52 過去編 能力否定の執行者11 女神のチカラを込めた剣
「そうだ……塊に魔力を込め続けろ、いいぞ……」
3女神が塊に魔力を込めながら、リーシャが鎚をガン!ガン!とレーンベッツ鋼に振るっていく、だんだんと鋭い剣の形に整っていき、次第に金色に輝いていく!
「わたしは魔力操作……あまり得意じゃないの……」
「踏ん張るんじゃレティアよ! メイティア! 出力が弱っておるぞい!」
「あたしは力加減ができないのよぉ……! ……あ! お姉サマ、あれを出してよ」
「おお、あれか! あいわかった! むむむむ……」
レティアとメイティアの目の前に小さな黒い空間が現れ、無色の少し大きなビー玉がフワリと浮かぶ。中に封じられしは魔力操作の紋章。
「神格紋珠!! マナオペレート!」
レティアとメイティアの目の前に浮かぶ無色の小さなビー玉が、神格紋珠に吸い込まれていく!
「お姉さま……これは?」
「神格紋珠じゃ。マナオペレートは、その者の神性に反応し、その者の魔力の質を変換してくれるのじゃ。これで2人はより強い魔力操作ができるぞい!」
「よし! 剣が研ぎ澄まされてきたな! それじゃ……ウィディア、レティア、メイティア、俺から離れるんだ」
ウィディア、レティアとメイティアがリーシャから距離を取る。リーシャは鎚の魔力を一気に解放する!
「はああああああ!!」
虹色の魔力刃を纏った鎚をレーンベッツ鋼に何度も叩きつけていく! ギインッ!という金属を断つ音が鳴り響き、虹色の魔力がみるみる内にレーンベッツ鋼を侵食していく!
「おおー! すごいのう!!」
レティアとメイティアはそれを見て驚愕している!
「これは……レーンベッツ鋼が剣の形にどんどん整っていく……」
「虹色に光る剣なんて見たことがないわお姉サマ……!」
レーンベッツ鋼は虹色に光り輝く剣の形に完全に整っていく!
「これで……完成だ!」
レーンベッツ鋼がその形を完全に整え終えると、虹色の光彩を放ちながら神々しいまでに美しく輝きを増す!
「綺麗な剣……」
「リーシャ、この剣の名前は……?」
「これは……」
ウィデアとレティア、メイティアはその美しい剣を見て見惚れている。
「これが聖剣 ブライトホープだ! おい! イールミを呼んで来い!」
部屋から溢れんばかりの輝きに驚いたイールミはすでに鍛冶場を訪れていた。
「もうすでに来ています! できたのですね……! ついに……!」
「ああ……! ……イールミ、お前も持ってみろ」
「おおっ! これは……! なんという輝きだ!」
イールミはブライトホープを渡され、驚愕しながらその剣を握る。
「この剣は……!? え!??」
「どうした?!」
「僕の手にすごくよく馴染む……まるで何年も前から使っていたように……」
「ほほう?」
イールミが剣を何度か振ってみる!すると剣の動きに合わせて風切り音が鳴り響き、ブライトホープの魔力刃が呼応するように美しく光り輝く! レティアとメイティアもブライトホープの輝きに見とれている。
「凄い……!」
「すごいわお姉サマ!」
「まだじゃ。仕上げがまだじゃぞい!」
「ああ……そうだったな……!」
そしてリーシャは鍛冶場にある溶鉱炉の前に立ち、掌を剣に向けながら魔力を注ぎ込んでいく!溶鉱炉から炎が上がり、炎を纏った剣がゆっくりと出来上がっていく! イールミは、その炎を纏った聖剣を見て驚き慄いている!
「な……!? これは! 溶鉱炉から炎が!?」
「ふう……。これで完成だ!」
「おお……! なんという美しさ……!」
炎を纏った聖剣は、輝きを増しながら力強く、そして気高く佇んでいる!それを見たレティアとメイティアが驚愕している!
「これが……聖剣……!!」
「なんて神々しいの……!!」
リーシャは出来上がったブライトホープをイールミに渡す。
「剣匠魔女リーシャの渾身の一振り、確かに預けたぞ!」
イールミは剣を受け取り、その輝きと重みに感動している。
「おお……! この輝き……重み! 確かに受け取りました!」
イールミは聖剣を受け取ると、背中のアジャスターに剣をカチンとはめ込んだ。
「ああ。そして、この剣はレーンベッツ鋼でできている。つまり……」
「同じレーンベッツ鋼でできた剣でないと決して折ることはできない……ですね?」
リーシャとイールミは互いに頷き合う。
「ふふん、レーンベッツ鋼をこの宇宙で加工できるやつは俺以外には聞いたことがねぇ…しかも宇宙3女神のチカラを込めた剣なんざ、どこを探しても見つけることができない…この世界でたった一つの聖剣…間違いなく、俺の最高傑作だ!」
「はい! 大切にします!」
レティアとメイティアは、できたての剣が放つ力強い輝きに魅了されている。
「ほんと……すごい…」
「綺麗……」
リーシャが作り上げ、イールミに渡した聖剣……ブライトホープは神々しいまでに美しく輝いていた。そして、その輝きと存在感は見る者を圧倒する。これぞまさしくレーンベッツ鋼でできた武器の集大成というべき逸品であった。
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