episode:28 大好きなもの
この作品は天道暁によるオリジナルのスーパー戦隊作品です。現在放送されているスーパー戦隊シリーズを制作・放送している各団体とは一切関係ありません。
オープニングテーマ「your kind!」
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妖怪女子刑務所。
その朝、グレモリーが独房で目を覚ますと、扉付近に何か小さくて白い物が落ちているのに気付いた。
それは髑髏の形に折られた紙。
開いてみると、中には達筆だが読みやすい字体で書かれた文字が並んでいる。
それを読んだグレモリーは扉に張り付き、外に立っているヌレオンナに声を掛ける。
「ジャコばぁはどこ?」
返事が無い。
「ねえ教えて、ジャコばぁはどこ!?」
返事が無い。
グレモリーは一歩下がり、勢いを付けて扉を蹴り倒す。
「!?」
ヌレオンナが驚き身構えると同時に警報音が鳴り響く。
グレモリーは一瞬でヌレオンナの首を掴み壁に叩き付ける。
「あなた……出ようと思えば出られたのね……」
「教えなさい、ジャコばぁはどこ?」
「私があなたの監視役に選ばれたのは、余計なことを話さないから」
そこへ駆け付けた警備員妖怪達。
倒れた扉、独房から出ているグレモリー、首を掴まれ壁に押し付けられているヌレオンナ。
状況全てが心拍数を上げに来るが使命感でそれを抑え冷静さを保つ。
「ヌレオンナを解放しなさい!」
グレモリーは首を掴んだ手に力を込める。
「ジャコばぁはどこ?」
指の圧力が首の骨に近付いてくる。
ヌレオンナは警備員妖怪達に目で訴える。
「ジャコばぁはどこ?」
骨の軋む音。
警備員妖怪の一体が思わず、ヌレオンナの訴えと逆のことをしてしまう。
「医務室!」
グレモリーはヌレオンナを投げ捨て走り出す。
警備員妖怪達が陣形を組み立ちはだかるが、グレモリーは真正面から飛び込み、掴みに来る腕を払いのけ、道を塞ぐ体を蹴り飛ばし、陣形を突っ切り警報音とパトランプの光が飛び交う廊下を駆け抜けていく。
夢幻戦隊ヨーカイジャー
episode:28 「大好きなもの」
地下から地上階へ繋がる階段を駆け上がり、立ちはだかる妖怪達をなぎ倒し走るグレモリーの脳内で、手紙を読み上げるジャコツババアの声が聞こえる。
“この手紙をあんたが読んでる頃には、あたしはもう生きちゃいないだろうね。
あたしはもう長くはなかったんだ。
妖怪って言ってももうずいぶん生きたからね。
熱に浮かされて、前しか見えなくなって、いつの間にか家族までいなくなってたあたしだけど、最後に娘ができたみたいで楽しかったよ。
悪魔のあんたも長く生きるんだろ?
