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夢幻戦隊ヨーカイジャー  作者: 天道暁


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31/32

episode:31 告白

この作品は天道暁によるオリジナルのスーパー戦隊作品です。現在放送されているスーパー戦隊シリーズを制作・放送している各団体とは一切関係ありません。


オープニングテーマ「your kind!」

https://ncode.syosetu.com/n7284ka/1/

10月初旬。

妖怪の里・ヨーカイジャー秘密基地。


智和が中央司令室で映像資料の確認等をしていると、千影が開いた自動ドアの前で立ち止まり、長く息を吐いてから入ってきた。


「どうした?」


「究極夢幻合体ができないの、私のせいかもしれない」



「夢幻戦隊ヨーカイジャー」


episode:31 「告白」


千影の話を聞き終えた智和は、丸椅子に座って下を向く千影に微笑みを見せる。


「そうか……。そうだな、ヨーカイジャーは特にそういうの禁止してないから、後悔しないようにしろよ」


「うん…」


千影は下を向いたまま立ち上がり、深いお辞儀をして中央司令室から出ていった。


智和は机に置いてあったコーヒーを一口飲むと、冷めきっていることに気付いて一息に飲み干した。



一方その頃、都内某所のジョギングコース。

大学ラグビー部員達が2列に並んで走っている。


そこへ突然、部員と同じ数の2メートル程の水晶が飛んできて目の前に立ちはだかった。


「な、何だ!?」


先頭の2人に向かって2つの水晶が叫ぶように語りかける。


「中学のときイジメをやってた!」


「受験でカンニングした!」


「えええええ!?」


目を剥いて驚愕した直後、先頭2人は水晶に吸い込まれ、2人が透けて見える水晶はどこかへと飛び去っていった。


残りの部員達は悲鳴を上げながら逃げ出すが、全員飛んで来た水晶に行く手を阻まれる。


「部内で孤立してる!」


「半年くらい家族と話してない!」


「ほんとはラグビー好きじゃない!」


部員達は一人残らず水晶に閉じ込められ、どこかへ飛ばされていった。



ジョギングコース近くにある廃ビルの屋上。


上空にどす黒い稲妻のようなエネルギーがスパークする時空の裂け目が発生し、そこへ人間が閉じ込められた水晶が次々に飛び込んでいく。


その真下で空の裂け目に手を翳しているのは、虎のような顔、戦国武将の鎧を思わせる体の胸に4つの菱形が集まって大きな菱形を形成するマーク、背中に白い蛾のような羽が生え、右腰に大きめの印鑑のような物体、左腰にスモモのような物体が付いている悪魔。


ベルゼブルが飛んできて隣に着地した。


「YO! マイメン、ベルフェゴール! ブラザーの中のブラザー!」


ベルゼブルとベルフェゴールは拳と拳を合わせる。


「“七つの大益”も、サタン様と俺様達だけになっちまったな」


「ルシファー様は先の大戦で、マモン、レヴィアタン、アスモデウスは地球での戦いで命を落とした。共に大戦を戦った者として、何としてもその死に報い、サタン様にお目覚め頂こう」


「OK、その意気だぜ! 偉大なるサタン様復活を目指してやってるのが、コレってわけか?」


「そう。これは私が人間どもを観察し、奴らから効率的にデビルギーを収集するために編み出した技。脆弱な人間どもは皆、心に隙を持っている。この水晶は人間どもの脳波を分析して心の隙を突く言葉を推測して言語化

し、その言葉により心の隙を突いた人間どもを封じ込める。こうして人間どもを封じ込めた水晶を、私が作り出した異次元空間に集め、後から纏めてデビルギーを生み出させてやるというわけだ」


