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真面目に集うで章 36 叫び


 真面目に集うで章 36


ガイアスの世界


レーニの正体


レーニは夜歩者ナイトウォーカーである。しかしその存在はヒラキの命を吸った時変化していた。それは本人も理解することなく始まっていた変化である。

 レーニが何者であるのか、それはまだ分からないが対峙したガイルズは、レーニの事を神だと言っていた。

 少なくともレーニが神に匹敵する何かであることは間違いないようだ。




   真面目に集うで章 36 叫び



「ガッハ!」


肺に溜まっていた空気が強制的に口から出される伝説の防具の所有者アキ。肉眼では確認できない何かがアキの背に圧し掛かりその重さはみるみるうちに増していき、アキを地面にめり込ませていく。


『マスター!』


伝説の防具クイーンが、自分の所有者であるアキの苦痛の叫びに悲鳴を上げる。


「さあ、坊ちゃんの希望を壊した報いを受けなさい」


「ぐぅがぁあああああああ!」


苦痛に叫ぶアキのその姿を見下し見つめる伝説の本ビショップの表情は、言葉とは裏腹に不気味なほどに笑顔であった。


「はぁ……」


深くため息をついた伝説の本の所有者ユウトは、今までの戦いでほぼ何も無くなったギンドレッド跡地を見渡した。するとそこには腰掛けるには丁度いい岩があり、ユウトはその岩まで歩き腰掛けた。

 

「ビショップ……早く済ませてくれ……そしたらもうこの世界消すから」


すでに戦いとは言えない一方的な暴力をつまらなそうに見つめながら、ユウトはその口で初めて世界を消滅させると宣言したのであった。


「はい、わかりました坊ちゃん」


ユウトの言葉に頷き返事を返すビショップ。


(おい、半死体アキ、俺に主導権を移せ……このままじゃ本当に死ぬぞ!)


不穏なユウトとビショップの会話に焦る現在アキと体を共有している竜帝ニコラウスが、アキに主人格を代れと提案する。しかしアキはビショップの攻撃に耐えるので精一杯で、ニコラウスの言葉に頷くことも拒否することも出来ない。


『あっくぅ……』


 ミシミシとアキの体に圧し掛かる圧力は、とうとうクイーンに亀裂を生じさせる。ビショップの攻撃はガイアスで最強の強度を誇る月石ムーンロックすら破壊しようとアキとクイーンに圧し掛かっていた。


「クイーン……お別れが近いようです、あなたとは長い付き合いになりました……それはどれもいい思い出です……ですが坊ちゃんの命令は絶対です……さよなら……ジョブアイズ」


想像が出来ないほどの年月を共にし、そして敵同士となったビショップとクイーン。


『心にも思って無い事を……』


クイーンは知っている。ビショップは心にも思って無い事を恥じることも無くスラスラと口にできる事を。どんな言葉にも本当の意味はこもっておらず、全てが薄っぺらなものだということを。

クイーンの呟きに特に反応する事なくビショップは、胡散臭い笑顔を続ける。


『お前は、私達の創造主にその薄っぺらな笑顔と心で近づき、そして殺したんだ!』


クイーン達の創造主を目の前で殺したビショップ。今ビショップはその時と同じ表情で、地面に転がるクイーンを見つめていた。常に笑顔であるビショップの糸目が見開き、いつもとは違う笑みを浮かべるビショップ。その表情には見た者を底知れぬ不安に陥れるいつもとは違う不気味さがあった。見開いた目には何も映らず暗闇だけか存在している。それはこの世界を拒絶するがの如く、まるで何も見ていないようにも見える。


「ぐぅあああああああああ!」


先程よりも数段威力を増した重圧がアキの体を襲う。すると伝説の防具クイーンに異変が起きた。ガイアスで一番の強度を誇る月石ムーンロックで作られた伝説の防具クイーンにひびが入ったのだ。


「あら、まだ耐えますか」


ビショップは少し驚いた声をあげながらヒビが入ったクイーンを見つめる。


『まだまだ……ふふふ……あなたの攻撃など……蚊に刺された程度……です』


お前の思い通りにはいかないとビショップを挑発するクイーン。しかし正直クイーンの強度はすでに限界を超えていた。アキを守る。そしてビショップへの恨みの思いだけでビショップからの攻撃を絶えているという状況であった。

