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episode:11 時を戻そう

この作品は天道暁によるオリジナルのスーパー戦隊作品です。現在放送されているスーパー戦隊シリーズを制作・放送している各団体とは一切関係ありません。


オープニングテーマ「your kind!」


https://ncode.syosetu.com/n7284ka/1/

妖怪の里、夕日を浴びる河童ヶ沼。


岩に腰掛け項垂れる拓実、ムゲンブレスで忙しく連絡を取る智和、竹刀で素振りをする武士。


沼から半身を出して皆を見つめるメガガッパー、包帯を巻かれた肩で素振りをしようとするカマイタチ、それを自身の痛みを圧し殺しながら止めに入るネコマタン。


皆それぞれの傷に、それぞれに向き合う術を探していた。


キュービルンが少しふらつきながら着陸。

目からビームを出し、高校生の結月を家まで送り届けてきた千影をコクピットから降ろした。


皆の様子を見て、千影は武士に尋ねる。


「カラステングとヌリカベは?」


「カラステングは妖怪大病院とやらに入院、ヌリカベは殻さえ再生すれば戦線復帰できる故『食べ放題の海』で自宅療養だそうだ」


「そう。ヌリカベは大丈夫そうね。あっ……!」


千影は拓実に目を向ける。

拓実は笑みを見せる。


「心配ねえよ。赤くてデカくてかっこいい奴は、このくらい何ともないって」


「そうね……」


「結月はどんな感じだった?」


「早く高校卒業したい! って。自分だけここに来られないことに、小さな胸を痛めてるんだな……」


「じゃ、結月に代わって俺が言うぜ。……誰の胸が小さいって!?」


「小さな胸ってそういう意味じゃない! ……ってね」


「いつもなら、そのようなやり取りで和ませてくれるところでござるが……」




「ああ、じゃあ、そういうことで」


智和が通信を切る。


「長老、ネネコガッパ、今日は帰れないかもしれないそうです」


〔うむ。戦いの中心となったのが人の少ない場所じゃったのが不幸中の幸いと言えるか〕


「ベヒモスの時と比べれば、被害が少なかったのは確かですが……」


〔それでも、軍艦の攻撃の巻き添えを食らった家の人間の中には、命を失った者もおる〕


「その原因は、大規模なガス爆発……。本当にそれでいいんでしょうか」


〔いいわけが無かろう。じゃが、そうするしかあるまい〕


「それが、俺達の戦いなんですよね」


「さればこそ、終わらせねばならん」


「ああ、それを言ってくれる奴がいるのが心強い」


「って言っても、カラステングが動けないのはきついよね」


〔ニャニャニャー……〕


〔ビビーッ!〕


「何言ってんだ、お前らにも代わりなんていない。武器や盾が必要な時もあれば、コクピットのあるパートナー妖怪が必要な時もある」


「とは言え、カラステングはムゲンオーへの合体の中心」


「普通の巨大化した悪魔だったら、ムゲンオー無しでも何とかなるかもしれないけど……」


「モロクみたいな硬い奴がまた出て来ないとは限らないし、それにムゲンオーでさえ歯が立たなかった軍艦が、また出てきたら……」


「カラステングの代わりなんてどこにもいない。だけど、ムゲンオーの代わりなら、どっかにいたりしねえかな?」


「合体巨人?」


「っていうか、カラステングみたいに合体の中心になれる妖怪」


「なるほど、その発想は無かった」


〔合体の中心になれる妖怪のぅ……〕


「どうですか長老!?」


〔フゥム……〕


メガガッパーは空を見上げ目を閉じる。


〔なんせ、合体巨人なんてもんが現れたこと自体、妖怪の里始まって以来のことじゃからのう……〕


その時、一同が耳にしたのは巨大な覚束ない足音。


全身に包帯を巻かれたカラステングが、周囲の木に掴まりながら歩いてきた。


「カラステング!」


拓実が立ち上がる。


〔ビビーッ!〕


〔ニャニャー!〕


〔コンコーン!〕


〔意識が戻ったか!〕


〔ああ、お陰さんで! あ痛ててててててて!!!!〕


〔……って、こりゃあああああああああ!!!! そんな体で病院を抜け出しおって!〕


〔まあまあまあ、ここは元気に再会できたんだからあ痛てててててててて!!!!!!〕


〔どこが元気なんじゃゲッホゲホゲホゲホゲホ!!!!〕


「あーなんかすっげー『妖怪の里』って感じ」


〔それはそうと長老、さっきの話〕


〔ん?〕


〔合体巨人の中心になれる妖怪!〕


〔ああ、その話か。なんせ、合体巨人なんてもんが現れたこと自体……〕


〔あいつなら……〕


〔あいつ?〕


〔ゲキリンダーなら……〕



夢幻(むげん)戦隊ヨーカイジャー」


episode:11 「時を戻そう」



〔ゲキリンダーか。ウーム、確かにこの里でカラステング以外にそんな奇跡のようなことができるのは、奴くらいしかおらんかもしれんが……〕


「ゲキリンダー? それって、どんな妖怪なんだ?」


〔伝説妖怪ゲキリンダー。多分、妖怪の里最強の妖怪だ〕


「最強!? 最強ってことはカラステングより強いのか?」


〔空を飛ぶのは俺のほうが速いし、いつどんな状況でもあいつのほうが有利ってわけじゃないが、単純な戦闘力ならゲキリンダーのほうが上だし、少なくとも妖怪の里の妖怪の中ではあいつにしか使えないすっげえ妖力も持ってる〕