だったら今からでも、あたしみたいにならないように生きな。
あたしみたいなもんから見ても、あんたは骨のある女だ。
あんたも一生刑務所暮らしだろうけど、せめてあたしよりは幸せになりな。”
独房のある東棟を出て、運動場を抜ければ医務室のある西棟へ行ける。
そこに現れたのは、通報を受けて駆け付けた妖怪治安維持部隊。
「この任務、果たさでおくべきか!」
発光妖怪オイワが額のアンテナから激しい光を放つ。
目が眩み足を止めたグレモリー。
氷槍妖怪ツララオンナが妖力で生成した氷柱を両手に持ち、オイワと同時に飛び掛かる。
「行かせねーし!」
グレモリーは気配を頼りに身を翻し、掌底と氷柱をかわしながらオイワの脇腹に裏拳を食らわし、続けざまの踵落としで運動場にねじ伏せる。
回復した視力で氷柱による連撃を見切り、回し蹴りでツララオンナを起き上がり際のオイワにぶつけ、2体の女妖怪が立ち上がる体力を振り絞る間にまた西棟へ向かい走り出す。
走りながら、何かが体に降りかかってくるのを感じて上を見る。
空中から白蚕妖怪オシラサマが蚕のような白い翅から鱗粉を撒き散らしている。
その鱗粉が体に降りかかるほどに体が痺れ、動きを鈍らされていく。
「悪い子はいねえがあああああああああああああああ!!!」
妖怪治安維持部隊随一の腕力を誇る厄払妖怪ナマハゲが低空飛行の勢いを乗せたパンチでグレモリーを吹っ飛ばす。
グレモリーは地面で全身を強打しながらも立ち上がり、ダメージと鱗粉に鈍らされた足を無理矢理動かしまた走る。
「悪い子はいねえがあああああああああああああああ!!!」
ナマハゲは重々しい足音を鳴らしながらグレモリーに掴みかからんと腕を伸ばす。
グレモリーは迫りくる屈強な腕を掴み、流れるような体重移動からの上手投げでナマハゲを地面に叩きつけた上で踏み付ける。
「悪い子は……」
動きを止めたナマハゲに足を乗せたまま、空中のオシラサマが仕掛けてきた連続パンチを体幹移動でかわし、微かな隙を見定めオシラサマの鳩尾に右アッパーを叩き込み、怯んだところを抱え上げ、頭から地面に叩き落とす。
オシラサマは俯せに倒れ、オイワとツララオンナが痛みに震える足を動かし向かって来るのが見える。
鱗粉の効果とナマハゲからのダメージによる体の重さが薄れていくのを確認し、グレモリーは残り僅かまで近付いた西棟入口への距離を走り出す。
西棟まであと3歩。
そこでグレモリーは液状の何かにまとわりつかれる感覚を覚え、コンクリートの段差を踏み込もうとした所で手足の動きが止まる。
液状の何かはまとわりついたまま、上部をカッパの上半身の形にしてしゃべりだす。
「これ以上行かせねえ!」
「隊長!!」
グレモリーの足を止めたそれは、液状化した妖怪治安維持部隊隊長・水溶妖怪ネネコガッパだった。
「さあ、このまま部屋に戻ろうか?」
グレモリーは僅かに拘束を免れた右手の指を動かす。
すると周辺の地面から乾いた砂が浮き上がり、液状化したネネコガッパに混ざって透明な液状の体を泥水のように濁らせていく。
「なッ……!?」
砂が混ざったことで柔軟性を失ったネネコガッパを振り落とし、グレモリーは西棟入口に飛び込む。
砂を排出しようと液状の体を捩じるネネコガッパに、部下達が足を引きずり脇腹を押さえながら駆け寄ろうとする。
「バ…ッキャロー! オレに構わず追え!!」
怒鳴られた部下達はオイワを残し、動かない体を無理矢理動かし西棟入口に入る。
「おめえも…」
「ダメです!」
オイワは液状のネネコガッパに擦り傷の痛む手を突っ込み砂を搔き出す。
西棟に入ったグレモリーは破れた囚人服や長い髪に絡み付いた砂埃もそのままに、立ちはだかる妖怪達をなぎ倒し、医務室を見つけるとその扉を突き破るような勢いで開く。
