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episode:5 あつまれ! 妖怪の里

この作品は天道暁によるオリジナルのスーパー戦隊作品です。現在放送されているスーパー戦隊シリーズを制作・放送している各団体とは一切関係ありません。


オープニングテーマ「your kind!」

https://ncode.syosetu.com/n7284ka/1/

妖怪情報統括班等の活躍により、巨大悪魔ベヒモスによる破壊は世間的には自然災害によるものとされた。

しかし拡散された情報の全てを封殺することはできず、『市街地に現れた謎の巨大生物』の都市伝説レベルの噂は残ってしまった。


妖怪の里・河童ヶ沼。


「目撃者も破壊の規模も、今回はあまりにも多すぎて、大きすぎました」


智和は沼から上半身を出した長老妖怪メガガッパーの前で、資料を持つ指に力を込める。


〔我々妖怪の活動が君達人類の知るところとなれば、人類保護活動の継続は難しくなる〕


「妖怪達の安全な生活も、保証できなくなる可能性があります」


〔情報がすぐに拡散されてしまう時代、厄介じゃが希望もある。嘘を嘘と見抜けぬ人間が多い分、真実を真実と見抜けぬ人間も多い〕


「ネットに上げられたベヒモスの不鮮明な動画に、『素人丸出しの合成』などの嘲笑するコメントが付けられていました」


〔いわゆる『草生える』とかいうやつかのぉ。ま、この調子ならそこまで心配することもなかろう。それより今日は……〕


「はい、もうそろそろかと」


その時、沼の畔にカラステング、ネコマタン、カマイタチ、キュービルンが着陸。

草の匂いを含んだ風が智和の髪と沼の水面を揺らす。


着陸した妖怪達は目からビームを出し、コクピットにいたパートナー人間達を地上に転送する。


「みんな!」



夢幻(むげん)戦隊ヨーカイジャー」


episode:5 「あつまれ! 妖怪の里」


「へー、ここが妖怪の里かぁ」


「おっきいカッパさん、こないだぶりー!」


「こらこら……って、フレンドリーでいいんでしたっけ」


〔もちろん、ウェルカムフレンドリー! こないだぶりじゃのー!〕


「な、すっげえだろ? 他にもいろんな妖怪がいるんだぜ!」


「早く会ってみたいでござる」


その時、結月の足元に和服を着たような模様の体のハムスターのような妖怪が近付いてきた。


挿絵(By みてみん)


「わー、かっわいいいいいいい!!!!」


ハムスターのような妖怪は頬袋を膨らましながら結月を見ている。

結月は中腰になって覗き込む。


「ほっぺにおやつ入ってるのー? つんつん♪」


「ちょ、そいつに顔近付けたら……」


ハムスターのような妖怪の口から大量の砂が吹き出され、結月は3秒で砂に埋もれた。


「そいつは砂塵妖怪スナカケババア。砂をかけて相手のリアクションを見るのが好きな、イタズラ好きな妖怪だ」


結月はマラソンで1位でゴールした選手のポーズで砂から脱出。


「ババアには見えないけど……あーちょっと口に入った……」


スナカケババアは満足げな表情を浮かべながら近くの藪の中へ消えていった。


結月が砂を払うのを千影が手伝っていると、横から細長い何かが伸びてきて結月の全身を撫で回した。


「キャーハハハくすぐったい! ……って、砂が無くなってる!」


見ると、作業着を彷彿とさせる模様が付いた青い体色のアリクイのような妖怪が立っていた。


挿絵(By みてみん)


「そいつは清掃妖怪アカナメ。どんな汚れも、舌で舐めとって綺麗にしてくれる」


「清掃って……」


千影が結月の匂いを嗅いでみる。

唾の匂いなど全くしない。


「いい匂い……」


「アカナメの舌は清潔だからな。でもいい匂いにする効果は無いはずだが……」


「あー、なんだ。いい匂いと思ったら、いつもの結月の匂いだ」


「やめて千影ちゃん恥ずかしい……」


結月が両手で顔を押さえる。

アカナメは「どんな汚れも俺に任せろ!」とでも言いたげにガッツポーズする。


〔さてヨーカイジャーの諸君! ワシら妖怪の力を活かして悪魔と戦い、ワシらに合体巨人という新しい力をもたらしてくれた君達に、ワシらからのプレゼントがある! みんな出てこーい!!〕


