序章という名の序奏
初のオリジナルなんで頑張ります。
―…おい、『ネコ』が来たぞ!
―…『ネコ』?いや、あれは死神だろ!?
―…そんなこたぁどうだっていい!逃げるぞ!アイツらに捕まったら命がいくつあっても足りねぇ!
―…そうだな、『ネコ』に見つかる前にとんずらかかなきゃな…にしても…
―…ん…?どうかしたか?
―…いや、あのネコって幾つ名前があるんだろうな?それにリーダーの正体も不明ときてる…
―…余計な詮索は命に関わるぞ。だって…
『ネコはそもそも存在すら曖昧なのだから……』
とある地方都市、そこにある古い喫茶店に一人の男が入った。
「いらっしゃい」
「……コーヒーと、何か食えるモン一つ頼む」
男は身なりからして旅人らしく、地図を広げて何やら探していた。宿だろうか。
「あんた、旅人さん?」
マスターがコーヒーを出しながら男に聞いた。
「あ、あぁ…」
「この町にはいつやって来たんだい?」
「つい先ほど…」
喫茶店のマスターは若い男。けれどもその顔には、年齢に不釣り合いの老成した笑みを浮かべていた。なんだか狐に似ている。
「じゃあ『ネコ』に気を付けな…」
猫、猫といえばネコ目食肉類ネコ科の哺乳類である。
男は首を傾げた。
「猫って…あの動物の?」
「いやいや、そうじゃなくて…この町の名物。ならず者の集団さ」
「はぁ…」
「目立ったことしなけりゃ向こうから何もしないけど…。ネコには沢山の名前があるんだ。俺は『ネコ』と呼んでるが、違うやつは『軍団』や『義賊猫』、『闇猫』や『血みどろの黄昏』とも呼んでるねぇ…」
「そ、そりゃすげぇな」
「ん。そうだね…まぁ遠目から見れば安全だし、一度は見てお行きよ」
「会えればな…」
「会えるさ。会いたそうな顔してるよ、あんた」
「…?」
「ははは!冗談さ、だけど会えるのは本当だよ。何せ明日は満月だから…!」
マスターは笑う。
「はぁ…じゃあ考えるよ。ご馳走さん、お金はここに…」
「まいど!」
男は食事をさっさと済ませ、お会計をする。
「あの…」
「宿は3ブロック先だよ」
「おう、ありがとう」
「どういたしまして」
「じゃ、俺はこれで…」
男は店から出ていった。
マスターはカウンターで皿を洗う。そして奥の部屋の住人に呼び掛ける。
「ネコ、おいで。ご飯だよ」
奥から人がやって来た。
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