「ジャコばぁ!」
白衣を着た妖怪に囲まれたベッドが奥に見える。
駆け寄ると、人工呼吸機を付けたジャコツババアがベッドに横たわったままグレモリーに顔を向ける。
「おお! ゲホッ、ゲホッ、来たのかい? ゲホッ……ご苦労さんだね…」
「ジャコばぁ! 無理してしゃべらないで…」
「へへッ……」
背骨や首の骨を強張らせながら、目も皮膚も無いジャコツババアの顔が笑みを浮かべたように見えた。
「どうだい? あんたの……あんたの大好きな……妖怪が苦しみ悶える姿だよ……最後にあんたの大好きなものを見せてやれて……良かっ…………」
骨を強張らせていた力が抜けていく。
追ってきた妖怪3体の足音が医務室の入り口で止まる。
「ジャコばぁ…?」
グレモリーがジャコツババアの体を揺する。
「ねえ、ジャコばぁ? ねえ、起きて?」
声を掛けながら揺する。
「ねえ、お話ししましょうよ。もっと、聞きたいこといっぱいあるの。話したいこといっぱいあるの。ねえジャコばぁ! 起きて! 起きてよ!」
揺すっていた硬い骨だけの体に顔を伏せる。
息を漏らしながらベッドの端を掴む。
ネネコガッパとオイワが追いついた。
目に映る光景に言葉を失う。
グレモリーはジャコツババアの体に顔を伏せたまま、果てしなく長く感じる一瞬の時間を過ごす。
遠くに響いている警報音が、今やっと耳に入ってきた。
「デビル デビレバ デビルトキ…」
「止めろ!!!」
ネネコガッパの一声で白衣の妖怪達がグレモリーに手を伸ばし、ツララオンナが涙を振り飛ばして2本の氷柱を生成する。
「カモンデーモン デビデビレ…」
伸ばされた腕をすり抜け、妖怪治安維持部隊の攻撃をかわしながら呪文を続ける。
「最後の一花、咲かせてごらんなさい」
投げキッスによって放たれた唇型のエネルギー体が妖怪達を飛び越えてジャコツババアに到達。
しかし、悪魔の残骸を巨大再生させる時とは違い、ジャコツババアはベッドの上で天井を向いたまま。
「……デビル デビレバ デビルトキ カモンデーモン デビデビレ 最後なんて、言わせないで…」
投げキッスによって放たれた唇型のエネルギー体が、ただ見守るだけの妖怪達の間を抜けてジャコツババアに到達。
しかしやはり、何も起こらない。
「……デビル デビレバ デビルトキ カモンデーモン デビデビレ お願いジャコばぁ、目を覚まして!!」
投げキッスによって放たれた唇型のエネルギー体がジャコツババアに到達し、ただ静かに消えていく。
ネネコガッパは立ち尽くすグレモリーの傍に立ち、肩に手を置こうとしてやめる。
「それ、妖怪には効かねえみたいだな」
グレモリーの目に映る、昨日までとまるで変わらない姿の、昔の話も、憎めない憎まれ口も聞かせてくれないジャコツババア。
「今お前が失ったのが、お前らが沢山の妖怪や人間達から奪ってきた物だ」
グレモリーはベッドに突っ伏し大声で泣いた。
午後1時。
いつもより遅い尋問の時間。
エージェント66βがグレモリーの待つ尋問室に入る。
「どうしたの? あなたのほうから話したいなんて」
グレモリーは赤くなった目を細めて微笑む。
「ワタクシはワタクシが思っていたよりもっと、妖怪ちゃんのことが好きだったみたい」
午後3時50分。
朝から起きた一部始終を、ネネコガッパは智和のムゲンブレスに連絡。
「そうか。ご苦労だった。みんなにもそう伝えてくれ」
≪ああ。でも良かったのか? 今の話、そんな奴にも聞かせちまって≫
「拓実が言うんだよ、グレモリーとベルゼブルは、他の悪魔とは違うって」
ベヒモスやタローマティと戦った採石場。
丁度いい大きさの石に座った智和とベルゼブル。
周りで他のヨーカイジャーメンバーとベリアル、20体のジャミリアーが戦闘体勢で向き合っている。