「なるほど。目的を果たすために慎重に考えて準備した上で行動する。そんなおめぇのやり方を怠け者だなんて誤解する奴もたま~にいるが、俺様はちゃんとわかってるZE!」


「誤解する奴らのことなんて気にしちゃいない。考えの足りない奴らのことをいちいち気にするような奴は、私の水晶の絶好の獲物だ」


「hu~!」


ベルゼブルとベルフェゴールはまた拳と拳を合わせる。


「だが、これもいずれ勘づかれるのだろうな、例のヨーカイジャーとかいう奴らに」


「Hey! そこまで計算済みか」


「大戦の英雄達を手に掛け、お前ほどの者を手こずらせる連中だ。警戒はしておくべきだろう」


「おめぇなら、ヨーカイジャーにも負けることはないだろうZE!」


「無論、負けるつもりは無い。奴らも所詮、1匹を除けば人間なのだろう?」


ベルフェゴールは宙に手を振り、人間が閉じ込められた水晶をジグザグに飛び回らせてから時空の裂け目に飛び込ませた。


「hu~! Agaるねェ~!」


ベルゼブルとベルフェゴールはまた拳と拳を合わせる。



次の土曜日。

遊園地の入り口で遠くの人通りを目で追う結月。

フリフリの付いたブラウスにチェックのミニスカート。

髪型はもちろんいつものツインテール。


人通りの中から探していた人影を見つけて手を挙げる。


「千影ちゃ…」


近付いてきた白いニットのロングワンピース。

千影の眩いまでのオーラに振りかけた手が止まる。


「どうしたの!? 千影ちゃんいつも綺麗だけど、今日すごい綺麗! メイク気合い入りまくってるし、何!? ほんとどうしたの!?」


「今日は大事な日だから…」


少し逸れかけた目線が勢いよく両肩を掴む細腕に引き戻される。


「だよねだよね! 今日はあたしと千影ちゃんの大事な遊園地デートだもんね! あたしももっと気合い入れて来ればよかったかなー?」


「結月はそのままが一番かわいいよ」


「あああもう! またそんな王子様みたいなこと言ってくれる! 千影ちゃん王子様なの? それともお姫様?」


「うーん、どっちかっていうと…お姫様かな?」


「そっかー! じゃあ行きましょうお姫様!」


結月が千影の手を引いて遊園地に入っていく。


挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)


ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランドでバイクごっこ、カラフルなフレーバーポップコーンを持って映え写真。


挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)


ゴーカートで意外な接戦、妖怪と力を合わせて悪魔と戦っている二人がお化け屋敷で大絶叫して、フォトスポットでまた映え写真。


挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)


的をジャミリアーに見立てて射的ゲーム、遊園地のキャラクターが描かれたペットボトルホルダーを首から下げ、長いポテトを食べさせ合い、VRでアニメの世界を体験、沢山遊んで日が傾きかけたところで観覧車。


向かい合わせに座り、ゆったりと上っていく感覚を背中に感じる。


「千影ちゃんどうしたの?」


「えっ?」


「楽しかったけど、千影ちゃんずっと何か言いたいことあるみたい」


「わかっちゃうか…」


「わかるよ! だって千影ちゃんは、あたしの憧れのお姉さんで、一緒に戦う仲間で、理想の女の子で、大大大大大親友だもん!」


「そっか。じゃあ、言うね。でも、ちょっと待って」


千影はゴンドラの高度がデジタル表示されているプレートを見る。

そして最高地点に来たところで結月に向き直る。


挿絵(By みてみん)


「私…結月のこと、好きなの」


ゴンドラの窓から差し込んできた夕焼けの光が瞳を潤ませた千影を照らす。


挿絵(By みてみん)


「…………」


結月はペットボトルホルダーのジュースをストローで飲みながら高度の表示を見る。


「友達として好き、とかじゃないやつだよね?」


千影は瞳を潤ませたまま頷く。


結月はペットボトルホルダーのキャラクターを見ながらまたジュースを飲む。

そのままどちらも一言も話さないままゴンドラは地上に戻った。


「お気をつけてお降りくださーい」


スタッフの声。

結月は目が覚めたように瞬きしてゴンドラを降りる。

スタッフに声が届かない辺りまで歩いたところで、千影は結月に後ろから声を掛ける。


「ごめんね…」


「なんで謝るの?」


結月は振り向かずに応える。


「ごめん…」


「謝らないで」


「ごめ…」


「今日、一人で帰れるから」


「大丈夫?」


「うん」


結月の家が最寄り駅からそれほど離れていないことは千影も知っている。


「ごめんね…」


「だから謝らないで!」


振り向いた結月の目から涙が溢れていた。

そのまま遊園地の出口まで走っていく小さな背中を、千影は追いかけることができなかった。



午後7時、千影の部屋。

一人暮らしのマンションの寝室。


ベッドに横たわっているとスマホに智和からのメッセージ。


《結月、ちゃんと帰れたって》


「ありがとう」とだけ返信。


ホーム画面に戻ると目に入ったアルバムアプリのアイコン。

タップすると画面いっぱいに並ぶ結月とのツーショット。

アルバムの中の写真ほとんどに結月がいる……そうなってから随分長い月日が経った気がする。


スマホを置いて、体を壁に向けると、結月が誕生日に描いてくれた似顔絵が額の中で笑っていた。


サプライズに気付いてしまったバースデーパーティー、一緒に食べたクレープ、一緒にライジュウに乗って走った妖怪の里の海岸線、彼氏ができたと思って泣いたけど親戚のお兄さんだったこと、その後一緒に行ったオープンカフェ…