いつ砕け散ってもおかしくない状況でクイーンは勝機を探す。しかしどう考えも今のこの状況を打開する策は見つからない。せめて他の伝説の武具達がこの場に居てくれたらと現在チリジリとなっているキングやポーンの事を思うクイーン。しかしキングもポーンもその思いに答えてくれることは無かった。


『ああああああああ!』


 自我を持った伝説の武具達も、人でいう死に直面した時に、走馬灯のような物を見るのか。今クイーンの中で流れてくるものがそれであるかは分からないが、クイーンは自分が誕生した日の事を思いだしていた。

 それは創造主の一種の遊びとでも言えばいいのか、クイーン達はガイアスには存在しない『科学』というもので生み出された創造主の話し相手というただそれだけの存在であった。

 なぜ自分達を生み出したのかそれは創造主にしか分からないが、その場には創造主の他に誰も居なく、今思えばとても寂しい空間であったとクイーンは後に思った。

 初めは拙く、しかし時が経つごとに人と同じように自我を持ち会話をするようになっていったクイーン達を創造主は嬉しそうな表情で見つめていた。

 更に時が経つとそれぞれに肉体が与えられ、クイーン達はそれぞれが特徴を持ち、それはもう人間と同じ存在になりつつあった。

 その時クイーン達にとって人間という存在は創造主しか存在せず、後は莫大な情報が納められた『科学』からしる事ができなかったが、クイーン達は自分達が人間に近づいている事が嬉しかった。

 しかしそれが創造主の過ちであったのだとクイーンは後に考えた。何が引き金であったのかも、そしてなぜそんな事をしたのかもクイーン達には分からないが、自由になった事でビショップは親ともいうべき存在の創造主をその手にかけたのだ。しかもそれが喜びであるように。

肉体など与えられずただ話すだけのままであったならば、ビショップが暴走することもなく平穏に暮らしていけたというのにと。

しかし創造主は死の間際、笑っていた。ここまで成長したのかと。親である創造主を殺すことが成長と呼べるのかクイーンには理解できないし、理解しようとも思わない。しかし創造主はクイーンの腕で息を引き取るまで幸せそうに微笑みそして逝ったのだった。

それからどれだけの時をキングやポーンと過ごしただろう。創造主が居なくなったその場所で三人は、ビショップへの復讐を決意した。その時、彼らの長い旅は始まった。

なぜその事を忘れていたのだろうと思うクイーン。今まで虫に食われたように穴が開いている自分の記憶は、無理矢理継ぎはぎされ記憶として成立させられていた事を認識するクイーン。

 創造主が死んでからの長い時、クイーン達はビショップとの戦いに明け暮れた。肉体を武器や兵器に変え、自分達と波長の合う者とともにビショップとの長い戦いを。

 そしてビショップを殺す事が出来ない事を知った。絶望するクイーン達であったが、封印することが出来る事を知ったクイーン達は、自分達の手で殺すことが出来ない口惜しさはありつつもビショップを封印する事に成功した。

 長い旅の終わりを迎えたクイーン達もまた自分達の存在理由を見失い、長い年月を超えてガイアスという世界で深い眠りにつく事を決めた。

 そしてそれからクイーン達が同時に目覚める事は今までなかったのだ。数多くの時の中で、目覚めたクイーン達は、その時の自分の所有者に力や知恵を与え勝利や世界の平和をもたらしていた。

そしてアキが闇のダンジョンへ足を踏み入れた時もクイーンは、以前そうしたように自分の下へたどり着く今は小さな力である若者へ力を与えるのだと思っていた。しかしアキとの出会いは最初から予想外であった。

いつの頃からか闇のダンジョンを根城にするようになった強大な力を持つ黒竜ダークドラゴンがアキの命を奪ったのだ。そもそも黒竜ダークドラゴンが闇のダンジョンを根城にしたこと事態がクイーンにとって予想外ではあったのだが。

クイーンにとってアキを助ける理由は無かった。しかし死にかけたアキを見てクイーンは何かを感じたのだ。死なせてはならないと。それもクイーンにとっては予想外の事であった。

クイーンは今まで自分の勘に頼る事はなく、刹那的な感情で極力動くことはしないと決めていた。それはビショップの事があったからだ。自分の持つ力は一歩間違えば、世界を混乱に陥れる力である。クイーンはビショップのようにはならないと感情で動く事を極力抑えていたのだ。しかしそうしたクイーンの思いを覆すようにアキはクイーンの何かに引っかかったのだ。