「HA! 俺様とグレモリーが、ブラザー達とどう違うってんだ?」
「まず、妖怪の刑務所があると聞いてもそこに攻めてこようとは思わないだろ?」
「まあな。俺様達の目的はサタン様復活のためのデビルギー集めだ。敵がうじゃうじゃいる所にわざわざ出向いてやる暇があったら、1匹でも多く人間を苦しめることを考えるZE。赤いのがそう言ったのか?」
「いや、今のは智和の考え」
レッドはフェザーガントレットを構えベリアルから目を離さずに口を挟む。
「ハッハッハ、道理であなたにしては理性的な考えだと思いましたよ」
「相変わらずよく笑う奴だな」
「あなたが笑わせるからです」
「グレモリーは、かなり歪んだ愛情だけど、妖怪が大好きって言ってる。ベルゼブルはリスペクトの精神を知ってる。だから、話し合えるかもしれないと思った」
「話し合う、か。話し合えばお前ら、デビルギー集めの邪魔しなくなるのか?」
智和はムゲンブレスの通信を切る。
「人間に危害を加えずにできるなら」
「Nn~。じゃあ仕方ねえな」
「だな」
智和はムゲンブレスに変身カードを入れる。
「そういや、どうして俺様行きつけの飯屋がわかった?」
「最近サングラスを掛けた銀ずくめの男がよく目撃される飲食店の中で、俺が食いに行ってみて一番旨かった中華料理屋の店長に手紙を渡してくれるよう頼んだ」
「なるほど。『カバと印籠が散った場所で待つ』。あんな綺麗な字のファンレターもらっちまったら、来ねえわけにはいかねえZE」
「おお、智和の字を褒めるとは、お主なかなか見る目があるのう」
「俺様、目が2つに見えるだろうけど、実は小せぇ目がいっぱい集まってんだZE!」
「知ってるー! 複眼っていうんでしょ?」
「ピンク! 正解だ! 次のテストは100点満点だNA!」
「でもこれ高校の理科のやつじゃないんだよねー」
「そうか。じゃあ精々頑張れ、生きて帰れたらな!」
「うん!」
「妖怪変化!」
智和も変身、ガチコンハンマーを装備しベルゼブルに振り抜く。
ベルゼブルが翅を震わせ空中へ逃れ、同時に両陣営一斉に走り出す。
ベリアルは魔力で炎に包まれた巨大なパワーショベルを生成。
乗り込んでアームを振り回す。
ヨーカイジャーは6方向に散ってかわし、レッドはムゲンブレスに召喚カードを入れる。
「サモン、パートナーズ!!」
関東某所の森。
悠然と歩いていた巨神妖怪ダイダラスが空を見上げ、宙を駆け上がり深緑の光になって高速移動を開始。
緑色の光がレッドの前に降り立つと同時にダイダラスの荘厳な姿を現す。
「デカいのは俺達に任せろ!」
〔ガオオオオオオオン!!!!!〕
ダイダラスは目からビームを出してレッドをコクピットに転送。
「やはりまた出ましたね!」
ベリアルのパワーショベルがアームを振り上げダイダラスに迫る。
ダイダラスは飛び上がり、コクピットのレッドがムゲンブレス変形カードを入れる。
「夢幻変形!!」
ダイダラスの体が頭、胴体前部、胴体後部、左前足、左後ろ足、右前足、右後ろ脚の7つのパーツに分離し、胴体後部が断面を下にして直立し下4分の3の部分がスライドして二股に別れ足の形状になって「下半身」となり、胴体前部が断面を上にして「下半身」に合体して「上半身」となり、左前足と左後ろ足が合体した物が「左腕」として合体、右前足と右後ろ足が合体した物が「右腕」として合体、頭が上半身の上から合体し口が大きく開き下顎が奥へ収納されると同時に人型の「顔」が現れる。
「完成、創生巨人・ムゲンタイタン!!」
ムゲンタイタンは天地を揺るがす咆哮を上げ、その勢いでパワーショベルを真上から踏みつける体勢で落下。
炎に包まれたアームが首をもたげ、ムゲンタイタンの足の裏を受け止める。
