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ラルシェニ-リツイベットとの初めての出会い(1)

 リツイベットに初めて会ったのは、たぶん春の宴会の時だったと思う。

 あの日はすごく特別だったんだ。

 春の宴会って、いつもお庭で開かれるんだ。

 お庭には色とりどりの花が咲き乱れて、空気も花の香りでいっぱいだった。

 太陽の光が木の葉を透かし、地面には美しい模様が浮かび上がっていた。まるで花畑の中をふわふわと漂っているような気分になり、なんだかとても幸せだった。

 その時、ラルシェニはバラの花のそばにしゃがみ、蝶を追いかけていた。手には細い枝をぎゅっと握りしめ、静かに近づこうとしていたが、その目は好奇心でいっぱいに輝いていた。

 ちょうどその瞬間、蝶がふわりと舞い上がり、ラルシェニは夢中で追いかけたが、なかなか捕まえることはできなかった。

 蝶は、本当に捕まえるのが難しいものだ。

 突然、背後から「キラッ」という声がした。びっくりして振り向くと、そこにはピンクのレースのワンピースを着た小さな女の子が立っていた。

 風に揺れるスカートがきらきらと輝き、前髪がちょこんと顔の横に落ち、その一束がまるで小さな秘密のように見えた。なんだかとてもおしゃれで、少しおませな印象を与える。

 その子は、わずかに自信を帯びた表情をしており、その奥にほんの少し得意げな色がのぞいていた。

「そんなやり方じゃ、蝶なんて捕まえられないよ。見てなさい!」

 声はふわりとしていながらも、どこか鋭さを含み、まるで魔法が使えるような響きがあった。

 ラルシェニは驚いて目を大きく見開き、彼女を見つめた。「え?」と思わず声が漏れる。

 だが、その子は口元だけで笑い、顎をすっと上げる。

「そんなの、できるわけないでしょ?」

 わざとらしく肩をすくめ、軽やかに一歩近づく。

「だーかーらーさー、その枝?そんなもので蝶が捕まるわけないじゃない。ほんっと、バカみたい。」

 視線をラルシェニの手元に落とし、枝を一瞥したあと、今度は舞う蝶を追う。その唇に、不敵な笑みが浮かぶ。

「風を操れないなら、蝶なんて絶対に寄ってこないんだから。」

 ラルシェニは眉をひそめ、少しむっとしたが、すぐに怒るのも癪で、唇を噛みながら小声でつぶやいた。

「風?そんなの使わなくても、俺は捕まえられるもん。」

「へぇ?」女の子は片眉をわずかに上げ、にやりと笑った。

「じゃあ――特別に、見せてあげるわ!」

 手をひらりと振ると同時に、唇から小さく呟きがこぼれる。途端、目の前の微風が息を吹き返したように勢いを増し、くるくると彼女の指先をまとわりはじめた。

 風がそっと蝶の羽に触れると、蝶はふわりと一回転し、まるで抗えないように彼女の方へ吸い寄せられていく。

「ほら、見た?風を使えば、こんなふうに簡単に捕まえられるの!」

 彼女は勝ち誇った笑みを浮かべ、視線でラルシェニを真っ直ぐ射抜く。

 その瞳にはあからさまな挑戦の光が宿り、「どう?これが本物よ」と言わんばかりだった。

「さあ、君のを使って見せて。あ!まーさーかー」

 ラルシェニは目をまん丸にして、その光景にびっくり。まさか、こんな風に蝶々を引き寄せられるなんて思ってもみなかった。ちょっと悔しそうな顔をしたけど、すぐに気を取り直して、小さなあごをグッと上げて言った。

「ふん、風なんか使わなくても、俺だってできるもん!俺は雪!雪の方が絶対強いんだから!」

「雪?あんたが何ができるって言うの?雪なんてすぐに溶けるだけでしょ。風は、ずっとずっと、永遠に続くんだよ。」

 女の子はちょっと鼻で笑って、まっすぐ立って手を腰に当てて言った。

「風がどうしたってんだよ!」

 ラルシェニも負けじと手を腰に当て、ちょっと顔をしかめながら言い返した。

「少なくとも、俺はアイスを空から降らせることができる!吹雪だ!それに、俺の雪は、どんなものにも壊されないくらい硬くできるんだ!」

「あーははは、そう。」

 女の子はクスクスと笑って言った。

「それってあんまり意味ないよ?風は何でも変えることができるのに。あんたの雪なんて、ただ冷たいだけでしょ?フワフワで、全然役に立たない。」

 ラルシェニはちょっとムッとした顔をして、でも負けずに決心を固めた。よくわかんないけど、この女の子に見せてやりたかった。

「じゃあ、待ってなさい。俺だって雪を飛ばせるんだから!」

 ラルシェニは目を閉じて、大きく深呼吸。集中して、気持ちを鎮めた後、静かに呪文を唱えた。そして最後に力強く、でもちょっと鼻声で叫んだ。「雪、来い!」

 数秒後、空中に小さな氷の花が舞い始めた。ひんやりとした空気が漂い、太陽の光で淡い青い光を反射させながら、ゆっくりと地面に降りていった。ラルシェニはその氷の花を見ながら、にんまりと笑いながら言った。

「どう?俺の雪、ちゃんと飛ぶんだよ!」

 女の子の目がちょっと驚いたように瞬いたけど、すぐに眉を一つ上げて、口元に軽蔑の笑みを浮かべながら言った。

「ふん、こんな小さな技で風と比べるなんて。雪なんて、何もできないじゃない。」

 彼女は手をひらっと振ると、空気中に微風が巻き起こり、ラルシェニの氷の花がまるで見えない手でかき混ぜられたみたいに、バラバラに散っていった。

「ほらね、風なら簡単に雪を吹き飛ばせるんだよ。」

 女の子はちょっと自信満々に顎を上げて言った。

「風こそが一番強いんだから。何でも変えられるの。」

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