「へぇー、会ってみてぇなあ!」


拓実の「あ段」の発音に熱が込もる。


「伝説妖怪というからには、そやつは伝説的な強さを持っているのでござるか?」


〔あいつは……あいつはただ強いだけじゃない。他の妖怪には真似できない、数々の伝説を残してる……〕


カラステングの口から語られる、ゲキリンダーが残した数々の伝説────



元々住んでいた中国から日本へ引っ越そうとして間違えてアメリカへ行ってしまい、そこで食べた寿司を本場の寿司と思い込んで大絶賛してしまった【カリフォルニアロール伝説】



ハチミツを食べられると思い込んで蜜を集めないスズメバチの巣を襲撃し、スズメバチの大群に襲われるが頑丈な皮膚にスズメバチの針は刺さらず、数時間集られた挙げ句スズメバチは全員諦めて帰っていた【ハチさんごめんね伝説】



妖怪の里で毎年行われている運動会の準備で徒競走の競技場を作るための線を引こうとしていた所に人間が荷物を運搬するために使う車を持ってきた【そのトラックじゃねえよ伝説】



元気が無いナメクジを見て熱中症と思い塩水を飲ませようとした【ナメクジさん逃げて!伝説】



エイプリルフールにつかれた嘘を信じて1年間「おはよう」と「こんばんは」を逆に言っていた【周りの挨拶で気付けよ伝説】



強くてかっこいいのに告白のしかたが上から目線だったりネタっぽかったりするので100体の雌妖怪に告白して100回連続で振られた【告白百鬼夜行伝説】



〔あれの八十何番目くらいかがキュービルンだっけ?〕


キュービルンは人間達にも伝わるように、


〔91(きゅうび)ばんめ〕


という文字列を()も含めて作り出した。


拓実は腕組みをして考え込んでいる。


「なあ、あんまり会ったことも無い奴にこういうこと言っちまうのもアレだけどさ、そいつって、何つーかその………………バカなのか?」


妖怪達全員が一斉に口を噤んだ。

その沈黙こそが、拓実の質問に対する回答である。


〔ま……まぁ、ユニークすぎる性格ではあるが、強いことは確かじゃ。じゃが……〕


先程の沈黙とは空気の違う、短い沈黙。


〔妖怪が人間に力を貸すのを良く思ってないみたいなんだ〕


「そうなのか?」


〔あいつがヨーカイジャーに力を貸してくれたら、すごく心強いんだが……〕


〔強すぎる自分の力が人間に悪用されることを、恐れているのかもしれんのう〕


〔ヨーカイジャーけっせいも さいごまで はんたいしてた〕


〔他のことではそんなに否定的なこと言わない奴なんだけどな〕


「智和は会ったことあるの? そのゲキリンダーって妖怪」


「あることはある。でも、そんなに露骨ではないんだけど、ちょっと避けられてるっていうか……あんまり話とかしてくれないんだよな」


〔智和だけではなく、奴は人間全般との接触を避けておる〕


「俺の一族の俺以外の人間とも、必要最低限の話しかしないみたいだし」


「話聞いてたら、バカでも悪い奴ってわけじゃなさそうだな。ナメクジに塩水飲ませようとしたのも、助けようとしたからだろ?」


〔まあな、悪い奴じゃない〕


「じゃあさ!」


千影の明るい声。


「キュービルンが説得してみたら? 告白するくらい好きになった女の子の言うことなら聞いてくれるんじゃない?」


〔あいつは こーしこんどーは しない そゆとこだけは ひょーかできる〕


「それでも付き合わねえんだ?」


〔あたりまえだの クランベリー〕


「よっし、わかった!」


拓実が自分の膝と、ついでに隣にいた智和の膝も叩く。


「何で???」


「俺が話しに行く!」


「いやいや、時々来る俺の一族の人達とも必要最低限の話しかしないのに、初めて会う人間の話を聞いてくれるとは思えないが……」


「でもさ、お前らだって、カマイタチにケンカ売るカシャとか、引っ込み思案のヌリカベとか、人間に見つかりがちだったユキオトコとか、乗った奴を振り落とすライジュウみたいな、クセのある奴らと仲間になってきただろ? 今度は俺の番だ!」


拓実は腰に手を当て胸を張る。


「そっかー。確かにライジュウとも、今思ってみればいつの間にか肩に乗っかってたキュービルンとも、クセのある出会い方だったけど、今じゃコンなに仲良くなれてるもんね!」