近くの藪や林や沼の中から、大小色形様々な妖怪達が現れた。

よく見るとちゃっかりスナカケババアもいる。


「わぁー! かわいいの面白いのいっぱい!」


「まさに妖怪のバーゲンセールでござるな!」


〔それじゃあみんな、俺の特訓を思い出して、ヨーカイジャーのみんなにプレゼントだ!!〕


カラステングが叫ぶと、妖怪達はそれぞれヨーカイジャーメンバー達に近付いていく。


「おー、ただのでっかいカニ! 元気だったか?」


挿絵(By みてみん)


有鋏妖怪バケガニはハサミを鳴らして拓実に元気をアピールした後、腹の前で両手のハサミを向かい合わせにして神経を集中させる。

するとバケガニの体が光に包まれ、その光が集中して1枚のカードになった。


「え、これ俺にくれるのか?」


バケガニはハサミを鳴らしてカードをあげたい意思を表現する。


「そっか、これがプレゼントか。ただのでっかいカニの能力(スキル)カードGET!!」


続いてアカナメが胸の前で手の平を向かい合わせて集中、能力スキルカードを作り出して結月に手渡した。


「ありがとアカナメちゃん!」


結月がカードを眺めていると、小さな手が足をつつくような感触がしたので見ると、スナカケババアが「これ! これ! やる!」と言わんばかりにカードを差し出し揺らしていた。


「ありがとスナカケちゃん、アカナメちゃんいるからまた砂かけてもいいよー!」


スナカケババアは数秒動きを止めた後、また藪の中へ走り去っていった。


結月と妖怪達のやり取りを微笑みながら見ていた千影は、突然背後から聞こえてきた大きな音に振り向いた。

そこには半透明の体に大きな口と複数の足が付いたメリベウミウシのような妖怪・大食妖怪ガキがいた。

ガキはお腹を押さえて萎れたヒマワリのような格好でうなだれている。


「あんたもしかして、お腹空いてるの?」


千影は持ってきたチョコバーを、食べさせて良いかメガガッパーに確認してから包み紙を剝いてガキに渡す。


「ふごおおおおお!? ふご! ふご!」


ガキは渡されたチョコバーを丸飲みにし、体の仕組みの都合で涙は出ないが泣きそうな勢いで喜ぶ。


「ふごごごご! ふご!」


ガキは能力スキルカードを作り出して千影に渡す。


「それ使ったらお腹空いちゃうとか?」


「ふごごふご!」


「違うのね。じゃあもらう。ありがと」


「ふごごごご!」


武士は赤ん坊が泣くような声を耳にして周囲を探す。


「やや、泣いておったのはこのコアラのような奴か」


武士が抱き上げるとコアラのような妖怪・石化妖怪コナキジジイは泣き止み、自分の体を石に変えた。


挿絵(By みてみん)


