もう少し真面目で章(アキ編)10 奪われてきた者の過去
ガイアスの世界
盗賊団、砂漠の殺戮者のその後
アキと盾士達によって95人の砂漠の殺戮者が捕縛された。しかしその大半の団員が既に捕縛した時には会話が通じない程に錯乱、もしくは廃人の状態になっていたという。
錯乱や廃人を間逃れた団員達も一応会話はできるものの、何かに怯えた状態で特に闇外套について話しを聞こうとすると何かに怯えたように言葉数が少なくなり現在情報を収集するのが困難になっている。
この状態は前ムハード王に使えていたムハード兵の若者達と似た症状であり、何等かの関係があるのではないかと現在盾士達は、前ムハード王と砂漠の殺戮者の関係を探っているが、良い結果は出ていないようだ。
捕縛を間逃れ未だムハード国に潜伏している団員が数名存在するようだが、ほぼ壊滅したと言っていいい砂漠゛の殺戮者の残党が何か仕掛けてくるといった可能性は低いとティディ達は考えているようだ。
もう少し真面目で章(アキ編)10 奪われてきた者の過去
剣と魔法の力渦巻く世界、ガイアス
不気味な空気が漂っていた夜が嘘のようにムハード国の空は晴天に恵まれ徐々に気温が上がり始めた頃。ブリザラの小屋が跡形も無くなりそこに大きな水溜りが出来ているのに気付いたムハード国の人々が、続々と小屋の跡地で警備するサイデリー王国の盾士の下に集まり何があったのかと事情を聞いていた。
「はぁ……呑気な奴らだな、あれだけ騒がしかったというのに誰一人、盗賊達の奇襲に気付いていないなんて」
ブリザラやティディ達がいる港を後にし、ムハード国に入っていたアキは盾士の下に集まり事情を聴くムハード国の人々の姿を目にして呆れたようにため息を吐く。ベンドットを筆頭に砂漠の殺戮者約百名による夜間襲撃は、アキとサイデリー王国の盾士達の手によってほぼ被害を出すことなく防がれることとなった。しかし百人近くによる大規模な襲撃があったというのに、ムハードの人々は誰一人としてその騒ぎを知らないようだった。
『マスター、この地が故郷であるマスターなら彼らの気持ちはよく理解できるのではないですか?』
ムハード国が故郷であるアキならばこの国の人々の気持ちが理解できるのではないかと尋ねるクイーン。
「ん?」
独り言のつもりで呟いた言葉を拾ったクイーンの問いかけにみるみるうちに機嫌が悪くなるアキ。その表情はまるであいつらと一緒にするなと言いたいようであった。
『……夜とは時に人の心を臆病にします、ムハード王がブリザラ達の手で討たれたと言っても、ムハードの人々の心にはまだ恐怖や不安が残っているはず、彼らも本当は昨晩外で何か騒ぎがあった事は気付いていいたのかもしれません、けれど未だ前ムハード王によって心を縛られている彼らは怖くて外の様子を伺う事すら出来なかったのではないでしょうか?』
アキの機嫌が悪くなってもお構いなしにクイーンは、ムハード国の人々が心に抱える問題を口にした。それは、まだ故郷であるムハード国にいた頃の幼かったアキの心にも存在したもの。だからこそアキは、自分はもう奪われる存在では無い、自分は不安や恐怖に支配などされていないとクイーンの言葉に不機嫌な表情を浮かべていたようだった。
ブリザラ達によって前ムハード王による不安と恐怖の支配は終わった。しかしそれはまだ表面上でのことであり、依然ムハードの人々の心には前ムハード王が残した不安と恐怖が残り続けている。
「……だが、それにしたって一人や二人様子を見ようって考える奴が居てもおかしくないだろう?」
例え前ムハード王に対する不安や恐怖が心から消えていないとは言え、個人差はあるはず。長年不安や恐怖を与えられ続けられている老人ならば、外に出たくないと考えてもおかしくは無いだろうが、今までムハード王の兵として生活をしていた若者などの中には比較的、不安や恐怖が薄い者もいるはずだと考えるアキは、誰一人家の外に出てこなかったのは不自然だと思っていた。