結月との色々なことが心の中で万華鏡のように甦る。

気付くともう2時間経っていた。

こんな気持ちに一番似合う名前を付けてくれそうな人は、今隣にいない。



翌日、日曜日。

昨日帰宅してベッドに横たわり、そのまま寝てしまっていた結月はいつもより早く目が覚めた。


昨日のままのお出かけ用の服を着替えて朝ごはん。

お母さんが作ってくれたパンケーキ。


おいしい。

だけど、一緒に食べるともっとおいしくなれる人は、今隣にいない。


母親が何も言わずに暖かいココアをテーブルに置いた。

湯気の立つお気に入りのカップを傾ける。

おいしい。


自室に戻り、昨日ぶりにスマホを見る。

通知が溜まっている。

友達からのいつも通りのメッセージに少しだけ心が和み、千影からのメッセージにも目をやる。


「ちゃんと帰れた?」


伝えるべきことは智和が伝えてくれているはずなので、返信はしなかった。


ベッドに寝転び、スマホゲームの「SHINING LOAD」をプレイ。

窓際に置いてあるムゲンブレスを30分おきに見る。

今日だけは鳴ってほしくなかった。


だけどそんな気持ちをわかってくれるような奴らと戦い続けているわけではない。


目を休めるためスマホを置き、少しだけ買ってみた紙の「SHINING LOAD」のカードを触り始めたところでムゲンブレスの着信音。


「こんな時に…」


着信ボタンを押すと智和の声。


《結月、悪魔が現れた。来られるか?》


「うん」


場所を聞き、ムゲンブレスを手首に巻いて鏡を見る。

あまりかわいい自分ではなかったけど、結月は家を出て戦いの場へ走る。



以前レヴィアタンの軍艦により破壊された市街地。

現在復興作業中のそこで、ベルフェゴールが逃げ遅れた作業員達を水晶に閉じ込めて異次元空間に送ったところで、駆け付けた結月を除く5人のヨーカイジャーが掛け声と共に走りながら変身。


「妖怪変化!!」


変身した状態のピンクもビルの屋上や工事の足場等を伝って駆け付け合流。


挿絵(By みてみん)


