桜想
さくら さくら
ひらひらと舞え 風に乗って
わたしの手のひらから あなたの住む街まで
想いの数だけ 天高く舞え
過ぎ去った思い出たちを あなたの元へと
薄紅のその花弁と 同じ色の思い出たちを
さくら さくら
ゆらゆらと揺蕩え 水面に乗って
わたしの足元から 彼方の海原まで
幾重もの障害を超えて 遥か青き地平へと
例え力尽きて 渚に打ち戻されたとしても
静謐な青に浮かぶその姿を 瞼の裏に思わせておくれ
さくら さくら
はらはらと散れ 細雨のように
わたしが流す 涙の代わりに
出会いの数と同じように 別れがあったように
思い出すこの季節を 繰り返すこの季節を
少しでも暖かくするために 桃色の涙を
さくら さくら