『……それだけ、前ムハード王がまき散らした不安と恐怖は、騒ぎがあっても外に出られない程に人々の心を縛り上げているからではないでしょうか……ムハード国が故郷であるマスターならばその気持ちを理解できると思うのですが?』
想像を絶する不安と恐怖。それはムハード国が故郷であるアキも理解できる感情のはずだと言うクイーン。その言葉にアキは不意に幼い頃の自分の姿が脳裏を過った。
奪われることに不安を抱いた日々、自分から命以外の全てを奪おうとする大人達に抱いた恐怖。それは思いだしたくも無い過去であり自分の姿だった。その幼い頃の記憶の中にはベンドットの姿もあった。
巨大な体躯はそれだけで幼く体の小さかったアキに不安を抱かせた。ベンドットの言動や一言が幼かったアキの体を竦ませ恐怖を抱かせた。アキにとってベンドットという存在は不安と恐怖の象徴だった。
だからこそ、ベンドットが死んだ事を知ったアキは笑みを浮かべた。不安と恐怖の対象であるベンドットがこの世からいなくなった事にアキは安堵したからだ。しかしその表情は安堵というよりも深く暗い感情であったようにもみえる。
「……チィ……」
ムハードを離れた時点で既に切り捨てた感情だと思っていたものが、クイーンの言葉で未だ自分の中に巣くっていた事に気付かされたアキは、ばつの悪そうな表情を浮かべ舌打ちをした。
『マスター、私が言うのも何ですが、人の心とは中々に割り切れないものだと思っています、だからこそ、マスターはこの場所に立っているのではないのですか?』
「……」
人間では無い自分がと前置きするようにそう言ったクイーンの言葉に顔を上げるアキ。顔を挙げた先には民家が雑多に並ぶムハードの住民街が広がっていた。
「……」
何も語らずアキは住民街に溶け込む一つの家屋を見つめる。住民街に並ぶ家屋は、どれもが同じ作りをしていて一見では見分けが付かない。だがそこに住む人々は自分の家がどれかがすぐに分かる。それは十年以上故郷を離れていたアキにもすぐに分かるものだった。
『ここが、マスターが幼い頃に住んでいた場所ですか?』
ムハード国が故郷であること、そして普段と少し違うその様子にクイーンは、アキが見つめる家屋が幼い頃に住んでいた場所なのかと尋ねた。
「……」
返事をしないアキ。だがそれが答えであった。アキの目の前に佇む、古い家屋。それは不安と恐怖に耐えながら日々を過ごしたアキにとっての僅かな居場所にして、暗く地獄のような日々をおくった場所。
「……俺は……」
なぜ自分の足がこの場所に向かったのか自分の事なのに理解できていないという表情を浮かべるアキ。
懐かしさよりも込み上げてくるのは不安と恐怖そして屈辱。毎日のように知っている大人や知らない大人が出入りし自分から命以外の全てを奪っていた場所にアキはあからさまに表情を引きつらせた。
「……」
不意にアキの視線が家屋の地面に向かう。そこには何年もその場に放置され砂が中に積もった酒瓶が転がっていた。
「……ジジイ……」
そう呟きすぐに口を閉じるアキ。
『お爺様と一緒に暮らしていたのですか?』
アキの僅かな言葉も聞き逃さないクイーンは、初めて聞くアキの家族に興味を抱き即座に尋ねた。
「……さあ? ……どうだったかな……物心がついた時には既に一緒にいた……けど、血が繋がっているのか繋がってないのかも分からない……ただ覚えているのは周りの大人に殴られている俺を見ているジジイの目は、いつも憐れんでいるようだったことだけだ」
何処か気の抜けたような喋り方で、珍しく僅かではあるが自分の事を語るアキ。その姿は強者と呼ばれる男では無く、命以外の何もかも奪われ続けてきたただの青年のようにクイーンには写っていた。