「来たな、ヨーカイジャー!」




「誰が呼んだか旅烏 鼻高々にてんつくてん 天に代わって只今参上! 空の勇者、ヨーカイレッド!」


「誰が言ったか川流れ 流れるどころか掻き分けて 登って飛び出せナイアガラ! 水の戦士、ヨーカイグリーン!」


「誰が言ったか猫かぶり 花も恥じらうJK3 嘘はいらない夢見る乙女! 獣のアイドル、ヨーカイピンク!」


「誰に言われどカマわない イタチごっこにピリオド刻み 腹を切らずに悪を斬る! 風の剣士、ヨーカイブルー!」


「誰を染めるか狐色 こんこん今夜も手鞠歌 お目にかけましょ万華鏡 幻の賢者、ヨーカイイエロー」


「誰もオイラを止められねえ! 当たるも八卦の大予言! 爆走疾風ギンギラギン! 閃光の覇者、ヨーカイシルバー!」


「夢も現も守るが仏 夢幻戦隊!」


「ヨーカイジャー!!!!」



「我が名はベルフェゴール。サタン様復活を邪魔する貴様らを、今ここで始末してやる!」


ベルフェゴールは右腰の印鑑のような物体を取り外し、


「行けし、ジャミリアー!」


と叫びながら放り投げる。

印鑑のような物体は空中で弾け、中から20体のジャミリアーが姿を現した。


「ジャミジャミ!」


ジャミリアー達は剣をリズミカルに振りながら足を踏み鳴らす。


レッドは大量に現れたジャミリアーを指差す。


「多くね? 千影、アレ何人いる?」


「え? えっと、1、2、3…」


「数えるコツとかいうヤツは?」


「あ、そっか。えっとね、20人」


グリーンは胸に抱えた物の重さを感じながも、仲間達を鼓舞するため声を張る。


「よし……いくぞ!!」


「オウ!!」


ヨーカイジャー6人がそれぞれの足取りで走り出す。


ブルーはブライブレードを装備し、走りながらウブメの能力(スキル)カードを発動。


「ウブ太郎、また使わせてもらうぞ!」


ムゲンブレスから放出される羽根吹雪に戸惑うジャミリアーを、1体、2体、3体と連続で斬り捨て、刀を収める動作をするブルーの背後で、5体のジャミリアーが同時に倒れて爆散。