そのまま押し合い、熱に体力を奪われる前にムゲンタイタンがアームを蹴って後方へ飛び着地。
パワーショベルは転倒しかけるもベリアルのハンドル捌きによりキャタピラで地面にしがみ付き踏み止まる。
「すごーい! クマちゃんの変形見れたー!」
ピンクが桃色の声を上げながらもヌリカベの能力カードでバリアを張りジャミリアーの銃撃を防ぐ。
バリアの陰からグリーンがムゲンシューターで銃撃、マシンガンを落としたジャミリアー達をブルーがブライブレードで斬り捨てながら駆け抜ける。
ムゲンタイタンとパワーショベルが拳とアームをぶつけ合い、再び押し合う。
両者の操縦席での操作に力が入り、空気が軋み足場にヒビが入り始める。
「あなたを倒すために、この前とは別のマシンを選びました。さあ、ステーキにしてあげますよ!!!」
パワーショベルを包む炎が勢いを増し、ムゲンタイタンの拳を侵食しコクピットのある頭部まで燃え広がる。
「うわあああああああああ!!!!!!」
〔ガオオオオオオオオオオン!!!!!〕
その様を目にしたグリーンが、バリアの後ろから迫ってきたジャミリアーの剣をムゲンソードで払いのけ、背中に回って斬撃を食らわし、カードケースから召喚カードを取り出しムゲンブレスに入れる。
「サモン、サポーターズ!!」
妖怪の里。
「春夏秋冬山・北エリア」の雪の中で駆け回っていた冷凍妖怪ユキオトコが空を見上げ、水色の光になって高速移動を開始。
水色の光はムガンタイタンの隣に降り立ち、ユキオトコの姿に戻り「グー」ではなく「パー」の手で胸を叩きながら冷気を吐き出す。
冷気により頭部まで浸食していた炎は弱まり、コクピット内の空気まで冷やされる。
「あー涼しい…ユキオトコいっぱいいたら地球温暖化解決するんじゃね?」
「それは人間の仕事だ! これ受け取れ!」
グリーンがムゲンタイタンに向かってカードを投げ、ビームによりコクピットに転送される。
涼しくなったレッドがそれを手に取り、ムゲンブレスに入れると、ユキオトコの体が宙に浮き上がり、両手足が折りたたまれ、頭が胴体の中に格納され、胴体の下の部分が少し下にスライドして大きな拳のような形になる。
ムゲンタイタンの左手の手首から先が変形してジョイントが現れ、そこに拳の大きな腕の形になったユキオトコが合体する。
「完成、ムゲンタイタンナックル!!」
レッドが叫ぶ声と共に、冷気を纏った拳を突き出しポーズを決める。
「他の合体巨人と違って腕が外れて交換するわけじゃないのか」
〔ガオン〕
〔ウホウホ〕
「長くなったから便利かもな!」
〔ガオオオン!!〕
〔ウホホー!!〕
リーチの長くなった左腕で冷気を纏ったパンチを放つ。
巨大な拳により破壊力を増し、高熱を中和しながら殴りつけるパンチにより、受け止めにきたアームに亀裂が入る。
「な…なんと!?」
「もう一発!」
2倍近くの長さになった左腕を振りかぶり、更なる冷気と筋力を込めた拳を叩き込む。
アームは火力を弱めながら縦真っ二つに裂け、巨大な拳が操縦席を叩き潰しパワーショベルを爆散させる直前、ベリアルは脱出ボタンを押し、座席に仕込まれたバネにより開いた天井から飛び出し空中へ脱出。
「これだからケダモノは嫌いなんです!!」
空中でベルゼブルの目からビームとオボロバルカンで撃ち合っていたシルバーが、それに気付いて急降下、ベルゼブルの追撃をかわしながらブルブラスターを装備、更にムゲンライザーに必殺カードを入れる。
「勝! これも使ってみろ!」
「んじゃこれも!」
左右のジャミリアーを連撃で斬り捨てたブルーが炎熱妖怪カシャの、バイクサイズの電撃妖怪ライジュウに乗ってジャミリアーの群れを纏めて撥ね飛ばしたイエローがライジュウの、能力カードをシルバーに向かって投げる。