「ん、重っ……じゃがギリギリ抱っこできなくは……ない。子供は寝ると重くな……るというからのぉ」


コナキジジイは石化を解除、能力スキルカードを作り出して武士に渡す。


「ほほう、これはなかなか使えそうなカード。かたじけない」


智和は仲間達と妖怪達の交流を遠目に見ながら、手にしている資料の内容を頭に巡らせる。

軽口を叩いたり、


「ただのカニー! 背中に乗っけてくれー!」


イタズラされても許したり、


「スナカケちゃんどこー?」


食べ物を分け合ったり、


「イチゴ味もあるけどいる?」


「ふごふごふごー!」


知識や技術を与え合ったり、


「良いか? 刀を振るときはこのように……」


智和が夢見ていた世界が、ごく小さな形だが、そこにはあった。


〔ん? ネネコ、帰っておったのか?〕


智和が振り向くと、そこにいたのはスレンダーな体系に甲羅と嘴と頭の皿が付いた、メガガッパーの孫娘。


「おお、ネネコガッパ。今回の事件では、君達妖怪治安維持部隊にも色々苦労を……」


ネネコガッパは智和から目を背けながら右手を伸ばして何かを差し出す。


「ん?」


ネネコガッパは目を背けたまま1歩だけ智和に近付く。


「んん?」


ネネコガッパは目を背けたまままた1歩だけ智和に近付く。


「何?」


「オレのカードださっさと受け取りやがれやボケエ!!!」


「あ……ああ、ありがとう……」


智和が水溶妖怪ネネコガッパの能力スキルカードを受け取ると、ネネコガッパは猛烈なダッシュで沼に飛び込もうとしたがぬかるみに滑って転んでそのまま沼に帰宅した。


「長老、俺やっぱあいつに何か悪いことしたんでしょうか?」


〔うーん、今ちょっとだけしちゃったかのう……〕


「ええ……?」


一部始終をレジャーシートに体育座りして見ていた結月と千影。


「なんで気付かないんだろうねー」


「ねー」


その後ヨーカイジャー達は、


愛玩妖怪スネコスリに脛にすりすりされて癒されたり、


アシナガバチのような美脚妖怪アシナガとモデル歩きしたり、


テナガザルのような手技妖怪テナガが握ったおにぎりを、


赤い体に黒のラインが入った巨大な日本犬のような炎熱妖怪カシャが絶妙な焼き加減で焼いた焼きおにぎりにしてもらって食べたり、


ヒトに鯛の尾鰭が生えたような尾鰭妖怪ニンギョが自分の肉を料理して振る舞うと言い出したのを必死で止めたり等、


楽しい時間を過ごし、交流した妖怪達から能力スキルカードを受け取った。


「みんなありがとう! カード大事に使うぜ!!」


拓実への妖怪達の返事が大小様々な大歓声に聞こえた。


「よしみんな、言ってなかったがムゲンブレスの上のボタンを押すと……」


「変身しなくてもカートホルダーが出てくるんだろ? この前試しに押してみてわかったぜ」


「あたしもー」


「拙者もでござる」


「私も知ってたし、今日もらったカードもう全部入れた」


「あー、そうか……」


その時、智和のムゲンブレスの着信音が鳴った。


「……わかった。みんな、悪魔が現れた。全員カラステングに乗って現場に向かい、必要になったらパートナー妖怪を召喚しよう」


「俺のパートナーのコクピットの広さが活かされるんだな!」


〔カラステング航空は、皆様に快適な空の旅をご提供しまーす!〕


共に楽しい時間を過ごした妖怪達に手を振り、カラステングの方へ歩き出したヨーカイジャー達の背中に巨大な妖怪の声がぶつかってきた。


〔バウ! バウ! バウ! バウ!〕


「カシャ? おぬしがくれたカードもなかなか強そうだし、焼きおにぎりも美味だった。是非ともまた会おう。そしてそのときは一緒に茶でも飲もうではないか!」


〔クゥン……〕


武士はカシャにもう一度手を振り、仲間達と共にカラステングに乗り込み現場へ向かった。



所変わって関東某所、人気(ひとけ)の無いトンネルを大声でくっちゃべりながら歩く派手なカップル。


黒いマントを頭から被った何者かが、そのカップルの間を肩をぶつけながら通り抜ける。


「痛った……何すんだテメエ!」


黒マントの者が手を翳すと塩が噴き出し、カップル二人は塩まみれになった。


「ちょっと! この服まだ買ったばっかりああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


「ぐあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


カップルはその塩に急激に水分を奪われもがき苦しむ。


黒マントの者が手の平に収まる大きさの直方体の行灯のような物を取り出すと、カップルの頭からどす黒い煙状のデビルギーが立ち上り、直方体の行灯のような物に吸収されていく。


「待て!」


駆け付けたヨーカイジャー。


「天誅!」


武士が前に出て腰に提げていた木刀を黒マントの者に向かって振り抜く。


黒マントの者は後ろに跳んでこれを避け、その拍子にマントが外れて正体を現した。


能楽の鼓の上半分のような形状の頭部、金色の胴体、右腰には色鮮やかな模様が付いた磁器製皿のような物が付いている。


「誰? 地味にコツコツやってきた僕を、なんで邪魔するの?」


「そんなキンキラな見た目で『地味にコツコツ』ってか。 俺達は……」


ヨーカイジャー全員、ムゲンブレスに変身(チェンジ)カードを差し込む。


「妖怪変化!」


拓実は一瞬にして色鮮やかな赤い戦闘服を身に纏い、右腰にはカードケース、左腰のホルダーにはムゲンソード、頭にはカラスの適応力と烏天狗の格闘能力を彷彿とさせる赤いフルフェイスマスクを装備した。