『マ……』
明らかにいつもとは様子が違うアキに声をかけようとするクイーン。だがすぐに今アキの頭の中では激流のように激しい速度で過去の記憶を思い出しているのだろうと察したクイーンは、過去の記憶と対峙するアキを今は見守ろうと声をかけることを止めた。
金の入っていない袋を俺に渡してジジイは酒を買ってこいと言った。それが物心のついた俺のジジイの最初の記憶だった。
買い物をするには金が必要何てことをまだ物心つき始めた俺は知らず、金の入っていない袋を待たされ言われるがまま住民街にある酒場に向かった。だが金が無いと当然酒を売ってなどくれない。ただ酒をくれと言う俺に対して酒場の亭主は鼻で笑って俺を冷たい視線で見つめた。それだけに留まらず酒場の亭主は俺を見てニタリと悪い笑みを浮かべると頬を思いっきりひっぱたいた。
自分が何をされているのか何を言われているのか分からなかったが、それが良い事では無いことだけは理解できた。
頬を腫らした俺はそのまま家に帰った。酒はとジジイに尋ねられ俺は首を横に振った。金が無いのだ当然酒など買える訳がない。だがジジイは俺が酒を買ってこなかったことを知ると、腫れていない方の頬を殴った。殴られた頬は酒場の亭主に比べれば痛くは無かったが、何故か胸に重い痛みを感じたのは覚えている。
今思えば、ジジイは既に酒の所為で理性を失っていた。どうして酒浸りになったのか分からないし知ったことではないが、あの時ジジイに頬を殴られた俺は、酒が買えなかった事が凄く悪いことだと思ったんだ。闇のように虚ろなジジイの目は幼い俺に初めての恐怖と不安を抱かせ縛り付けた。
怒られない為、殴られない為、俺はどうすればいいのか。金の入っていない袋を持って酒場に行っても酒は買えない。ならばどうすればいいのか。その答えは案外近くに転がっていた。
住民街では盗みが日常茶飯事に起っていた。外を見ていれば息を吸うように誰かが誰かの何かを奪っていく。その光景を見て俺はそれが常識なのだと知った。だから俺も盗んだ。酒場から酒の入った酒瓶を一本盗んだ。そしたら酒場の亭主に見つかって頬を殴られた時の比じゃない程に体のあらゆる場所を殴られた。
口の中が切れ、瞼が腫れ腕や足には痣が出来た。腹を殴られれば何も食っていない透明な胃液を吐いた。こうして俺の初めての盗みは失敗に終わった。
酒が手に入らず家に帰ると今度はジジイに殴られた。酒場の亭主に比べれば殴られること事体はそこまで痛くなかったがやっぱり胸に重い痛みを感じた。
日が立ち、試行錯誤を重ね、とうとう酒を盗むことに成功した俺はその足で家へと戻りジジイに酒を渡した。すると、今までに無い柔らかな表情でジジイは俺の頭を撫でた。
酒がある時のジジイは機嫌が良かった。だが酒はすぐに底をつく。するとジジイはまた金の入っていない袋を俺に渡し酒を買ってこいと言った。
俺はまた酒場に向かい酒を盗んだ。それを何度も繰り返した。怒られて殴られるという恐怖よりも酒を持ち帰った時の柔らかなジジイの表情と撫でてくれる手の方が良かったからだ。
だが何度も同じことをしていればすぐにばれる。何度目かの酒を盗んだ日、俺は亭主に見つかった。既に何本もの酒が無くなっている事を知っていた亭主は俺を死ぬ一歩前まで殴り続けた。
それから数日間記憶が無いが、次にある記憶は自分の家で目を覚ました時だった。ジジイは俺の横で泣いていた。申し訳ない、申し訳ないと涙を流し俺に対し謝っていたのを覚えている。だが次の日になるとジジイはまた俺に酒を買ってこいとせがんだ。
酒を盗み、殴られ、ジジイに謝られ、再び酒を買ってこい来いと言われ、酒を盗む。そんな日々が数年続いた。