グリーンが振るったガチコンハンマーを、ジャミリアーが2体がかりで受け止める。

1対2でガチコンハンマーを掴んでの引っ張り合いが続く中、グリーンが急に手を放し、ジャミリアー2体は勢い余って転倒。


グリーンは倒れたジャミリアーからすかさずガチコンハンマーを奪い返し、起き上がり始めたボディと起き上がりかけた頭に1撃ずつ叩き込んで撃破。


ピンクがスキャットクロウを装備し、あらゆる感情をジャミリアー達にぶつけるように連続引っ掻き攻撃を浴びせ続ける。


力の入った連続攻撃に3体のジャミリアーが爆散し、背後から迫る足音と奇声に反応し振り向きかけたところで、イエローがピンクを突き飛ばした。


「危ない!」


ジャミリアーが構えていた剣はイエローの背中に振り下ろされた。


「ああああああ!!!」


膝を突くイエロー。

ピンクはムゲンシューターを連射し、イエローに剣を振るったジャミリアーを撃破。


「千影ちゃん、大丈夫?」


「うん……」


「あたし、今の避けられたよ?」


「ごめ…」


「謝らないで」


ピンクはジャミリアーの群れにムゲンシューターを連射しながら走っていった。

イエローは一人で立ち上がり、地面に転がっていたコンコンボーを拾って走り出した。


モメンカッターを装備したシルバーが、ブルーを真似た太刀筋でジャミリアーを切り裂きながらグリーンに近付き声を掛ける。


「なあ智和、結月と千影、なんか変じゃね?」


グリーンは迫ってきたジャミリアーをガチコンハンマーで殴り倒し、ピンクとイエローを遠目に見て頭を抱える。


「俺のせいだ…」


「なんかあった?」


「とにかく今は、戦いに集中だ」


「うん…」


グリーンとシルバーはベルフェゴールに突っ込んでいくレッドを追いかける。


レッドは右拳にフェザーガントレット、左拳にクロノスマッシャーを装備し、ジャミリアー達を殴り倒しながらベルフェゴールに向かって走る。


拳の射程内にベルフェゴールを捉えた瞬間、ベルフェゴールがレッドに手を翳して突風を発生させる。


追いかけてきたグリーン、シルバーと共に突風に押され進めずにいると、ベルフェゴールがその手に更なる力を込め、地面から何本もの木々を生やした。


ヨーカイジャー達は地面を貫いてくる木々をなんとかかわしたが、ベルフェゴールは両手を広げ、林のようになったその場所に火を放った。


高熱と煙に苦しむヨーカイジャー。

グリーンがメガガッパーの能力(スキル)カードで手から水流を発生させ辺りを消火。

既にヨーカイジャーに倒されていたジャミリアーの残骸が、黒焦げになって水流の勢いで崩れる。


ベルフェゴールが両手に更なる力を込めると、地面が突然山のように隆起し、ヨーカイジャー達を宙に打ち上げ元に戻る。


地面に叩きつけられたヨーカイジャー達は、砂を握り立ち上がりながら目の前の強大な敵の姿を眼球の奥まで焼き付けられる。


「つええ…」


「ああ、幹部の奴らと同等か、それ以上…」


「フン、人間や妖怪ごときが、誇り高き我らデモンダイムに敵うはずがないのだ」


「貴様がどんなに誇り高かろうと、その胸の家紋! それは貴様のような下劣な輩が身に付けてよい物ではござらん!」


「家紋? 何の話だ? この胸の模様は、私がこの地球の環境に適応するため変化した結果生じた物であり、特に大きな意味は無い」


「偶然でござったか。道理でそのような、真に誇り高き者の紋様が…」


「だが、これから貴様らに見せてやる技は、偶然できたのではなく、人間どもから効率的にデビルギーを生成するために開発したものだ」


ベルフェゴールが天に向かって手を翳すと、例の水晶が6個現れ、武器を構えるヨーカイジャーに向かって飛んでいった。


水晶はヨーカイジャーそれぞれの脳波を分析し、心の隙を突くための言葉をぶつける。


「特に目標も無く生きている!」


「今はお前らを倒すのが目標!」


レッドがフェザーガントレットで水晶を殴り飛ばす。


「仲間の力に頼ってばかり!」


「仲間が、俺の力だ!」


グリーンがガチコンハンマーで水晶を叩き落とす。


「大事な友達を傷つけた!」


「うっさい!」


ピンクがスキャットクロウで水晶を弾き飛ばす。


「ござるござるうるさい!」


「ござるござるござるござるござるござるござるござる、さて何回言ったでござる?」


ブルーがブライブレードで水晶を打ち返す。


「本来の力を失った!」


「だけどみんなと一緒に戦える!」


シルバーがモメンカッターで水晶を斬り飛ばす。


「大事な友達がお前を傷つけてしまったと思ってる!」


「…………!!」


イエローは立ち尽くしたまま反撃しない。


「千影ちゃん!?」


イエローは徐々に水晶に吸い込まれ、同時に変身が解けていく。


ピンクが駆け寄り手を伸ばす。

だが上昇していく水晶にその手は届かず、閉じ込められる間際の千影がピンクに涙で揺れる瞳を見せる。


「結月…………ごめんね」


千影は水晶に閉じ込められ、上空に発生した上空の裂け目に向かって飛んでいく。


「あああああああああ!!!!!」


届かない手を伸ばし、叫び声を上げながらピンクも変身が解ける。


レッドがカラステングの能力カードで翼を生やし、千影が閉じ込められた水晶を追って飛び上がる。


「んナロー!」


全身で水晶に食らい付き、フェザーガントレットで何度も殴り付けるが水晶はびくともしない。


「無駄だ! その水晶は閉じ込めた人間の心の隙が大きければ大きいほど硬くなる。もっと強い攻撃を加えれば壊せるかもしれないが、そうすれば中にいるヨーカイイエローも木っ端微塵になるだろう!! 私はそれでも構わんがな!!」


ベルフェゴールは突風を発生させ、水晶に食らい付いたレッドを吹き飛ばす。


結月の伸ばした手の先で、水晶は時空の裂け目の中へ消えていった。


「ああああああああああああ!!!!!」


「ん?」


水晶に続いて時空の裂け目に入ろうとしていたベルフェゴールが、空中で立ち止まり、左腰に付いているスモモのような物体を取り外し、地面に座り込んで手を伸ばしている結月の方へ向ける。


すると結月の頭上からどす黒いモヤのような物が立ち上ぼり、ベルフェゴールが持つスモモのような物体に吸収され始めた。


挿絵(By みてみん)


「あれはまさか……デビルギー!?」


グリーンがムゲンシューターで銃撃。

スモモのような物体はベルフェゴールの手から弾き飛ばされ、結月から立ち上ぼっていたデビルギーは止まった。

スモモのような物体は落下しながらブルーによって真っ二つに斬り捨てられた。


「まあいい、あれはまた作れる。ヨーカイピンクのデビルギーは惜しかったがな」


グリーンとシルバーによる銃撃をかわしながら、ベルフェゴールは時空の裂け目の中へ消え、時空の裂け目も間もなく消滅した。


結月は尚も、座り込んだまま時空の裂け目があった空に向かって叫び続けている。


レッドが着陸し、ヨーカイジャーメンバー達が結月に駆け寄ろうとしたその時、地響きを鳴らし、復旧途中のビルを蹴り崩しながら巨大ベルゼブルが現れた。


「YO! ヨーカイジャー、気合い入ってるか?」


レッドはグリーンとブルーに助け起こされる結月の表情を見て、カードホルダーからダイダラスの召喚(サモン)カードを取り出した。


「俺が行く」


「オイラも!」


「サモン、パートナーズ!!」



都内某所の静かな森。


木々の健康状態を確かめながら歩いていたダイダラスが空を見上げて飛び上がり、深緑の光になって高速移動を開始。


妖怪の里。


「さわやか草原」を走る予言妖怪ブルクダン、並走する爆走妖怪オボログルマ、上空に疾風妖怪イッタンモメン、3体同時に高く飛び上がり銀色とオレンジ色と紺色の光になって高速移動を開始。