「誰が呼んだか旅烏 鼻高々にてんつくてん 天に代わって只今参上! 空の勇者、ヨーカイレッド!」


智和は一瞬にして色鮮やかな緑の戦闘服を身に纏い、両腰には5人共通の装備、頭にはカメの頑丈さとカッパの力強さを彷彿とさせる緑のフルフェイスマスクを装備した。


「誰が言ったか川流れ 流れるどころか掻き分けて 登って飛び出せナイアガラ! 水の戦士、ヨーカイグリーン!」


結月は一瞬にして色鮮やかなピンクの戦闘服を身に纏い、両腰には5人共通の装備、頭にはネコの愛らしさと猫又の柔軟性を彷彿とさせるピンクのフルフェイスマスクを装備した。


「誰が言ったか猫かぶり 花も恥じらうJK2 嘘はいらない夢見る乙女! 獣のアイドル、ヨーカイピンク!」


武士は一瞬にして色鮮やかな青い戦闘服を身に纏い、両腰には5人共通の装備、頭にはイタチの狩猟センスと鎌鼬の切れ味鋭さを彷彿とさせる青いフルフェイスマスクを装備した。


「誰に言われどカマわない イタチごっこにピリオド刻み 腹を切らずに悪を斬る! 風の剣士、ヨーカイブルー!」


千影は一瞬にして色鮮やかな黄色い戦闘服を身に纏い、両腰には5人共通の装備、頭にはキツネの器用さと九尾の狐の幻惑能力を彷彿とさせる黄色いフルフェイスマスクを装備した。


「誰を染めるか狐色 こんこん今夜も手鞠歌 お目にかけましょ万華鏡 幻の賢者、ヨーカイイエロー!」



「夢も現も守るが仏 夢幻(むげん)戦隊!」


「ヨーカイジャー!!!!」


「ヨ-カイジャー? ああ、レヴィアタン様が言ってた奴らか。僕はマモン。君達は即、処刑ってことで」


マモンは手にしていた直方体の行灯のような物を自分の左腰に取り付ける。


ピンクは塩まみれで気絶しているカップルに駆け寄り、ムゲンブレスに清掃妖怪アカナメの能力(スキル)カードを差し込む。


「これできれいに……」


ムゲンブレスからアカナメの舌のような物が伸びてカップルの体中の塩を舐め取った。


「もらったカードが早速役に立ったな。この二人は妖怪医療班に任せておけば大丈夫だ」


「よかったあ~」


「貴様……よくも僕の塩を!」


マモンはピンクを中心にヨーカイジャー全員に向けて塩をばら撒く。


ヨーカイジャー達はカップルを守りながらムゲンソードを振り回して塩を払おうとするが、細かい粒子の全てを払うことはできず、スーツに付着した塩により焼けるような痛みを感じる。