数年も経てば体も成長しそれなりに知恵もつく。なるべく見つからない方法などを編み出した俺は懲りずに酒を盗んでいた。だがこの頃にはもうジジイに酒を渡すことは止めていた。盗んだ酒が金になる事を知っていたからだ。ジジイには家に転がっていた酒瓶に土に近い泥水を入れ渡していた。ジジイは泥水の入った酒瓶を見て疑問を浮かべるどころか、あの時のような柔らかい表情で俺の頭を撫でてその泥水を飲んでいた。この頃のジジイはもう酒と泥水の違いも分かっていないようだった。その姿にまた胸に重い痛みを感じたが、俺は気にせず金を手に今日の飯を買いにいった。
俺は盗んだ酒で稼いだ金で、一日の食事を買いその日その日を暮らしていた。だがこの生活は長くは続かなかった。ある日、盗んだ酒を金に代えた俺はある男に目をつけられたからだ。
突然の怒号と共に家に入ってきた見知らぬ大人。その一人は他の大人に比べ二倍程大きかった。その巨大な男を見た瞬間、俺の体は硬直し動けなくなった。その後の事は覚えていない。ただその後、体がボロボロになり何故か尻の穴が痛んだことを覚えている。その意味を知ったのはそれから数年後のことだった。
巨大な男は不気味で嫌な笑みを浮かべながらまた来る、金を用意しておけと言って去って行った。ここから俺の奪われる側としての生活が本格的に始まった。数日に一度やってくる大男の存在は、ジジイや酒場の亭主以上に不安と恐怖を俺に与えた。
家へやってくるとまず部屋を荒らした。そして盗んだ酒を売って手に入れた金を俺から奪い取ると不快感しか無い笑みを浮かべて俺を弄ぶ。
体が成長したとは言え、所詮子供。大人のしかも大男に敵うはずも無く、何より恐怖が体を竦ませ抵抗することすら出来ない。
そんな日々が続く中、気付けばジジイは姿を消していた。野垂れ死んだのか殺されたのか、それとも俺を売り飛ばしていなくなったのかそれは分からない。だがもう俺の頭を撫でてくれる存在はいなくなったという事実は怒られたり殴られたりした時に感じた胸の痛みよりも重い痛みを走らせた。
だがジジイがいなくなったことで俺は自由を手に入れた。もう家に居る必要も無くなった俺は大男から逃げる為、家を飛び出した。そして大男から身を隠す生活が始まった。だがすぐにその生活は終わりを迎えた。
大男はまるで狩りでもするかのように逃げた俺を直ぐに探し出したのだ。それ以降、俺は再び家に縛られた。そして毎日のように大男は家にやって来て逃げたら死ぬよりも辛い苦しみを与えるといい毎日俺を弄んだ。
幸いだったのは体の割に大男の息子は、滅多に食べることが出来ない腸詰よりも小さく短かったことで、尻の穴が殆ど痛まなかったことだ。その所為で腸詰を見るたび吐き気がするようにはなってしまったが、この時の俺にとってそんな事は些細な事でしかない。
毎日のように己の欲望を俺の体にぶちまけ、俺が手に入れた金やその他諸々を奪っていく大男。それは地獄以外の何物でも無かった。そして俺の中にある想いが芽生えた。
奪われない為に強くなるんだ。これが俺が強者を目指す最初の動機だった。それから俺は大男の目から隠れ体を鍛えた。すると体に変化が訪れた。丁度成長期というやつが始まり、みるみるうちに俺の細かった腕や足は筋肉が付き始め身長も伸びたのだ。
すると更に俺にとって良い事が起きた。大男が俺への興味を失ったのだ。大男は幼い少年を弄ぶという不快極まる嗜好の持ち主で、成長期を迎え幼さを失っていく俺への興味が果てたのだ。
俺は体を弄ばれることは無くなった。その代わりなのか、まるで興味を失った玩具を壊すように俺に振う暴力の度合いが格段に増えていった。そして金の集金の比率もどんどん高まっていた。
酒を奪って得られる金だけでは賄えない金額を要求してくるようになった大男。俺は酒を盗み金に変える以外の方法で金を稼がなくてはならなくなった。
