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過去を遡るで章(スプリング編)20 盗賊に堕ちた侍

ガイアスの世界


 ユウトの感情を読み取るビショップの能力


常に表面上、無表情、無表情であるユウトの感情の僅かな機微を読み取ることが出来るビショップ。自分が持つ能力を使えばユウトの感情を読み取ることは簡単ではあるが、ビショップは自分の能力を使うことはせず、自ら努力してこの能力を得た。故に数あるビショップの能力の中で唯一自らが努力して手に入れた能力と言えるのだが、能力と言うよりは特技や技に近い……のか?。

 しかしこの能力はユウト以外の者には全く意味を成さないものであり、正直に言えば必要のないものである。だがそれでもビショップがこの能力を得た理由は、敬愛するユウトと信頼関係を築く為であった。





 過去を遡るで章(スプリング編)20 盗賊に堕ちた侍




 青年が自我を持つ伝説の武器と出会う少し前……




 昇っていた太陽が沈み始め、極暑から極寒へと切り替わり始めた砂漠に二人の男が立っている。一人は恰幅の良い体型の男。もう一人は軽装ライトアーマーを身に纏った若い男。二人の関係は追われる者と追う者。犯罪者と追跡者という関係であった。

 恰幅の良い体型をした男が追われる理由、それは半分が砂漠である大陸の末端、南東に位置する小国の城から金品を盗みだしたことにあった。

 城の主である王は激怒しすぐに金品を城から盗み出した盗人に対して懸賞金を賭けた。その額は、この小国で一年は生活できる程の金額だった。しかしそれに従う民は殆どいなかったという。


 太陽が沈み始め風が強くなり、二人の男の周囲には砂塵が舞う。


「……状況によっては命の有無は指示されていない、素直に盗んだ金品の有りかを吐いて投降しろ」


恰幅の良い体型の男に対して金品のありかと投降を静かに促す若い男は、自分の言葉が脅しではない事を示す為に腰に差した鞘から真新しい長剣ロングソードを抜いた。


「……悪いな坊主、俺は捕まる気は……」


投降するよう促してくる若い男のその行動に盗賊らしい粗暴で人を小馬鹿にするような笑みを浮かびかけた恰幅の良い体型をした男。しかしその表情と共に恰幅の良い体型をした男の言葉は途中で途切れた。


「……」


 恰幅の良い体型をした男は、自分を追ってきた若い男を新米の追跡者、賞金稼ぎだと思っていた。恰幅の良い体型をした男が、若い男に対してそう思った理由は、若い男が手にする長剣ロングソードにあった。若い男が持つ長剣ロングソードはまだ真新しく、人は愚か魔物すら切ったことが無いように恰幅の良い体型をした男には見えたからだ。そして若い男が新米の追跡者、賞金稼ぎたど思う理由が恰幅の良い体型をした男にはもう一つあった。

 それは依頼元である小国の事情を知らないということだ。その口ぶりからして若い男は現在小国が抱えている問題を知らない。知っていればまず依頼元である小国の依頼を受けようなどとは思わないはずだからだ。

 事情を知らず、莫大な懸賞金に目が眩んだ新米の追跡者、賞金稼と恰幅の良い体型をした男は若い男を捉えていた。

 だがその矢先、若い男の僅かに見せた動作に、恰幅の良い体型をした男は、自分の考えに誤りがあった事を悟った。

 確かに長剣ロングソードは真新しいものでありその姿は新米の追跡者、賞金稼ぎに見える若い男。だがその長剣ロングソードを構えた若い男から放たれるそれは、新米と呼ぶにはあまりも圧があった。

 一瞬にして場の空気を支配するような構え。何の変哲もない長剣ロングソードから放たれる圧。ソレはどう考えても新米などでは無く、幾度もの戦場を潜り抜けてきた実力者、強者から発せられるものだった。


「はぁ……衰えたな俺も……」


強者が発する圧に一瞬黙りこんでしまった恰幅の良い体型をした男は、長剣ロングソードを抜くまでその実力を隠していた若い男の力量を見抜けなかった自分の目利きに衰えを感じると会話を再開する。