クイーンは自分の感情が言うまま、無残な姿となったアキを蘇生させるために力を振う。しかしここで黒竜ダークドラゴン、いや竜帝ニコラウスがクイーンに取り込まれてしまった事もクイーンには予想外であった。こうしてクイーンの何度目となる予想外だらけの新たな旅が始まったのだった。

 しかしその出会いが、長い時の中で編み込まれた運命だという事をクイーンはおろか、キングもポーンもビショップでさえも知らない。もっと言えば、ビショップが創造主をその手にかけた時からこの運命という長い道は始まっていたのであった。

 走馬灯を見ていた自分からハッと我に返るクイーン、全く好転していない状況を直視する。


『……くぅ……このままで……』


「ビショップ、早くしろ」


クイーンが何かを口にしようとした瞬間、ユウトの言葉によってクイーンの言葉はさえぎられた。


「はいはい、坊ちゃん」


軽く返事をしたビショップはその言葉とは裏腹に、これでトドメだというような重い一撃をクイーンとアキに与える。


『えっ……?』


驚きの声をあげるクイーン。重い一撃ではあると思ったのだがクイーンにその攻撃は届く事は無く、意識が途切れることはなかった。だがクイーンはビショップの攻撃が届かなかったから驚きの声を上げたのでは無かった。クイーンを濡らすおびただしい量の血。クイーンが上げた驚きの声は、一瞬それがなんであるのか理解できなかったからだ。


「あれ? また……まあいい……ふふふ……たとえあなたが耐えられたとしても所有者のほうは生身の人間……耐えられるはずがないですよね」


ビショップは纏う者を失った伝説の防具クイーンを見つめながら笑みを浮かべた。


『い……いやぁあああああああああああ!』


ビショップの言葉でようやく何が起きたのか理解したクイーンはギンドレッド跡地が揺れるのではないかというほどの悲鳴を上げた。

クイーンだけを残しアキの体は血だけを残して、跡形も無く消し飛んでいた。


『いや、いや……あああ……』


アキを失った事によって錯乱するクイーンを一瞥するとビショップは踵を返し、自分の所有者であるユウトの下へと歩き出す。


「終わった?」


クイーンの悲鳴を鬱陶しそうに見つめ耳を塞いでいるユウトは事が済んだのかビショップに聞いた。


「はい、綺麗に……」


まるで掃除を済ませたような物言いでビショップはユウトに始末がついた事を告げる。


『赦さない……赦さないわ……ビショップ……ビショ』


悲鳴が地の底から放たれるような怨声に変わるクイーン。しかし。


「もう……うるさいよ」


そう呟きながら指を軽く弾いたユウトによってクイーンの怨声は遮られる。

ユウトから放たれた炎がクイーンを直撃した。それは火を司る上位精霊インフルフィートとの炎よりも強大であり、闇歩者ダークウォーカースビアが放った闇炎球ダークファイアよりも禍々しくあった。

それは全てを焼き尽くす炎。たとえそれが月石ムーンロックというガイアス一の強度を持ったものであっても容赦なく焼いていく。


「……」


そんなクイーンを、何を考えているのか分からない不気味な笑顔で見つめるビショップ


「……?」


何かに気付いたビショップは頬が避けるほどに笑みを浮かべる。するとユウトが放った炎に異変が起こった。


「坊ちゃん!」


ビショップは盾になるようにしてユウトの前に飛び出していた。

 燃え盛る火柱から放たれる『闇』の斬撃がビショップの体を真っ二つにする。しかしそれで止まらない『闇』の斬撃はビショップの後ろにいたユウトの両目を切り裂いた。


「ぐぅあああああああ!」


ユウトが上げる苦痛の叫び。この世界に降り立ってから初めて受ける痛みにユウトは切り裂かれた両目を手で押さえながら叫び声を上げる。


「坊ちゃん……」


地面に倒れるビショップの真っ二つになった体。その体は光の粒子となり真っ二つとなった本の形へと戻っていった。


「痛い……痛いィィィィィィィ……早く回復を……」


痛みと光を失った両目に混乱するユウトは目の前でビショップが物言わぬただの本に成り下がった事など知る由も無く、自分に回復の魔法をかけ、両目を癒そうとする。しかし魔法をかけても一切効果は無くそもそも魔法が発動しているのかも分からない。なぜならばユウトの両目は光を取り戻すことも無ければ、痛みが消えることもなかったからだ。


