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59 魔王と戦う理由


 城下町商店通りで買い物をする鋼鉄とレインとメイリャン。


 レインは、メイリャンの案内で露店を物色している。


 メイリャンが指差す先には、小さな露店があった。


 そこには、様々な種類のアクセサリーが並んでいる。


 メイリャンはその中から一つ手に取り、それを自分の髪に着けた。


 それは花の形をした髪飾りだ。


 それを見た鋼鉄が尋ねる。



「メイリャン、その花は、中国ではどんな意味があるんだ?」



「これは、ワタシの故郷で『蘭』って呼ばれている花ネ。花言葉は『幸福』アルヨ!」



「そうか。……なら、これを買おうか」



 そう言って鋼鉄は、露店の店主に声をかけた。



「店主、これを一つくれ」



「はいよ! まいどあり!」



 露店の主人は威勢よく返事をして、商品を渡す。


 それを受け取った鋼鉄は、メイリャンに手渡した。



「ほら、プレゼントだ」



「えっ!? いや、でも……悪いネ!」



 突然の出来事に戸惑うメイリャン。


 しかし、そんな彼女に対して、鋼鉄は優しく微笑んだ。


 そして、彼は言う。



「気にするな。俺がお前に贈りたいんだ」



 メイリャンは頬を赤く染めながら、髪飾りを受け取った。


 レインはそんな二人の様子を微笑ましく見ていた。


 そして、おいしそうな肉焼き串を欲しがるレイン。



「マスター、わたしがこの肉焼き串を摂取すれば、約23%処理能力が向上します」



「店主、これも貰おうか」



「毎度あり! 五つで450ガメルだ!」



 レインが受け取った肉焼き串は、表面がパリッと焼けており、とても美味しそうだった。



「ありがとうございます。マスター」



 三人はその露店から離れると、近くのベンチに座って食べ始める。



「ありがとネ! 鋼鉄!」



 メイリャンは嬉しそうに笑いながら礼を言うと、肉焼き串を頬張る。



「ウマいねー! ガツガツガツ!!」



 そしてレインも、おいしそうに肉焼き串を頬張った。



「おいしいです、マスター」



 メイリャンとレインは、あっという間に肉焼き串を食べ終わってしまった。


 その後、三人は城下町商店通りを歩き回る。


 様々な商品が並ぶ露店を見ながら、三人は楽しく過ごした。


 やがて時間はお昼ごろになり、宿屋に帰る準備をしていた三人だったが、突然後ろから住人達の叫ぶ声が聞こえて来た。



「魔王軍だ!! 魔王軍が攻めて来たぞ!」



 仮面を付けた盗賊のような集団がぞろぞろと押し寄せてくる。それらは明らかに鋼鉄たちを目指していた。



「どうやら、狙われているみたいだな」



「戦うネ?! でもここじゃ狭すぎるアル!」



「マスター、指示を」



「こいつらを広場の噴水まで誘導する! レイン! 強化魔法をメイリャンに!」



「かしこまりました、マスター」



『身体強化魔法、ドーピング!!』



 レインはメイリャンに身体強化魔法をかけた!メイリャンのパワー・スピード・テクニックが大幅に向上した!



「これはすごい! チカラがみなぎるネ!」



 拳を握りしめズバババと空中にパンチを放つメイリャン。



「それで一時的だがブーストを使った状態に近くなるはずだ!」



 三人は住人たちへの被害を最小限に防ぐため、急いで広場の噴水へと向かう。




ー城下町 噴水広場ー



 広場に出ると仮面の集団は一斉に襲いかかってくる。


 メイリャンは八極拳で応戦するが、数の多さに押されてしまう。



「こいつらっ……! 一体ずつは弱いけど数が多すぎるネ!」



 レインも魔法を使って応戦するが、相手の数が多いため苦戦する。



「マスター、銃火器の使用を提案シマス」



「ダメだ! ここで銃を使えば住人に当たる!」



「デスが、このままでは押し切られてしまいマス」



 レインはそう告げると、メイリャンに向かって叫んだ。



「マスターより許可を頂きまシタ! 魔法兵器『振動弾』を使用シマス!」



「わかったアル!」



 メイリャンは腰に巻いていたバックパックから『振動弾』を取り出す。


 それは小さな鉄球だった。それを仮面の集団に向けて投げつけると、鉄球が振動し、周囲の敵を振動で攻撃する。


 メイリャンの『振動弾』によって仮面の集団は混乱し、一時的に攻撃が止んだ。


 その隙に三人は噴水まで後退し、仮面の集団と対峙する。



「あいつら、一体何者アル?」



「おそらく魔王軍の兵士だろう」



「マスター、いかがなさいますか?」



「ここは俺が引き受ける! 二人は住人を避難させてくれ!」



「でも……!」



「大丈夫だ、俺を信じろ……!」



「マスターがそうおっしゃるなら、私は従いマス」



「……わかったネ! すぐに戻ってくるアル!」



 メイリャンは住人の避難を手伝いに行った。


 残されたレインは、鋼鉄に強化魔法を付与する。



『身体強化魔法 ドーピング!』


 鋼鉄は強化された身体能力で仮面の集団に突撃する!仮面の集団も武器を手に応戦するが、強化された鋼鉄には敵わない。


 鋼鉄の攻撃によって仮面の集団は次々と倒れて行く。



「さすがはマスター、見事な戦いぶりデス」



 戦いの最中、メイリャンが戻って来た。



「戻ったアル! もう大丈夫ネ!」



「どけおまえたち! そいつはおまえらに敵う相手ではない……私が出るっ!」



 広場に女性の声が響く、そこには異様な気を発しているポニーテールをした仮面の少女が一人。


 仮面の少女は、ゆっくりと広場に降り立つと、鋼鉄を見つめた。


仮面の少女「おまえが勇者か?」



「……お前は何者だ?」



「私は魔王軍四天王ドーウィン様の配下、『宵闇の魔拳士』」



「マスター! あの少女から強大な魔力を感じマス!」



「ああ、私も感じる……こいつは強敵だな……」



「ワタシも加勢するアル! 三人で戦えば勝てるネ!」



 メイリャンが構えると同時に、仮面の少女――宵闇の魔拳士が攻撃を仕掛けてくる!