「……そうか、お前が俺の最後の相手か……」


若い男が持つ実力を再確認し自分の最後を悟ったのか、恰幅の良い体型をした男は自嘲気味な笑みを浮かべながら腰に差していた刀に手をかけると深く沈み込むように姿勢を低くした。


「ッ!」


すると今まで恰幅の良い体型をした男から醸し出されていた粗暴な雰囲気が一瞬にして消える。その変化に素早く気付いた若い男は警戒を強めた。


「俺の……いや、私の抜刀術がお前の一撃を凌駕するか、お前の一撃が私を凌駕するか勝負だ」


そう告げた恰幅の良い体型をした男から放たれる気配は、もはや盗賊などでは無く、一人の武人が持つ気配である。


「……」


その気配に煽られるように若い男は小国で安売りしていた新品の長剣ロングソードを構え直した。


「……おお、答えてくれるか、ならば礼儀として貴殿の名前を聞いておきたい」


構え直した動作を見て、真剣勝負を受けてくれると判断した恰幅の良い体型をした男は、盗賊らしからぬ言葉使いで若い男に名を尋ねた。


「……スプリング=イライヤ」


名乗った瞬間飛び出す若い男ことスプリングは、低く体勢を保つ恰幅の良い体型をした男が放つ一撃に警戒していた。恰幅の良い体型をした男のその構えには心当たりがあったからだ。


(……まずは一撃、奴が放つ抜刀術の後が勝負)


対峙した時に感じた違和感、そして抜刀術という言葉を耳にした瞬間、恰幅の良い体型をした男がただの盗賊ではない事を理解したスプリングは飛び出しながら相手の動きに集中する。

 抜刀術とはいわばカウンター。相手の攻撃に合わせ放つ必殺の一撃。喰らえばそこで終わり。その一撃をまず躱すことが最優先になる。


「強者であれ、やはりまだ若人か」


素直に愚直に真っ直ぐ飛び込んでくるスプリングに対してそう言葉を漏らした恰幅の良い体型をした男は、低く保った態勢の重心を前に傾ける。


「はぁぁッ!」


スプリングが長剣ロングソードを振りかぶった瞬間、息を吐き光のような速さで鞘に納められた刀を抜刀する恰幅の良い体型をした男。

 鞘から刀を抜いたと同時にその動作が攻撃に転じる抜刀術。これに対してとれる選択は二つ。抜刀の一撃を躱すかもしくは自身が持つ武器で弾くかの二つ。だが本来どちらを選択しても抜刀術の前では無意味。躱すことは愚か、弾くことも出来ない程に抜刀術の一撃は速く重いからだ。故に抜刀術は一撃必殺と言われている。


「躱した!」


だがそれはあくまで常人が相手ならばの話しだ。

 様々な戦場を経験し、若手で最も『剣聖』に近いと言われるスプリングにはその一撃が見えていた。そしてスプリングが選択したのは躱すことだった。

 長剣ロングソードを振り下ろすように見せかけ、恰幅の良い体型をした男が刀を抜刀した瞬間、スプリングは即座に攻撃動作を中断して後退バックステップしていたのだ。下から上に向かって放たれた恰幅の良い体型をした男の抜刀による後退バックステップで躱したスプリングは着地と同時に再び前へと飛び出すとその力を威力に変え長剣ロングソードによる鋭い突きを放った。


「なんのッ!」


「なにッ!」


スプリングの放った突きは鋭いものであった。スプリング自身、完全に攻撃が入ったと思っていた。だが次の瞬間、その突きが刀によって弾かれたことに思わず声を上げていた。

 抜刀術は必殺の一撃、故に次の攻撃は本来無いとされている。しかし恰幅の良い体型をした男は、手首を返して振り上がった刃を振り下ろしてきた。長剣ロングソードの突きと刀がぶつかり合い、鈍い音が砂の舞い上がる砂漠に響き渡る。


