ステップアップ
「お前には、こだわりが無いのか?」
陽子はあれからずっと衛の言葉を気にしていた。
アタシのマヨに対する思いってなんのかな・・・・
端から見れば可笑しいが、陽子は真剣に悩んでいた。
「よし、1つやってみますか!」
休日の朝、理穂に電話をかけてみた。
「はい、牧野ですけど」
「あっ理穂ちゃん?陽子だけどさ、今日空いてる?」
「うん、空いてるけど」
「だったら午後ウチに来てくれない?ちょっと手伝ってほしいんだよね」
「お、おじゃまします・・・」
午後になったら理穂が来た。目の前にはいろんなものが散乱していた。
「おおうよく来たね」
「手伝って欲しいって言うもんだから」
一体なんの手伝いなんだろう・・・物が散乱しているリビングだけでは想像がつかなかった。
「そうそう、今回理穂ちゃんにはマヨネーズ作りを手伝ってもらいます」
「マ、マヨネーズね・・・」
何で来てしまったのだろう。理穂は心の底から後悔した。
でも来た以上はしっかりやろう、そういう思いも少なからずあった。
「よく考えたらさぁ、アタシあれの作り方ってよく知らないんだよね。理穂ちゃん知ってる?」
「卵黄と油とお酢かなんかを混ぜるんじゃなかったけ」
「そうそうそれそれ!テレビでやってた!」
「じゃ、とりあえず作ってみようか」
そうして陽子と理穂のマヨネーズ作りが始まった。
「とりあえずこのぐらいの分量かな」
「そのスプーンってそう使うんだ・・・」
「へっ?」
意外にもマヨ作りはテキパキと進んだ。
このとき陽子は理穂が非常に料理上手だと知った。
「うーん、こんな感じ?」
理穂が指ですくって味見をする。つかさず陽子も味見をしてみた。
「あ、マヨネーズだ」
「マヨネーズだね」
普通にマヨネーズが出来上がった。
特段美味しくも無ければ、不味いわけでもない。
何故ならそれはマヨネーズだからだ。
2人はもう一度味見して、笑いあった。
2人で初めて作ったマヨネーズ。
それには何の感動もなかたっが、何だか作る作業を通して心がくっついた気がする。
言葉では表現できないような感情が2人を包んだ。
「やっぱり、ハンバーグとか作ったほうがよかったね」
「へっ?」
理穂はまた胃が痛くなった。