「うわああああああああああ!!!!!!!!!!!」


「も……もう一回アカナメちゃん!」


ピンクが再びアカナメの能力(スキル)カードを発動。

自分と仲間達の塩を取り除いた。


「智和君、これ何回でも使えるの?」


「妖力が続く限り」


「続かなくなったら?」


「カードが使えなくなるどころか変身まで解除される」


「じゃあ何度も食らってたらやべえじゃん!!」


「そういうことだ」


イエローは下手(したて)で腕を組み顎を触る。


「僕の塩の素晴らしさがわかったかな? だったらもう一回食らえ!!」


マモンがまたヨーカイジャー達に向けて塩を放ったその時、イエローがムゲンブレスに大食妖怪ガキの能力(スキル)カードを差し込み前へ出る。

するとムゲンブレスからガキの口のような物が現れ、大きく開いてマモンが放った塩を全て飲み込んだ。


「さっすが食いしん坊君!」


「やるな千影!!」


「千影ちゃん最高!!」


「おのれおのれおのれ~! だったらこれだ!」


マモンは右腰の磁器製皿のような物を取り外し、


「やりまっし、ジャミリアー!!」


と叫びながら放り投げた。

磁器製皿のような物は空中で弾け、中から人間サイズの使い魔、ジャミリアーが6体現れた。


「ジャミジャミ!」


ジャミリアー達は剣を振りながらリズミカルに足を踏み鳴らす。


「皿みたいな物から6人も!?」


「そうだ! 悪魔の力は貴様ら下等生物の理解を遥かに超えている! 今投げたような薄いカプセルでも……」


「誰の胸が薄いって!?」


「言ってない!」


ヨーカイジャー達は走り出し、マモンとジャミリアー達の攻撃を拳やムゲンソードで受け止めながら、敵の一団をトンネルと気絶しているカップルから引き離していく。


人気(ひとけ)の無い高速道路の高架下。

レッドは剣を構えたジャミリアー2対と対峙する。


「よーし、俺も使ってみるぜ!」


レッドはムゲンブレスに有鋏妖怪バケガニの能力(スキル)カードを差し込む。

するとレッドの右手が巨大なハサミになり、ジャミリアー1体を挟んで腰から真っ二つにして爆散させた。


「ただのでっかいカニ強ええ!! でも重い!」


巨大なハサミは重く、振り回そうとしても上手くいかず、ジャミリアーが滅茶苦茶に振る剣で防がれる。


「うーんじゃあ、いつものでいこう。じゃんけんグー!」


左手でグーを出すとハサミは消えた。

そんなことをしなくても消えろと念じれば消えるのだが。


レッドは「必殺(フィニッシュ)カード」をムゲンブレスのスロットに入れた。


必殺妖技(ひっさつようぎ)天狗百烈拳(てんぐひゃくれつけん)!」


赤く光る両拳で繰り出す連続パンチ。

ジャミリアーは全身を殴りつけられ吹っ飛びながら爆散。



「ガチコンハンマー!」


グリーンはガチコンハンマーを装備し振り回す。

しかし対峙した2体は今までの個体より妙に素早く、ジャンプやイナバウアー等で器用にハンマーの打撃をかわしていく。


「だったらこれだ!」


グリーンはムゲンブレスに水溶妖怪ネネコガッパの能力(スキル)カードを差し込む。

するとグリーンの体が一瞬光る。

が、何も変わっているようには見えない。


「ジャミ……?」


「どうした? かかってこいよ」


「ジャミー!」


2体のジャミリアーは剣を振り回し、グリーンの全身を切り刻む。

しかしグリーンは全くダメージを受けていない。

グリーンの体は液状化しており、剣による斬撃は全く意味を成していなかったのだ。


気付かず調子に乗って切り続けるジャミリアー達の隙を突いてハンマーを振るい、1体は後頭部、もう1体はボディに打撃をめり込ませて吹っ飛ばす。


ジャミリアー達は吹っ飛ばされた先でそれぞれ爆散。


液状化の効果が切れると、妖力の消耗に伴う疲労感がグリーンに伸し掛かってきた。


「消耗が激しい。こんな力を使いこなしてるネネコガッパは相当修行してるな……」


河童ヶ沼のネネコガッパはこの時、くしゃみをしたとかしなかったとか。



ブライブレードを構えたブルー。

挟み撃ちにせんと左右から迫る2体のジャミリアー。


ブルーはカードケースに伸ばしかけた手を止め、ブライブレードを握り直す。


「ジャミー!」


2体のジャミリアーが同時に剣を振り上げ飛び掛かる。

ブルーは身を翻し一太刀、素早く向きを変え踏み込みまた一太刀。


ジャミリアー達は着地後、少しの間動きを止め、やがて倒れて爆散。


(だめだ、こんな剣ではレヴィアタンは斬れぬ……)



