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1-12 僕、迷宮で危険にあった(4)

「……本当に、すごいです、オレリア様。」

「これが、いわゆる『ボス』ってやつか?見た目は弱そうだし、全然挑戦的じゃなかったな~余が出てもボコせるわ。」

「ボス?」と、グラウシュミが尋ねた。

「せいぜいゴールキーパーだ。」と、僕は言った。

「でも、外の区域にはまだ危険が及んでいるかもしれない。念のため、私が外に出て障害を片付けてくる。」と、オレリアが言った。

「じゃあ、僕も行く……」

「大丈夫。私、一人でもやり遂げられるから。」

「はあ?」

 僕は口を開こうとしたその瞬間、後ろからリリラアンナが突然叫んだ。

「やあやあ、それじゃあ、自由行動の時間ってこと?じゃあ、ミナさん、解散!」

「うん。」デルカガナが答えた。

「え?デルカガナ?どこに行くの?私も行く!」

 混乱の中で、オレリアのことを気にする余裕もなく、僕はそのままその場に留まることにした。

「……」

「……」

「さて、これで私たち二人だけになった。」

 リリラアンナは振り返って僕を見た。

「ここを一通り調べたけど、録音や録画の監視カメラがないってわかったから、ちょうど心の中の疑問を確かめるいい機会だと思って。」

「そんな大げさなことをして、結局それが言いたかっただけか?」

「それはけっこう重要じゃない?」

「何度もほのめかしてきたし、外観でも明らかに現代的な要素を示しているのに、まだ言わなきゃいけない?」

「だって、たまたま運よく当てただけって可能性もあるでしょ?……まあ、どうやら本物に当たったみたいね。ただ、その『本物』がちょっと背が低いけど。」

「たった僕の確定的な返答を引き出すために、ずいぶん手の込んだことをしたね。わざわざ共通語まで使ってさ。それに、どこが『低い』の?君と同じくらいの背じゃない。」

「お前もでしょ?私が共通語を使った瞬間、しれっと言語を切り替えてきた。それに、システムで測定したけど、お前は確かに私より背が低かった。」

「笑わせるな。1センチ以内の差なんて、肉眼じゃわかんないって。――それより、さっきどこ行ってたんだ?まさか監視装置の確認か?ここのクリスタルが、あの『黒髪・青い目・ツインテール』のいる世界を思い出させて、あそこは監視と警察だらけだったから、つい勢いで調べに行ったとか?で、時間かかったのって……もしかして道に迷った?でもさ――君、ちょっと考えが甘すぎじゃない?」

「迷ったわけじゃない――他に何を考えればいい? すべての潜在的な要因は、もう排除されたはずだろう?」

 花系魔法で白い紙を生み出し、すぐにペンを走らせた。

 リリラアンナは首をかしげ、オレリアが打ち負かした化け物を見て、すぐに何かに気づいた。

「認識もなく、ただ乱暴に攻撃するだけの魔物には見えない。むしろ、話すこともできそうだ。オレリアがとどめを刺さなかったせいで、この生き物に僕たちの会話を聞かれてしまった。」

 と、僕は言った。

「それなら、何も言わずに殺しちゃえばいいんじゃない?」

「もう一つ方法があるだろ?」

「おや~契約かしら?でも……」

「そう。」

 僕は書いた紙を見せて、その生き物の前に進み出た。

「少し血を取らせてくれない?」

「……これは……? わしは……認めん……」

「でも、そうしなければ君は今すぐ死ぬよ。……じゃあ、事実を整理してあげよう。」

 僕は軽く、その化け物を一発殴った。

 化け物、-0.1HP。

「まず、君をこんな状態にしたのは、僕たちのチームに協力してくれている助っ人だ。彼女のすべての攻撃は、僕たちの安全を守るためのものだった。」

「もし君が、僕が何もしなかったせいで、契約に値しないと思っているなら……さっきの一撃が少しでも効いたことは認めざるを得ないだろう?」

「なるほど、これで確かに契約に必要なすべての条件が満たされた。」リリラアンナはうなずいた。

「だから――契約しよう。」

 ――契約が成立した。

 次は、名前をつける段階だ。

「じゃあ、君は『ファンレンカゴウ』にしよう!」

「なんてダサい名前なの!!」リリラアンナはすぐに飛び上がった。

「本当にこの名前なのか?!!」

 その瞬間、システムが苦しげに頭を抱えた。

「じゃなきゃどうするの?いつも通りのネーミングセンスでいくしかないでしょ。」と僕は言った。

「名前が付けられないなら、無理に付けなきゃいいじゃない!」

 リリラアナの不機嫌そうな声と、僕のシステムの声が同時に耳元で爆発した——二人(?)ともかなりイライラしているようだった。

「とりあえず、君はここに住んでよ。」

 僕はファンレンカゴウに言った。

「ちょうど他の連中とも顔を合わせ……」

「セリホ……ハ、ハ……少し静かにして……話しかけないで!」

 いつの間にか戻ってきたグラウシュミが、僕たちのそばに駆け寄ってきた。

「なに……?」

「……大変だ!」

「落ち着いてから話そう。」

 僕は治療魔法をかけ、グラウシュミの体力を少し回復させた。

「さっき、むせたのか?」

「もう話しかけないで!」彼女の声は高くなり、明らかに焦っていた。

「デルカガナが……が、化け物になったのよ!」

「……ちっ。」リリラアンナは強く舌打ちした。「やっぱり……彼女のSAN値があまりにも低すぎた。ここに来るはずなんてなかったのに!!」

 迷宮の壁が、不気味な振動とともに打ち破られた。

 かつてのデルカガナは、もはや誰の目にも識別が困難なほどに変わり果てていた。

 肌は血色を失い、目は冷たい光を放つ金色に変わり、鋭い歯は刃物のように尖り、全身からは凍てつくような寒気が漂っていた。

 かつての美しい髪はさらに伸び、風に揺れながら、神秘的でありながらも不気味な雰囲気を醸し出していた。

 まるでメドゥーサのように。

 彼女の体はさらにもっちりとし、まるで黒い蛇のような暗い模様が、魔法の紋様と絡み合いながら、生き物のように肌の上を這っていく。

 全身は鉄のように硬い鱗で覆われ、月の光を受けて冷たい輝きを放っている。

 足はすでに一つに融合し、まるで魔物のような雰囲気を漂わせていた。

 黒いドレスはぼろぼろに裂け、風に揺れる黒いファーだけが、わずかに残っている。

 デルカガナだったものは、真っ黒な長剣を手にしている。

 その剣の刃は、ギュッと振り下ろされるたびに、周囲におぞましいプレッシャーを放つ。

 まるで迷宮全体が、その力に震えているかのようだった。

「オレリア!」

 風の音を借りて、アシミリアン先生の声が地下に届いた。

「そっちはどうした?なぜ魔法の波動が明確に増大したのか?」

「何も起こっていない。」

 オレリアが外で答えた。

「ただの、蛇さ。」

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