63 四天王激闘編3 これがうちの隠し技
「相手が奥義を出してきたのだ。ならば私も、奥義で応えねばなるまい!!」
「ハアアアアアアア!!!」
フワリと空中に上がり、鋼鉄の額と両手の甲に赤い竜の紋章が浮かび上がる! 炎のようなオーラが、身体中を包み込む!!
『竜紋!!』
ドーウィンの奥義に対し、ドラゴニック・セイグラムを発動させる鋼鉄。全力を出してないにもかかわらずドーウィンの奥義と互角の闘いを繰り広げる。
「ふんっ! はっ! せい!!」ドドドド!!!
高速の突きがドーウィンに向かっていく!!
「ふふ~ん! 止まって見えるねぇ~」
パ!パ!パ!と鋼鉄の突きを右掌で静かに受け止める。
「む~! 黒いの! さてはおまえが勇者だな~?! ここでうちの風の餌食になっちゃえ~!!」
「私は勇者ではない! (くそっ……!! 竜紋の全力さえ出せれば活路はあるのだが……)」
空間が震え、相対の衝撃が空中にバゴン!ドゴン!と発生する。徐々に音が遅れだし二人の速度は目にも止まらぬ速さへとギアが上がっていく。二人の闘いは熾烈を極め、他の者が入る余地など微塵もなく、ただ見届けるしかできないトロンたち。
「す、すごい……!!」
「俺たちが入ったら邪魔になっちまうな……」
「ここはおとなしく見守るネ!」
「ブーストと竜紋の同時使用はスーツの稼働時間を大きく削ってしまう……ならば!!」
突如としてドーウィンが遥か遠くへと投げ飛ばされる。
「ななっ?! うちが投げられた?! 変な技使うな~! 黒いの!!」
鋼鉄が編み出した機械格闘術、機動機甲術でドーウィンを合気道の空気投げの要領で投げ飛ばしていた。
※機動機甲術
合気道、骨法、柔術を組み合わせ作られた鋼鉄オリジナルの機械格闘術。
風を使い華麗に受け身を取るドーウィン。ブラスト・アーツでは決定打になりえない事に焦る鋼鉄だったが、ドラゴニック・セイグラムの全力を出しあぐねている鋼鉄に対し、冷却を完了して再起動したレインが大きな声で叫んだ。
「マスター!! この星はトビラの世界ではありません!! 能力制限はかかっていないはずです!」
「レイン! もう再起動が完了したのか?!(そうか……!! 失念していた……! 制限がかかっているなら、ダブルバレッタも使えないはず……)」
鋼鉄は心の中でそう思うと、竜紋の全力を出していく。全身に巡る赤いオーラが濃くなり、鎧の至る所から蒸気が噴き出し、赤熱していく。
「これで決める! ドラゴニック・セイグラム最大パワー!! ダブルブースト全開!!!」
鋼鉄の鎧の時間が加速し、周りの空間が鈍化し速度低下する。腰に付けられているヒーローベルトのパネルが赤と青、両方点灯し、ダブルブーストと表示されている。スーツの稼働時間をこれで使い切ることを悟っていた鋼鉄は最後の勝負に出る。
ドラゴニック・セイグラムの全力とダブルブーストの併用は人知を超えた速さを体現していた。
あまりに早すぎて残像が現れる現象が起きており、ドーウィンは鋼鉄のあまりの速さに動揺する。
(速いっ!! 何なんだこの異常な速さはっ?!)
ドゴン!! 鈍く重い音が鳴り響く。鋼鉄の左拳がミシミシとドーウィンの体に深く突き刺さる。
いつのまにか全力を出した鋼鉄の竜紋の前にずしゃりと両膝から崩れ去るドーウィン。顔は下を向きずっとうつむいたままだ。腹を抑え血を吐き出している。
「かはっ!!!」
全ての力を使い切った鋼鉄。スーツが稼働限界を迎える。片膝をつき仮面が外れ頭部が露出する。体全体からプシュウウと煙が噴き出し冷却していく。息も絶え絶えの鋼鉄は呼吸を乱しながら勝利を確信した。
「ハァッ……ハァッ……これで…………私の勝ちだ!」
ドーウィン「………………」
うつむき硬直しているドーウィン。空間全体がシン……と静まりかえり、何も音が聞こえなくなったかと思うと、ドーウィンがボソリと呟く。
「呪文暴走……」
「まずいっ!! まだ何か隠していたか?!」
「アァァァアァァァ!」
暴走した魔力がドーウィンの全身を覆っていき、やがてそれは小さく収縮し、ドーウィンの手に収まっていく!!
「ゴッドウィンド・レクイエム!!」
ドーウィンは掌に集めた魔力を遥か上空に放り投げた!!魔力は上空で消え去ってしまった!
「これがうちの隠し技……!! 最後の奥の手!」
「な、何も起こらないアル! ハッタリね!」
数秒待つが何も起こらない、ハッタリだと指摘し安心するメイリャンを見てニヤニヤとしているドーウィン。その数秒後、鋼鉄とレインは何かを感じ取る。
「いや、この感じ……何かが来る!!」
「マスター。魔王城から何か大型の物体が射出されるのを探知しました。到達まで、あと5秒」
ゴゴゴゴと空間が揺れ出す。その刹那、地面はグラリと傾き、立っていられなくなる。衝撃。とてつもなく大きな何かが崩れた遺跡に着地する。
「なに?! あ、あれは……まさか?!」
『風衝機甲 ソードダンス・ウィンダム』
身体の周りに複数の風の剣をフワフワと携え、メタリックグリーンの中量型多碗機甲が、いつのまにかそこに立っていた。
「まだうちは負けてない! 魔王様からもらったこの機甲で! うちの風を心ゆくまで楽しんでいくがいいさ!!」
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