61 四天王激闘編1 風のドーウィン
ー四天王ドーウィンの遺跡ー
四天王ドーウィンの遺跡に足を踏み入れた一行。そこでは、深い霧が漂っており、 あきらかに不安を誘う雰囲気に包まれていた。
霧を払いながら遺跡内部を探索していると、 大きな部屋の前へと出た鋼鉄一行。
「ここは……レイン、この扉の奥の部屋のサーチを頼む」
「かしこまりました。マスター」
ヴォン!と目の前に電子画面が現れ、軽快にキーをタップしていくと、奥の部屋に画面が切り替わり、大きな魔力源が一つ、青色で表示されていた。
「扉の先の部屋から巨大な魔力源、一つ確認しました。マスター」
「この先に四天王ドーウィンがいる……準備はいいか? みんな」
鋼鉄の問いに無言で頷く一行。鋼鉄が扉に両手を付けると、勢いよく扉は開き、一行は部屋へと入って行く。トラップや仕掛けなどはなく、部屋の奥には大きな玉座が置いてある。どうやら誰もいないようだ。
「な~んだ、誰もいないじゃん!」
「心配させないでよ……もうっ」
「留守アルネ! いまのうちに持っていけるものさがすネ!」
ドーウィンがいないことに安堵する一行。だが鋼鉄は部屋全体から発せられている風の音を聞き逃さなかった。
「……? 何かおかしい! それになんだ……この風の音は!!」
「ありゃりゃ……気づいちった~……そのまま気づかなければみんな一気にやれたのに……」
誰もいないはずの玉座にいつの間にか座っている10才くらいツインテールの少女が一人、吹きすさぶ風と共に現れた。偉そうに足を組み、大きなペロペロキャンディを舐めながら鋼鉄たちに話しかける。
「君らが勇者一行? ずいぶん大所帯だね~。8人もいるなんて……魔王様倒す気マンマンじゃんw それに……裏切ったね? 吹雪ちん」
吹雪に対しギロリと睨みつけるドーウィン。
吹雪はゴクリと唾を飲み込み、ドーウィンの前まで歩いて行き、話はじめた。
「アタイはもう、魔王軍じゃない! こうして兄貴と出会たんだ……まずはあんたを倒して……これから新しい旅を兄貴と一緒に始めるんだ!」
「美しいまでの兄妹愛……憧れちゃう……でもそんなものは! うちの風で全部吹き飛ばしちゃうもんね~!」
「吹雪! みんな! そいつから離れるんだ!」
風のチカラがドーウィンの全身を覆いつくし、戦闘態勢に入る!
『四天王一番槍、風のドーウィンが現れた!』
「さぁ、この風のチカラで……みんな仲良く吹かれちゃえ!」
ドーウィンの風魔法が一行に襲い掛かる!
「うぉぉぉぉ!!」
「プロテクト・シールド!」
レインは全員に光のバリアを張り巡らし、攻撃を防ぐ! しかし風のチカラが強く押し返されそうになっていた。
「わわ! やるじゃん……なら、これでどうかな!」
ドーウィンは風魔法をやめ、今度は巨大な風の球を出現させ、一行に投げつけた!
「あぶないアルネ!」
メイリャンは八極拳でなんとか攻撃を防ぐが、その威力はすさまじく、部屋中に強風が吹き荒れる! トロンはミリィに駆け寄り、ミリィをかばう。
「大丈夫? ミリィちゃん」
「うん、ありがとう……トロンくん」
「あ~ら、優しいじゃん! でもそんな優しさは、うちらにはいらないよ?」
そんなやりとりをしている間に、ドーウィンは次の攻撃の準備を整えていた。
「プロテクト・シールドが破られます! みなさん、私の後ろに!」
レインは全員に光のバリアを張るが……風のチカラが強く、押し戻されそうになる!
ドーウィンの風の魔法が一行に襲い掛かり、レインはバリアを破られてしまう!!