「まずはお前からだ!」



 宵闇の魔拳士は、メイリャンに鋭い蹴りを放った。その攻撃を間一髪で避けるメイリャン。



「くっ……! 速いネ!」



「マスター! 強化魔法をお使いください!」



「ああ!『ドーピング』!!」



 強化された鋼鉄のスピードとテクニックにより、宵闇の魔拳士は徐々に追い詰められていく。



『直撃魔法 風神桜花』!!



 風の魔力を両拳に込めた鋼鉄は宵闇の魔拳士に強力な一撃を食らわせる!ズドンッッ!!



「ぐはっ……!」



「やったアル!」



 強化された怒涛の連続攻撃により、ついに宵闇の魔拳士は膝をついた。



「やったネ!」



「さすがですマスター」



 だが、次の瞬間……。



 鋼鉄はその少女と戦っていく内に少女の拳筋に自分と似た流れを汲んでいるのを感じ取っていた。



「その流れるような拳筋、魔法を込めた拳…まさかフブキか?!」



「そ、その声、兄貴? 鋼鉄の兄貴か?!」



「やっぱり、お前か! どうしてここに?」



「兄貴こそ、なんでここに? それにその格好は一体……」



「知り合いアルか?」



「どうやらそうみたいデスね」



 宵闇の魔拳士は仮面を外すと、その素顔を露わにした。彼女の名は『吹雪』。



 かつて鋼鉄に救われ、その強さに憧れた少女だ。



「マスター、あの少女は以前お話しした……?」



「ああ、そうだ。地球にわずか二人しかいない魔拳少女の一人、吹雪……私の妹だ」



「兄貴! 会えて嬉しいよ!」



 彼女は嬉しそうに微笑むと、鋼鉄に抱き付いた。


 そんな吹雪を受け止めながら、彼は言う。



「私もだよ、でもなぜこの星に……それにお前は今アーレ様のクエストを受けているはず……」



 すると吹雪は、ハッとした顔をし、体を離すと地面に座り込み頭を下げる。


「あたいは……アーレ様のクエストを失敗したんだ」



「なんだと?!」



「えぇっ!?」



「どういうことデスか?」



 驚く三人に対し、宵闇の魔拳士の姿から元の少女に戻った吹雪が言う。



「実はあたい……ずっと兄貴を探してたんだよ!」



「マスターを探していたのですか?」



「……理由を聞いてもいいか?」



 吹雪が語った理由とは……?



「あたいがアーレ様のクエストを受けたのは、兄貴を探すためだったんだ! アーレ様に兄貴の居所を聞いたあたいは、ウィディア神のクエストでこの星の魔王を倒せるまで勇者を成長させに行ってるって……そして兄貴と再開するためにアーレ様の魔王を倒すクエストを受けて……魔王に負けた……それで魔王軍に入って勇者の情報を集めていたんだよ!」



「なるほど……」



「ならばどうして勇者と共にいる私と接触しなかった?」



「あたいが四天王ドーウィンの配下になったのは最近なんだ。だから接触できなかった」



「……なるほどな」



「しかし、なぜマスターを探しているのですか?」



「それは気になるネ!」



 吹雪は恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う。



「兄貴、あたい……兄貴に一目惚れしたんだよ!」



「……えっ?」



 吹雪の言葉に思わず驚く鋼鉄。するとレインとメイリャンが食いついてきた。



「ほほう! つまりアルネ!!」



「マスターに恋心を抱いていたのですね」



「ちょ、ちょっと待ってくれ! それは本当なのか?」



 吹雪は顔を真っ赤にしながら言う。



「本当だよ! あたいは兄貴のことが大好きなんだ! だから兄貴にもう一度会いたかったし、兄貴と一緒にいたいと思ったんだよ!!」



「マスター、どうされるのですか?」



「もちろん答えは決まってるネ!」



「……そうだな」



 鋼鉄は少し考えた後、吹雪に向き直る。そして言った。



「……私もお前の事が好きだ」



「ほ……本当かい?」



「ああ、本当だ、ただし、妹としてな」



「それでもいい! 兄貴ぃ~!!」



 感極まった吹雪はまたも鋼鉄に抱き付いた。鋼鉄はそれを受け止め、優しく頭を撫でる。


 そして鋼鉄は、吹雪の首にある黒いアザを見つけてしまう。


「このアザは……」



「ああ、このアザかい? これはあたいが四天王ドーウィンの配下になった証、魔王に負けた時付けられた魔法刻印さ」



「……見たところ、アンチ・マジックでは解呪できそうにないな…」



「マスター……」



「解呪するには、魔王を倒すしかない」



 鋼鉄は吹雪からそっと離れると、彼女の首に付いている刻印に触れ、自分に言い聞かせるように決意を固める。



「どうやら私にも、魔王と戦う理由ができたようだ…」




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活動報告に全体のストーリーラインを上げてますので、良ければ見ていってね~! 小説家になろう 勝手にランキング
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