4つの光がヨーカイジャー達の前に降り立ち、4体の巨大妖怪の姿に戻る。


ダイダラスはレッドを、ブルクダンはシルバーを、目からビームを出してコクピットに転送。


「いくぜ、夢幻変形!」


「夢幻合体!」



ダイダラスの体が頭、胴体前部、胴体後部、左前足、左後ろ足、右前足、右後ろ脚の7つのパーツに分離し、胴体後部が断面を下にして直立し下4分の3の部分がスライドして二股に別れ足の形状になって「下半身」となり、胴体前部が断面を上にして「下半身」に合体して「上半身」となり、左前足と左後ろ足が合体した物が「左腕」として合体、右前足と右後ろ足が合体した物が「右腕」として合体、頭が上半身の上から合体し口が大きく開き下顎が奥へ収納されると同時に人型の「顔」が現れる。


「完成、創生巨人・ムゲンタイタン!!」


ムゲンタイタンは両腕を広げ天地を揺るがす咆哮を上げる。



ブルクダンの四肢と尻尾が折り畳まれながら体全体が直立、胴体下半分がスライドして2本に分かれて「足」になり、首から上の頭部が真っ直ぐに前を向く。


オボログルマの胴体前部が伸び、全体的にタイヤとガトリング砲の付いた腕といった形状になりブルクダンの左腕部分に合体。


イッタンモメンの尾が折りたたまれ、胴体前部が伸び、全体的に左右両側に鋭いカッターの付いた腕といった形状になりブルクダンの右腕部分に合体。


最後にブルクダンの首が回転扉のように回転、中から人型の顔が姿を表した。


「完成、合体巨人・ムゲンショーグン!!」


ムゲンショーグンは両腕の武器を交互に力強く前に突き出し、銀色の光を放ちながら腕を組んでポーズを決める。



2体の巨人がベルゼブルを挟む位置に降り立つ。


「ベルゼブルさぁ! お前は悪魔の中ではまだ話がわかる奴だと思ってるから言うけど! マジ今だけは空気読んでくれねぇ?」


「Ha~~~~~~~~? じゃあ聞くが、おめぇらヨーカイジャーが空気読んで俺様達のデビルギー集めを邪魔しなかったことがあったかYO!?」


「ああ~、じゃあもう何も言わん」


ムゲンタイタンが手を翳して地面から槍のような岩を生やし、ムゲンショーグンが左腕のガトリングを連射。


ベルゼブルはそれらを飛び上がってかわし、追撃のガトリングも空を蝿のように飛び回って全てかわす。


「こうなったら……」


シルバーが特別な換装ジョイントカードを発動。


「本日の運試し。ガシャット・ガジェット!」


シルバーの背後のモニターにカードのパックが輪になって並んでいる映像が映し出され、画面内のパックの輪が回転。


シルバーが天に手を翳すと回転が止まり、パックが開封され中からカシャの換装(ジョイント)カードと同じデザインのカードが出てくる映像が映し出される。



妖怪の里。


「さわやか草原」を走る炎熱妖怪カシャが立ち止まり空を見上げ、紅色の光になって高速移動を開始。



戦場の空に到達した紅色の光がカシャの姿に戻り変形を始める。


前後全ての足が折り畳まれ、下顎が大きく開いて首の下に付いた状態でロックされ、喉の奥から銃身のような物が伸びて出てくる。


ムゲンショーグンの右腕のイッタンモメンが外れ、銃の付いた腕の形になったカシャが代わりに右腕に合体する。


「完成、ムゲンショーグンマグナム!!」


シルバーの叫ぶ声と共に、銃を翳してポーズを決める。



「前にこの形態で必殺大妖技やった時はヘバっちゃったけど、オイラ達、サッカーとか鬼ごっことか、いっぱいやって体力付けたんだ。見てろよー!!」


〔モォ~!!〕


空中の巨大ベルゼブルにガトリングとマグナムの火球を同時連射。


巨大ベルゼブルはまた飛び回ってかわそうとするが、速度も大きさも違う2つの飛び道具に回避のリズムを狂わされ、ガトリングを数発、火球を2発食らって体表から火花が散り、立て膝で着地して脇腹をサッと払って黒煙を消す。


