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第一話 転生刑事、異世界に現る

どうも、久留間猫次郎です。


今回から新連載『零の誓い・転生編』が

スタートします!


現代日本で警察官だった主人公が、異世界に転生。

転生したばかりで右も左もわからない中、

なぜか国家に命を狙われるという

理不尽な事態に巻き込まれます。


常識も法律も通じない異世界で、

「逮捕術」と「地球の常識」と

「たったひとつの銃」を武器に、

彼は命を懸けて戦っていきます。


ツンデレ美少女(でも実は超能力文明出身)

との出会い、異世界の陰謀、そして地球の

技術を狙う者たち――


“力”がすべてのこの世界で、「正義」を

貫くことはできるのか?


異世界無宿バディ・アクション、ここに開幕!


感想・評価・ブクマ、励みになります!

それでは本編へどうぞ!

 ──風が、静かに吹いていた。 空は薄く青みがかり、どこか滲んだように霞んでいる。 けれどそれは、地球の空とは違った。 見上げた瞬間、肺の奥にずしりと重みが落ちてくる。 空気そのものが、異質だった。 地面はざらついていて、熱も冷たさもない。 なのに、足の裏から微かに伝わってくる。 大地の鼓動のような──かすかな脈動。


「……っ」


 かすれた息が漏れる。喉が焼けるように乾いていた。 意識が、まだぼんやりと霧の中にある。 それでも、俺は──風間隼人は、目を覚ました。 確かにここではない“どこか”で。


「……ここは……どこだ……?」


 首筋に汗が張りついている。じっとりと、生々しい現実感。 俺はゆっくりと身体を起こした。 視界の端に、石造りの建物が見えた。 赤褐色の屋根、白く風化した壁。 軋む石畳の上を、馬車が音を立てて進む。 煙突から立ちのぼる煙が、空に溶けていく。 ……これは夢じゃない。少なくとも、**知ってる世界じゃない。 すれ違う人々は、粗野で逞しい。 背が高く、骨太で、皮の装具を身につけている。 誰もが、どこか“戦い慣れている”雰囲気を纏っていた。


(日本じゃない。……いや、地球ですらないか)


 無意識に、そんな言葉が口の中で転がる。 そして──記憶が、ぶつ切りで蘇ってくる。 ――警視庁。 ――現場への単独突入。 ――人質の悲鳴、交錯する怒号、そして……銃声。 ――真っ暗な世界の奥から響いた、あの声。


『正義を貫く者よ。新たなる世界で、その魂を試みよ……』


 あの瞬間、何かが俺を“連れてきた”。 気づけば、装備はそのままだった。 刑事用コート。ホルスター。バッジ。 血に染まった捜査手帳に、愛用の──ニューナンブM60。


(……夢なら、ここまではっきりしてねぇ)


 ゆっくりと腰を上げる。体が……軽い。 地球の時よりも、明らかに軽快だ。 重力の違いか。あるいは……身体そのものが何か変わったのか。 いや、それ以上に気になるのは── 空気に、何かが混じっている。 見えない、でも確かに存在する“何か”。 大気が、かすかに脈打っているように感じる。 まるで、世界そのものが生きているような……異物感。


(この世界には、何かがある)


 警戒を解くわけにはいかない。 俺はホルスターの感触を確かめ、相棒に語りかける。


(頼むぜ、相棒。異世界だろうが、守ってくれよ)


 ふと、視線の先。 町の中心に、一際目立つ建物がそびえていた。 その正面に、堂々と掲げられた木製の看板。 ──【○○○○】── 文字は読めない。だが、妙に引き込まれる雰囲気がある。 それはきっと、“秩序の匂い”だ。


「……まずは、あそこか」


 空腹。喉の渇き。情報の欠如。宿の手配。 全ての優先順位を頭の中で並べ直す。 行動の基本は、まず「秩序ある場所」に身を寄せること。 見知らぬ世界でも、それは変わらない。 ふらつく足で歩き出す。 すれ違う人々は俺の存在に、ほんの一瞥をくれるだけだった。 この世界には、俺のような“異物”も珍しくはないのかもしれない。 ──だが、俺は知っている。 本当の危険は、常に“見えないところ”に潜む。 背筋を伸ばす。 地球で叩き込まれた感覚が、ここでも自然と働く。


(風間隼人──警察官。異世界だろうと、俺は俺を貫く)


 そして俺は、知らぬまま── その建物の扉に、手をかけた。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
刑事時代の記憶が断片的に挿入される構成も上手く、異世界においても“地球の常識”と“正義感”を武器に生き抜く決意が自然に流れ込んできます。愛銃・ニューナンブM60の存在と「相棒」としての語りかけは、刑事…
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