62 四天王激闘編2 障壁を破るすべ
なんとかして風の障壁を破る術を探る鋼鉄。四天王最初の敵がここまでのチカラを擁しているとは思ってもみなかった鋼鉄だったが、ふと何かを思いつく。それは自分が幼いころに過ごした故郷での台風の事だった。
「そうか……! 風の中心……台風の目……まさか?!」
「何か思いついたネ! 鋼鉄!!」
「勝機があるんだね! 兄ちゃん!」
何かを思いついた鋼鉄に対し、うれしそうに言葉をかけるメイリャンとトロン。だが鋼鉄は焦りを見せながら答える。
「ああ……! だがこれは賭けに近い! トロン! メイリャン! 手伝ってくれ!」
「わかったよ、兄ちゃん!」
「了解アル!」
「む~? 何か企んでるな~? そんなのいいからさっさとくたばっちゃえ~~!」
障壁を破る術を思いついた鋼鉄たちの邪魔をせんと、魔力を練り特大の風を起こすドーウィン。しかし、すでに準備が整っていた鋼鉄たちは風の攻撃が来たタイミングで反撃を開始する。
「今だっ! ダブルブースト起動! ドーウィンの頭上に私を投げ飛ばせ!」
トロンとメイリャンの手に足を乗せ、ダブルブーストをかけながら全体重を二人の手にかける。鋼鉄の鎧の腰に付けられた装置のパネルがピピッと鳴り赤と青、両方が点灯し、表示にはダブルブーストの文字が浮かんでいる。
トロン&メイリャン「いっけええええええ!」
両手を使い鋼鉄の体を全力で押し出すトロンとメイリャン。ブーストで強化された状態で特大のジャンプをする鋼鉄。ジャンプしながら背部下面に付けられたホルダーから特大の二丁拳銃を取り出す。
「頼むぞ……白亜の弾丸 ダブル・バレッタ!!」
※白亜の弾丸 ダブル・バレッタ
尻のホルダーに吊り下げられた、鋼鉄自らがカスタマイズしたメタリックシルバーホワイトの特大二丁拳銃。魔法弾式カートリッジ採用。
「やはりそうか! 風の中心は無風状態だ! 私の考えは当たっていた!」
予想が的中した鋼鉄。ドーウィンの頭上で体を捻りながら二挺の銃で狙いを定める。しかし、風の中心といっても完全な無風ではおらず、狙いがうまく定まらなくなってしまう。
「くっ……狙いが定まらない! 致命傷は与えられんか……!」
発射される二発の弾丸。それらはドーウィンの腕と足を掠める。
「いった~い!! あらら……うちの風の障壁の弱点、ばれちゃった……」
少し焦るドーウィン。だが障壁を完全に消された訳ではないので威張りながら強がる仕草を見せるが…
「ふ、ふふ~ん! 障壁の弱点を見破られても、まだまだうちは元気だし! 障壁もこの通り健在だよ~ん!」
風のチカラで空中をフワフワと漂い陽気な笑いを見せるドーウィン。だが、突然ドーウィンの風の障壁がチカチカと点滅しだした!
「マスター、あれを使ったのですね」
「ああ、そろそろ効いてくるはずだ」
レインの問いに対し自信を持って答える鋼鉄。やがてその自信は確信へと変わっていく。
「あ、あれ……? どういうこと? 風の障壁が維持できなくなってきちゃった……」
点滅していた風の障壁がスゥ~っと徐々に消えていく!とうとう風の障壁が完全に消えてしまった!
「なんで? どうして?! 魔力が練れない! 障壁が出せない!」
オロオロして焦りだすドーウィンはショックで呼吸が乱れ汗と動悸が止まらなくなってしまう。
「風の障壁が消えた! やるな鋼鉄さん!」
「すごいです! チャンスですよ!」
「そこの黒いの! 何をやった?! お前が何かやったな~?」
「ダブルバレッタに装填された特別カートリッジ、魔力疎外魔法弾 『マジカルブレイク』!」
※マジカルブレイク
白亜の弾丸 ダブルバレッタに装填されている特別なカートリッジ、魔力疎外魔法弾。
傷を受けた対象はうまく魔力が練れなくなり、魔力疎外を起こしてしまう。
「マジカルブレイクを受けた対象は、魔力が練れなくなり、魔力疎外を起こす!!」
「へえー! うちの風の障壁を破るなんて、やるじゃん! でもねでもね! 風の障壁がなくたって、うちの風は止められないよ~ん!!」
ドーウィンは防御を解き再びチカラを溜め始めた!彼女の周りに大きな風が巻き起こり、辺りの壁を切り刻む!
