65 四天王激闘編5 フルパッケージ
「イグニッション・スター発進準備完了。システムはボスバトル、装備はフルパッケージ。転移開始」
上空の空間が歪曲し黒い次元が出現する。その空間から一気に地上へと着地する機体があった。
着地の衝撃で大きな風が舞い上がり、砂埃が吹き荒れる。
鋼鉄の機体、イグニッション・スターのフルパッケージが戦場に舞い降りる。全身には黒いマントを羽織り、各部には数々の武器を装備している。左目には見える距離を縮尺調整可能な赤く光るガンスコープを付けている。
※黒鉄機甲『イグニッション・スター』機体カラー メタリックブラック
中距離 支援タイプ
中量型 複座式 全天周囲モニター
搭乗者 鋼鉄&レイン
鋼鉄が幼き頃に作り上げた機甲であり、唯一無二の相棒。昔は小さな機体だったが、チューンナップを繰り返すごとに、今の大きさになっていった。
※フルチューンナップ 固定武装 フルパッケージ
1 半自動バルカン 「エルゲンリート」
2 背部対星機甲大刀 「名刀卍政宗」
3 左腰プラズマ圧縮ビーム砲 「バーラオス」
4 強襲型4連装グレネード「フォーガス」
5 右肩大口径ビーム砲 「タイフーンイレイザー」
6 右腰コピーバルーン4機 「クロガネ」
「戦闘AIプロティン」 ライトネスリアクター搭載型 コアドライブに直結
搭乗者の感情によって能力が変化する 「感情ドライヴ」搭載
使用補佐システム 「ハイブースト」「ロウブースト」「ダブルブースト」「幻のトリプルブースト」ハイとロウは同負荷。ダブル、トリプルと負荷が上がっていく仕様。ハイは機体加速、ロウは空間鈍化、ダブルは両方を一度に発動。トリプルは不完全な時止め(徐々に時間が進む)いずれも時空間魔法。
「ご主人サマ! システムはボスバトル、フルパッケージ装備、注文通り持ってきたプロ!」
イグニッション・スターに搭載されている戦闘AI、プロティンが元気そうにスピーカーで声をかけてくる。コックピット内でぴょこぴょこ跳ねている様子が声に現れていた。
「近くまですぐに向かう! 転送してくれ! プロティン!」
鋼鉄とレインが足早にイグニッション・スターへと向かう。だが、ドーウィンは鋼鉄たちをコックピットに乗せまいと攻撃をしかけてくる。
「させないよっ! うちの風の剣で粉々になっちゃえ!」
「……っっ! マスター!!」
ウィンダムの風の剣が容赦なく鋼鉄たちに振り下ろされる。そのわずかな間に、メイリャンのクレイジー・ムーンが攻撃を受け止めに入った。クレイジー・ムーンのモニターにはルナミラージュ残り使用回数ゼロの文字が表示されている。
「後は任せたアルよ! 鋼鉄! レインちゃん!」
ルナミラージュ最後の一回を出し切り、機能停止するクレイジー・ムーン。メイリャンが鋼鉄たちに声をかけながら、片膝をつき再起動の態勢に入る。機体のシステム音が宙に響く。
「ルナミラージュ使用によりエネルギー残量ゼロ、機能停止。機能停止。再起動に入りマス」
「ははっ! 隙だらけぇ!!」
「プロティン! オート戦闘……バーラオスをノンチャージ砲撃!」
ウィンダムの風の刃がクレイジー・ムーンに直撃する寸前、一筋の赤い光がイグニッション・スターの左腰から放たれる。ノンチャージのバーラオスプラズマ圧縮ビーム砲、出力はチャージ時の半分以下であるが、ウィンダムの攻撃をそらすには十分な威力だった。
「こいつっ! 乗っていないのになぜ動けるっ?!」
「よし……標的をこちらに切り替えたな!」
無事にイグニッション・スターへとたどり着いた鋼鉄とレイン。コックピット転送要請をプロティンに伝える。
「プロティン! コックピットに転送してくれ!」
「わかったプロ! 二名様ご案内プロよ~!!」
複座式のコックピット内部に鋼鉄とレインが転送される。全天周囲モニターに機体周りの景色が表示されていく。レインが上部、鋼鉄が下部のシートに座り、この星の環境に合わせてシステム調整を施していく。
「プロティン、システム調整が終わるまでオート戦闘だ。頼むぞ」
「了解プロ! 頑張るプロよ~?」
シートに座ったレインが首のコネクタに配線をつないでいく。敵機体の熱量、エネルギー、敵機までの距離が前面のモニターに表示されていく。
「メインシステムに接続、敵機体の熱量、エネルギー、敵機までの距離をモニターに表示します」
「よし……リアクターの出力調整に……むぅっ!!」
プロティンのあまりの機体制御に鋼鉄たちはコックピット内で大きく体勢を崩す。
「もう少し丁寧に機体制御してくれ! プロティン!」
「機甲戦はアグレッシブに限るプロ! ご主人サマ!」
「ライトネスリアクター出力安定、この星の磁場に合わせて固定……完了。各種ブースト確認。ハイブースト、ロウブースト、ダブルブースト、幻のトリプルブースト。イグニッション・スターのエネルギー残量をモニターに表示、機体の制御をこちらに渡してくれ、プロティ……ん?!」
モニターの表示を見て驚く鋼鉄。そこにはイグニッション・スターエネルギー残量41%の文字が表示されていた。転移したばかりの状態でノンチャージ砲撃しか撃っていないのに、減り過ぎているエネルギーを見て、鋼鉄はプロティンに何をしたのかと問いただす。すると予想外の返答が帰ってきた。
「プロティン! オート戦闘中に何があった?! このエネルギー残量は何だ?!」
「ちょこっと空中で機体を捻りながらチャージしたバーラオスを2秒間、敵機に照射しただけプロよ!」
「マスター、敵機の情報が更新されています。確認を推奨」
レインの言葉でウィンダムの全身を確認する鋼鉄。
「どうした? レイン。……こ、これは?!」
ウィンダムの腕が一本失われていることに気付いた鋼鉄。補佐に戻ったプロティンが鋼鉄に報告する。
「ご主人サマ! バーラオスのバニッシャーブラストが反応したプロよ!」
※バニッシャーブラスト
ビームシールド貫通粒子の総称。イグニッション・スターのビーム兵器にはその粒子が散りばめられている。
「バニッシャーブラストだと?! ならあの機体には耐ビームコーティングが施されているのか……」
『確かに近接機体には耐ビームコーティングを施すのは定石ではあるが、なぜこの星にそれほどの装備を施した機甲が……』
「確かあの機甲、魔王から譲り受けたとドーウィンは言っていたな……もしや、魔王は……いや、今は考えるのはやめておこう、戦闘に集中するべきだ」
「各ブーストの調整はレインに任せる、プロティンはチャージ系武器の用意を。タイフーンイレイザー、バーラオス、チャージ開始。」
「わかったプロ! タイフーンイレイザーとバーラオスのチャージ開始プロよ!」
腕を一本失ったドーウィンは焦りながら鋼鉄たちに剣を向け叫ぶ。
「うちの腕を一本取ったくらいでチョーシ乗らないでくれる?! おまえもさっきの白いやつみたいに、やっつけてやるー!!」
「イグニッション・スターのフルパッケージのチカラ、舐めないでもらおうか」
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