〔コンコン!〕


「聞けば聞くほどユニークな伝説の数々……ゲキリンダーとやら、意外と拓実との相性は悪くないかもしれぬな」


〔ビビーッ!〕


「だよなだよな! 俺もそんな気がしてきた!」


「盛り上がってるけどそれ多分褒められてはないと思うぞ?」


〔じゃがしかし、拓実と相性が良さそうという部分は?〕


「そこは、俺もそんな気がしてきました」


〔ニャニャニャ!〕


「よっしゃ決まりだ! そいつどこにいる?」


〔奴はあそこに見える『春夏秋冬山』の南エリアに住んでおる〕


〔そこなら うちの きんじょだから わたしが

つれてく 〕


〔キュービルンが住んでおる『妖怪稲荷神社』は『春夏秋冬山』の西エリアにあるからのぅ〕


「え、お前も休んでたほうがいいんじゃねえの?」


〔カラステングは じゅうしょうかんじゃだし

わたしのばあい うごけるぶんは うごいてないと ぎゃくに

きぶんがよくない 〕


「なんか千影に似てきたな」


「だとしたら嬉しいかも」


〔コンコン!〕


〔じゃが、今日はもう遅い。皆、今夜は妖怪ホテルに泊まって、ゲキリンダーのことはまた明日にしよう〕


「妖怪ホテルって、ホラーじみた響きのはずなのになぜか全く怖く感じない」


ヨーカイジャー達は妖怪ホテルに泊まり、カラステングはメガガッパーにまた怒鳴られしぶしぶ妖怪大病院に戻った。



翌朝、妖怪が働いている以外は普通だったホテルで目覚めた一同。


拓実は昨日よりは回復したキュービルンのコクピットに乗り春夏秋冬山南エリアへ、他のヨーカイジャー3人はカラステングのお見舞い及び監視のため妖怪大病院へ。



キュービルンとコクピット内の拓実は目的地近くまで飛んできた。


〔おおきいから すぐに みつかるとおもう〕


コクピット内に妖力で作られた文字列が浮かぶ。


「もしかしてあの、キンキラのキリンみたいな奴?」


木々の間に見える金色の長い首、2本の角が生えた流線形の頭部。

高い木の葉っぱを舌を伸ばして食べている。


〔そう、あれがゲキリンダー〕


キュービルンはゲキリンダーの姿が見えた辺りに着陸。

拓実を降ろし、マスコットサイズになって赤いジャケットの肩に乗る。


拓実が少し歩くと、ゲキリンダーの全身が見える所へ辿り着いた。


挿絵(By みてみん)


長くしなやかでそれでいて頑丈そうな4本の足、先端に刃のような物が付いた尻尾、体全体が煌びやかな金色で、長い首の先にある端正な曲線に形作られた頭部。


静けさと力強さを感じさせる輝きを放つ2つの眼が、地上から見上げる一人と一体に気付き視線を下ろす。


〔お前は……キュービルン?〕


「あー先にそっちに目が行っちゃう?」


〔そーゆーとこだぞキンキラヤロー〕


〔乱暴な言葉遣いだがそれもまた個性と呼ぶ時代!!〕


「肯定しちゃったよ。ってかヒト語しゃべれるタイプの妖怪か」


〔おや? そこにいるのはもしや最近智和と一緒に戦っている人間? 写真を見たことがある。確か……ヨーカイピンク?〕


「レッド!」


〔レッドヨーカイピンク?〕


「ヨーカイレッド!!」


〔ああ、ヨーカイレッドの二ノ宮千影(にのみや ちかげ)?〕


「ヨーカイレッドの烏丸拓実(からすま たくみ)!!」


〔ああ、ヨーカイレッドの烏丸拓実! だったら最初からそう言えばイイ!〕


「このかっこいい奴が振られた原因がわかってきた」


〔今俺をかっこいいと言ったか? ありがとう、君の感性、悪くないだろう〕


ゲキリンダーは向きを変えて歩き出そうとする。


「待ってくれ! 話がある!」


〔俺は忙しいんだ。忙しい理由を探すことで〕


「わざわざ理由探してまで忙しくならないでくれ! ……カラステングがやられたんだ」


ゲキリンダーは足を止める。


〔それは、風の噂で聞いている。この里で知らない者はいないだろう。奴は今どうしている?〕


「妖怪大病院に入院してる。体はボロボロだけど、口だけはいつものカラステングだ」


〔そうか。それなら安静にしていれば時期に良くなるだろう〕


ゲキリンダーはまた歩きだそうとする。


「それで、お前に力になってほしいんだ!」


ゲキリンダーは立ち止まり、振り向かずに話す。


〔俺にカラステングの代わりをやれと?〕


「………そういうことだ。お前はすごく強くて、イイ奴だって聞いてる」


〔俺は確かに強くてかっこいいが、イイ奴ではない。イイ奴とはカラステングのような奴のことを言うんだ。俺は違う。カラステングの回復を待てばいい。その間、お前も一緒に休んでみるのも悪くないだろう〕