「ど、どういうことだ!」


ユウトは己が持つ『不正チート』にどういう事なのか問いただした。しかし『不正チート』からは何の返答も返ってこない。これがさらにユウトの混乱を加速させていく。

取り乱すユウトを尻目に状況が呑み込めないクイーンもまた混乱していた。今まで冷静を通り越してやる気すら感じられなかった敵が何かから攻撃をうけ苦しんでいる。しかも気付けば自分に放たれた炎も消えていたのだ。

 何が起こったのか思考を巡らせるクイーン。しかし次の瞬間クイーンの思考は停止する。突如として風の音すらその場の雰囲気に呑まれるように、ギンドレッド跡地は一切の音が無くなり、静まり返った。

 クイーンを跨ぐようにして現れる謎の足。その足はユウトを目指し一歩一歩と歩みを進めていく。歩くごとに、踏まれた地面は黒く変色していき、クイーンにはその足が強大な『闇』の力を纏っているように見えた。

一歩一歩ゆっくりと歩みを進めるその足は光を失い、痛みを発する両目に取り乱すユウトに向かっていた。

 

『マスター……』


その後ろ姿は見たことも無い者の背中であった。だがクイーンの口からポロリと零れる言葉。クイーンの位置からでは顔を確認することは出来ないがそれはクイーンがよく知る人物であった。

 竜帝ニコラウスを超える『闇』の力を纏った男、その正体はアキであった。しかしすでにその面影は殆どなく、その姿はまさに魔王と言われる存在その者であった。

 聞こえていないのか、それとも聞こえているが反応しないのか魔王という存在となったアキはクイーンの呼びかけに反応する事なく、目の前のユウトへと歩みを進めていく。


「はぁはぁはぁ……」


両目に感じる痛みに慣れてきたのか、荒い息は残るが叫び散らす事を止めたユウトは見えないものの自分の前に何かが立ちふさがるのを感じていた。


「……お、おま……グゥフ!」


ユウトの腹部に突然刺さる黒い剣。それは魔王アキが作り出した『闇』の剣であった。


「な、なるほどね……」


腹部を刺されたというのに今度は騒ぐことをせずに冷静に何かに納得するユウト。すると魔王アキの黒い手がユウトの首を掴んだ。


「う、ビショップ……」


黒い手に首を掴まれ苦しい表情をしているユウトは、掠れる声で伝説の本の名を呟く。しかしユウトの問に返事は返ってこない。人の姿に変わっていたビショップの姿はそこには無かった。その代わりユウトの足元には真っ二つに引き裂かれた分厚い本が転がっていた。


「まさか……魔王を倒すのが勇者じゃなくて魔王だなんて……とんだ三流シナリオだな……クソゲェ確定だよ」


目を潰され視力を失っているユウトは自分の首を掴んでいる者が何者なのか分からない。しかしユウトは自分の首を絞めている人物がどういった存在であるのかは理解していた。


「お前が隠れボスなんだな……伝説の防具の所有者……」



潰され見えるはずの無いその目でユウトは自分の首を絞める者を見つめる。


「ああ……結局僕は……お前にいいように操られていたんだな、ビショ……」


ユウトが言い終わる前に腹部に刺さった『闇』の剣は切り上げられユウトの体は上半身と下半身の二つに切り裂かれた。そして闇の炎によってユウトの体は跡形も無く消し炭となっていった。


こうして世界を消滅させようとしたユウトとの戦いは終わりを告げることとなった。新たな脅威を生み出して。



「アキさん!」


「アキ!」


ユウトとの戦いが終わり、数分後、ほぼ同時にスプリングとブリザラの声が殺風景な姿となったギンドレッド跡地に響いた。


「ブリザラ……これは一体?」


「私も今着たばかりで……キングクイーンさんは?」


「ああ、ポーンもどうだ、クイーンの反応は?」


ブリザラとスプリングはギンドレッド跡地に自分達以外誰も居ない事を理解すると、伝説の盾であるキングと伝説の武器であるポーンにクイーンの反応がないか聞いた。


『クイーンの反応はあるしかし……かなり弱っているのかこちらの呼びかけに答えない』


『ああ、位置も確認できないほど弱っている』


「なに?」


嫌な予感がスプリングの体を駆け巡り、もう一度周囲を見渡すスプリング。


「おい、あれ!」


スプリングは地面に転がる鎧らしきものを見つけるとその場所へと駆け寄っていく。


「ま、待ってくださいスプリングさん」


それを追うようにブリザラもスプリングの後を追った。


『こ、これは……』


『……』


スプリング達がたどり着いたその場所で、驚愕するポーンと声を失うキング。そこにはもう全身防具フルアーマーとは言えない一番装甲の厚い胴体の部分しか残っていない伝説の防具クイーンの姿であった。