ピンクとイエローはスキャットクロウとコンコンボーによる連続攻撃でマモンを攻める。

裏拳や回し蹴りといった体術で捌きながら間合いを取る。


「そう何度も、食わせてやるものか!!」


マモンは両手首を合わせ、前に突き出す勢いで両手の平全体から塩を打ち出す。


「今度はこれ!」


ピンクはムゲンブレスに砂塵妖怪スナカケババアの能力(スキル)カードを差し込む。

するとムゲンブレスから大量の砂が放出され、その圧力でマモンの塩と押し合う。


「はあああああああああああああ!!!!!」


「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


ぶつかり合う粒子と咆哮。

両者とも地面を踏みしめ打ち出す腕に力を込める。


押し合ううちにピンクの体が少しずつ大きくなっていく。


「何!?」


やがてピンクは10メートルほどになり、マモンを見下ろしながら砂を放ち続ける。


「な……なんだこいつ……」


「あー今胸囲測りたい!」


「意味あるのかそれ!! ……ってわああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」


マモンの頭上から今のピンクよりさらに巨大な変身前の結月が片足を上げ笑顔でダブルピースしたポーズの砂像が落下、マモンはその下敷きになる。


「なんだこれはあああああああああ!!!!!!!!!!!!」


……以上、ピンクが大きくなり始めてからの出来事は、イエローの「必殺妖技(ひっさつようぎ)九尾(きゅうび)幻燈演舞(げんとうえんぶ)」が見せた幻が見せた幻覚である。


マモンは存在しない砂像の下敷きになっていると思い込み、俯せの状態で手足をばたつかせている。

そこへ駆け付けたレッド、グリーン、ブルー。


「今だ!」


レッドがムゲンブレスにカードを差し込むと、5人の個人武器とレッドのムゲンシューターが合体、必殺砲ムゲンバスターとなる。


レッドがマモンに向けてムゲンバズーカを構え、反動に備えてグリーンがレッドの右肩、イエローがレッドの左肩、ブルーがグリーンの背中、ピンクがイエローの背中を支える。


「うおおりゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


レッドが気合いと共にトリガーを引くと、5色の光が表面を駆け回る球形のエネルギー弾が発生、轟音と共に撃ち出され、ようやく正気に戻り立ち上がったマモンを直撃。


「人間が……悪魔に勝つことも…………まれ…………に、あるのか……!」


爆散。

合体していた武器はそれぞれの持ち主の手に戻る。


「やったー!」


ピンクがイエローに抱き付き、イエローがピンクを抱きしめる。


「まだだ! 奴が来るぞ!」


グリーンの叫びにヨーカイジャー達はマモンの残骸を囲むように移動。


5人、特に前回の悔しさが残るピンクとブルーはレヴィアタンの襲来を警戒し周囲の気配に神経を研ぎ澄ます。


「デビル デビレバ デビルトキ」


「来た!」


「どこだ!?」


「カモンデーモン デビデビレ」


「どこから来る!?」


「来るなら来ーい!」


残骸の傍の地面からレヴィアタンの腕が飛び出しカプセルを残骸の中に叩きつける。


「最後のチャンスだ、全てを尽くせ……」


「地中からダンクシュート!?」


「みんな離れろオオオオオオオオ!!!!!!!!!」


残骸が集まり巨大なマモンの姿となって散り散りに離れたヨーカイジャーの中のピンクを見下ろす。


「今度は僕が大きくなったぁー!!!」


そこへトンネル前から飛んできたカラステング。


〔ヨーカイジャー! ここからは俺達の出番だぜ!! ちなみにあのカップルは妖怪医療班が運んでったぜ!!〕


「よし、パートナーを呼ぶぞ!」


「じゃあ俺もポーズだけ」


レッド以外の4人はムゲンブレスに召喚(サモン)カードを差し込む。


「サモン、パートナーズ!!!!」


妖怪の里。


「河童ヶ沼」の底から長老妖怪メガガッパーが水飛沫を上げながら浮かび上がり、緑の光になって高速移動を開始。


「妖怪電気街」のステージのモニターに「きんきゅーしゅつどー」の文字が表示され、ステージ上の偶像妖怪ネコマタンがそれを見て敬礼、客席の妖怪達が振るサイリウムに見送られながらピンクの光になって高速移動を開始。