「俺は待てるけど、悪魔は待ってくれるかな? またあの軍艦が襲ってきたら、俺達やムゲンオーになれない妖怪達だけじゃ、とても太刀打ちできない」


〔それで俺にカラステングのように撃たれて傷だらけになれと?〕


「違う! そうじゃなくて……」


〔そうやって他者の犠牲に頼ろうとするのが人間の弱さだがそれを認めて見守ってやるのが俺達の役目! そうだろキュービルン?〕


〔コン……〕


〔なら、わざわざ一緒に戦うことまでしてやらなくてもいい〕


「でも、今お前の力が必要なんだ!」


〔しつこい雄は雌にモテないぞ〕


「お前にだけは言われたくねえよ!」


〔俺の力は人間には過ぎた力だ。貸してやっても碌なことが無いだろう〕


ゲキリンダーが歩き出す。

拓実が走って追い掛ける。


「何かわけがあるなら話してくれよ!」


〔話したところで何が変わるというんだ〕


「話せば…………内容によっては、俺が諦めておとなしく帰るかもしれない」


ゲキリンダーが立ち止まる。


「…………なるほど、悪くないだろう」



ゲキリンダーは中国に住んでいた頃、一人の貧しい青年と出会った。


青年は俳優になることを目指していたが、なかなか芽が出ず、昼間は重い荷物を運ぶ仕事、夜は狭い家で小さな声で演技の練習、仕事の無い日はオーディションを受けに行き、不合格……という日々を送っていた。


そんなある日、仕事で運んでいた荷物を突然の地響きのせいで落として壊してしまった。

その地響きの正体は、昨晩光に集まった虫を観察しすぎて寝不足のままステルスモードで空を飛んでいたゲキリンダーの墜落だった。


〔すまない人間!〕


思わず謝ってしまった、もちろん中国語で。

何も見えないのに声だけ聞こえたので青年は混乱。

仕方なく姿を現したゲキリンダーを見た青年が、もちろん中国語で一言。


「美しい……」


〔君の感性、悪くないだろう。そして俺のせいで君の荷物が壊れてしまった。多くの力を使うのであまり何度も続けて使える力ではないが、お詫びの印に、時を戻そう〕


ゲキリンダーの全身が光に包まれ、壊れた荷物が同じ色の光に包まれる。

そして壊れた荷物はみるみるうちに元通りになった。


〔荷物だけの時を戻したから、そんなに疲れはしなかった〕


「すごい……ありがとう!」


〔ありがとう? 壊れたのは俺のせいだが〕


「でも、すごい力を見せてくれたから!」


それからゲキリンダーと青年は友達になった。


青年は真面目に働いていたが、疲れによる失敗や仕事の遅れにより、雇い主から叱責を受けることが度々あった。


そんな時は、


〔時を戻そう〕


失敗や遅れの原因を既に知っている青年は、順調に仕事を熟すことができるようになった。


懸命に貯めたお金で服を買い、自主練を重ね、オーディションに挑むが不合格。


そんな時は、


〔時を戻そう〕


不合格となった原因を繰り返し考え、16回目で見事合格。

青年は脇役だが映画に出演することができた。


それをきっかけに青年は大ブレイク。

中国では知らない者はいない大人気俳優となった。

貧しい中で磨き続けてきた技術と打たれ強さにより芸能界で登り詰めていく青年。


たまに失敗したり、発言を切り抜き報道されたり、恋人とのお忍びデートの写真を撮られたりもしたが、そんな時は、


〔時を戻そう〕


演技の腕は磨き抜かれていく青年も、歳を取れば体力は衰え、顔も体型も変わっていく。


そんな時は、


〔君の肉体の時を戻そう〕


常に若く美しく、演技は際限を知らず磨かれ続けてく青年は、夢にまで見ていた芸能界で全てを手に入れた…………かに見えた。



ある日、青年の恋人が死亡した。

死因は老衰、享年・若く美しい青年と同じ85歳。

二人とも子供は欲しくないし、世間にバレないよう結婚はせずに付き合っていくことを、互いに話し合って決めていた。

恋人が自分と違って人並みに歳を重ねていることを、青年は理解していたはずだった。

見た目が変わっていく恋人は、見た目が変わらない青年にとっては何年、何十年経ってもずっと美しい女性のままだった。


だが、青年以外の全ての世界では、時は前へ進み続けていた。


「頼むゲキリンダー、時を戻してくれ。彼女とはまだ、話したいことが沢山あるんだ」


〔時を戻すことはできる。だが、死の運命だけは変えられない。例え時を戻しても、また同じだけ時が進めば必ずまた同じタイミングで死ぬことになる。命とは、魂とは、そういうものなんだ。これだけは俺にも、どうにもできない〕


「そうか……。わかった。これからは、彼女の分も精いっぱい生きていく。明日また、ここで会おう!」


ゲキリンダーは青年の言葉を少しも疑わなかった。

なぜなら、青年は何十年も演技を磨き続けてきた一流の俳優だったから。


次の日、青年は自ら命を絶った。




「そういえば、聞いたことある。中国で何十年も見た目が変わらなかった俳優が、突然自殺したって」


〔それが俺の友達だった男だ〕


「じゃ、時を戻すのはやらなくていいや」


歩き出していたゲキリンダーの足が止まった。


「単純な戦闘力だけでも強いんだろ? それなら時を戻すとかしなくても悪魔との戦いで活躍できるだろ。それと、カラステングみたいに合体巨人の中心になる合体ができたらもっとありがたい」