「なかなかいいビートだ。だが!」


巨大ベルゼブルが復興中のビルが立ち並ぶ場所の前に立つ。


「これでも撃つか? 外れたらどうなる?」


「くっそ~!!」


シルバーがコクピットで悔しがる声が聞こえ、レッドがムゲンタイタンの操縦桿を引いて地面を操作し、巨大ベルゼブルを囲むように岩の柱を生成する。


「これで避けられないぜ。勝!」


「よっしゃあ!」


シルバーが必殺フィニッシュカードを発動させると、ムゲンショーグンマグナムの妖力が両腕の重火器に集中し、それぞれの色に光輝くエネルギーへと変換されていく。


必殺大妖技(ひっさつだいようぎ)銀炎(バーニング)魔燃弾(ギャラクシー)!!!!!」


右手から通常の5倍以上の大きさの火球、左手から高熱を纏った弾丸を超高速で連続発射。


岩の柱に衝撃と高熱によるダメージが蓄積され大爆発。


「うよっしゃああああああああああああ!!!」


「やった! しかもヘバってない!」


「チェケラ!」


「チェケ……チェケラ?」


つい復唱してしまったシルバーがモニターをよく見ると、元の大きさに戻ったベルゼブルがかなり遠くの空まで飛んでいっていた。

岩の柱に囲まれかけたところで、元の大きさに戻って脱出していたのだった。


イッタンモメンが追いかけたが、追い付くことはできず見失ってしまった。


「拓実、オイラやっぱあいつ嫌いだ」


「俺もだけど、悪魔の中では、話がわかる奴ってことだから。今はそんなことより…」


「うん…」


モニター越しに見える結月は、力無く項垂れたままグリーンとブルーに肩を支えられていた。



妖怪の里・「食べ放題の海」の海岸線。


千影がハンドルを握るバイクサイズのライジュウ。

結月は千影の背中を抱いて二人乗り。

結月はネコマタン、千影はキュービルンが変化したヘルメットを被り、爽やかな風と柔らかなぬくもりを感じながら流れていく景色に胸を踊らせる、大好きな時間。


思わず顔が綻ぶ。

運転中は見えない千影の顔も、きっと同じように綻んでいると思えたその時、突然辺りが真っ暗になり、ライジュウとヘルメットに変化していた妖怪達が消えた。


暗闇の中に見えるのは、千影の後ろ姿だけ。


「結月…………ごめんね」


振り返った千影の目から涙が溢れ、その体は水晶に閉じ込められて暗闇の空に現れた時空の裂け目に向かって浮き上がっていく。


「千影ちゃん!!」


結月はムゲンブレスに変身チェンジカードを入れる。


「妖怪変化! ……あれ? 妖怪変化! 妖怪変化!」


何度やっても変身できない。

そうする間にも、千影が閉じ込められた水晶は時空の裂け目に近付いていく。


「ネコマタン! キュービルン! ライジュウ! ……妖怪変化! 妖怪変化!」


時空の裂け目から巨大なベルフェゴールの腕が伸びてきた。

浮き上がってきた水晶を両手で握り、力を込めて不気味に軋む破壊音を鳴らす。


「やめて!! 妖怪変化! 妖怪変化! 千影ちゃん!! 千影ちゃん!! ああああああああああああああああああ!!!!!」


絶叫と共に結月の頭からどす黒いデビルギーが立ち上る。


「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


起き上がったそこはヨーカイジャー秘密基地の仮眠室。

自分が描いて壁に飾った妖怪達の似顔絵が見える。


首を触ってみた。

寝汗がすごい。

ポケットからスマホを取り出す。

メッセージアプリには、昨日の日付けの千影からのメッセージ。


《ちゃんと帰れた?》


結月はベッドに体を預け、白い天井を見る。


「夢じゃなかった」


【to be continue…】

本編を読んだ後は「ヨーカイジャー悪魔データベース」で、登場した悪魔の情報をチェックしよう!


https://ncode.syosetu.com/n9246jz/30


公開中のデジタルコンテンツ、その他の情報は作者Instagram「 @satoruyoukaidaisuki 」とX(旧Twitter)「@shousetuyokai」をご覧ください

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