シルバーは着地と同時にそれらをキャッチし、ムゲンライザーの空いている2つのスロットに入れる。
ベルゼブルが空中から拳を構えシルバーの背後に迫るが、ピンクが「必殺妖技・肉球謝肉祭」で降らせた肉球型エネルギー弾に阻まれる。
シルバーは着地したベリアルに狙いを定め引き金を引く。
「必殺妖技 猛牛大砲・炎雷発射!!!」
ブルブラスターから炎と雷の妖力を纏った銀色に輝く大きな光弾が発射された。
「そんなもの!」
避けきれないと判断したベリアルは手を翳し、自身と光弾の間に炎に包まれた巨大なブルドーザーを生成。
しかし光弾はブルドーザーを貫き破壊しながら直進。
威力もスピードも落とさず直撃した3色のエネルギーがベリアルを圧倒する。
「よろしくおねがいしまああああああああああああす!!!!!!!!」
ベリアルとブルドーザーが同時に爆散。
反動で吹っ飛んでいたシルバーが起き上がりながら爆炎を目に映す。
「やっべえ威力…」
肉球型エネルギー弾をかわしたベルゼブルは空中で髑髏型マイクを生成し呪文を唱える。
「デビル デビレバ デビルトキ カモンデーモン デビデビレ 最後のバイブス、AGEてこうZE!」
ベルゼブルが目から放ったビームにより、ベリアルの残骸が巨大なベリアルの姿となりヨーカイジャー達を見下ろす。
「大きくなったねぇ~、大きくなったよぉ~」
ジャミリアーを片付けたヨーカイジャー達は、ムゲンタイタンナックルのコクピットのレッドも含めた全員で召喚カードを発動する。
「サモン、パートナーズ!!」
妖怪の里。
「修行の森」から武闘妖怪カラステングが腕組みをしながら飛び立ち、赤い光になって高速移動を開始。
「河童ヶ沼」の底から長老妖怪メガガッパーが水飛沫を上げながら浮かび上がり、緑の光になって高速移動を開始。
「妖怪電気街」のステージのモニターに「きんきゅーしゅつどー」の文字が表示され、ステージ上の偶像妖怪ネコマタンがそれを見て敬礼、客席の妖怪達が振るサイリウムに見送られながらピンクの光になって高速移動を開始。
「試し斬りの竹林」で瞑想していた斬空妖怪カマイタチが空を見上げ、青い光になって高速移動を開始。
「妖怪稲荷神社」の神殿の扉が開き、奥から幻惑妖怪キュービルンが「お座り」のポーズのまま前進、その足元から機械的なカタパルトが伸び、どこかから響いてきた「five,four,three,two,one,zero!」というカウントダウンでキュービルンが「お座り」のポーズのまま空高く射出され、黄色い光になって高速移動を開始。
「さわやか草原」を走る予言妖怪ブルクダン、並走する爆走妖怪オボログルマ、上空に疾風妖怪イッタンモメン、3体同時に高く飛び上がり銀色とオレンジ色と紺色の光になって高速移動を開始。
ヨーカイジャーの前に8つの光が降り立つと同時に巨大な妖怪の姿を表し、ヨーカイジャーの前に6体のパートナー妖怪とその仲間2体が並び立った。
パートナー妖怪達は目からビームを出してヨーカイジャーをコクピットに転送。
「いくぜ、夢幻合体!!」
レッドとシルバーが合体カードを発動。
「完成、合体巨人・ムゲンショーグン! ……あれ?」
合体完了したのはムゲンショーグンだけで、ムゲンオーに合体する5体はそのままだった。
「もしかして、俺そっち乗らないと合体できない?」
〔みてえだな…〕
「ハッハッハ、合体できてもできなくても、纏めて消し炭にしてあげますよ!!」
巨大ベリアルは巨大化前に生成していた重機を更に巨大にしたような重機を生成して乗り込む。
その重機はやはり炎に包まれ、車体前部にブルドーザーのバケット、パワーショベルのアーム、左右に1機ずつチェーンソーを装備している。
「集大成みたいなの出してきた!!」