「……まさか私を追ってきた者が、今若手で一番『剣聖』に近いと言われている男だとは……ふふ、私の最後の相手として不足はないな」


長剣ロングソードの突きを素早い切り落としで弾いた恰幅の良い体型をした男は、仕切り直すように刀を鞘に戻した。


「……不意打ちなんて卑怯、なんてことは言わないんだな」


不意打ち上等で突っ込む作戦を見事に躱されたスプリングは、後退バックステップで距離をとると、姿勢正しく次の攻撃準備に入っている恰幅の良い男にそう話しかけた。


「ふふ、こちらは金品を盗むことを生業としたコソ泥、不意打ちや卑怯を受けたとしても文句は言えんよ……」


性質上、不意打ちや卑怯な手段は常套句と言っていい盗賊である自分が、逆に不意打ちや卑怯な手段を仕掛けられたとしても文句は言えないと恰幅の良い体型をした男は笑った。


「嘘だな……あんたは自分をコソ泥と卑下したが、どう考えてもその技量は盗賊のソレじゃない……大体、抜刀術が使える盗賊なんて聞いたことが無い」


とある小国から依頼を受け恰幅の良い体型をした男を追っていたスプリングは、対象が盗賊団の団長という情報しか聞かされていなかった。しかし対峙し剣を交えて見れば、そこに居たのはただの盗賊では無く一部の戦闘職しか扱えない抜刀術を扱う男。どう考えても盗賊を捉えるよりも遥かに難易度が高い依頼に、スプリングは小国から出される報酬では割に合わないと思っていた。

 しかし今のスプリングにとっては報酬などどうでもいいことだった。少し前に愛用していた長剣ロングソードをある男に砕かれ、その男に負けてから戦いに対しての意欲を失いかけていたスプリングは、自分の中で戦いに対しての意欲が湧き上がるのを感じていたからだ。


「あんた……何者だ?」


抜刀術を扱える者はこのガイアスでも限られた者しかいない秘伝の技。自ずと自分の前に居る者が何者であるかは見当が付くスプリングは、更に答えに近づくべく恰幅の良い体型をした男に名を尋ねた。


「名か……私の名はゴッゾだ」


そう自身の名を口にしたゴッゾ。


「ゴッゾ……やっぱりそうか、あんたはヒトクイ統一戦争の時に最後までヒラキ軍に抵抗したサムライの一族の一つ、バルミリオン家か」


「ほう……その名を知っているのか……」


スプリングの言葉に僅かに驚いた表情を浮かべるゴッゾ。


「……子供の頃、散々勉強は叩きこまれたし……」


幼少の時スプリングは学校というものに通ってはいなかった。それは家が村から少し離れた場所にあることと、殆ど村の者と交流が無かったことが理由だった。だがスプリングの両親はスプリングが学校に通う必要が無い程の知識を持つ勉学に長けた者達であった。その為スプリングは幼少の頃から様々な知識を叩きこまれていたのだ。


「それに『剣聖』を目指すうえで、色々と剣術について知識を集めてきたからな……あんたのことやその一族の事も知識としては知っている」


『剣聖』とは剣の道を究めた者の事を言い、ただ剣才に長けていれば成しえる称号では無い。そこには剣にまつわる様々な知識も必要になってくる。スプリングは『剣聖』になる為に様々な剣術やその歴史についても学んでいた。

 だからこそ、今自分の目の前にいる者が何者であるかを知識上では理解している。


「まさか、こんな所であんたみたいな大物と対峙できるとはな……正直、嬉しいよ」


既に太陽はその姿を殆ど隠し、月が空を支配しようとしている。気温はどんどん下がり、吹く風は、砂と共に肌を刺す冷気を運んでくる。だが今スプリングの体はまるで溶かされた鉄のように熱を抱いていた。