『クイーンしっかりしろクイーン!』


必至で呼びかけるポーン。しかしボロボロとなったクイーンは反応しない。


『これは不味い、応急処置をしなければ……キング……キング!』


『ああ、すまない……』


見るも無残な姿にキングの思考は停止していたのか、ポーンの呼びかけに反応するのが精一杯という状況であった。


『仕方ない……キング……私がクイーンを預かるがいいな』


『あ、ああ……頼む』


キングの了承を受け剣の形をしていたポーンは大きな口へと変化させる。


「な、何をする気だ?」


スプリングの問に答える暇も無いといわんばかりにポーンはクイーンを飲み込んだ。


『主殿……すまないが、クイーンの修復を私がすることになった……本来ならばこれはキングの役目なのだが』


キングの様子をみる限り、今は冷静にクイーンの修復をする事は出来ないと考えたポーンはキングの代わりにクイーンの修復を買って出たのであった。

キングとクイーンは対となる名前であり片方が自己で修復できない破損を負った場合、その対となる、存在が修復の手助けをするというのが取決めであった。しかしポーン達か誕生してからこの取り決めは一度も行使されたことは無く、今回が初めての事であった。


『とりあえずクイーンが安定するまでは私が引き受ける……勝手な事をして申し訳ない……主殿』


「い、いや、それは別に構わないよ……それよりも……」


そこで言葉を止めたスプリングはブリザラに視線を向ける。


「ねぇ……キング……アキさんは……アキさんは何処?」


そこには茫然とした表情で少し前までクイーンが転がっていた所を見つめ呟くブリザラの姿があった。


『……』


キングは答えない。しかしそこに居る全員はアキがどうなったのか理解していた。

闇のダンジョンで、黒竜ダークドラゴンによって一度命を落としたアキはクイーンによって蘇生された。しかしそれは完全では無く、クイーンを纏うことで成立する仮初の命であった。アキがクイーンを纏っていないということそれはアキの死を意味していた。


「や、やだよ……私そんなのやだよ……」


泣き崩れるブリザラ。殺風景になったギンドレッドにブリザラの鳴き声が響き渡った。

 だが彼らは知らない。ここからが新たな戦いの始まりだという事を。



ガイアスの世界



後書き


どうもおひさしぶりです山田二郎です。

 いや~もう何か謝ることしかできません、すいません。なんか過去の自分が相当首を絞めているようで、ここにきて色々と自分の中で考えていた伏線を回収できない&辻褄が合わないなど盛りだくさんで……グダグタになって気付けば何を書いているのかわからなくなるという……書いている自分がこんなだから読んでくださっている皆々様はもっとチンプンカンプンですよね……いや~本当に申し訳ない……すいません(汗)

 とりあえずここで一段落ということで話は新たな展開に向かうのですが……そもそもはここで終わるはずだったんです……ユウトを倒してその後は、エピローグ的な? 潰せてない伏線回収的な? そのはずだったんですが、先程も書いたように伏線やら何やらでここまでに納められなかったという……。

 正直もう新たな作品の構想を練っていた所で、今度はちゃんと伏線やら何やらをとって考えていた所だったんですよ……。しかもスタートはクリスマスなんですよ、自分的な都合で……。

 という訳でこれから無事に書いていけるか自信はありませんがこっちを主軸として書いていくというのは御約束しますよ! ……多分……


 毎週よんでくださっている方々、今日偶然見ていただけた方々本当にありがとうございます。毎度の事ですが、誤字脱字、辻褄が合わないなど色々と問題のあるものですが、どうぞ生暖かい目でみてやってください……山田二郎はグラスハートです! それではメリークリスマス!


 山田二郎 2016年12月25日 某花の名前の付いた機動戦艦のアニメを一気見した余韻に浸りながら。


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