〔時を戻す力は?〕


「使いたくないなら、使わなくていいよ。でも一緒に戦ってほしいし、面白いからもっと話したい」


ゲキリンダーは首を下げ、足を広げ、なるべく拓実と目線を合わせようとする。


「そのポーズ疲れない?」


〔長くやっていれば疲れるだろう。だが少しならイイ! ……キュービルン、カードの作り方を教えてくれ〕


〔コン……!? コンコンコン!!〕


〔少し登ればキミのように美しい景色が見えるスポットがある。是非そこで教えてくれ!!〕


キュービルンは無言でどこかへ飛んでいこうとする。


「おい早くここで教えてくれって言え」


〔…………それも悪くないだろう〕



ゲキリンダーはキュービルンに教わった方法で3枚のカードを作り出す。

巧実は手元に降りてきたカードを派手な動きで掴み取り確認する。


召喚(サモン)カードと武装(アームズ)カードと必殺(フィニッシュ)カードか。武装アームズカードと必殺フィニッシュカードがもらえて能力(スキル)カードが無いって珍しくね?」


〔コンコン?〕


〔時を戻す力が必要ないなら能力スキルカードも必要ないだろう。そもそもあれは人間には過ぎた力だからな、俺の感情どうこう以前に人間は使わないほうがイイ! その代わり武装アームズカードと必殺フィニッシュカードはすごいのができてるはずだから上手く使えば悪くない戦いができるだろう〕


「そっかー、サンキューな、仲間になってくれて!」


〔必要ならいつでも呼んでくれたらイイ…………痛たたたたたたたたたたたたたたたた!!!!!!〕


「どうした!!」


〔コンコン?〕


〔ああ、頭が、一瞬痛かった……〕


〔だいじょうぶ たぶん ゲキリンダーのあたまのなかにコクピットができた あれ たいしつによれば いたいみたい ちょうろうは いたかったって わたしは いたくなかった〕


「カラステングは痛そうじゃなかったな」


〔ちょっとだけ いたかったって いってた みせなかった だけじゃないかな〕


「……って、コクピットができたってことは、こいつ俺のパートナー!? じゃカラステングはどうなんの?」


「パートナーが 2たいに なるって ことじゃない?」


「そっかー、なんか得した感じだな!」


〔悪くないだろう〕


拓実はこの結果を智和に報告するためムゲンブレスの通信ボタンを押す。


≪今、戦闘中!≫


「行く! どこ!?」


〔リズム! 会話のリズム!〕


拓実は場所を聞き、通信を切る。


「行く! 乗せろ!」


〔おう! どうやる!?〕


「目から! ビーム!」


〔えっと こうか!?〕


〔ふつうに しゃべれ〕


ゲキリンダーは目からビームを出し、拓実をマスコットサイズのキュービルンごとコクピットに転送した。




「えらいやっちゃ えらいやっちゃ ヨイヨイヨイヨイ! えらいやっちゃ えらいやっちゃ ヨイヨイヨイヨイ!」


自然公園に響く軽快な掛け声と巨大な足音と地響き。


「殺す阿呆に死ぬ阿呆 同じ阿呆なら 殺さにゃ損損!」


緑色の柑橘類のような頭部に半月型の編笠のような物を被った、左右5本ずつ計10本の腕、鏡台のような前面に鏡が付いた胴体、右腰に穴に竹が通ったちくわのような物が、左腰に手の平サイズの焼き物の瓶のような物が付いており、背中には藍色のマントを羽織り、下駄を履いたような足をした悪魔ラーヴァナ。