「しかも合体巨人と比べても超巨大サイズでござる!」
「ブラザー、AGAるパフォーマンスだな! だったら俺様も、デビル デビレバ デビルトキ デルモデナイモ アクマデモ 俺様もバイブス、ブチ上げるZE!!」
ベルゼブルが巨大化、燃える超巨大重機の上に降り立つ。
「ベルゼブル様!? 熱くないんですか!?」
「熱い! 飛んで火に入る夏の虫とはまさに俺様のことだZE!」
巨大ベルゼブルは飛び降りて超巨大重機の隣に立つ。
「拓実! カラステングに移れ!」
「よし! ムゲンタイタン、俺乗ってなくても動けることは動けるんだよな?」
〔ガオン!〕
「それはYESの返事だよな?」
〔ガオン!〕
「んじゃ!」
ムゲンタイタンナックルの目から発射されたビームでレッドが空中に飛び出し、カラステングが目からビームでコクピットに転送する。
「おかえり!」
〔ただいま! いや逆だろ!〕
超巨大重機は既に動き出している。
ムゲンタイタンナックルが手を翳して地面を隆起させ、ムゲンショーグンがガトリングを連射し、超巨大重機の動きを僅かに鈍らせる。
「それじゃ、夢幻合体!」
5体のパートナー妖怪が合体。
レッド以外のメンバーもカラステングのコクピットに転送される。
「完成、合体巨人・ムゲンオー!」
5人声を揃えてその名を叫ぶ。
ムゲンオーは右手の夢幻斬空剣を斜めに掲げてポーズを決める。
「YO! 今日こそケリつけるZE!」
ムゲンオーと巨大ベルゼブルは空高く飛び上がり、空中で夢幻斬空剣と銀色の拳をぶつけ合い火花を散らす。
超巨大重機は隆起した地面をバケットで崩し、アームを振り回しチェーンソーを回転させながら前進。
ムゲンショーグンとムガンタイタンナックルは高熱を浴びながらも突進をかわし、左右からガトリングと岩飛ばしによる遠距離攻撃を仕掛けるが、攻撃のほとんどが炎で焼き尽くされる上、届いた攻撃も頑丈な機体に対しては効果が薄い。
「こうなったら……本日の運試し! ガシャット・ガジェット!!」
シルバーの背後のモニターにカードのパックが輪になって並んでいる映像が映し出され、画面内のパックの輪が回転。
シルバーが天に手を翳すと回転が止まり、パックが開封され中からユキオンナの換装カードが出てくる映像が映し出される。
妖怪の里。
「春夏秋冬山・北エリア」で雪景色を歩いていた雪原妖怪ユキオンナが召喚の気配を感じてウサギのような耳をピクピク動かし、目を閉じて両手を合わせ、「巨大変化の術」により巨大なウサギのような姿・妖獣態になってジャンプ、空中で白い光になって高速移動。
戦場の空に到達した光がユキオンナ妖獣態の姿に戻って変形を開始する。
ユキオンナの体が前部と後部で半分に分離、前部は中心にウサギの顔が付いたプロテクターといった形状に変形しムゲンショーグンの背中に後ろ向きで合体。
「完成、ムゲンショーグンスノー!!」
右手を前に出しポーズを決めるムゲンショーグンスノーの足元で、合体しなかったユキオンナの後部が変形した雪の結晶を思わせる形のプロテクターが跳ね回る。
「出た! 余剰パーツ出る合体!」
〔やめてください! 勝君まで余剰パーツなんて!〕
「じゃあ何て言う?」
〔えーっと、結月さーん?〕
空中でムゲンオーがベルゼブルの目からビームを剣で切り裂きながら距離を詰め、左手の爪で一撃を繰り出し銀色のボディに火花を散らし、コクピットの中でピンクが手を「ポン!」と叩く。
「バニーフット!!」
〔ありがとうございます! バニーフットですバニーフット!〕
バニーフットが嬉しそうに飛び跳ね、超巨大重機の周りを跳ね回りながら冷気を放出。
それに続いてムゲンショーグンスノーも超巨大重機の周りを背中を向けて周回しながら冷気を放出。