「ふん、既に没落した身、自身の名に興味は無い」


スプリングが口にした言葉は愚か、その姿からも熱が可視化したように伝わるゴッゾの手には力が入った。


「……が、そこまで言ってもらえるとこちらも答えようがある、ならば受けよ、我秘技、抜刀術を……」


スプリングが発する熱に答えるようにゴッゾも熱を持った言葉、態度でそう答えると再び抜刀術の構えをとった。


「……」


ゴッゾの抜刀術の構えに対して、剣士としての基本姿勢をとるスプリング。


「うむ、基本に忠実、姿勢も綺麗な良い構えだ……だがそれでは私の一撃を凌駕することは出来ない」


「ふん、それはどうかな」


互いに言葉のけん制をする二人。どちらともなく黙りこみ一時の静けさがその場に広がる。


「ッ!」


その静けさを切り裂いたのはスプリングだった。先程と同じようにスプリングはゴッゾに向かて飛び出していく。

 相手の攻撃に合わせて一撃を放つ抜刀術はその性質上、相手の攻撃を待つことになる。だがそれは言い換えれば相手が攻撃を仕掛けてこなければ絶対に負けることは無いということ。ゴッゾと対峙した時点でスプリングは勝つ為に強制的に攻撃することを迫られるのである。


「うらあああああ!」


先程よりも速く、そして鋭くスプリングは手に持った長剣ロングソードをゴッゾに振り下ろした。


「むんっ!」


スプリングの攻撃動作に対して、ゴッゾの目が見開かれる。その瞬間、光の速度の如く刀が放つ一閃がスプリングを襲う。


「ツッ!」


自分に襲いかかる光の如き一閃を先程よりもギリギリの間合いで躱すスプリング。


「ぬぅぅぅぅああああああ!」


ゴッゾが放った下から上へと流れていく一閃。しかし一撃で終わらないのがゴッゾの抜刀術。素早く刀を両手で握ったゴッゾは一歩前に足を踏み出すとスプリングの脳天に目がけ二撃目を振り下ろした。


「くぅ!」


正面を向いていた体を横にする事で頭上から振り下ろされたゴッゾの二撃目を躱したスプリングは左腕を腰に回した。


「はああああああ!」


二撃目を躱したスプリングに対してゴッゾは体をねじり、力を溜め再び抜刀術のような構えをとりながらスプリングを捉える横薙ぎの三撃目を放った。


「なッ!」


しかし次の瞬間、ゴッゾは自分の目を疑った。剣戟とは違う鈍い音が響き渡ったかと思うと、自分が放った三撃目がスプリングの左腕によって弾かれていたからだ。

 常人に握らせればただのナマクラとなるが、実力者や達人が握ればどんな刃物よりも鋭い切れ味となる刀。当然ゴッゾのその一撃は腕一本で弾くことができるような一撃では無い。しかし事実、スプリングはその一撃を左腕一本で弾いてみせたのだ。


「盾だと!」


そのカラクリは盾だった。スプリングは自分の腰に小型の盾、円型のバックラーを忍ばせていたのだ。

 だがそうであったとしても、ゴッゾが持つ刀がたかが何処にでもあるような盾一つを一刀両断できないといのは考えられない。ならばなぜスプリングはバックラーでゴッゾの攻撃を弾くことが出来たのか、それはゴッゾの攻撃の中心をバックラーでずらしたからであった。

 直撃する角度を僅かに変えることで、ゴッゾが放った攻撃の切れ味を完全に殺したのだ。だがこれは簡単に出来ることでは無い。スプリングが持つ常人離れした動体視力と、その動きを可能とする戦いの才、そして日頃積み重ねてきた努力の結果であった。