既に一度倒され、現在物陰から息を荒げながら戦いを見ているグレモリーによって巨大化させられ巨大ラーヴァナとなっている。


左右の腕にサツマイモ型の剣4本、カリフラワー型の棍棒4本、シイタケ型の輪刀を2本持ち、それらを阿波踊りのリズムで振り回しながら走り回る。


「えらいやっちゃ えらいやっちゃ ヨイヨイヨイヨイ! えらいやっちゃ えらいやっちゃ ヨイヨイヨイヨイ!」


「ヤバいヤバいこいつヤバい!」


〔ニャニャニャー!!〕


ふらつく足で逃げ回るネコマタン。


「あ、殺す阿呆に死ぬ阿呆 同じ阿呆なら……」


「斬り捨て御免!」


〔ビビーッ!!〕


カマイタチが空中から鋭い尻尾で巨大ラーヴァナの顔面を狙って斬りかかる。


「ヤットサーヤットサー!」


巨大ラーヴァナはこれを2本の剣をクロスさせて受け止め、他の全ての武器をバラバラに見えて絶妙にかわしにくい順番で空中のカマイタチに向けて振り回す。


ギリギリでかわし続けていたカマイタチだったが、避けきれなかった1発を肩に包帯が巻いてあるほうの鎌で受け止めてしまい激痛が走る。


〔ビビーッ!!〕


「引くもまた武士道なり!」


ブルーは操縦桿を目一杯引きカマイタチを空中へ後退させる。


〔やれやれどっこい……〕


俯せに倒れていたメガガッパーが腰を叩きながら立ち上がり、


〔しょおおおおおおお!!!〕


口から水流を吐き出す。


水流は巨大ラーヴァナに命中、したかに見えたが胴体の鏡によって反射されメガガッパーにそのまま返される。


〔うぶぶぶぶぶぶぶっ!? うううむっ、水流もだめか!〕


「千影の電撃も返されましたからね。放出系の攻撃全般を返せる判定なんでしょう。全く、悪魔って奴らは……」


〔理屈も何もありゃせんのう!〕


「えらいやっちゃえらいやっちゃ!」


〔来おった!〕


阿波踊りのリズムの連続攻撃。

背中を向けたメガガッパーの甲羅で火花が散る。


「長老!!」


〔安心せい、今は年の功より亀の甲じゃ!!〕


それを地上から見守るイエロー。

先程巨大化前の戦いで電撃を返されたことがライジュウの召喚を躊躇わせる。


「キュービルン、早く……」


「えらいやっちゃえらいやっちゃ……」


メガガッパーの甲羅を攻め続けていた巨大ラーヴァナが突然後退、空中で渦を描くように10本腕を動かすと、頭上に巨大な渦潮が発生。


「ヨイヨイヨイヨイッ!!」


10本腕を振り下ろすと渦潮は妖怪達に向かって飛んでいく。

空中のカマイタチと地上のカガガッパー、ネコマタンを巻き込み大回転。


〔まさに河童の川……〕


「違います! 渦潮は海の物です!」


「そんなのどうでもいいでしょー!!!」


水が引くとそこには満身創痍の3体。


「殺す阿呆に死ぬ阿呆……」


迫る10本腕。


「同じ阿呆なら……」


〔ゲキリンダーキーーーーーーーック!!!!〕


ゲキリンダーが急降下からの体当たりで巨大ラーヴァナを吹っ飛ばした。


「俺の知ってるキックじゃなかった! みんな、待たせたな!!」


〔コンコーン!〕


ゲキリンダーのコクピットから叫ぶレッドとキュービルン。


「拓実!」


「キュービルン!」


「すると、そやつが!」


「そう、こいつが俺達の新しい仲間!」


〔伝説妖怪ゲキリンダー!!〕


「すっごいキンキラー!!」


〔俺はキンキラ、誰とも色が被らない。悪くないだろう〕


ゲキリンダーは目からビームを出してキュービルンを降ろす。

キュービルンは元の大きさに戻り目からビームを出してイエローをコクピットに転送。


「ご苦労様、キュービルン!」


〔コンコココーン!!〕


吹っ飛ばされて後頭部を強打した巨大ラーヴァナが立ち上がり、阿波踊りのリズムでゲキリンダーに向けて進行を開始。


〔ここは俺に任せればイイ!〕


ゲキリンダーが地面を蹴り走り出す。


「えらいやっちゃえらいやっちゃ」


〔ヨイヨイヨイヨイ!〕


10本腕による乱れ打ちに対し、ゲキリンダーは同じリズムで首を振り回して武器を捌いていく。


「相手の武器に自分の首を打ち付けてはいるが、剣の触れると切れてしまう部分といった自分がダメージを受けてしまう部分を絶妙に外しながら打ち合っている。……あやつ、出来る!」


