79 九伝八極 リュウ・レイフォン編 一通の手紙 故郷の大事
リー・メイリャンが使う爆睡拳は形意拳。その中でももっとも美しい型を持つとされる金色形意拳と呼ばれ、メイリャンが所属する聖八極の中では生きる伝説とも崇められている。
聖八極と二大分派である九伝八極に所属するリュウ・レイフォンとは幼馴染。かつて武術の頂に共に上ると誓い合った。
旅を続けるメイリャンに一通の手紙が届く。それは故郷で所属する派閥が争おうとしているというのだ。
鋼鉄たちにひと時別れを告げ福建省に帰るメイリャンだったが……?
「やっと着いた~! パーパ! マーマ! ただいまかえたアルヨ~!」
荷物を肩にうしろでかけ、ニンマリ笑顔、口は猫グチで中華料理、メイファンの扉を開ける。そこには、うなだれる父親のフェイロンと、必死にそれを慰める母親のメイファンの姿があった。
「どうせワシは聖八極の中では発言権が弱い方ですよ~だ……ぐすん」
「そんなことないですよあなた! しっかりしてください! メイリャンの父親という自覚を持ちなさい!」
フェイロンの両肩を持ちブンブンと揺らすメイファン。「アイヤ~!」と言いながらフェイロンは帰って来たメイリャンに気付く。
「ん? おお! メイリャン! 我が娘よ!」
「いやですわもうあなた! メイリャンは鋼鉄さんと旅に出てるじゃないですか……えぇ?! メイリャン?!」
後ろを振り返り驚くメイファン。
「気付くのが遅いネ! パーパ! マーマ!」
ザっと二人がメイリャンに駆け寄り、今までの旅で連絡を寄越さなかったこと、とても心配したことなどを津々浦々と吐き出す親二人。安心した顔を見ると、メイリャンはとても柔らかな顔をし、ホニャンと猫口になる。手紙の内容は『メイリャン、大変なことがおこった。二大派閥が争おうとしている。すぐに帰ってこい』だったが、メイリャンはこの内容だけではよくわからずにいた。
「一体どういうことね? この内容だけじゃよくわからんアル」
「メイリャン、まずは聖八極の道場に顔を出してくるんだ。詳しい話はそこで聞くといい」
疑問の顔をしながら聖八極の道場へと足を運ぶメイリャン。心の中でどうせいつもの小競り合いネ~と笑いながら道場の門を開けると……そこにはなんと、ズタボロにされている門下生たちの姿が?!うぅ……とまだ一人意識がある者を優しくそっと首をかかえて上げるメイリャンは問う。
「どうしたネ?! いったい何があったアル?!」
門下生が道場の中央をゆっくりと指差す。そこで意識は途切れてしまった。眼をやった中央にはメイリャンの良く知る人物がいた。そう、メイリャンの親友であり幼馴染。「リュウ・レイフォン」が……
「お、おまえは……リュウ・レイフォン!!」
「やあ、メイリャン。遅かったね」
意識を失った門下生を優しくおろしてあげ立ち上がると、両拳をギリギリと握りしめながら、両目をカッと開きレイフォンを睨む。怒りのオーラが具現化し赤いオーロラがシュワシュワと音を立てて周りを取り巻く。
「いつもの小競り合いじゃないアルか……」
「もう止められないんだ。メイリャン。九伝八極の大老たちはやる気さ。今日はその挨拶に来たんだ」
「レイフォン、いつかの決着。そういえばまだだったネ……!」
「メイリャン! あの日の誓い……今こそここで果たそう!」
互いに闘いの始まりを示すポーズを取り合うと、深く腰を落とし、構える。聖八極と九伝八極、どちらが覇権を握るのか。リー・メイリャンとリュウ・レイフォン、共に武術の頂に上ると誓った二人の戦いが今、始まろうとしていた~
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