンの一体が目の前に現れたところで五国の兵達の心は怯えたりしない。


「へっ! 蜥蜴の次はドラゴンか」


五国の兵士の一人がそう呟くと周囲にいた他の者達も完全に目の前のドラゴンを舐め切った態度で見上げる。


「待て、油断するな!」


しかしその中でビリヤットだけは場の違和感に気付いていた。


「何を仰っているのです王! ドラゴン一匹如きに……」


「前を向けぇええええええ!」


ビリヤットの声が響き渡る。しかしその瞬間ビリヤットの方を向いていた五国の兵達の表情が固まる。

 気付けば空間には沢山の亀裂が出来ておりそこから一体目と同じようなドラゴンが何体も姿を現し始めたのだ。その数は留まることなく空間に出来た亀裂から溢れるようにして現れるドラゴン。

 そこで五国の兵達は今自分達が置かれている状況を理解した。


「全体、数十人ずつに纏まり、ドラゴンを迎撃しろ!」


ビリヤットの指示が飛ぶ。しかしドラゴン達の咆哮によってその場にいた者達の耳にビリヤットの指示が通らない。指示が通らないことでその場の者達は混乱状態に陥っていた。    

 その時点でその場にいた者達とドラゴンの立場が逆転した。数十という数になったドラゴンを前に狩られる側になった事をその場にいた者達は感じていた。

 本来ドラゴンはその殆どが単体で行動する魔物である。繁殖するため交配する時以外はその殆どが単体で行動する。そのドラゴンが単体ではなく数十体という数で人類の前に姿を現した。それはその場の者達にとって異常事態であった。戦闘職の中での常識が崩れた瞬間であった。

 そして目の前のドラゴンはその強さも異常であった。ドラゴンの一体が翼を羽ばたかせただけで周囲にいた者は吹き飛ばされていく。本来ならばありえない光景に足がすくんで動けなくなる者が続出していく。

 しかしドラゴン達は人類の事情など知らない。視界に入った者達をまるで蟻をいたぶるように嬲り引き裂いていく。

 五国の兵達の悲鳴があちらこちらで響く。その光景は言うまでも無く地獄と化していた。

すると突然ドラゴン達は隊列を組むようにして一列に並び、一斉に口に黒い霧が収束しはじめた。

ドラゴン達が始めた行動が危険であることはその場にいた誰もが理解していた。それはドラゴンの代名詞とも言える行動。黒かった霧はいつの間にか真っ赤に染まり、ドラゴンの口の中で踊る。頭を仰け反らせソレの発射体勢に入るドラゴン。


「や、やめて!」


『王よ、駄目だ!』


絶対防御パーフェクトディフェンスを解いてドラゴンの前に立つ五国の兵達を助けに行こうとするブリザラを止めるキング。


『今王があの者達の下へ行けば、絶対防御パーフェクトディフェンスは失われ津波のように魔物達が集まってくる、我慢するんだ!』


「……いや、いやあああああああ!」


自分の言葉によって動きだした五国の兵達。自分の指示で今命を落とそうとする五国の兵達を前に、今まで冷静であったブリザラからは取り乱すような叫び声があがる。それが合図と言わんばかりに仰け反らせていた頭を正面にもどしたドラゴン達の口から大きく腫れあがった火球が放たれた。  

 放たれた火球に対して手も足も出ない五国の兵達は、それを見つめることしかできないでいた。そんな五国の兵達の姿に悲鳴をあげ続けるブリザラ。

 自分達に迫った火球を見つめながら恐怖の表情を浮かべる五国の兵達。しかしその耳には聞こえるはずの無いブリザラの叫びが聞こえていた。ブリザラの叫びを聞いた五国の兵達の表情は一瞬に戦闘職の顔へと戻る。そして自分達が今何をするべきなのか五国の兵達は覚悟を決めた表情で迫りくる火球を見つめる。

 一人、また一人と走り出す五国の兵達。その先に待つのは迫りくるドラゴンの放った火球。五国の兵達は一つでも火球を潰し自分達の背にいる他の者達を守ろうという考えであった。

 その場にはビリヤットの姿もあった。ビリヤットは誰よりも前に出て両手に持った二本の湾剣を迫りくる火球にブチ当てた。湾剣がたった瞬間爆発する火球。その爆発は容赦なくビリヤットを焼いた。それでも膝を折ることなくビリヤットは砕けた湾剣を握りしめ、次の火球に向かって走り出す。