〔えらいやっちゃえらいやっちゃ〕


「ヨイヨイヨイヨイ! えらいやっちゃえらいやっちゃ」


〔どっこいしょーどっこいしょー!〕


別の踊りの掛け声で相手のリズムの穴を潜り抜け、長い首を突き出し巨大ラーヴァナの顔面に頭突きを叩き込む。


「ヨヨヨイ!?」


怯ませたところで長い後ろ足による回し蹴り。


〔ゲキリンダーキーーーーーーーック!!!!〕


「これは俺の知ってるキック!」


巨大ラーヴァナは再び吹っ飛び後頭部を強打する。


〔受け身を取らないのかあいつは。でもそれもまた個性と呼ぶ時代!!〕


「肯定しちゃったよ。でも本当に時を戻す力を使わなくても強ぇんだな!」


〔そう、俺は時を戻さなくても強くてかっこいい。だが今日は特別大サービスだ。我らが愉快な仲間達の受けているダメージの分だけ、時を戻そう〕


ゲキリンダーが宙に浮き上がり、その体は金色の光に包まれる。

メガガッパー達4体のパートナー妖怪も同じ色の光に包まれ、前回の戦いで受けた分も含めたダメージが全て回復した。


〔おおお、これはたまげた〕


〔ニャニャニャー!〕


〔ビビーッ!〕


〔コンコン!〕


「4体一気に! 疲れたりとか……」


〔ハア、ハア、ハア……〕


「してるのかよ! でもそれもまた?」


〔ハア、ハア、ハア……〕


「個性と呼ぶ時代って返す余裕無かったか、なんかごめんな。…………おおっ!?」


その時、5体のパートナー妖怪達からそれぞれの体色と同じ色の光が放たれ、それらが一つに集約されゲキリンダーのコクピットの中へ飛び込み、1枚のカードになった。


「これは、ムゲンオーの時と同じ……!! みんなー! 聞いてくれー!」


レッドが空中のゲキリンダーのコクピットから地上の仲間達に叫ぶ。


「言ってなかったけど、ゲキリンダーのコクピットって、カラステングみたいに5~6人乗れそうなくらい広いんだーーーー!!!!!」


「つまりそれは……」


「できるってこと!?」


「んじゃ時間稼ぎ!」


キュービルンが妖力でゲキリンダーの幻影を生み出す。


幻影ゲキリンダーは2本足で立ち上がりヨロヨロと不格好な阿波踊りを踊り、起き上がってきた巨大ラーヴァナの注意を引き付ける。


〔悪意のこもった俺のイメージ、だがみんなの役に立つなら悪くないだろう〕


「それじゃあいくぜ合体!!」


レッドが手に入れた合体(ユナイト)カードをムゲンブレスに入れると、4体のパートナー妖怪達も宙に浮き上がり変形を始める。



ゲキリンダーの両前足と尻尾が外れ別次元へ転送され、後ろ足が背中側へ折り畳まれ、体全体が垂直に起き上がり首が体内に引っ込むようにして合体に適度な長さになる。


メガガッパーの両腕が引っ込み、甲羅が上にスライドして体の下半分が2本の足の形状になったところでゲキリンダーの体の下に合体して「下半身」となる。


ネコマタンの尾と後ろ足が折り畳まれ、前足は爪が出た状態で頭に被さるようにスライドし、全体的に鋭い爪の付いた腕といった形状になりゲキリンダーの左腕部分に合体。


カマイタチの刃物状の尾が外れ、後ろ足が折り畳まれ、鎌の付いた前足は頭に被さるようにスライドし、鎌の間に刃物状の尾が収まり全体的に鋭い剣の付いた腕といった形状になりゲキリンダーの右腕部分に合体。


キュービルンの体が前部と後部で半分に分離、前部は中心にキツネの顔が付いたプロテクターといった形状に変形しゲキリンダーの胸に合体、後部は九本のキツネの尾が付いたプロテクターといった形状に変形しゲキリンダーの背中に合体。


最後にゲキリンダーの首が回転扉のように回転、中から人型の顔が姿を表した。


レッド以外の4人もゲキリンダーのコクピットに転送され、ヨーカイジャー達から見て左から、ピンク、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの順に席に着いた。


「ゲキリンダーの心を開き、新たな合体巨人まで……。拓実、やはりお前はすごい奴だ」


「ヘヘッ、って、これまた名前付けなきゃ動かないんじゃね?」


「そうみたい。キュービルンの意識が無くなったせいか、幻影ゲキリンダーが消えてあいつがこっち見てる」


「拙者の好きな時代劇と同じくここは『いつものやつ』が求められる時。結月!」


「はいはい名前ねー! えっと……」


巨大ラーヴァナの胴体の鏡に映った合体巨人の姿が、コクピット内のモニターを通してピンクの目に入る。


「キンキラで、ムゲンオーと比べて若干マッチョな感じ…………マッチョ…………筋肉…………ボディビル……………………お!」


ピンクは手を「ポン!」と叩く。


「ムゲンビルダー!!」


「うん、いいんじゃないか?」


「ビルダー……!! 今回も良い名でござる!」


「かっこいい! さっすが結月!」


イエローがピンクを抱きしめ、ピンクがイエローの背中に腕を回し返して上下に揺れる。


「よーし!」


「完成、合体巨人・ムゲンビルダー!!」


5人声を揃えてその名を叫ぶ。


その声が届き、合体巨人の目に光が宿る。


〔ムゲンビルダー、悪くないだろう〕


ムゲンビルダーは足を高く上げて振り下ろし、歌舞伎の見栄を切る動きでポーズを決める。



「えーらいやっちゃー! えーらいやっちゃー! ヨーイヨーイヨーイヨーイ!」


巨大ラーヴァナは更に気合いの入った掛け声と阿波踊りで迫ってくる。

ムゲンビルダーは力強い剣裁きで10本腕攻撃を捌いていくが、そのスピードと勢いに押され気味になる。


〔これは本当にえらいやっちゃ。もう一本リーチのある武器が欲しい。そういえば俺の前足と尻尾はどこへ行った?〕


その声に応えるかのように、別次元に飛んでいた両前足と尻尾が現れて合体、1本の薙刀のような武器となり、ムゲンビルダーの左腕のネコマタンの口で咥える形で装備された。


「おお、前足と尻尾は余剰パーツじゃなかった!」


「結月、この武器の名前は?」


「えっとねぇ……」


〔クロノジャベリン!〕


「あー!!」


ゲキリンダーが先に名前を付けてしまった。


「まぁ、悪くないだろぉ……」


ピンクはマスクの下で口を尖らせる。


ムゲンビルダーは右手の夢幻斬空剣(むげんざんくうけん)と左手のクロノジャベリンを振るい、10本腕から繰り出される武器を捌いていき、ついに右手の剣2本と左手の剣1本棍棒2本を弾き飛ばし、クロノジャベリンの突きで巨大ラーヴァナの鏡をブチ破った。