「くっ……! まだ完全にはマジカルブレイクが効いていないか?!」
「にゃ~! この風が邪魔で攻撃しにいけないネ!」
「またチカラを溜めた攻撃が来る……! 中級強化魔法、エルゲンドーピング!」
アリシアの強化魔法により鋼鉄たちはパワーとスピード、耐久力が上がった!
「この大風の暴力で、みんな消し飛んじゃえ~!」
ドーウィンは溜め込んだチカラを解放した!
『ビッグウィンド・セレナーデ!!』
遺跡全体がドゴゴゴゴと激しく揺れるほどの風の猛襲が鋼鉄たちを襲う!
「ぬぅ…! レイン! 反重力リアクター全開! 陽電子斥力フィールド!」
「かしこまりました、マスター。リアクターマックスパワー、陽電子斥力フィールド展開」
身体中にバチバチと電流が迸る。レインの臀部の排気口がパカッと開き、プシュウウと蒸気が排出されていき、鋼鉄たちの周りにドーム状の青く薄いバリアのようなものが展開されていく!
「へへ~ん! この風をくらって無事だったやつはいないもんね! これでうちの勝ちぃ……?!」
遺跡が崩れるほどの衝撃だったが、パラパラと瓦礫が落ちていき砂埃がやがて晴れていく…そこには鋼鉄たちが立っていたが、レインは反重力リアクターの全力を出し切った反動で冷却モードに入り、眼から光りが消え、女の子座りで動かなくなっていた。そしてレインの体からシステム音が聞こえてくる。
「コアドライブをスリープモードへ移行……反重力リアクター冷却開始。冷却完了まで10分程度を要します」
「でかしたレイン……! すこし休んでいてくれ!」
「そんな……うちのビッグウィンド・セレナーデを防ぐなんて……」
渾身のチカラを込めた大技を防がれたことに驚くドーウィン。無防備になった彼女に対し鋼鉄たちは総攻撃をかける。
「今だ! 動ける者はできる限りドーウィンに攻撃を!」
「うおおおおお! パワースラッシュ!」
「これがオイラの聖剣のチカラだあああ!」
ザシュ! バシュ! とゴルビーとトロンの二連撃がドーウィンの体にダメージを与えていく!
「ぐぅっ……!!」
よろけるドーウィン。その隙を見逃さなかった鋼鉄はメイリャンと追撃をかける。
『直撃魔法 炎神爆花!!』
炎を纏った拳で次々と攻撃を繰り出していく!ズドドドド!!鋼鉄の拳を通じて炎がドーウィンの体内に浸透している!
『聖八極 古神崩拳!!』
半歩踏み出しそのまま右腕で直突きを繰り出す!ドーウィンの体の中心にクリーンヒットしどこまでも吹き飛ばされていく!!
「ぐああああああ!!!」
鋼鉄の鎧、ディフュージョンスーツからプシュウウウと蒸気が噴き出し全体を冷却していく。
「ブーストと直撃魔法は撃ててあと一撃……といったところか」
ガラガラと音を立てながら崩れ落ちていく遺跡。一行は吹き飛ばされたドーウィンの方向を見つめていた。
「やった……のか?」
「さすがにドーウィンでもあれだけ攻撃を受けたら……」
「……どうやらまだのようだ」
ヨロヨロとしながら瓦礫の中から出てくるドーウィン。体力を半分以下にまで削られた彼女は怒りを露わにする。
「よくもうちをここまで追い詰めたね……もう怒ったよ……!」
空気が張り詰めていく。マジカルブレイクの効力が切れ、自由に魔力を練れる状態になった彼女は最後の大技に出る。
『呪文解放!!』
「この空気……奥義が来る!」
『アーマーウィンド・イグ二クス!』
彼女の体の周りに薄い風の鎧が張り巡らされる!上から落ちて来た瓦礫が一瞬にして粉々になってしまった。
ドーウィン「これがうちのほんとの全力全開……!!!」
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