 他の五国の兵達もビリヤットにならって各々のやり方で火球を爆発させていく。しかしそれでも焼け石に水の如く次から次へと火球は迫ってくる。ボロボロになっていく五国の兵達の姿を見つめることしか出来ないブリザラ。それは時間にすれば僅か数秒にも満たない時間。しかしその数秒がブリザラにとっては長くそして苦しく感じられた。

 それは八カ月前、ブリザラの身に起こったガイアスの時間が止まるという現象とは明らかに違い、確実に時を刻んでいる。刻々と死が迫っている五国の兵達を長く引き伸ばされた時の中で見つめることしか出来ないブリザラの目には涙が溜まっていた。

 確定した死への道を進む五国の兵達は、己の内で蠢く死への恐怖と戦っていた。その場の誰しもが火球を前に死にたくないと願う。しかしそれ以上に五国の兵達には自分の命を賭してもサイデリーを守らなければという意地とプライドがあった。


「「「うおおおおおお!」」」


恐怖を振り払い覚悟を決めた五国の兵達の雄叫び。

 しかしその気合も空しく、ドラゴン達の放った火球は容赦なく五国の兵達を飲み込んでいく。全ての物を飲み込むようにドラゴン達から放たれた火球は混ざり合いそして弾けた。怒号を響かせ周囲を巻き込みながら爆発するドラゴン達の火球。ブリザラの目は爆炎で真っ赤に染まった。染まるはずであった。


「だあああああああ!」


「はぁあああああああ!」


突然爆発の怒号にも負けない叫び声が二つブリザラの耳に響く。

 爆発するドラゴン達の火球を抑え込むように五国の兵達の場所に姿を現した男女二人。盾を持つその二人は己の持つ最大級の力を放ち、呑み込まれたはずの五国の兵達の前に立っていた。二人の持つ盾からはその場にいた五国の兵達数千人をも守る実体の無い光の巨大な盾が広がっていた。まるでそれはブリザラやキングが放つ絶対防御パーフェクトディフェンスのようであった。


「ランギューニュさん、ティディさん……」


五国の兵達を守る男女二人の名を呟くブリザラ。


「ブリザラ様! ボーっとしていると折角の美女が台無しだぜ!」


「まだです、まだ諦めてはいけませんブリザラ様!」


ランギューニュとティディは、数千人を呑み込むほどの爆発を二人で抑え込みながら完全に戦意を喪失していたブリザラに激を飛ばす。


『王よ、あの二人の言う通りだ、そして諦めるのは更に速い!』


キングが言い終えると同時に突然ランギューニュとティディの下に姿を現す人影達。


「抑え込んでくれてありがとう!」


「ここからは俺達が!」


「対処します!」


 突然姿を現した者達はランギューニュとティディに感謝を伝えるとすぐに攻撃体勢に入った。目の前の爆発に向かって光輝く槍を放つ少女は、その槍を爆発の中心目がけて投げる。するとその爆発の中心を射抜いた槍は拡散し爆発を揺らめかせる。

 その瞬間、剣を持った男は両手に持った剣を振り下ろす。するとその刃先からは大きな光の波動が放たれ爆発を一頭両断した。

 その時を待っていたかのように二人の後ろで立っていた黒髪の女性が空に掲げていた両手を振り下ろした。すると真っ二つに両断された爆発の真上に黒球が現れ両断された爆発を吸い込み始めた。

 爆発したはずのドラゴン達の放った火球はみるみるうちに黒球に吸い込まれ、そしてその場から消えて無くなった。


「スプリングさん、ブリザラさん……レーニさん」


目の前に現れた者達を信じられないという表情で呼ぶブリザラ。それは昔読んだご都合主義万歳のようなタイミングで現れる正義の騎士の話のようであった。

 しかし今はご都合主義でも構わないと八カ月ぶりの再会に素直に涙を流しながら喜ぶブリザラ。その表情はこの場で初めてみせた年相応の表情であった。

 しかしこの場にいたのはスプリング達だけでは無かった。フルードの遥か上空でブリザラ達の戦いを見つめる一人の男。黒い霧を体に纏った男は肉眼で見えるはずの無いその距離からブリザラ達を悲しく見つめるのであった。




ガイアスの世界


 空間に出来た亀裂から現れた黒い蜥蜴の魔物


黒蜥蜴ダークリザード


黒い鱗を持つ蜥蜴の魔物。今まで確認が取れていないため新種と思われる。

 その目には意思が感じられず何かに操られているようにもみえる。しかしその強さはどの蜥蜴の魔物よりも強い。


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