「試し斬りの竹林」で瞑想していた斬空妖怪カマイタチが空を見上げ、青い光になって高速移動を開始。


「妖怪稲荷神社」の神殿の扉が開き、奥から幻惑妖怪キュービルンが「お座り」のポーズのまま前進、その足元から機械的なカタパルトが伸び、どこかから響いてきた「five,four,three,two,one,zero!」というカウントダウンでキュービルンが「お座り」のポーズのまま空高く射出され、黄色い光になって高速移動を開始。


カラステングの周りに4つの光が降り立つと同時に巨大な妖怪の姿を表し、5体のパートナー妖怪達が並び立った。


ヨーカイジャー達がパートナー妖怪達のコクピットに転送され、レッドがムゲンオーの合体(ユナイト)カードをムゲンブレスに差し込む。


「いくぜ、夢幻(むげん)合体!!」


5体の妖怪達の体が宙に浮き、変形を始める。



カラステングの両腕がスライドして背中に回り、両足は折り畳まれる。


メガガッパーの両腕が引っ込み、甲羅が上にスライドして体の下半分が2本の足の形状になったところでカラステングの体の下に合体して「下半身」となる。


ネコマタンの尾と後ろ足が折り畳まれ、前足は爪が出た状態で頭に被さるようにスライドし、全体的に鋭い爪の付いたた腕といった形状になりカラステングの左腕部分に合体。


カマイタチの刃物状の尾が外れ、後ろ足が折り畳まれ、鎌の付いた前足は頭に被さるようにスライドし、鎌の間に刃物状の尾が収まり全体的に鋭い剣の付いた腕といった形状になりカラステングの右腕部分に合体。


キュービルンの体が前部と後部で半分に分離、前部は中心にキツネの顔が付いたプロテクターといった形状に変形しカラステングの胸に合体、後部は九本のキツネの尾が付いたプロテクターといった形状に変形しカラステングの背中に合体。


最後にカラステングの下顎が大きく開き、中から人型の顔が姿を表した。


レッド以外の4人もカラステングのコクピットに転送され、ヨーカイジャー達から見て左から、ピンク、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの順に席に着いた。


