56 過去編 能力否定の執行者15 別れの時?
「なんだもう行くのか? もっとゆっくりしていけばいいのに……」
「はい! 聖剣ブライトホープも無事に作成できましたし、こんな上等な鎧……ディフュージョンスーツまで作っていただいて、ありがとうございます!」
ガシッと握手する二人は、お互いの顔を近づけこっそりと話し始めた。
(お前さんのおかげで……最高の剣と鎧が打てた……感謝してるぜ)
(いえ! お役に立てて嬉しいです!)
(またいつでも来てくれ。今度は客じゃなくて俺の友人として、な)
(はいっ!)
リーシャの手を放すイールミ。
リーシャに背を向けるイールミ。
「へへ……いいってことよ……おまえらも元気でな! 3女神!」
「ほほ……いざ別れるとなるとさびしいもんじゃのう」
ウィディアは持っている扇をひらひらとさせた。
「またおいしい料理……食べにくるね……じゅるり」
少し涎をたらしてレティアは舌なめずりをした。
「そのイケメンを絶対また見に来るわねぇ~!」
メイティアは長いツインテールを翻しながらポーズを取ってウインクをして言った。
「聖剣も鎧もそろったけど……僕にできるのかな……転生者のスキルを回収なんて……」
心配そうな顔でイールミは、そうつぶやいた。
そのつぶやきに答えるように、リーシャから声がかかる。
「な~に、お前さんは可愛い顔に似合わずいいモノ持ってるんだからもっと自信もてよ、な?」
チュッとイールミの頬にキスするリーシャ。イールミは顔を赤らめて照れている。
「わっ……! えへへ……」
「ぬおっ?! なにをやっておるのじゃ!! イールミもまんざらでもない顔をしおって~!」
プンプンと顔を膨らませ怒っている様子だ。イールミの腕にしがみついて、引き離そうとしている。
しかし、その力は弱かった。
「べっつにいいじゃねえかキスくらい……ほんとうっせえな~のじゃロリは……しかもおまえらだってあの夜一緒になって乱れてたじゃねえか……な~? イールミ」
リーシャはイールミに抱き着きながら、イールミの頬を自分の胸にむにっと押し付けた。
イールミは少し照れながらリーシャの胸の感触を堪能している。
「わっぷ! ムニムニ……」
「のじゃロリ言うなと言っとろーが!! そして胸を顔に押し付けるでない! むう……確かにあの夜はワシも乱れておったがのう……」
「イールミの……すごく気持ちよかった……じゅる。また……食べたい(肉体的に)」
「あの情熱的な夜は忘れられない夜になったわぁ~ん」
目をキラキラさせながらうっとりとメイティアは語った。
そうこうしていると、イールミたちの荷物からゴソゴソと何か音がしていた。
「む? なんじゃ? 荷物が動いておる……」
「あーしまった! すっかり忘れてたぜ! ヌヴィ! もう出てきていいぞ!」
シュン!と荷物から黒い影が出て来た。それは体長50センチほどの黒くメタリックな機械蜘蛛だった。
ウィディア、レティア、メイティア、イールミはその機械蜘蛛を見て驚いた。
イールミはびっくりした表情をしている。
「久しいな。リーシャ様?」
「おう! 元気そうだな!」
「黙ってて悪かったな、ちゃんとクエストをこなしてくるかおまえらの荷物に紛れ込ませて監視させていたんだ。名前はヌヴィ・エンデ。俺が作った自立AIだ。」
シュインシュインと動きながら自己紹介するヌヴィ・エンデ。
「この度、イールミ殿のパーティメンバーとして加入することになった。自立AIヌヴィ・エンデだ。どうぞよろしく」
「わ~♪ 蜘蛛さんだ♪」
レティアは目を輝かせてヌヴィ・エンデに駆け寄った。
レティアは機械系モンスターが大好きだったのだ。
レティアはヌヴィのおなかをもふもふし始めた。
レティアの顔は蕩けている。
ウィデア、メイティア、イールミも興味津々でヌヴィに近寄っていった。
メイティアとウィディアは興味深そうに観察している。
「ほほう! この大きさでAIなのはすごいのう!」
「ちょっとまって……パーティーって……?!」
メイティアは振り返ってリーシャに質問する。
「連れてってやっちゃくれねぇか? きっとおまえらの旅の助けになるはずだ」
「私自身には戦闘力はありません。あくまで戦術予測、戦闘補佐のAIです」
「しかし、良いのですか? マスターリーシャ。お腹にお子がいるのでしょう? 私のような機械蜘蛛をパーティに入れては……」
ヌヴィ・エンデはリーシャのお腹を見ながら心配しているようだった。
イールミ&ウィディア&レティア&メイティア「な、なんだって~(じゃと~)?!」
「やっぱりか……なんか自分の中に違う魔力を感じると思ったら……あの夜に当たってやがったか」
リーシャは頭をポリポリと掻きながら、苦笑した。
ヌヴィ・エンデはアタフタしている。
ヌヴィ・エンデは一応、主人であるリーシャの命令を聞くようにプログラムされていたからだ。
イールミも驚いた様子でアタフタしていた。
イールミ&ウィディア&レティア&メイティア&のパーティメンバー達は驚愕しすぎて何も言えなくなっている。
ウィデアがプルプル震えながらリーシャにゆびをさし、質問した。
「おまっ……おままっ……イールミの子……にんしんっ……!!! はわわわ…」
「おめでとう……二人とも」
パチパチと拍手しながら祝うレティア。すると、ワナワナと震えていたメイティアが突然大きな声で叫びだした。
「あらあらあら~!! イールミの子供ができたのねぇ~!! これは素晴らしい愛のカタチだわぁ~ん!!!」
メイティアは歓喜の表情でクルクルと踊り出した。
レティアもつられて踊りだした。イールミは恥ずかしすぎてプルプル震えている。
リーシャとヌヴィ・エンデ以外は大はしゃぎだった。
そして、フォール星を旅立つ予定だったイールミ一行だったが、リーシャの妊娠発覚により、しばらくこの惑星で滞在することになったのだ。
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