エピローグ
「成功してくれればいいな」
次元に通じる道をペンタグラムに見つけたときは、大感激していた京之助たちだったが。
軽々しく星へなど行けるはずもない。
しかし、確かにイグジットという次元の出入り口は〈地上〉にあったのだ。
その前に、通信が出来ないかと星座に電磁波を送ってみたが、何の返答もない。やはり電波では届くのに相当時間がかかるのだろう。
そこで考えついたのが、単純明快な方法。次元が開いていたときと同じように、ヤツらを増殖させて、ペンタグラム星座へ送り込んでみると言うものだった。
どのくらい増殖させれば良いかがわからないため、バケツいっぱいほどにしたものを送り込んで、渦の状態を観測する。その実験は、何度も何度も繰り返された。
そこでたどり着いた答えが、今、京之助たちが見ている、競技用のプールがすっぽり入りそうなドームの中いっぱいにいるものだ。
時間はかかったが、大切にヤツらをここまで増やしてきた。
あとは成功を祈るのみ。けれど、失敗したら? その時はまた考えてやり直せば良い。
「では、天井オープンします」
マイクから声が流れ、ズズ…、と少しずつドームの天井が開く。
すると、ヤツらはいっせいに解き放たれ、金・銀に姿を変えてペンタグラム目指して飛び出した。
「すげえ~」
「ホーウ」
「まるでオーロラが空に上っていくようね」
本当にそれらは、オーロラとも見えるし、ホタルがいっせいに星を目がけて飛んでいくようにも見える、息をのむような美しい光景だった。
やがて、ペンタグラム星座の中央にひときわ明るい渦が出来上がる。少量だったときはすぐに消えてしまっていた輝きが、今は失われるどころか、どんどん渦を巻いていくのがわかった。
そのとき。
夜空を見上げていたバリヤ隊員とクイーンの耳に、通信機とつながったスピーカーから、興奮したような声が聞こえてきた。
「こちらイグジットJ! 今、出入り口が!次元の出入り口が、開き始めました!」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回は分析を主とする第5チームが主役のお話です。
そして、今回登場した一角獣。
ネットで遊んでいたら偶然目に留まった『貴婦人と一角獣展』のポスター。そこにいた一角獣が、もう可愛くて可愛くて一目惚れしてしまい、どうしてもお話に出したくて、出してしまいました(笑)まあ物語の中の一角獣は麒麟ですが…。
楽しんでいただければ幸いです。
まだ続きそうな展開ですね。焦らずのんびりと更新しますので、たまに覗いてみて下さい。
来ていただいた皆様に感謝を込めて。