「ここは危ない! みんな僕の後ろに!」
「大丈夫……トロンくん一人にはさせないよっ……」
そう言ってミリィは魔法障壁を展開すると、風魔法から一行を守った。
「反撃アルネ!!」
「私も直撃魔法で応戦する!」
「おっと! そうはさせないよ~ん」
ドーウィンは自らの周りに風の障壁を展開した。
「ぬぅっ?!……攻撃が通らん!!」
鋼鉄の直撃魔法は風の障壁によってかき消されてしまった。
「みなさん、 私に考えがあります。ドーウィンの魔法を一点集中して受けます。その隙にドーウィンを囲んでください」
「でもそれだと、レインちゃんが危険だ!」
「メイリャンが援護するネ!」
そんなやりとりをしている隙に、ドーウィンは詠唱し、次の攻撃を準備する。
「さぁ、次で……終わりだよ!」
ドーウィンは風の槍を何本も召喚し、一行に投げつけた!
ギィン! ガィン! と弾かれていく風の槍。ゴルビーと吹雪がその攻撃を防いでいた。
「こんなことしかできんが……がんばるんだみんな!」
「アタイだって、できることをやってやるさ!」
「アリシア! 私とトロンに強化魔法を!」
「わかったわ! 初級強化魔法!」
鋼鉄とトロンのパワーとスピードが上がった!!
「トロン、同時攻撃だ。いけるな?」
「もちろん!兄ちゃん!」
トロンは聖剣で攻撃し、ドーウィンの風の魔法を防ぎつつ、鋼鉄に魔力を送る。
「お? なんかやるつもり~?」
ドーウィンは余裕そうに一行の行動を見守っている!
「今です! みなさん!」
レインの合図で一行は一斉に魔法を放つ! ドーウィンの魔法障壁が一瞬破られ、レインとミリィが攻撃を受ける。だが……
「あ~らら……残念でしたっ!」
ドーウィンは余裕そうに一行に語りかける。
レインとミリィは攻撃を受けて倒れてしまったが、アリシアの魔法で強化されていた鋼鉄の一撃がドーウィンを捉えていた!ドガァ!!
「うぐっ!」
「どうだ……私の直撃魔法の一撃は……」
しかし……
「いったぁ~い! もう、痛いなぁ……でも、この程度じゃうちを倒すには程遠いよ?」
「やはりあの風の障壁が厄介だな……」
「ふふふ、あれを破るのはうちを倒すよりも難しいと思うよ?」
そう言うとドーウィンは何かチカラを溜め始めた。
「ぱわー全開! フルスロットルだー!」
「どうにかして障壁を破る術があるはずだ……考えるんだ……」
ドーウィンは溜め込んだ風のチカラを解放した!
「くらえー! ライトウィンド・プレリュード!!」
ドーウィンを中心に巨大な竜巻が吹き荒れる! ゴォー!!という風の音が鳴り響き、一行は吹き飛ばされそうになる。
「うおぉぉ!!」
「きゃぁぁ!」
「うぅぅ……!」
トロンとレイン、そしてミリィはなんとか耐えたが……他の5人は吹き飛ばされてしまった。
メイリャンは壁に叩きつけられ、ゴルビーは床に倒れ伏してしまった。
「みんな! 大丈夫?」
「ハイ、なんとか……」
「うぅぅ……ゴルビーさん! しっかりして!」
「うぐぐ……だ、大丈夫だ……」
「あいたたた……でも、ドーウィンはどこにいったネ?」
あたりを見渡すと、ドーウィンは部屋の天井の梁に立っていた。
「ふふ~ん♪ どう? これがうちの実力よ」
「なんてやつだ……」
「なんて強大なチカラ……!」
「さぁ、どうする? まだやる?」
ケタケタと笑うドーウィンに対し、疲弊していく鋼鉄たち。だが、風の障壁を破る逆転の一手が、鋼鉄には見えはじめていた……
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