「完成、合体巨人・ムゲンオー!!」


5人声を揃えてその名を叫ぶ。

ムゲンオーは右手の夢幻斬空剣(むげんざんくうけん)を斜めに掲げてポーズを決める。


「なにがムゲンオーだ!!」


巨大マモンは早速塩をばら蒔いてくる。

ムゲンオーは全身に塩を浴び、体のあちこちから火花が散る。


「ヤロー、これでどうだ!」


ムゲンオーはカラステングの翼を羽ばたかせて塩を吹き飛ばす。


「こんなのもどう?」


イエローが操縦桿を引くと胸の狐顔のプロテクターが、


「コーン!」


と鳴きながら巨大マモンに体当たりして火花を散らせよろけさせて戻ってきた。


「おのれ、ふざけた技を……」


「まさに狐に摘ままれちゃったかなー?」


「許さんぞ下等生物どもー!」


巨大マモンは拳を構えて走りだす。


「えいっ!」


左手の引っ掻き。


「ハァッ!」


右手の斬撃。


「もっかいソレ!」


狐プロテクター体当たり。

嗚咽を漏らし、巨大マモンは足元が覚束なくなる。


「俺これ言うの今日2回目だけど、今だ!」


レッドはムゲンオーの必殺(フィニッシュ)カードをムゲンブレスに差し込む。


するとムゲンオーの全身を5色の光が駆け巡り始める。


また塩を撒く構えに入ろうとする巨大マモンに狙いを定め、夢幻斬空剣を構える。


「いくぜ!」


必殺大妖技(ひったつだいようぎ) 夢幻斬空剣むげんざんくうけん無限(インフィニティ)魔斬撃(スラッシュ)!!!!!」


高速移動から巨大マモンの体を∞型に切り裂き駆け抜ける。


その剣の軌道は凄まじい光を放ち、巨大マモンの手から塩を零れ落とさせる。


「まさに、塩対応…………!!」


爆散。


「うよっしゃああああああああああ!!!!!!」


ムゲンオーは剣を振りかざし勇ましいポーズを決める。


〔みんな! 塩分の取り過ぎには、注意しようぜ!〕



戦い終わって帰り道。

今日はみんなでまた妖怪の里に戻り、妖怪達が作ってくれるという御馳走を食べる予定。


「に、してもなんか今日、疲れた……」


能力スキルカードは強力だが、使うカードによっては妖力の消耗が激しいからな。慣れないうちは一緒に体力も削れてしまうみたいだ」


「武士はそうでもなさそうだな?」


「拙者は考えあって使っておらぬ故」


「あたしは今日一生分の砂撒いちゃったー」


「一生分の砂って何?」


「さあ、妖怪の里に帰ったら、疲れに沁みる御馳走が待ってるぞ」


「どんな御馳走だろう?」


「俺も聞いてないが、キュウリが入ってることだけは確かだ」


「もしかして……ニンギョのステーキだったりして?」


「それは……」


「嫌でござる」



数時間後。

妖怪の里での楽しい食事会を終え、ヨーカイジャー達をそれぞれの自宅付近まで送り届けたパートナー妖怪達。


カマイタチは滝で軽く水浴びをした後、「試し斬りの竹林」で日課である夜の瞑想を始める。


その直後、何かの気配に目をやると、そこにいたのは炎熱妖怪カシャ。


〔ビビッ?〕


〔バウ! バウバウバウ!〕


〔ビビ……ッ?〕


〔バウウウウウウウウウウウッ!!!!!〕


カシャは牙を剥いてカマイタチに飛び掛かる。


【to be continue…】


挿絵(By みてみん)

「特捜戦隊デカレンジャー」のWヒロインエンディングみたいなことがやりたくて作った歌詞を掲載します!


タイトル「最強究極ヒロインズ」


挿絵(By みてみん)


(結月)猫の手借りたい 毎日ジェットコースター

(千影)狐につままれ 変顔ポッシブル


(結月)青春時代は短い なんてゼッタイ認めない!

(千影)二人揃えば無敵にステキ

(結月)王子様に会えなくたって

(千影)お姫様……いてくれるから……


(結月)「どうしたの?」


(千影)「なんでもなーい!」


(二人)ピンキーファンキー謝肉祭カーニバル

(結月)最高最強にゃんだほー!


(二人)イエローモンロー幻燈会ファンタジー

(千影)ピカソに負けないキュービズム


(二人)二人合わせて究極ヒロイン!

(二人)強い! 負けない! とーぜんカワイイ♥️

(二人)夢幻戦隊ヨーカイジャー



(千影)狐の嫁入り まさかの雨模様

(結月)猫のおでこくらい? 激狭ハート……

(千影)ケンカしたっていいじゃない いつも最後は仲良し

(結月)一緒にいればキラキラハッピー

(千影)お姫様になれなくたって

(結月)変身チェンジカードで 華麗に変身!


(結月)「でも千影ちゃんは、あたしのお姫様だよ♥️」


(千影)「あ、ありがと……」


(二人)ピンキーファンキー謝肉祭カーニバル

(結月)肉球 直球 ばたんきゅ~


(二人)イエローモンロー幻燈会ファンタジー

(千影)ピカソも描けないビューティフル


(二人)二人いるから究極エンジェル

(二人)速い! 賢い? やっぱりカワイイ♥️

(二人)夢幻戦隊ヨーカイジャー



(結月)運命の人はいつか 現れるとかいうけど もしかして側にいちゃう?


(千影)「え?」


(結月)「え?」


(千影)「え? え?」


(結月)「ええええええええええええ!?」



(二人)ピンキーファンキー謝肉祭カーニバル

(結月)最高最強にゃんだほー!


(二人)イエローモンロー幻燈会ファンタジー

(千影)ピカソに負けないキュービズム


(二人)二人合わせて究極ヒロイン!

(二人)強い! 負けない! とーぜんカワイイ♥️

(二人)夢幻戦隊ヨーカイジャー


(結月)カワイイ♥️ プリティ♥️ ここテストに

(千影)出ません!

(二人)夢幻戦隊ヨーカイジャー


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

本編を読んだ後は「ヨーカイジャー悪魔データベース」で、登場した悪魔の情報をチェックしよう!


https://ncode.syosetu.com/n9246jz/7/


この作品に使われているイラストはxAIのGrokによって生成されました

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