そして俺はこの時初めて奪う側へと回った。自分よりも弱い者から金や金になりそうな物を奪った。殴れば殴るだけ、蹴れば蹴るだけ俺は強くなり金を奪う相手も変わって行った。だがある時気付いた。俺は自分が嫌う存在と同じことをしているのではないかと。
だがそれでも止めることは出来なかった。止めれば再び自分は奪われる側に戻ってしまうからだ。
矛盾を抱えたまま、俺は自分よりも弱い存在から色々な物を奪い続けるしか無かった。そんなある日、あの人が……あいつが現れたんだ。
俺を絶望の淵から救い、そして再び絶望へと突き落としたあの男が……。
『マスター! マスター!』
「……なんだ騒がしいぞ」
住民街の一角にある民家をジッと見つめたまま動かなくなったアキに呼びかける声に我に返ったアキは面倒そうに自分の名を呼ぶ声に返事をした。
『騒がしいとは何ですか! こっちは十分以上動かないマスターを心配して呼びかけたというのに!』
先程までの冷静でいて何処か冷めたような雰囲気を持った声色では無く、比較的いつもの明るい調子の声でクイーンは自分を邪険にしたアキに怒りをぶつける。
「そうか、そんなにボーとしていたか……」
懐かしいというにはあまりにも酷い記憶を思い返していたアキは、自分が感傷に浸っていることに気付き眉間に皺を寄せながら頭を掻いた。
『……どうですか、心の整理はつきましたか?』
まるでアキの心を見透かすかのようにアキにそう問いかけるクイーン。
「……ああ、さっきよりは大分増しになった」
『……あら、急に素直ですね』
まさかアキが真面目に自分の問に答えるとは思っていなかったクイーンは驚いたような声をあげた。
「チィ……たまにはそんなこともある」
驚くクイーンに鬱陶しそうな表情を浮かべるアキだったが否定はしない。
「……はぁ……さてケジメみたいなもんを付けるか……」
そう言いながらアキは右手の手甲の形状を弓へと変化させた。
『マスター? 一体何をしようとしているのですか?』
「ああ? ああ、だからケジメだよケジメ……俺はもう過去に捕らわれることを止める、ただ純粋に強者を求める……その為のケジメだ」
アキはクイーンにそう言うと弓を自分の家に向かって構えた。
『えーと、マスターはそれでいいかもしれませんが、もしかしたら今その家には誰かが住んでいるかもしれないんですよ』
もうアキが何をしようとしているのかはっきりと理解しているクイーンはやんわりとその行動を止めようとする。だがクイーンの言葉で自分の行動を止めるような人物では無いアキは、弓の弦を引いた。
『マスター! もっと違うケジメの付け……』
クイーンがそう言いかけた瞬間、弓から光を放つ矢が幼い頃のアキが住んでいた家に向かって放たれた。
一瞬にして跡形も無く消し飛ぶ家。幸いにもその家には現在誰も住んでいる様子は無く誰も不幸になることは無かった。
「よし、ケジメはついた、俺はこれからヒトクイに向かう!」
縛り付けられていた何かから解放されたように晴れやかな表情になったアキは、次の目的地の名を叫ぶとそのまま住民街を後にするのだった。
それから数十秒後、昨夜襲撃を仕掛けてきた盗賊団の残党の仕業かとその場所には盾士達が駆けつけたが、爆発らしき痕跡だけで他には何も見当たらず突然の謎の爆発は原因不明として処理されることになった。
ガイアスの世界
アキと一緒に暮らしていた老人
物心ついた時にはアキと一緒に暮らしていた老人。アキがジジイと呼ぶその老人は血縁者なのか、なぜ一緒に住んでいたのかその他殆どが不明である。
だがアキはそんな老人に対して微かな愛情を持っていたようだ。そして老人もまたアキに対して僅かでも愛情を見せる時があった。
しかし互いの愛情は不器用でアキに至ってはそれが愛情であることを知らないまま別れる結果となった。
その後の老人の消息は不明、死亡した可能性は高いと思われる。