超巨大重機の炎は少しずつ弱まり始める。
「小癪な真似を……。ですが! その程度で私のマシンは止まりません!!」
巨大ベリアルがレバーを引くと、アームとチェーンソーが上下左右に動き回り冷気を放つ2体を牽制しながら前進。
ムゲンタイタンナックルが地面を隆起させ、巨大重機を囲む岩石の壁を造るが一瞬で砕き壊され焼け焦げた土の臭いが周囲に漂う。
ムゲンオーは空中で両腕をクロスさせて巨大ベルゼブルの連続パンチを防ぐ。
そのコクピットの中からグリーンが叫ぶ。
「ユキオトコー! 分離してライジュウに乗れー!」
〔ウホー!〕
〔ブンブン!〕
ユキオトコがムゲンタイタンから分離、元の大きさに戻ったライジュウに跨りハンドルを握って走り出す。
ムゲンショーグンスノー、バニーフット、ライジュウに乗ったユキオトコが超巨大重機の周りを周回し3方向からの冷気を浴びせかける。
火力の弱まる速度が上がり、熱気の隙間ができたところを狙ってムゲンタイタンがパンチを叩き込む。
衝撃が操縦席の巨大ベリアルに伝わり、怯んだところにムゲンショーグンスノーがガトリングを連射、バニーフットが機体の上で激しく飛び跳ねる。
「やめなさい! 車の上で飛び跳ねちゃいけないって学校で習わなかったんですか!?」
〔私、学校に行ったことありません!〕
「オイラも!」
「ああそうですか!」
レバーを引き、アームとチェーンソーを動かそうとするが凍り付き始めていて上手くいかない。
「おのれケダモノども!!!」
「今だ!」
レッドとシルバーが必殺カードを発動。
ムゲンオーとムゲンショーグンスノーの体をカラフルな光が駆け巡る。
「必殺大妖技・銀輝魔砕轟!!!!!」
ムゲンショーグンスノーが至近距離で威力を増したガトリングを連射、超巨大重機は更なるダメージで動きを止め、そこへ妖力を込めた右手による下から上へ打ち上げるチョップ、同時にムゲンタイタンとユキオトコも怪力を込めたアッパー、空高く飛ばされた超巨大重機が落下してくるのに合わせ、ムゲンショーグンスノーが大ジャンプ、光り輝く頭の角で超巨大重機のボディを貫く。
大爆発する超巨大重機から脱出し空へ飛び出した巨大ベリアルを、巨大ベルゼブルのパンチの嵐を振り切ったムゲンオーが高速移動から∞型に切り裂き駆け抜ける。
「必殺大妖技 夢幻斬空剣・無限魔斬撃!!!!!」
「……私はもう、死んでいる」
爆散。
「うよっしゃあああああああ!!!」
ムゲンオー、ムゲンショーグンスノー、ムゲンタイタンは腕を天に掲げてクロスさせ勝利の余韻を分かち合う。
バニーフットは合体巨人達の周りを跳ね回り、ライジュウはシブくエンジン音のような鳴き声を発し、ユキオトコはボディビルのサイドチェストでポーズを決める。
巨大ベルゼブルは空中から合体巨人と巨大妖怪達、巨大ベリアルが遺した残り火を複眼に映す。
「グレモリーに伝えろ。テメエはテメエの生きたいように生きろってな!」
ベルゼブルは元の大きさに戻り、どこかへ飛び去っていった。
その背中が見えなくなったコクピットのモニターを、レッドはしばらく何も言わずに見つめていた。
翌日、妖怪女子刑務所。
通常のスケジュール通りに行われる尋問の時間。
エージェント66βはグレモリーにベルゼブルからの伝言を伝える。
「そう。ベルゼブルらしいわね。伝言といえば、ワタクシにもヨーカイジャーのある人に伝えていただきたいことがあるんですの」
「聞きましょう。伝えるかどうかは、内容次第だけど」
【to be continue……】
本編を読んだ後は「ヨーカイジャー悪魔データベース」で、登場した悪魔の情報をチェックしよう!
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