「……俺の勝ち……かな?」


ゴッゾの三撃目を完全に封じ、喉元に長剣ロングソードを突きつけたスプリングは、余裕のない表情でそう告げた。


「……ふふ、ふはははははははは! 完敗だ! まさか三撃目まで見抜かれ、これほどまでの奇策で対策されるとは思ってもみなかった!」


喉に長剣ロングソードを突きつけられ完全に敗北したというのに、ゴッゾはスプリングの戦いの才を褒めたたえながら笑った。


「ふぅー」


ゴッゾの敗北宣言を聞いたスプリングは勝利したというのにまるで敗者のように深いため息をつきその場に腰を下ろした。


「ガッハハハハ! 本当に貴殿は凄い才を持っている! 素晴らしい、実に素晴らしい」


そう褒めちぎりながらゴッゾはスプリングの肩を容赦なく二度、三度と叩いた。


「は、ははは……」


肩に強い衝撃を受け引きつった表情を浮かべるスプリング。


「ふぅ……最後に良い戦いが出来てよかった……スプリング殿……」


ひとしきり笑い終えたゴッゾは、盗賊の時とも戦っている時とも違う穏やかな顔でそう言うと何かを覚悟したようにスプリングを見つめた。


「……あんた……」


ゴッゾが何を覚悟したのか、それを理解しているスプリングの心境は複雑であった。それと共になぜこれほどの実力を持つ者が盗賊に堕ちたのか、その理由が知りたくなった。


「……なんであんた程の男が盗賊なんかに?」


「……それは」


「例えどんな理由があろうと罪は罪、あなたは罪を犯した犯罪者です」


スプリングの問にゴッゾが答えようと口を開いた瞬間、それを遮るように高飛車で嫌味たらしい声色がその場に響いた。


「……」「……」


その声のする先にスプリングとゴッゾの視線が向かう。そこには夜に溶け込むような、黒いマントに身を纏う者達を引連れたなんとも趣味の悪い恰好をした男が砂丘の上に立っていた。


「お仕事ご苦労様です」


砂丘の上からスプリングたちを見下ろす男は、そう言うと右手を上げる。すると後ろに居た黒いマントを身に纏った者たちは迅速に砂丘を滑り下りゴッゾを取り囲んだ。


「我王の宝物庫を荒らした盗賊の捕縛感謝いたしますスプリングさん……」


黒いマントを身に纏った者達を追うように砂丘を滑り下りた男はスプリングに近づき耳元でそう囁くと人を苛つかせる笑みを浮かべた。


「誰だあんた?」


いけ好かない雰囲気を放つ男に対してあからさまに嫌悪感を抱くスプリング。


「はは、申し遅れました、私はログ国専属処刑人、マイザーと言う者です」


そう言いながら右手で半円を描きながら頭を下げるマイザー。


「処刑人……」


物騒な単語に表情をしかめるスプリング。


「はい、そこの犯罪者の引き渡しの為にやってまいりました」


自分の目的を告げたマイザーはその視線をゴッゾに向ける。


「……さあ、さっさとその犯罪者を縛り上げて本国に帰りますよみなさん」


スプリングから離れ自分の部下である黒いマントを身に纏った者達に対して手を叩きながら急かすマイザー。黒いマントを纏った者達は、マイザーの指示に従い素早くゴッゾを拘束するとログ国へ向けて移動を開始した。


「今日はご苦労様でした、懸賞金の方は後日に……それでは失礼しますスプリングさん」


スプリングに対して別れの挨拶を告げたマイザー自分の部下たちの後を追いその場を後にしようと歩き出した。


「……ああ、そうだスプリングさん……」


だが何かを思い出したように歩き出した足を止め振り返るマイザー。


「……何やら犯罪者と楽しそうにお話しておいででしたが……我王の不審を買えば、あなたも即刻死刑です、それだけは肝に銘じておいてください」


「……」


そう警告したマイザーは嫌悪を抱かせる笑みを浮かべながらスプリングに背を向けると止めていた足を再び進ませるのであった。



 

 ガイアスの世界


 ログ国


 ログ国はムハード大陸の末端、南東に位置する小国である。ムハード国との間に大きな砂漠がある為、殆ど交流が無い国であり、ムハード国の支配からもうまいこと逃れている。

 砂漠に囲まれている為に、ムハード国だけでは無くムハード大陸の他の国とも交流が無い完全に孤立している為に殆ど情報が無く謎の多い国である。

 

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