「ヤットサー!?」


その衝撃で巨大ラーヴァナは後退、武器を弾き飛ばされて空いた手で鏡の欠片を拾い、胴体にくっつけてみようとするが欠片は虚しく地面に落ちる。


その時、コクピット内全体が光り輝き、その光はレッドの目の前に凝縮し、1枚のカードになった。


「これは……ムゲンビルダーの、俺達の、新しい必殺技!!」


レッドがその必殺(フィニッシュ)カードをムゲンブレスに入れると、ムゲンビルダーの全身を5色の光が駆け巡り始める。

鏡の修理を諦め阿波踊りを再開した巨大ラーヴァナに狙いを定め、ムゲンビルダーはクロノジャベリンを構える。


「いくぜ!」


レッドが叫ぶ。

そして技の名前は全員で叫ぶ。


必殺大妖技ひったつだいようぎ時空魔討撃ゲキリンブレイカー!!!!!」


高速で駆け抜けながら巨大ラーヴァナの体を時計の「9時30分」の形に切り裂く。

その軌道は眩い黄金の輝きを放つ。


「斬られる阿呆に 斬る阿呆 同じ阿呆なら……大爆発!!!」


爆散。


「うよっしゃああああああああああ!!!!!!」


ムゲンビルダーはクロノジャベリンを振り回し、天に掲げてポーズを決める。


物陰のグレモリーは頬を赤らめ、


挿絵(By みてみん)


「尊い……新しい合体巨人からしか摂取できない栄養がある……」


と、呟いてラクダ型メカに乗り走り去っていった。



戦いが終わり、ムゲンビルダーは目からビームを出しコクピットのヨーカイジャー達を降ろす。


レッドが振り返り、青空に映える巨大な金色のボディを瞳に焼きつける。


「ムゲンオーもいいけど、ムゲンビルダーもかっけえなぁ~!」


〔そう、俺は合体してもかっこいい!〕


〔コン……〕


「キュービルーン! どうしても嫌だったら私達だけ合体やめてもいいかもよー?」


〔コココココン!〕


〔嫌ではないと言っている〕


「メガガッパー! 今の本当ー?」


〔本当じゃ〕


〔なぜ俺の通訳を信じない? でも慎重なのはいいことだ〕


「肯定しちゃったよ」


〔えー、拓実と智和は覚えた。それで、ブルーが千影?〕


「否、拙者は武士」


「イエローの私が千影」


「それじゃ、新しい仲間のために自己紹介でもしておくか」


「だな!」


「うむ。恐らく今後、あのレヴィアタンの巨大軍艦との再戦は避けられまい。それに向けて士気を高めるためにも、自己紹介に賛成でござる」


「それじゃ……」


「誰が呼んだか旅烏 鼻高々にてんつくてん 天に代わって只今参上! 空の勇者、ヨーカイレッド・烏丸拓実(からすま たくみ)!」


「誰が言ったか川流れ 流れるどころか掻き分けて 登って飛び出せナイアガラ! 水の戦士、ヨーカイグリーン・河村智和(かわむら ともかず)!」


「誰が言ったか猫かぶり 花も恥じらうJK3 嘘はいらない夢見る乙女! 獣のアイドル、ヨーカイピンク・二ノ宮結月(にのみや ゆづき)!」


「誰に言われどカマわない イタチごっこにピリオド刻み 腹を切らずに悪を斬る! 風の剣士、ヨーカイブルー・霧崎武士(きりさき たけし)!」


「誰を染めるか狐色 こんこん今夜も手鞠歌 お目にかけましょ万華鏡 幻の賢者、ヨーカイイエロー・九条千影(くじょう ちかげ)!」


「夢も現も守るが仏 夢幻(むげん)戦隊!」


「ヨーカイジャー!!!!」


夢幻むげん戦隊ヨーカイジャー……悪くないどころか、最高だ〕


【to be continue……】

いつも応援ありがとうございます。作者は今、心身の不調が続いていて、バイトもできず、生活と創作が厳しい状況です。ヨーカイジャー達の活躍をこれからもお楽しみ頂くためにも、クラウドファンディングを開始する予定です。詳細が決まり次第SNSでお知らせします。応援してくれたら嬉しいです。ヒロインたちのメイド衣装コスプレ等もインスタ(@satoruyoukaidaisuki)に投稿しているので、ぜひ覗いてみて下さい。



本編を読んだ後は「ヨーカイジャー悪魔データベース」で、登場した悪魔の情報をチェックしよう!


https://ncode.syosetu.com/n9246jz/13/


この作品に使われているイラストはxAIのGrokによって生成されました

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